電気自動車保有率8.2%!「KINTO」のアンケート結果を考察してみた

トヨタ系の「クルマのサブスク」サービスを提供する「KINTO」が「電気自動車への関心度調査」を実施。公式サイトに結果レポートの前編を公開しました。回答者の電気自動車保有率は8.2%と高レベル。公表されたデータについて考察します。

電気自動車保有率8.2%!「KINTO」のアンケート結果を考察してみた

EV保有率は3.7%アップの8.2%に増加

トヨタ系列でクルマのサブスクリプションサービスを展開する株式会社KINTO(キント)が、昨年に続き「電気自動車(BEV)への関心度調査2022」を実施。その結果レポートの前編(全2回予定)を、11月25日に公式サイトで公開しました。「BEV」は「Battery Electric Vehicle」で、エンジン非搭載の完全な電気自動車を示す略語です。日本の自動車ユーザーが、今、電気自動車(この記事中では「EV」とします)に対してどのような意識を抱いているのか。KINTOのレポートでも解説が紹介されていますが、EVsmartブログ目線で「結果を考察」してみたいと思います。

【参考サイト】
KINTO 公式サイト
2022年の電気自動車(BEV)保有率は前年比3.7%増の8.2%、買い替え検討者は34.9%に(2022年11月25日)

なお、調査対象や人数は「現在クルマを保有しており、かつ環境問題に関心があると回答した方550名」で、「インターネット調査」を実施したそうです。

EVはもう特別なクルマではない

Q1. 現在保有しているクルマの種類は?

KINTO レポートページから引用。(以下同)

まず注目したいのが、保有しているクルマの種類を質問したQ1の結果です。EVの保有率は、昨年の4.5%から3.7%増加して8.2%、PHEVの6.7%合計した「プラグイン車」にすると、実に14.9%に達します。

EVsmartブログでは2022年10月から『日本国内における電気自動車の売上とシェアを確認』という保存版記事を紹介しています。長年1%程度で低迷していた新車販売におけるプラグイン車のシェアが、軽EVの登場で大きく動き始めたからです。とはいえ、今年に入ってようやく2%を超え始めた程度の状況にあって、約15%の保有率というのは少し驚き。保有率を合計すると129.3%になるので、回答者のおよそ3人に1人は複数台所有のクルマ好きなのでしょう。クルマが好きで環境問題に関心がある方にとって、EVやPHEVは特別な選択肢ではなくなってきていることが読み取れます。

自宅の充電設備は、設置した方がいいですよ……

続く「Q2」では「次に選びたいクルマの種類」についての設問で、EVは34.9%となっています。この数字が、広く日本のクルマ好きな方々のEVへの潜在的なニーズと読み取れます。まあ、全問の回答結果を考察するのも節操ないので、数問に絞って考察してみましょう。

Q4. 自宅にクルマの充電設備はありますか?

というわけで、次に考えてみたいのが、充電設備に関するQ4です。Q2で「次はEVを選びたい」とした人たちのうち、「自宅にはすでに充電設備がある」という人が17.2%、「設置を予定している」のが38.0%で、過半数の方が「自宅における基礎充電の大切さ」をすでに認識されていることがうかがえます。

エンジン車と比べたEVの大きなメリットのひとつが「わざわざガソリンスタンドに行かなくてもいい」ことです。EVを保有するなら、ぜひ自宅ガレージに充電設備を設置することをオススメします。

ところが、「充電設備の設置は検討していない」と回答した人が42.7%もいるのが気になるところ。回答例として「マンションだからあきらめている」というコメントが紹介されているので、おそらくは同様に集合住宅にお住まいで、駐車場への充電設備設置へのハードルが高いと感じていることを反映しているのでしょう。個人で、また自分一人ではなかなか解決しにくい課題だと思うので、先だって内閣府の再エネタスクフォースでも提案したように、一日も早く政策やニッポンの仕組みとして、集合住宅でもEV用充電設備設置が当たり前になってくれることを望みます。

