女性オーナー主催のイベントに102台の電気自動車が集結/新潟EVオフ会レポート

「Niigata EV Owner’s Meeting」(新潟EVオフ会)が新潟県南魚沼市の石打丸山スキー場で開かれました。ゴンドラで会場まで登るという意外なアトラクション付きの「天空のオフ会」は、なんと102台のEVが集結する大盛況でした。

女性オーナー主催のイベントに102台の電気自動車が集結/新潟EVオフ会レポート

自分のEVは麓の駐車場に停めてゴンドラで山上へ

三連休の中日だった2024年9月15日(日)の朝、石打丸山スキー場の駐車場に続々とEVが集まってきました。私は集合時間より30分ほど早めに着いたのですが、「もうこんなにいるの?」と驚いたほど。ビブスを着たスタッフさんが到着するEVを案内してくれて、車種別、メーカー別に整列していきます。日産リーフとアリア、そしてテスラのモデル3とモデルYが多数派ですが、ヒョンデやBYD、プジョー、BMW、ボルボなど輸入車勢もまさに列を成すほど集まっていて、バラエティーに富んでいます。

「同じメーカーや同じ車種で集まるのも楽しいですが、こうやって枠を超えて集まるのもいいかなと思ってます」

開会セレモニーで主催者代表としてあいさつした木沢亜由美さんもダイバーシティー(多様性)をアピール。全員が拍手で賛意を示していました。

開会挨拶をする木沢さん(中央)と、主催者副代表の石井さん(左)。

さて、よくあるオフ会なら、ここでEVを囲んでトークタイムということになるのですが、ちょっとした趣向が待っていました。受付と同時に配られたのはゴンドラの搭乗券。オフ会の会場は、なんと標高約550mまで登った先。みんなでぞろぞろとゴンドラ「サンライズエクスプレス」の山麓駅へ向かいます。

ゴンドラは10人乗りで、大人数にもかかわらず、ほとんど待たずに乗車できました。みるみる標高を上げていきます。こういう乗り物は文句なしに楽しいですね。電力で動くので、EVの仲間に入れてもいいかもしれません。乗り合わせたEV仲間とあれこれ喋っていると、あっという間に山頂駅に到着です。スキー場としては中腹部にあたります。

参加者の集合写真も山上で!

ゴンドラ駅の周辺が、オールシーズンのビュースポット「ザ・ヴェランダ石打丸山」として整備されています。展望テラスのあるカフェ、空へ飛び出すようなブランコ、居心地の良さそうなフィールドラウンジなどがあって、とても居心地の良い空間です。見下ろす先には、人気ブランド米「魚沼産コシヒカリ」を育む米どころの田園風景が広がっています。最近は、夏の観光客誘致に取り組むスキーリゾートが増えていますが、ここもかなりのなごみスポット。

そんなエリアの真ん中に最新EV各車が展示されていて、協賛企業・団体のテントやキッチンカーなども並ぶ会場になっていました。

テスラのトリコさん提供(許可を得てドローンで撮影)

スキー場の協力もあって中腹のオフ会会場まで乗り入れることが許されたEVは、日産アリアNISMO、ヒョンデIONIQ 5 N、BYD SEAL、プジョーe-2008、ボルボEX-30、BMW iX1、テスラ モデルXなど。発売されたばかりの高性能EV、アリアNISMOとIONIQ 5 Nが隣り合わせというのは、初めてみました。

この日の参加者は171人(うち子供11人)だったそうですが、会場にいたのはEVオーナーだけでなく、一般の観光客も。別に仕切りなどがあるわけでもないし、山を登ってきた人は誰でもウェルカム。ゴンドラを降りたらなぜか電気自動車が並んでいて驚いたかもしれませんが、爽やかな高原の空気を汚さないのがEV。興味を持ってもらえたとしたらうれしいですね。

顔なじみのEVオーナーも協賛ブースを出展

アリアNISMO開発責任者の成富さん(写真左)。

始まったオフ会では、まず主催者副代表の石井浩一さんが協賛企業や団体を紹介。さらにアリアNISMOの開発責任者である日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社の成富健一郎さんによるトークセッションが行われました。「より速く、気持ち良く、安心できるNISMOのクルマづくり」について、プレス発表時の資料をもとにわかりやすく解説。トーク後にはたくさんのオーナーから次々に話しかけられていました。

成富さんは、オフ会への参加について「ユーザーのみなさんからリアルな意見を聞くことは開発に役立ちますし、とても大切な機会です」と話していましたが、ユーザーにとっても開発者と会えるのは滅多にないチャンス。ツーショットで記念撮影をお願いしているオーナーもいました。

会場をぶらぶら歩きましたが、EVを見て回る人もいれば、仲間と談笑する人も。なにしろ景色は抜群ですし、午前中は汗ばむほどの陽気。キッチンカーではかき氷が飛ぶように売れていました。私もいろんな人と話すことができて、楽しい時間を過ごせました。

8月3日~5日に富士山麓で行われた「EV Summer Camp 2024」(関連記事)の主宰者でもある辻榮亮さん(IONIQ 5と日産e-NV200のオーナー)のテントを訪ねて、目に止まったのは車中泊などで使えるエアマット。「いいから寝てみてよ」と言われて試しましたが、柔らかすぎず硬すぎず、抜群の寝心地でした。専用のエアポンプ付きで、セッティングも片付けもお手軽。EVキャンパー御用達になる予感がします。

