著者
充電スポット検索
カテゴリー

e-Mobility Power が2025年度の「急速充電ステーション整備実績」を発表/高出力化・複数口化が進展

e-Mobility Power が2025年度の「急速充電ステーション整備実績」を発表/高出力化・複数口化が進展

e-Mobility Power が、2025年度における急速充電ステーション整備実績を発表しました。高速道路SAPAでは合計314口の急速充電器の新設・更新を完了して、全国での合計が454カ所(1066口)となり、一般道路においても高出力化、複数口化が進展しています。

目次

約1800口増加も急速充電器は微減

2026年4月30日、日本の公共用EV充電インフラネットワークの拡充を進める株式会社 e-Mobility Power(eMP)が、「2025 年度の急速充電ステーション整備実績」を発表しました。全体としては、eMPのネットワークに接続する充電器の数が2024年度末の「2万5325口」から2025年度末は「2万7122口」となって「1797口」増加。EV充電インフラの充実が進んでいることが強調されました。

プレスリリースから引用。

充電器数の推移をみると、急速充電器と普通充電器の合計が1797口増加しているものの、急速充電器だけに絞ってみると「-19口」とわずかに減っていることがわかります。

細かく検証したわけではありませんが、2013年ごろからの国の補助金を活用して設置された急速充電器が耐用期間を迎えて更新される一方で、稼働率が低い(つまり立地が悪いなどの理由で使われない)充電器が撤去された結果と推察できます。

普通充電器に比べて設置や運用コストが大きくなる急速充電器は、きちんと「使われやすい場所」に設置することが重要であることを感じます。また、日本でもEVがもっと普及して、経路や目的地での充電ニーズが高まることに期待したいところです。

高速道路の急速充電器が1066口に増加

eMPのプレスリリース冒頭では、全国132カ所の高速道路SAPA(サービスエリア・パーキングエリア・ハイウェイオアシス)において、合計314口の急速充電器の新設・更新を完了したことが紹介されています。2026年3月末時点で、eMPが設置・運営する高速道路SAPAの急速充電ステーションは全国の合計で454カ所、1066口となりました。

また「このうち約6割にあたる272カ所では、1カ所あたりの口数が 2口以上となっており、さらにそのうち90カ所には、1口最大出力150kWの急速充電器を設置しております」と、経済産業省が2023年に策定した「充電インフラ整備促進に向けた指針」が目標に掲げた「高出力化」「複数口化」が進展していることを紹介しています。
※冒頭写真は常磐道千代田PA(上り線)の急速充電ステーション。最大150kWの「赤いマルチ」が4口と、90kW2口の計6口が設置されています。

実際に、多くのEVユーザーが高速道路の急速充電ステーションで高出力複数口化が進み、充電待ちの不安から解放されて、どんどん便利になっていることは実感していることでしょう。

一方で、eMPは2023年の時点で「高速道路SAPAの急速充電器を2022年度の511口から、2025年度までに1100口にする」という目標を示していましたから、1066口という結果は目標にわずかに届かなかったということもできます。

【関連記事】
イーモビリティパワー 四ツ柳社長インタビュー/日本のEV充電インフラはどうなっていく?(2023年11月7日)
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/e-mobility-power-president-yotsuyanagi-interview-japan-ev-charging-future/

eMP公式サイトの「資料・データ集」を確認すると、高速道路の充電器口数は以下のように推移してきています。

2024年度第1四半期(4〜6月):693口
2024年度第2四半期(7〜9月):693口
2024年度第3四半期(10~12月):748口
2024年度第4四半期(1~3月):909口
2025年度第1四半期(4~6月):926口
2025年度第2四半期(7~9月):917口
2025年度第3四半期(10~12月):1084口
2025年度第4四半期(1~3月):1070口

単純な右肩上がりでない(2025年度末の数字も微妙に違う……?)のは、配置などの最適化を図りながら拡充を進めているということでしょう。なにはともあれ、目標とした「2025年度末に1100口」の実現を目指してきたeMPの前向きな取り組みに感謝したいと思います。

また、eMPの発表では、一般道路においても全国399カ所の道の駅、ガソリンスタンド、コンビニエンスストアおよび商業施設等において、合計566口の急速充電器の新設・更新を完了。充電器数は全国で合計 1677カ所(2460 口)となり、このうち、4割強にあたる740カ所に、一口最大出力90kW以上の急速充電器を設置しており、一般道路においても急速充電器の高出力化・複数口化が進展していることを紹介しています。

とはいえ、中国では「BYDが最大出力1.5MWのフラッシュ充電ステーションを2万基設置する計画」といったニュースを聞くと、日本のEV普及策にはまだまだ勢いを増す余地があるようにも感じます。

ユーザー本位でわかりやすい仕組みを広げてほしい

設置数のダイナミックさに物足りなさはあるものの、日本のEV普及の現状と照らし合わせて考えると、eMPのEV充電インフラ拡充の様子には、ひとりのEVユーザーとして「なかなかがんばってくれている」と感じます。

基幹SAPAには数十口の充電ストールがずらりと並ぶ光景が出現するのを楽しみにしてはいますが、それは、eMPだけの取り組みで実現できることではないでしょう。

一方で、eMPに対して「ぜひなんとかしてほしい!」と感じているのが、急速・普通併用プランで月額「4180円(税込)」となっている会員制度です。

eMP公式サイトより引用。

ご覧のように、月額会費を払うと都度利用料金が27.5円/分とリーズナブルになりますが、月額料金は4180円。毎月2回ほど高速道路の90kW器を利用したら、なんとか元が取れる(得にはならない)くらいの金額です。しかも、ビジター利用は都度料金が高いことに加えて、充電開始時の認証作業などが面倒くさいのが難点です。

もちろん、価格設定にそれなりの理由はあるのでしょうが、充電サービス開始当初からの課金プロバイダや設置事業者との関係といった「サービス提供者側の事情」が垣間見えるのに対して、充電器を利用する「ユーザー視点」が置き去りにされているように感じます。

昨今多いサブスクのサービスでも、月額4000円超えってのはなかなかないし、庶民感覚としては加入するのにかなりの覚悟や必要性が不可欠です。今の価格のままであれば、バッテリー容量の小さな軽EVなどに乗る人は「EVでそんなに遠出しないからいいや」と会員にはならない選択をするケースが多くなりそうだし、バッテリー容量が十分なEVでは「出先で急速充電なんて月に数回するかどうかだから加入しない」と判断するユーザーが増えてしまうのではないかと危惧しています。

ロングドライブの急速充電はeMPネットワークの高速SAPAを利用することが多くなるので、eMP(提携含む)カードを所持していると便利です。でも、月額4000円超えの壁に阻まれて会員になるEVユーザーが半分とか1/4になってしまうと、EVはやっぱり遠出が不便という印象が拡がってしまうのとともに、充電サービスの持続可能性そのものが頭打ちになってしまうのではないかと心配です。

充電インフラ整備実績の進捗には感謝しつつ。eMPには、ぜひ月額会費を2000円、いや、できれば1000円くらいにしてほしい! とお願い(いろんな記事で繰り返してますけど)しておきたいと痛切に思うのでした。

文/寄本 好則

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

コメント

コメントする

目次