世界初の量産電気自動車『i-MiEV』が生産終了へ〜 ユーザーの想いを聞いてみた

2020年9月18日、三菱自動車工業は、世界初の量産「バッテリー型電気自動車(BEV)」である『i-MiEV(アイミーブ)』の生産を、2020年度中に終了すると報じられています。一つの時代が終わります。「まだまだ乗り続けるゾ」というユーザーの熱い想いを取材してみました。

ありがとう、i-MiEV!

小さな、軽規格のBEVですが、MiEV Power BOXを使えば1,500Wの電力が取り出せるなど、その用途は案外幅広いi-MiEV。筆者自身がオーナでもあり、EVsmartブログでもさまざまな記事をお届けしてきました。

三菱 i-MiEV

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i-MiEVの歴史をちょっとおさらい

i-MiEVが本格的に個人向けに量産し発売されたのは2010年7月のこと。日産リーフの発売が2010年12月なので、100%電気自動車としては世界で初めて量産されたクルマです。敬意をこめて、パイオニアとしての歴史を振り返っておきましょう。

2006年10月
発売を発表。

2009年6月
量産製造を開始。

2009年7月下旬
法人を中心に販売開始。

発表当時のリリース写真。

2010年4月
個人向け販売開始。

2010年末
グループPSAへのOEM供給開始により、「プジョー・アイオン (Peugeot Ion)」と「シトロエン・シーゼロ (Citroën C-Zero)」が欧州において販売開始。

CitroënへのOEMモデル「C-zero」
CitroënへのOEMモデル「C-zero」

2011年7月
東芝製「SCiB電池」を搭載した「Mグレード」が登場。従来の16.0kWh搭載グレード(通称「10型」)は、「Gグレード」と名称を変更。Mグレードの積むSCiBのサイクル寿命の驚異的な強さは、当ブログでも有名。

2013年11月
従来の「Gグレード」がほぼ同様の仕様で価格を下げた「Xグレード」に変わり、「Mグレード」も価格を下げた。両グレードともエアコンが、ヒーター使用時の電力消費が抑えられる「ヒートポンプ式(軽自動車で全車標準装備は初)」に変わり、Mグレードはそれまでオプションだった急速充電機能を標準装備とし、運転席・助手席にシートヒーターを装備した。

2016年12月
充電中でも空調が使えるように、MiEV-OS等を根本的にバージョンアップ。回生レベルを変えるパドルを、シフトコラム両側に設置。

2018年4月
安全装備の改訂により車体寸法が若干大型化したため、軽自動車ではなく小型自動車(登録車)に変更。また、Mグレードが廃止された。

2020年9月
2020年度中に製造終了することが報じられた。

2種類の電池と2種類の容量をラインアップ

i-MiEVは、当時としては大容量のリチウムイオン二次電池(充放電可能な電池)を用いています。当初は、「ジーエス・ユアサコーポレーション」、「三菱商事」、「三菱自動車工業」が出資して設立した「リチウムエナジージャパン(LEJ)」が製造した16.0kWhのリチウムイオン電池を搭載して登場しましたが、後に東芝製SCiB充電池を10.5kWh搭載したMグレードも追加されました。

その後に出た登録車(普通車)の日産LEAFが24kWhを搭載しましたから、i-MiEVの電池はむしろ小容量ということになってしまいます。

i-MiEVからMiEVパワーボックスを介して電気を取り出すV2Xシステム。それでIHヒーターを駆動してフライドポテトや鶏唐揚げ、ポップコーンや茹でたての枝豆を付くって見せるデモ。できたものは来場者に試食していただいたが、大好評。「停電時に心強い」と感心される方がたくさんいらっしゃった。
i-MiEVからMiEV Power BOXを介して電気を取り出すV2Xシステム。それでIHヒーターを駆動してフライドポテトや鶏唐揚げ、ポップコーンや茹でたての枝豆を作って見せるデモ。できたものは来場者に試食していただいたが、大好評。「停電時に心強い」と感心される方がたくさんいらっしゃった。神奈川県主催のイベント(2019年)にて。

