再開発、というか「まちづくり」が進む高輪ゲートウェイシティで開催された「GATEWAY Tech TAKANAWA 2026」のプレスツアーに参加してきました。みどころは「モビリティ」だけではなかったけれど、さまざまな先進技術の「動力」はことごとく「電気」になっていく事実を改めて実感。ニッポンの自動車だけが足踏みしている場合じゃないという思いが強くなりました。
地球益を目指す共創の祭典

2026年5月14日(木)、東京都港区の高輪ゲートウェイシティで開催された「GATEWAY Tech TAKANAWA 2026」のプレスツアーへの案内が届き、後学のためにと思い立って参加してきました。
高輪ゲートウェイシティは、山手線で49年ぶり(2020年開業)の新駅となった「高輪ゲートウェイ駅」と直結した新たな街で、「100年先の心豊かなくらしのための実験場」というコンセプトを掲げたまちづくりを進めています。品川駅側の街区はまだ建設が進んでいる最中ですが、「THE LINKPILLAR 1(複合棟1)」、「THE LINKPILLAR 2(複合棟2)」などは完成し、2026年3月にグランドオープンしたばかりです。

ゲートウェイシティは初訪問。すごい街が生まれてました。
GATEWAY Tech TAKANAWA は、THE LINKPILLAR 1 地下2階のコンベンションホールでの先進技術展示や、公道や既存施設では困難なモビリティの試乗など、駅直結の広大な屋外空間を活かした実証実験を紹介する展示会です。
主催はJR東日本だけに、プレスツアーの目玉はUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線通信)を活用した「ウォークスルー改札」のお披露目でした。

情報を登録したスマホなどの端末と改札機がUWBで通信。ベビーカーを押していたり車いすなどでもスムーズに改札を通れます。
とはいえ、今まで見たことがなかった自動運転EVバスの「RoboBus」(試乗体験あり)や、折りたためる電動バイク「TATAMERU BAIKE(タタメルバイク)」を発売しているベンチャー企業のICOMA(イコマ)が、さらにコンパクトな折りたたみロボティクスモビリティ「tatamo!」を出展するなど、EVsmartブログの好物が並んでいて楽しめました。
気になる出展を見聞しながら、改めて感じた「気付き」をレポートします。
自動運転モビリティがどんどん当たり前になる

まずは、中国で自動運転モビリティを開発するPIX Moving社と日本のITサービス企業であるTIS株式会社の合弁で設立されたピクセルインテリジェンス株式会社が出展していた次世代型モビリティ「RoboBus」です。
出展車両のディメンションは、全長3020mm、全幅1862mm、全高2260mm。軽のトールワゴンより一回り大きいくらいのサイズ感です。デザインはラスベガスなどで走っている「ZOOX」に似ています。乗車定員は6名ですが、オペレーター1名が乗り込むので乗客は5名まで。駅前広場に特設された50mくらいのコースで試乗体験もできました。
ピクセルインテリジェンスの事業推進マネージャーである高橋信二氏によると、搭載するバッテリー容量は約41kWhで、一充電走行距離は100〜150km程度とのこと。今回の試乗コースは短距離で狭いので時速20km/h以下程度の徐行運転をしていたものの、最高速は「40〜50km/hは出る」そうです。
価格は未公表。同社の公式サイトを確認すると、RoboBusの導入方法は、①協業、②月額制(サブスクリプション)、③リースという選択肢が提示されていました。サイドのガラス面が広く、乗客からの視界が良好なので「観光地などでのシャトルとして最適」(高橋氏)です。


プレスツアー終了後の自由取材時間に、私も試乗してみました。車内には3人掛けのシートが向かい合わせに設置されていて、オペレーターさんが1名乗車。車内にはハンドルやペダル類などはまったくありません。直線で50mほどの試乗コースを、往路(前進時)は自動運転で走行。バックで動く復路は手元のコントローラーを操作して動かしているということでした。

