テスラ『モデルY』がいよいよ日本でも受注開始〜納車開始は8月ごろ

2022年6月10日、日本でもようやくテスラのミッドサイズSUVである『Model Y』の受注が始まりました。価格は619万円〜。円安の状況ですが、世界の中でもお買い得な価格設定になりました。日本の電気自動車普及にとって、着実な一歩となるビッグニュースです。

テスラ『モデルY』がいよいよ日本でも受注開始〜納車開始は8月ごろ

モデル3より少し大きくて高価な設定

日本での『Model Y(モデルY)』受注開始がなぜビッグニュースなのか。ポイントを解説しつつ、発表されたモデルのあらましをレポートします。

モデルYは、すでに日本でも発売されている『モデル3』をベースにしたミドルサイズSUVの電気自動車です。プラットフォームはモデル3と共用しているものの、車体のサイズは少し大きくなっています。

モデルYとモデル3のサイズと価格を比較

全長×全幅×全高
(mm)
車両重量
(kg)
価格
モデルY
RWD4751×1921×16241930619万円
パフォーマンス
(AWD)
2000809万円
モデル3
RWD4694×1849×14431684579万円
ロングレンジ
(AWD)
1801669万円
パフォーマンス
(AWD)
1931749万円

モデル3のいわば兄弟車ではありますが、モデルYのほうがちょっと高級車ですね。モデルYの方がサイズが大きく車重もあるので、最高速や加速性能、航続距離などはモデル3がやや優れています。とはいえ、ミドルサイズのSUVとしては十二分、かつ世界の市販SUVのなかでも特筆すべき高性能といえるでしょう。

モデルYとモデル3の加速性能など

0-100km/h最高時速航続距離
(WLTC)
モデルY
RWD6.9秒217km/h507km
パフォーマンス
(AWD)
3.7秒250km/h595km
モデル3
RWD6.1秒225km/h565km
ロングレンジ
(AWD)
4.4秒233km/h689km
パフォーマンス
(AWD)
3.3秒261km/h605km

さらに詳細なディメンションやスペック、モデルYとモデル3の違いについて、EVsmartスタッフであり早くからテスラ情報を発信しているテスカスさんが、昨日早速ブログを更新してました。

2021年2月に最大約156万円(ロングレンジ)という大幅値下げを実現、日本でも売れているモデル3ですが、その後じわじわ再び値上げ。値下げ直後はRWDのスタンダードレンジプラスが429万円だったのが、現行のモデル3RWDは579万円です。同じRWDでも昨年のスタンダードレンジプラスの航続距離は448km、現行モデルは565kmとバッテリー容量も増えているので単純な比較はできないものの、お買い得感が減ったのと、値段が上がっている状況で購入することをためらう人もいたのではないかと思います。モデルYの新登場は様子見をしていた人たちの背中を押すきっかけにもなるでしょう(ロングレンジの設定がないのはちょっと悩ましいところですけど)。

フランク容量もモデル3より拡大!

世界の中ではお買い得な日本価格

アメリカでモデルYがローンチされたのは2020年3月で、すでに2年以上前のこと。2021年には中国でも生産&デリバリーが開始され、今年のはじめにはヨーロッパでも受注が始まっていました。

今回、日本と同時に、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなどアジア全域での受注がスタートしたということです。各国での価格設定をチェックしてみました。

モデルY価格の各国比較

日本オーストラリアシンガポール中国ドイツアメリカ
RWD619万円$68,900
(約652万円)
$91,990
(約820万円)
¥316,900
(約635万円)
設定なし設定なし
パフォーマンス
(AWD)
809万円$93,900
(約889万円)
$110,990
(約1075万円)
¥417,900
(約837万円)
63,990€
(約905万円)
$67990
(約914万円)

テスラの価格はころころと身軽に変わるので、あくまでも今日の時点の公式サイト表示価格ですけど。日本は世界最安です。今の円安状況を考えると、かなりお買い得な設定なのかも知れません。為替のこととか詳しくないし、発注&入荷状況はよくわかりませんが、次の入荷分は円安の影響でどんと値上げなんて可能性も……?

ライバル車と比べてみるとどうなのか?

競合車種との価格などを比較

全長×全幅×全高
(mm)
航続距離価格価格/km
モデルY
RWD4751×1921×1624507km619万円1.22万円
パフォーマンス
(AWD)
595km809万円1.36万円
競合車種
ヒョンデ
IONIQ 5 Lounge
4635x1890x1645618km549万円0.89万円
ヒョンデ
IONIQ 5 Lounge AWD
4635x1890x1645577km589万円1.02万円
日産アリア
B6
4595×1850×1655470km539万円1.15万円
メルセデス・ベンツ
EQA
4465×1835×1610423km733万円1.73万円
ボルボ
C40 Recharge
Plus Single Motor
4440×1875×1595438km
(WLTP)
599万円1.37万円
スバル
ソルテラ FWD
4690×1860×1650567km594万円1.05万円
スバル
ソルテラ AWD
4690×1860×1650542km638万円1.18万円
BMW
iX3
4740×1890×1670508km862万円1.70万円

競合車種との比較です。並び順は、主観的に「もしも自分が買うのなら順」にしてみました。ちなみに、EVsmartブログでは航続距離について実用に最も近いEPA基準で紹介することを旨としていますが、今回記事では比較検討がテーマなので、航続距離は各社が公式に発表しているWLTCモードで合わせました。ボルボのC40は、まだ正式なWLTC値が出ていないので欧州WLTPの参考値。WLTCになると少し増えて450kmは超えてくると思うので、そうなると「価格/km」は1.3万円くらいになります。サブスクのみのトヨタbZ4Xは比較がややこしくなるので除外しました。