それでは、ユーザーの生の声をじっくり聴いてみましょう。「みなさんの i-MiEV についてお話しください」というタイトルでインタビューしてみました。グレードごとに以下のように分けました。

 

  • 10型(16.0kWhモデル)
  • Gグレード(16.0kWhモデル)
  • Mグレード(10.5kWhモデル)
  • Xグレード(16.0kWhモデル)

 

 

では、ユーザーの想いをご紹介します。取材は筆者の知人であるi-MiEVユーザーのみなさんにアンケート方式でお願いしました。みなさんの想いをできるだけ正確にお伝えできるよう、回答をそのままご紹介します。

10型(2010年4月〜、LEJ 製16.0kWh搭載)

2010年に販売された、いわゆる10型のi-MiEV。三菱の2010年度年次報告書より転載。

いわゆる10型は、2010年に発売された初代を指します。16.0kWhのリチウムエナジージャパン(LEJ)製のバッテリーを積み、ヘッドライトや尾灯類にLEDが採用されたものです。充電ケーブルに制御器が介在しない形式で、そのままの状態でAC100Vでの充電もできるところが、後の型との違いです。目下、取材継続中。原稿が完成し次第、追記します。

Gグレード(2011年7月〜、LEJ 製16.0kWh搭載)

ハンドルネーム「とうがらし」さん

風力発電の風車と、とうがらしさんのi-MiEV G
風力発電の風車と、とうがらしさんのi-MiEV G

購入年月
2011年2月

2020年10月末現在の積算走行距離
130,474km

購入動機
電気自動車(EV)に興味があり、マイカーで欲しいと思っていました。開発中の公道試験で運転してみて走りの良さに気に入りました。

利用形態
買い物、旅行

利点
ガソリン代がかからない、静か、運転していて疲れない。

弱点(改善したい点)
価格が高い、航続距離が短い、冬場がきつい。

これまでの印象
i-MiEVは、アナログ感がある電気自動車。

今後(気になっている・欲しいBEVは?)
庶民のBEVが出て欲しい。

あなたにとってi-MiEVは喩えると何?
苦楽を共にしたパートナー。

災害時などにBEVから給電して家電製品を動かすデモンストレーションをしている、とうがらしさんのi-MiEV。
災害時などにBEVから給電して家電製品を動かすデモンストレーションをしている、とうがらしさんのi-MiEV。

想いをひと言
「ガソリンから電気へ」Stop!温暖化

お書きになりたいことがあれば、ご自由にどうぞ!
購入して直後に東日本大震災があり、ガソリンスタンドの給油の車の長蛇の列を脇目に見ながら、パンやカップ麺を買いあさって身障者施設に届けた思い出があります。その後、半年も経たないうちに追突されて修理に3ヶ月かかりました。福島から埼玉まで雪の中を、凍え死にそうになりながら走って帰ってきたこともありました。

ハンドルネーム「kazutake」さん

以前は通勤で冷え込む北関東の道を毎日走っていたkazutakeさんのi-MiEV。窓の曇り対策に苦労したそうです。
以前は通勤で冷え込む北関東の道を毎日走っていたkazutakeさんのi-MiEV。窓の曇り対策に苦労したそうです。

購入年月
2011年4月

2020年10月末現在の積算走行距離
104,510km

購入動機
2011年東日本大震災によるGスタンドの閉鎖。

利用形態
通勤と“充電器探しの小さな旅”

利点
静かさ。1,800ccクラスの初速。振動の無さ。

弱点(改善したい点)
夏の暑さの対策は窓全開、ウチワです。冬季の寒さの対策は後付シートヒーター、ひざ掛け、スキー用靴下。永遠の課題ですが油を使わない暖房を装備したいですね。