試乗を終えた降車時に、オペレーター席の横壁面にスタートスイッチがあるのを発見。市販EVなどでも見慣れたスイッチがあることで、自動運転モビリティを少し身近に感じたのでした。
日本国内で実証実験などは進んでいる自動運転バスとして、BOLDLYやBRJといったベンチャー企業が導入する小型EVバス「MiCa(ミカ)」や「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」、「WeRide」などのトピックはEVsmartブログでもしばしば紹介してきました。茨城県の境町ではNAVYA ARMAが、すでに5年以上定常運行しています。
【関連記事】
自動運転EVバスのWeRide製新型車両に岐阜市で試乗/滑らかで完成度の高い乗り味を実感(2026年3月8日)
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RoboBusは見るのも乗るのも初めてでした。とはいえ、中国では自動運転モビリティ開発競争が激化していることは、北京モーターショーを取材した著者陣からも聞き及んでいます。今回の試乗は短距離&短時間に過ぎたので実用性うんぬんの評価は控えておきますが、今後数年のうちにますます、新顔の自動運転モビリティが日本でも数多くお披露目されて、当たり前になっていくのだろうと感じました。
一方で、走行性能やコストパフォーマンスの面で、過疎地などの地域課題解決手段としてはなかなか使えない車両やサービスが多いのも事実。地方自治体が導入するならコレ! といえる、魅力的な自動運転モビリティの出現を心待ちにしたいところです。
駅のロッカーを活用したシェアリングサービスの構想も

tatamo! の説明をする生駒社長。
次に紹介したいのは、株式会社ICOMAが出展していた折りたたみロボティクスモビリティ「tatamo!」です。ICOMAはオリジナル電動バイクの開発などを手掛けるベンチャー企業で、最初のプロダクトである「TATAMEL BIKE(タタメルバイク)」はすでに発売中。EVsmartブログでは、CES2023に出展していたICOMAを取材。代表取締役社長の生駒崇光さんが「トランスフォーマー好きが高じてバイク開発で起業」したエピソードを紹介(関連記事)などしてきました。
今回出展の目玉となったtatamo!(第2世代)は、タタメルバイクをさらに小型化した特定小型原付規格の電動モビリティです。法定の最高速度は20km/hで、電動キックボードと同様に16歳以上であれば免許なしでも運転可能。各種センサーによるインタラクション機能を搭載した「ロボティクスモビリティ」を目指すとともに、折りたためば駅のコインロッカーにも入るサイズで設計し、ロッカーを活用したシェアリングサービスの可能性なども検討しているということでした。
せっかくなので、私も試乗してみました。駅前広場の特設コース(距離は30mくらい)でのプチ試乗。電動キックボードは私も使ったことがありますが、東京の公道は交通量が暴力的であるのに加えて路面が荒れているところが多く、とても「怖い」思いをしました。tatamo! の乗り心地は電動キックボードよりはかなり安心な印象です。速度が遅く不安定ではあるので幹線道路を走るのは怖いでしょうが、駅まで歩くと20分以上ってな方の通勤用モビリティとか、クルマに積んで屋外レジャーといったシーンで便利&楽しく使えそうだと感じました。
こうしたユニークなモビリティが登場してきたのも、動力が「電気」になったからこそのこと。電気の力が世の中を便利で楽しくしてくれることへの期待感が膨らみます。
ダンスロボットなども電気で動く!
さらに、プレスツアーで巡ったブースのなかで興味深かったものを駆け足でいくつか紹介しておきましょう。

まず、山形大学工学部の古川英光教授の研究チームによる「ラーメン工学科」のブース。古川教授のチームは3Dフードプリンター(言うまでもなく電動です)技術を駆使し、米粉を用いた未来型の「3Dラーメン」を開発する研究を行っていて、2026年6月7日、一般参加可能な公開講義「ラーメン工学科」を開催することをアピール(定員は先着64名、Peatix「ラーメン工学科」で近日募集開始予定)していました。開催場所は山形大学米沢キャンパスの食堂です。

アグリノーム研究所は、四足歩行ロボットを活用したセンシング診断による次世代都市植栽管理技術を紹介していました。この技術は、実際に高輪ゲートウェイシティの植栽管理への導入が始まっているそうです。
そしてもちろん、背中に小さなパソコンやセンサーを満載した四足歩行ロボットは「電気」で動いています。ちなみに、ロボット掃除機みたいな自動充電はまだできないそうです。