また、EVsmartブログの運営会社となったエネチェンジをはじめ、ユアスタンドテラチャージWe Chargeプラゴジゴワッツなど、集合住宅への充電設備設置をサポートしてくれる民間のサービスが増えてきているので、集合住宅に住んでいる人がEV購入を検討する際には、一度相談してみるといいでしょう。

ともあれ、基礎充電設備設置を検討もしていないという方が、クルマ好きの方々の半数近くもいらっしゃるのは、まだまだ、EVに関する正しい知識が浸透していない印象でもあります。EVsmartブログも、さらに精進せねば、ですね。

欲しくて買えるEVの車種がない!

ヨーロッパや中国、さらにはアメリカなどと比べても、日本のEV普及は大きく遅れてきています。その理由を指し示しているのが、Q2で「電気自動車」を選択しなかった方に、電気自動車を選ばない理由を尋ねた設問です。

Q7. 電気自動車を選ばない理由は?

複数回答で、過半数の方が「車両価格が高額」である点を挙げています。ほかにも、多くの方が航続距離の短さや、充電インフラへの不安を指摘しています。

EVsmartブログ、というか私が個人的に日本のEV普及を妨げている要因と考えているのは次の2点です。

●充電インフラが脆弱。
●欲しくて買えるEVがない。

ひとつ目の「充電インフラが脆弱」については、経路充電=高速道路SAPAなど適切な場所に高出力器複数台設置をデフォルトに! と、目的地充電&基礎充電=さまざまな場所に手軽に使える十分な数の充電器を! という充電用途の特性を踏まえながら、ユーザー本位のインフラ拡充が必要です。

そして、個人的にことに大問題と感じているのが、2つ目に挙げた「欲しくて買えるEVがない!」という点です。

アンケート結果で、上位2つの回答を確認してみましょう。「車両価格が高額=53.4%」と「フル充電で走れる距離(航続距離)が短いから=45.3%」という回答って、すごく矛盾していることにお気づきですか?

航続距離が長いEVを作るのは実はとても簡単で、電池をたくさん積めばいいだけのこと。実際に、107.8kWhの大容量バッテリーを搭載するメルセデス・ベンツEQS 450+の一充電航続距離はWLTCで700km。実用値では8掛けとして560kmくらいになりそうですが、さすがに東京〜大阪を無充電で完走できるスペックに「航続距離が短い!」と感じる人は希少でしょう。ただし、値段は1578万円。「いいけど、買えない!」という方が大多数、ではないかと思います。

私が中古リーフを購入する際、車種選択のキーワードに掲げたのが「150万円で150km」でした。車両本体価格150万円程度で、航続距離150kmくらいが手に入ればまあいいか、ということですね。あれからほぼ丸4年、セグ欠けやら初電欠やらいろんなことはありつつも、幸せなEVライフを過ごしつつ、12月には購入して2回目の車検を通す予定です。

でも、600万円以上、なかには2000万円レベルなんていう高級車の選択肢がいくら増えても、日本国内でのEV普及が加速するなんてことはないでしょう。個人的見解ですが、「150万で150km」説の正しさは、日産&三菱の軽EVがヒットしたことで証明されたと感じています。次の一手としては、新車価格で「300万円台で300km」のコストパフォーマンスを享受できる車種の登場が、日本のEV普及の潮目を変えるはずと予想しています。

改めて別記事にもまとめたいと思いますが。適切な経路充電インフラさえ拡充すれば、航続距離はざっくり200kmもあればほとんどの人の日常では困らないはず。どうやら、来年の発売が予告されているBYDのドルフィンあたりがいい線いってくれそうですが。本当は、日本の自動車メーカー各社が世界の市場で勝負すべきなのも、「300万円台で300km」の電気自動車ではないのかな、と思うのですが……。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)7件