これまでの印象
月並みですが “もうガソリン車には戻れない、とにかく楽しい” です。

今後(気になっている・欲しいBEVは?)
株式会社FOMMのFOMM ONE。世界最小クラスの4人乗り、緊急時には水に浮く電気自動車。

あなたにとってi-MiEVは喩えると何?
愛MiEVは愛棒→相棒です。

想いをひと言お書きになりたいことがあれば、ご自由にどうぞ!
【1】 世間で言われている電気自動車の評価について
「走行できる距離が短い」は満充電でどのくらい走れるかを試すことができます。これがたまらなく楽しい。
【2】「高価」は10年間の必要経費を私算(購入時)するとガソリン車より安価です。
M社のi-MiEV:4,646,000円
N社のL  :4,632,500円
T社のP  :4,672,500円

Mグレード(2011年〜、東芝製SCiB電池10.5kWh搭載)

ハンドルネーム「KAKU」さん

10年目を迎えたKAKUさんのi-MiEV M。ピカピカに磨かれて、色々なところに手が入っている。ボディー側面下部のラインやロゴが手作りなだけでなく、リアカメラを介してバックミラーに後方映像が投影されるミラーモニターもご自分で装着。

購入年月
2011年8月

2020年10月末現在の積算走行距離
98,000km

購入動機
今から11年ほどの前、フリート販売が始まったころ、初めてEVを試乗した。出だしの瞬発力、アクセルワークに機敏に反応するダイレクト感、どの速度域からもアクセルを強めに踏むと得られる加速感、スケートリンクを滑るようにスムーズに振動なくすいすい進む静粛性に魅了され、これは未来のコミューターに絶対自分の手元にやってくると運命の出会いを感じた。

利用形態
90%街乗り・買い物・送り迎え(普通充電で事足りる)、残り10%が100km以上を超えるセミロング・ロング。

i-MiEVの生まれ故郷「三菱自動車水島工場」訪問時のようす。
i-MiEVの生まれ故郷「三菱自動車水島工場(岡山県)」訪問時の様子。KAKUさんは東京都の南西部にお住まいなので、かなりの長距離チャレンジでした。

利点
【1】 軽自動車ならではの小回りの利く車体。
【2】 維持費がほとんど不要(夜間電力12.48円/kWh 電費9km/kWh、1km走るのに、1.38円で済む超エコノミー)
【3】 走行中にはCO2を全く出さない、超エコロジー。購入と同時に太陽光パネルを導入し、お日様の恵みで走っていると思うとチョー気持ちいい。(実際は昼売電し、夜充電していましたが、走った分の電気の全量発電分で賄えていたので良しとします)
【4】 安い電気台でガソリン代が浮くだけでなく、オイル交換は不要だし、ブレーキパットは減らないので、ガソリン車では必要である経費がほとんどかからない。
【5】 10年経っても容量維持率105%のSCiB搭載のMグレードは電池の劣化をまったく気にすることなく安心して乗れる。
【6】 小さなボディは自分サイズ。どこでも気兼ねなく進み、踏み込める。
【7】 何と言ってもEVならではの出だしの瞬発力。
【8】 アクセルを踏み込むとダイレクトに反応する超レスポンス性。
【9】 坂道でもなんらストレスなく登っていくパワフルさ。
【10】 振動がなく、とっても静か。
【11】 エンジンの排ガスが出ないので、臭くない。クリーン。
【12】 なので、あのガソリン臭いスタンドへ行かずに済む
【13】 ガス欠の心配なし。一回ガソリン入れると数千円飛ぶがそれも一切なし。
【14】 ヘッドランプ周りがハロゲンランプからある昔ながらの規格(H11.HB3など)が採用されているため、汎用性が高く市販の優れたHIDやLEDなどの、時代に応じた先進技術でカスタマイズできる。
【15】 カーオーディオも2DIN規格で汎用性が高い。しかも簡単にダッシュボード内にアクセス出来てメンテナンス性が高い。
【16】アクセルペダルの開閉度に応じて回生レベルを調整でき、信号待ちなど停車寸前まで回生ブレーキを効かせることが出来る。特にBモードでは、回生ブレーキの特性を生かしたアクセルワークで、街中の走行をほぼカバーできる。今でこそリーフのe-Pedalなどがあるが、当時はこれがEVの真骨頂だと痛く感激した。このBモードのおかげで運転する楽しみを劇的に向上させた。