こうして並べてみると、電気自動車らしい新たな価値を提示してくれているかどうか基準では、「テスラ、ヒョンデ IONIQ 5、日産アリア」と「それ以外」という印象がくっきりします。EQAやiX3もいいクルマですけど、エンジン車の価値観をEVに移植している傾向は否めません。あと、ブランドの付加価値でもあるのでしょうが、やっぱり少々割高感がありますね。

参照した価格はいわゆる「車両本体価格」です。おおむね、オプションなどを付加した実際の購入価格は国産メーカーは高くなります。日産アリアで、ボディカラーを「暁-アカツキ-:サンライズカッパー」(8万8000円)、「NissanConnect プロパイロットプラン+」(2万5520円)、ナッパレザー内装(30万8000円)を選んだセルフ見積では627万6820円になりました。627万円として「価格/km」は1.33万円になります。

コストパフォーマンスやEVとしての総合力を勘案すると、ヒョンデIONIQ 5とどちらにするかが悩みどころ、といった評価になりそうです。

テスラの躍進を支える人気車種

あまりテスラや電気自動車に詳しくないという方のために、モデルYがどんなポテンシャルを秘めた車種なのか少し紹介しておきます。EVsmartブログで定期的に翻訳記事を紹介しているアメリカのウェブメディア『CleanTechnica』の記事からの引用です。

まず「Tesla Model Y Crosses 500,000 Sales In Just 2 Years!」という記事では、モデルYがアメリカでローンチして以来、わずか2年間で累計販売が50万台を突破したことを伝えています。日産リーフがほぼ10年がかりで50万台突破なので、時代が変わったことを実感できる躍進です。

Tesla Model 3 & Model Y Score ~100,000 US Sales In 1st Quarter Of 2022」という記事では、今年第一四半期のアメリカでのEV販売台数を紹介。モデルYとモデル3の合計が10万台を超えて、他社EVを圧倒していることを伝えています。グラフを見ると、モデルYのほうがモデル3よりも台数が多くなっていて、モデルYがすでにテスラの主力車種となっていることがわかります。

世界の状況を見ると、テスラの躍進そのものがEV普及の原動力となっています。かねてイーロン・マスク氏が公言している「2万5000ドルのEV」が登場すればさらに勢いが増すのでしょうが、モデルYの日本導入はその前段として「まずは買える人が買う」ための魅力的なEVの選択肢が登場したと評することができます。

昨日、日本での受注開始が伝わってきた直後、オーダーページでは「納車予定:8月 2022」となっていたのが、午後には「8月-9月 2022」になりました。ポチりたい方、急げぇ! です。

日本では、各地のテスラストアなどに香港モデルのモデルYが展示されるとのこと。細部は日本導入モデルと少し異なっている部分もありますが、実車のイメージを確かめることができます。試乗車はまだ少し先になるそうです。

新宿の展示車の充電口は香港モデルのCCS2。日本仕様はテスラコネクターになります。

最後に再びテスカスさん情報で、日本のテスラストアの展示車ボディカラーを列挙しておきます。

●板橋ストアは外装ホワイトで内装ブラック
●川崎ストアは外装レッドマルチコート、内装はホワイト
●横浜サービスセンターは外装ホワイトで内装ブラック。
●新宿は外装ブルー、内装はブラック
●心斎橋は外装レッド、内装ブラック

私はまだポチってないですが。。。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)4件

  1. 619万円だとあまりに高価すぎますね。
    テスラもせめて300万円台くらいの車を作る気はないのでしょうか…

    1. バッテリー資源の確保がすべて 様、コメントありがとうございます!
      そうですね、米国の新車平均購入価格(ATP)がだいたい46000ドルくらいなんです。
      https://www.prnewswire.com/news-releases/new-vehicle-prices-decline-again-in-february-yet-remain-nearly-5-000-higher-than-one-year-ago-according-to-kelley-blue-book-301500474.html
      これは日本円で615万円くらい。

      テスラは25,000ドルの車を販売するとしていた時期もありました。そのプロジェクト自体中止になったわけではないと私は考えていますが、もしこれがこのまま出たとすると334万円なので、あり得ない話ではなさそうですね!

  2. モデルY、大変興味あります。
    500km級BEVで個人タクシー開業を目指してまして、各社のBEVを比較検討しております。
    そこで気付いたのが、ミラー展開車幅という要素。
    ざっと列記すると、
    モデルY 2129
    bz4x、ソルテラ 2170
    アリア 2172
    Q4 e-tron 2108
    EQC 2095
    といった所で、国産勢が2.17m級でデカい。
    そして欧米勢は小さい。
    モデルYは1.92mの車幅の割にはだいぶ小さく感じますよね。
    アルファード(2150)より小さいのだから、市街地で概ね困ることは機械駐を除いて無さそうです。

    1. 通りすがりの建築士 様、コメントありがとうございます。
      なるほど、ミラー開いた状態の幅が結構大事だったりするのですね。確かに

      >市街地で概ね困ることは機械駐を除いて無さそう

      これは私も感じています。モデルXはこれらの車よりさらに幅が広い199cm(ミラー抜き)ですが、ミラー込みでも2271mm(ミラー閉じ2073mm)なので、離合ができないなどの現象に出会ったことはありません。
      ただ、タイヤの幅が広いので、案外通常の平置き駐車場でも、停める場所は工夫が必要。できれば一番端や、小型の車の横などを探して停めるようにしています。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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