  1. EVSmartの方々が好意的にとらえてるかは分かりませんが、世界のトレンドに反して、軽EVが日本の電気自動車の普及を牽引していく存在になると個人的には思います。
    サクラやEkEVよりもリーズナブルなパッケージが欲しいことは同意ですが、例えばスズキ辺りがバッテリー20kwでアナログメーター、足踏みサイドブレーキ、ナビ無しヒートポンプ無し、普通充電3kwh急速充電は50kwh未満といった、先進ではないが割安なEVを作ったところで受け入れられるか、気になります。
    アルトよりオプション盛り盛りのNboxの方が売れる市場なんで。

    1. スズキスペーシアベース/ダイハツハイゼットキャディ/ホンダN-VANなどを見る限り、軽商用ライトバンの需要は途絶えたとは言えませんよ。むしろこれらが軽EVになってきたらサクラeKクロスEV連合も苦戦するんやないですか!?
      日本のセカンドカー需要が税制優遇のある貨物車4ナンバーに流れていく傾向は最近物価高もあって根強く、それが続けば昭和時代のアルト・ミラ・ミニカ・トゥデイ・レックスなどの軽ライトバン全盛期が来るかもしれませんよ。三菱がミニキャブミーブを再販したのもその手の受け皿としてやないですか!?
      元をただせば政府自民の税制怠慢ともいうべきですが!!(爆)

  2. 「現在クルマを保有しており、かつ環境問題に関心があると回答した方」が車保有者全体の何%に相当するのか?が気になります

  3. GMは2025年頃にはEVの収益性がガソリン車同等になると予測しています。
    https://www.cnbc.com/2022/11/17/gm-investor-day-ev-guidance-updates.html
    今後米国では急速にEVの低価格化が進んでいくと思います。
    テスラも2万5000ドル(円安なので350万円程度)程度の廉価版EVを検討しているそうで、日本の自動車メーカーが得意としている小型車市場では、「300万円台で300km」がベンチマークとなってくるかもしれませんね!

    1. ピーターさま、コメントありがとうございます。

      コンパクトテスラ。予告通りの価格で発売されたとして、スーパーチャージャー網が使える(受容出力は抑えめになるでしょうけど)のは、強力ですね。
      日本メーカー、および充電ネットワークにも奮起を期待、です。

  4. まいどっ!三菱の電気軽自動車アイミーブMタイプを5年弱乗りこなしている自分には分かる統計数値です。
    当家はセカンドカーなら電気自動車も悪くないと思ったクチ、電気工事士として自宅一戸建にEV充電設備取付実施、当時中古で95万円、深夜電力格安&ソーラー卒FIT対策が必要…何かと条件が揃っていましたよ。たぶん都会の集合住宅に住んでいたらこの発想はなかった。
    電気自動車の高額意識はアイミーブMタイプ登場地点でフッ飛びました。補助込み二百万円以下の先鞭をつけたモデルで自身も買うならコレと決めてましたよ。

    そう考えると真っ先に普及するのは軽規格だと思ってました。ただ世間の目がアイミーブでなくリーフへ流れたのは痛かった、とはいえサクラ&eKクロスEVの受注好調を見ればかつて三菱自工が提唱した「電気自動車は軽規格から」の正しさは証明されたと思いますよ。
    腹が減っては戦はできぬ、充電できなきゃEVは持てぬ…ならあとは集合住宅や目的地の普通充電サービス拡大が望ましいと電気屋目線で思います。
    以前電験(電気主任技術者国家試験)受験時に遭遇した電気用語「負荷率(平均電力/最大電力)」で語るなら、普通充電器>>急速充電器ですよ。電力逼迫対策としても急速充電器の非効率が見て取れるというか。

    1. 電研鑽種(電気管理技術者) さま、いつもコメントありがとうございます。

      「電気自動車は軽規格から」

      私も同感ですけど、欧州メーカーを中心に「電気自動車は高級車から」の流れが「イマココ」ですね。
      日産&三菱の軽EVは魅力的な新型EVです、が、もう少しリーズナブルなパッケージがあってもいいのにな、と、個人的には感じているところです。
      まあ、それじゃメーカーが商売にならないんですかね。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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