弱点(改善したい点)
【1】 航続距離も街乗りには十分、装備も満足しているので、もっと安く。Mは260万くらいだったと思いますが、半値くらいにしてほしい。ここに尽きます。
【2】 あえて言えばタイヤ・ホイールサイズが前後で違う点でしょうか。
【3】 もう一つあえて言えば、後継車がない。これは寂しい限りです。
【4】 さらに、もう一つだけ言えば、空気圧点検を忘れがち。

航続距離は、100km走れば街乗りに十分、この点にはなんら弱点と思わない。暖房、冷房入れると航続距離が減るのはあたりまえです。そんなの弱点のなんでもありません。むしろ、頑張れば12km/kWhを超える電費(11.43km/kWh以上走れれば、カタログ値の最大120km走行を超える)を狙えるi-MiEV。リーフや他のでかいEV、400とか500kmとか走れるEVでは絶対及ぶことができない経済性を有するi-MiEVの利点は、私的には際立っている利点です。

満開の桜の下で。
満開の桜の下で。

これまでの印象
ガソリン車時代からは15年、i-MiEVでは10年経っても全く古さを感じさせないデザイン。完璧です。後継車がないからそうなのかもしれませんね。

今後(気になっている・欲しいBEVは?)
i-MiEVの代わりになるようなEVは今のところなし。大切に乗っていきたい。もし、最終バージョン(16型?17型?)のパドルシフト付赤い中古のMが出てきたら、即買います。

あなたにとってi-MiEVは喩えると何?
考えたことはないです。なんでしょう。思い浮かばないです。i-MiEVはi-MiEVですね。

河口湖EVパレードランのときのようす。
河口湖EVパレードランのときのようす。

想いをひと言
高嶺の華だったi-MiEVが、Mの登場によって急に身近に感じさせた。当時のGとMは同じi-MiEVですが、私は別物だと思っています。航続距離が少ないというだけで大きな欠点だ、売れない、成功しない大きな理由の一つだという方々がいる。確かに事業としてあくまでも単発では成功したとは言い難いかもしれない。が、それは欠点でもなんでもない。i-MiEVの技術はiMkへ引き継がれていくでしょう。i-MiEVの10年が無ければiMkのコンセプトも生まれなかったはずでしょう。10年10万kmを迎えようとしている我がMは、バッテリーの劣化知らず。動くために必要な消耗品の交換(ブッシュ類・ショックアブソーバー)や定期的なボディメンテナンスを行っているので、新車時と変わらないようなポテンシャルを維持している。これからも大事に乗っていきたい。

Xグレード(2013年11月〜、LEJ 製16.0kWh搭載)

ハンドルネーム「よこよこ」さん

2014年9月14日、紀伊半島一周のときのようす。
2014年9月14日、紀伊半島一周のときのようす。

購入年月
契約 2014年1月(運用開始 2014年3月)

2020年10月末現在の積算走行距離
132,700km

購入動機
一言だけで伝えるとしたら「未来」を感じたから。

利用形態
セカンドカーとして購入したが、実質ほぼファーストカーとして運用しています。通勤、長距離ドライブ、給電デモ、災害ボランティア車両など色々と活用しています。

利点
【1】 走行中のCO2ゼロ。
【2】 2000ccターボ乗りでも満足の走行性能。
【3】 MT乗りでも満足のダイレクト感。
【4】 アイドリング禁止の場所でも冷暖房出来ること。

弱点(改善したい点)
【1】 (ヒートポンプ車なので)暖房しながら除湿(AC・ON)出来ないこと。
【2】 ACコンセント(1,500Wアウトレット)が無いこと。(ただし、MiEV PowerboxをCHAdeMO端子に繋げば出せます。)
【3】 冷暖房した時(特に暖房)の航続距離の落ち込み(目減り)が大きいこと。
【4】 (私の年式のi-MiEVでは)CHAdeMO充電、普通充電中(充電ランプ点灯中)共に車内の空調機能が使えないこと。