人型ロボットを開発する「Galbot(ガルボット)」では、ロボットが棚から注文したお菓子やドリンクを取ってくれるキオスクのようなブースを出展。実際にタブレットでオーダーした商品をロボットが軽妙なトークとともにピックアップしてくれるデモンストレーションを行ってくれました。ガルボットは創業からまだ3年ほどしか経っていないという中国のスタートアップ企業ですが、中国全土ではこのロボットを導入したショップをすでに100店舗ほど展開しているそうです。
さらに、人型ロボットのダンスパフォーマンスを披露してくれました。サクッと動画を録ったので、まったくの無編集ですが「限定公開」でアップしておきます。
先だって、人型ロボットが体操選手もびっくりのバク宙などを披露する動画を見たこともあって、アバンギャルディ(大阪万博でも大活躍したおかっぱ頭のダンスユニット)みたいなキレッキレのダンスを見せてくれるのかと思ったら、動きはちょっと微妙でした。
改めてYouTubeで「ロボット バク宙」で再発見した動画がこちら。
中国ではAIロボット開発を国家戦略として進めていて、バク宙などを披露したのは別の会社生まれのヤツ。少しググってみたら、ガルボットのロボットは、店舗や工場での単純作業などが得意なようです。人間だって、誰にでもバク宙ができるわけではありません。ヒューマノイドにも「個性」があるってことですね。
繰り返しになりますが、この人型ロボット達も、もちろん電気で動いています。
先端技術を社会実装するための実験場
いろいろ興味深い展示会でした。とはいえ、GATEWAY Techに出展されるプロダクトやサービスは、そのまますべてをゲートウェイシティで社会実装を試みているわけではありません。また、それもこれも、高輪ゲートウェイシティという真新しく大規模な「街」があってのこと。
会場をひと回りしたあとの囲み取材で、JR東日本マーケティング本部まちづくり部門マネージャーの松尾俊彦氏に「JR東日本全体で先端技術の社会実装に取り組む計画などは?」と質問してみました。
お答えは「けっして、高輪や東京だけの取り組みではありません。われわれはレールで日本各地に繋がっていますし、海外拠点もあります。日本各地の社会課題、とくに地方における社会課題、それから世界における社会課題を解決するためのヒントを見つける場として実施しています」と明解でした。
JR東日本では高輪ゲートウェイシティの「100年先の心豊かなくらしのための実験場」というコンセプトを具現化するため「TAKANAWA GATEWAY Link Scholarsʼ Hub」=「LiSH」と名付けたプロジェクトを実施中。すでに秋田にも全国で2番目となるLiSHの拠点が開設されているとのことでした。下調べもせずふらりと参加したので不勉強な質問、失礼いたしました。

質問に答えてくれた松尾氏(右)と、Suica・決済システム部門担当の今井健太氏(左)。
考えてみれば、そもそも鉄道ってのは電動化をいち早く社会実装したモビリティです。松尾氏からは「東京、高輪のためだけではなく、われわれの広いアセットの活用を見据えてプロジェクトを進めています」という説明もありました。限定的な「実験場」であっても、全国各地、たくさんの場所で「先端技術の社会実装」が進展すれば、世の中の風景は大きく変わるのではないかという可能性を感じます。
拠点駅にEVカーシェアを網羅してほしい
自動運転バスやヒューマノイドは興味深いですが、個人的に直面している現状の悩ましい課題のひとつが「地方取材時などにEVのレンタカーを探してもほとんど見つからない」ことです。
取材後、松尾さんと名刺交換させていただきつつ「駅レンタカーの営業所にはすべからくEVを配備してほしい」とお願いしておきました。
以前の記事でも紹介したEVシェアリング「eemo(イーモ)」や、テスラのカーシェア「BOXIV SHARE」のような仕組みを使えば手間や固定費は削減。かつてのEVレンタカーは表示される航続距離の短さや充電スポットの少なさがネックになって不評だったことは理解していますが、市販EVや充電インフラはここ数年で格段に進化しています。ヒョンデ「インスター」やBYD「ドルフィン」、国産がよければスズキ「eビターラ」などコストパフォーマンスが良い車種を導入すれば、利用料金も抑えられるのではないかと思います。
このお願い、わりとマジです。
取材・文/寄本好則






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