おすすめエアマットの説明をする辻榮さん。

実は辻榮さん、2012年に発足した老舗の交流グループである「EVオーナーズクラブ(EVOC=イーボック)」の2代目代表にこのほど就任しました。「古くから活動しているメンバーと、新しい人たちをつないで、コミュニケーションを広げていきたいです。またEVOCが災害時に電源供給を行うなどBEVの有用性を遺憾なく発揮できるシステムづくりにも取り組みたい」と話しておられたので、今後の活動に要注目です。

続いてお邪魔したのが、充電時間を楽しく過ごすための情報コミュニティー「EVごはん」のブースです。今年の夏、私がお邪魔した「日産アリア全国オーナーズミーティング」「ジャパンEVラリー白馬」「EV Summer Camp 2024」のすべてに出展。EVイベントには欠かせない存在になっています。私自身はかなり前からコミュニティーに登録済みですが、主宰者のテスラオーナー、石井啓介さんご夫妻とお会いするのが楽しみで、必ず立ち寄っています。同じような人がたくさんいるので、いつもブースは交流センターのようになっています。

今回初めてお邪魔したのが、デジタルインナーミラーなどのカー用品取り付けの専門家「よしまるこうぼう」のブースでした。よしまるさんは大手カー用品店の元ピットスタッフ。独立して、電装品を中心としたさまざまな用品交換の相談や施工などを請け負っています。テントには、テスラ用のヨーク型ハンドルや本物の木製ハンドルといったオリジナル製品も並んでいました。個人的にマイカーHonda eのことも相談。EVならではのカスタムがいろいろあることを教えてもらいました。

そのあとは、たくさんのプレゼントが用意された抽選会だったのですが、次第に雨模様に。みなさん傘やカッパで雨対策をしながら楽しみました。山の天気は変わりやすいので仕方ありません。なんなら歓談しながら夜景まで楽しみたかったのですが、そのまま雨中の解散となり、景品を手にした参加者は「じゃ、またどこかで」と挨拶を交わしつつ帰路につきました。

私はゴンドラで下山後、せっかくなので、BYD SEAL AWDの試乗もさせてもらいました。道路が空いていたので、微速からアクセルを踏み込む機会もありましたが、0-100km/hが3.8秒という加速は強烈の一言。反射神経が鈍ってきているジジイにはスリリング過ぎました。走りの良さもインテリアの質感も高級車のイメージです。新潟でも売れ行きは好調とのことですが、納得です。

新潟EVオフ会は、SNSの「日産リーフ・オーナーの会」などを通じて交流するEV仲間のミーティングとして始まりました。2016年に弥彦山、2017年に十日町で開催され、コロナ禍などによる中断を経て、2023年阿賀町で久々に復活。その間にリーフから乗り替えた人なども多かったので、いまは「電気自動車(EV・PHEV・FCEV)であればOK」と、幅広く参加を募っています。木沢さんも乗り替え組で、いまはサクラのオーナー。お父さんのアリアNISMOにも乗っています。

【関連記事】
筋金入りのリーフオーナーがサクラに乗り替え~亜由美さんの電気自動車ライフ(2022年9月20日)

「新潟オフは県外の参加者が多いので、新潟にはこんなにいいところがあるというのを知ってもらいたいんですよ」と話す木沢さん、関東からのアクセスがいい上越地方で開催場所を探していたところ、石打丸山スキー場が候補に上がり、視察してすぐ「ここでやりたい!」と即決したそうです。いや、わかります。ここはたしかに知ってもらいたい場所ですよね。

オフ会は、EVオーナーとの交流が最大の目的ですが、同時に小さな旅でもあって、見たことのない景色に出会えるのも楽しみです。今回、私は前日に新潟入りして、お隣の十日町市や津南町の里山を舞台に3年に一度開かれている「越後妻有アートトリエンナーレ」(7月13日~11月10日)をぶらぶら鑑賞。長年行きたいと思っていたイベントだったので、グッドタイミングでした。

さらに、オフ会の抽選会で石打丸山のゴンドラ一日券をペアでいただいたので、今度は家族で再訪するつもりです。EVに乗るまではあまり縁のなかった新潟を、かなり身近に感じるようになってきています。

取材・文/篠原 知存

この記事のコメント(新着順)3件

  1. 新潟EVオフ会ではお世話になりました。沢山の参加者さんにインタビューされていましたね。。
    お疲れ様でした。
    私は、久々に大きなオフ会に参加出来、懐かしい皆さんに素敵な会場でお会いできて、嬉しかったです。また訪れて見たい場所が出来ました。幹事さん、お手伝いして下さっていた皆さん、参加された皆さん、ありがとうございました。

    1. 髙橋美枝子さま

      コメントありがとうございます。
      私もいろいろ楽しくお話しさせてもらいました。
      これだけの規模で、こんなに楽しい企画を実行してしまう運営チームのバイタリティーは、ほんとうにすごいと思います。オフ会の主役である参加者のみなさんもニコニコ顔で、とっても魅力的な空間が生まれていました。早くも来年が楽しみです!

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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