これまでの印象
セカンドカーには最適な車!
i-MiEVに慣れてしまうと、i-MiEVより世代の新しい軽エンジン車に乗ってもエンジン音、振動などで2世代程度古く感じてしまう。

2014年12月31日、道後温泉遠征時のようす。
2014年12月31日、道後温泉遠征時のようす。

今後(気になっている・欲しいBEVは?)
日産で言う「IMk」、三菱で言う「新型軽EV」

あなたにとってi-MiEVは喩えると何?
我が家呼称「アイちゃん」なので、ある意味「ウチの子」なのかも?

想いをひと言
世界初量産型電気自動車であるアイ・ミーブのオーナーになれたことは誇りです! 日産で言う「IMk」、三菱で言う「新型軽EV」の発売が近いかもしれませんが、出来る限りのメンテナンスを行い、アイ・ミーブを乗り続けたいです。

お書きになりたいことがあれば、ご自由にどうぞ!
アイ・ミーブが2009年に発売を開始して2020年で11年。とうとう受注終了? の話が出始めました。商業的には失敗と言われるかもしれないが、「電気自動車」「EV」が特別なものではなくなったのは確かです。

i-MiEVが発売されていなければ、IMkが誕生するのはもっと遅かったかもしれません。

日産のIMk Concept。NMKVによる軽BEVはこのデザインになるか、i-MiEVに似た卵形になるか、諸説ある。日産の公式サイトより転載。

(日産で言う)「IMk」、(三菱で言う)「新型軽EV」に期待したいこと!
【1】 フロントガラスにも熱線を!(エアコンを使わずともフロントガラスの曇りが取れるように!)
【2】 車内にACコンセント(1500W)を全車標準装備+MiEVpowerBOXを同時利用可能にして最大3000Wを給電できるように!
【3】 天井、床、ドアに断熱材をビッシリ隙間なく入れて冷暖房使用時の航続距離の落ち込み(目減り)を小さくして!
【4】 純正ナビは、SOH、外気温、高低差、空調使用有無などを考慮して充電予定スポットまで充電せずに到着できるか否か解るように!
【5】 「価格は1km1万円」=200km走れて200万円 or 250km走れて250万円で発売を!
【6】 車種はハイト型(=eKワゴンMiEV)、スーパーハイト型(=eKスペースMiEV)、電気のN-VAN(=eKスペースMiEVバン)の3車種を同時発売!
【7】 駆動用バッテリーの保証は容量低下、製造上の不具合の両方で、初度登録後10年以内(但し走行20万km以内)までに延長を!
【8】 充電会員は三菱販売店と日産販売店を三菱価格での相互乗り入れを!

兵庫県から熊本県天草まで遠征したときのようす。

菅総理が「2050年CO2ゼロ」を発言されました。日本でのEV普及には、(日産で言う)「IMk」、(三菱で言う)「新型軽EV」の成功が大きなカギになると思っています。

最後に私がi-MiEVでお出かけしたところを幾つかご紹介します。
(ちなみに、よこよこさんは兵庫県にお住まいです。)
【1】 紀伊半島一周
【2】 道後温泉
【3】 熊本県天草市五和町
【4】 熊本地震の災害ボランティア
【5】 無充電チャレンジではカタログ値172kmを大きく超える無充電で200km達成!
【6】 EVOCカンファレンス参加のため箱根や小田原へ複数回

途中無充電チャレンジで、カタログ値の「最大172km走行」を凌駕して、「200km以上」走行したときのようす。
途中無充電で200km超え:カタログ値では最大180kmのXグレードで。
途中無充電で200km超え:カタログ値では最大172kmのXグレードで。

みなさん、ありがとうございました。

おわりに

読者のみなさんならご存じでしょうが、かく言う筆者もi-MiEV Mのユーザーです。この夏に新車購入から7年を境に10万キロを走破、バッテリー残量(SOH)は103%台、走行可能距離も新車時とほとんど変わっていない印象です。

10万キロに達したので、下回りのブッシュ類はひととおり交換しましたが、これまで替えたものはタイヤとワイパーゴムくらいです。そろそろ、駆動系やモーターの減速ギアの封入オイルでも交換しようかと考えています。ブレーキパッドはいつになったら要交換の薄さ(初めての交換)になるのやら……。

筆者にとってi-MiEV Mは「手足の延長」であり、「頼れる相棒」です。加減速がダイレクトで軽快、静かで力強く、運行経費も安く、空気を汚さないBEVは、理想的なファールツォイク(移動機械)です。

後方のi-MiEV Mタイプからの電力で、、手前のコーヒーミルと珈琲マシンを動かして珈琲を淹れているところ。1,500Wまで出せるので、電子レンジやホットプレートも充分動かせる。
後方のi-MiEV Mタイプからの電力で、、手前のコーヒーミルと珈琲マシンを動かして珈琲を淹れているところ。MiEV Power BOX(奥のテーブル上の銀色の箱)を使えばCHAdeMOソケット経由でAC100Vが1,500Wまで出せるので、電子レンジやホットプレートも充分動かせる。富士河口湖町でのイベントにて。

インタビューに応じてくださった皆さんのご意見には、「うんうん、その通り!」とうなずく部分がたくさんありました。

フロントのガラスに熱線があると、冬や雨の日は良いですね。この熱線、それほど電気は喰わないようです。間欠使用モード(on/offを一定間隔で自動的に繰り返すモード)もあると良いと思います。

充電中のエアコン使用も、現代のBEVでは当たり前ですね。一人で乗る時は良いですが、家族やお年寄り、小さな子供を乗せているときは、充電中にエアコンが使えないと厳しいです。

MiEV Power BOXをいちいちつながなくても、荷室に1,500Wのコンセントがあると便利ですよね。車中泊でも使えますしね。

私は自分で工事して付けてしまいましたが(エーモンのパーツで)、荷室に照明がないのは夜間は使いにくいです。

Mグレードには付いていなかった前席上のマップランプも、初めから付いていてほしいですよね。これも著者は自分で付けてしまいました。

あとは、200V接続時に、温媒/冷媒を温めておく/冷やしておく機能も欲しいです。プレ空調もありますが、要は出発前などに、電力に余裕のある自宅などの電気で媒体の温度をコントロールできれば良いわけですから。

この話については、家屋自体に「温熱」と「冷熱」の輸送路を作っておいて、冷蔵庫、給湯器、太陽熱温水器(太陽光発電パネルの温度上昇と、それによる抵抗増加・発電効率低下を防ぐ目的で設置)、ファンヒーター/クーラーをすべてつないで、温熱と冷熱をそれぞれ一括管理するシステムが、将来的には理想だと筆者は考えています。

ついでに言うと、系統から電力が入って来る配電盤のところで一括変圧・変換し、家じゅうに「AC100V」と「DC12V」と「DC5V」のプラグを設置する、というのも必須だと思います。もちろんDC12Vはパソコンやデジタルビデオカメラなど、DC5VはいわゆるUSB機器を動かす目的で設置するのです。いちいち変圧器を使っている現状は、無駄でしかありません。(或る電力会社さんとは、すでにこの話をしています。この電力会社さんは傘下に集合住宅を建てている会社を持っているので、まずは自社物件でぜひ実現して欲しいものです。)

USB電源の装備は、航空機や鉄道車両で一足先に普及し始めている。いまだに住宅に装備されない方がおかしい。「住宅って、どんだけ遅れてんの?」と言いたい。

話が逸れました。NMKVがまもなく出すであろう新しい軽自動車BEVも期待していますが、今年度中に製造は終わるものの、i-MiEVはユーザーの熱い想いを乗せて、これからも走り続け、話題を作り続けることでしょう。

(取材・文/箱守 知己)

この記事のコメント(新着順)17件

  1. あっ、私も丸っこいのが苦手でミニキャブMiEVバンにしたくちです。
    同じ16kwでもこちらは電費二桁乗りませんからCD値って重要だなと思います。
    小容量型がSCiBかどうかはわかりませんよね?
    ただ単にバッテリーの搭載量を減らしただけのように思っていますが、
    SCiBだと嬉しいですね。
    というか、他社の奮闘に期待します。

    1. 軽貨物さんへ
      たしかにCd値は重要です。日産リーフ/e-NV200もi-MiEV/Minicab-MiEVも箱型バンになると原型(ハッチバック)の8割になりますんで。
      i-MiEVは過去三菱ディーラー試乗でGもMも体験しており、いずれもトルク特性的に大差なく違いは中高速域の馬力の違いだけでした。
      問題は電池の重さ、Gタイプは大容量の上電池冷却付なのでMタイプより20kg重たいです。電池空調で電力を食う場合電池容量を大きくしないといけない、方や航続距離は確保したい…となるとSCiB採用は真当と思ませんか!?
      i-MiEV(M)乗りとして勝手に考察しただけですが、電池口コミ/中古価格/ユーザー層を見る限りSCiBにしないと電池劣化で苦情/売行不振につながる恐れがあります。NMKVはマイルドハイブリッドのデイズ/eK-Xでさえ東芝製電池でないと不十分との技術陣判断がありますから可能性は捨て切れませんよ?

  2. 10年前、iMiEVに試乗したとき的確な操縦性に舌を巻きました。設計も潔く「さすがゼロ戦を作った三菱!」と感動したものです(古くてすみません)。
    ひとつ分からないのはバッテリー増量などの根本的なテコ入れが、なぜ行われなかったのか?ということです。何か手が打たれていればiMiEVの立ち位置は今とまったく違ったものになっていたと思うのですが…

    1. hatusetudennさんへ:その疑問にi-MiEVオーナーの考察をお届けします。
      i-MiEV自体「世界初の量産電気自動車」でありながら、日産リーフほど売れず全MiEVシリーズ販売統計も3万台未満であるため三菱が投資を回収できていない可能性があります。今後発売が予定されている軽EV[デイズEV/eK-MiEV]も日産三菱連合NMKVであり日産主導と考えると資金的に想像はつきますし、i-MiEVに倣って廉価版を出すなら東芝の電池供給体制が整い次第と考えられます。実際東芝の次世代SCiB発売予定2021年のデータが符合しますが…あくまで各種ソースを検索した上での判断であります。あとは今後の公式発表を待つのが無難でしょう。
      そもそも三菱アイ自体何かと個性的過ぎます…特に主婦が欲しがるハイト/トールワゴンでないことが最大の敗因。僕は維持費や安全性をトータルで考えて選んだのに妻は「i-MiEVは狭く圧迫感がある」の一言。理工系男子には理解されても世間一般女子に理解されてないのは明らかです。それもこれも女子教育の悪さが原因ですが!!(さらに自力解決を教えない風潮も問題)

  3. 10年前、iMiEVに試乗したとき的確な操縦性に舌を巻きました。設計も潔く「さすがゼロ戦を作った三菱!」と感動したものです(古くてすみません)。
    ひとつ分からないのはバッテリー増量などの根本的なテコ入れが、なぜ行われなかったのでしょうか?何か手が打たれていればiMiEVの立ち位置は今とまったく違ったものになっていたと思うのですが…

  4. 私もアイミーブMユーザーです。
    2016年11月に友人の中古車屋さんに頼んで、業者オークションからの購入です、走行距離は21000㎞でした。
    今回のブログに書かれている方々は、アイミーブユーザーなら良く見る人たちですね。
    コメントにも愛情が溢れていて、私もうんうんと頷ける事ばかりでした。
    私の車体も、10万㎞を越えたらブッシュとサスペンション回りの更新をして、大事に乗っていきたいと思います。
    箱守さん面白かったです、素敵なブログでした。

    1. 桑原茂様、i-MiEV愛と記事への愛情に溢れたコメント、ありがとうございます。M での移動の体験だけでなく、Twitter上に投稿されるお写真が素敵で、楽しみにしております。

      リーフにもお乗りなので、今回のKAKUさんもそうですが、使い分けなどもお聞きしてみたいです。

  5. 購入年月
    2018年2月 (中古) ※登録は2012年10月(車検証から抜粋)

    2020年10月末現在の積算走行距離
    60,000km

    購入動機
    妻が凍結路で前愛車eKスポーツをノーズダイブスリップ事故で廃車にしたため三菱で後輪駆動乗用車を探したどり着いた。
    さらに軽自動車を電気自動車へ変えた場合のシミュレーションも電気屋としてシミュレートしておりそれも役に立った。

    利用形態
    70%街乗り(普通充電で事足りる)、30%が片道100kmの中距離ドライブ。岐阜県内移動でも美濃と飛騨を往復するため1000km走る月も多い。

    利点
    1.エクステリアは唯一無二の存在!インパクトありまくりですぞ(ボキャブラ天国で言えばインパク知)
    2.動力費大幅軽減(深夜電力14円/kWh・電費10km/kWh)eK時代の1/7。関連してソーラー発電とエコキュート導入済みで電力プラン的に昼売電/夜充電ですが走った分の電気の全量発電分で賄えてます
    3.軽規格だから小回りはよく聞く。加えて後輪駆動だからハンドリングも良好
    4.オイル・オイルフィルター・プラグ・ATF…など、多くの部品消耗品交換が不要
    5.8年を経てもMグレードの生命線電池「SCiB」は劣化の兆しナシ!!(容量測定結果105%)
    6.電気軽自動車ならではの低速トルクの強さ!ガソリン軽ターボはおろかスーパーチャージャー(スバルヴィヴィオ)でも太刀打ちは難しい
    7.とにかく静か。逆に静か過ぎてタイヤのロードノイズが気になりますが(爆)
    8.排気ガス一切ナシ!化学物質過敏の僕には救世主とも思えます。当然給油もナシ
    9.カーステレオスペースは2DIN規格で汎用性高し。万一ナビが壊れてもすぐ交換できるであろう。
    10.豊富なラッピングが選べる。中古購入時についていたチェッカーラッピング、気に入ってますww

    弱点(改善したい点)
    1.まだ航続距離の割に高額。何とか150~200万円で手に入るようにしてほしい
    2.静か過ぎて動物が立ち退かない…危うく猫を轢きそうになったこともしばしば
    3.前後のタイヤサイズの違い。自力でタイヤ交換するときは注意しないと
    4.冬は寒い!!妻や娘(スカートを穿く女子)が足元寒いと文句言います
    5.荷室は割と広いがMiEVpowerBOXを載せるとスペース半減!!今後出るであろう電気軽自動車には100V/1500W電源供給装置をオプションでも付けれるようにして下さい。

    これまでの印象
    とにかく斬新そのもの!中古で買ったのに「これ新車!?」と訊ねられます。
    外観は動物みたいで可愛いです。ハムスターか?ピカチュウか?(ネズミ系)
    そして中身は外観と裏腹によく走る!後輪駆動ゆえカートみたいな走り心地、軽快なハンドリングはドライビングプレジャーそのものです(笑)おかげでファーストカーの地位をミニバン(セレナ)から奪う快挙もww
    さらにアウトドアでも家電製品が使えるのも強み!MiEVpowerBOXを使うIHアウトドアクッキングは電動車かつ大容量蓄電池がないとなかなかできませんからね。車中泊にも便利です。

    今後(気になっている・欲しいBEVは?)
    1.日産リーフ中古30kWh(卒FIT対策)
    2.今後出るであろうeK-MiEV/デイズEV(i-MiEV後継として注目)
    3.ホンダe(コンパクトカー枠)

    あなたにとってi-MiEVは喩えると何?
    ずばり、走る蓄電池!停電時でも電源供給できる強みは何物にも変えがたいです。
    電気技術者として、仕事で必要な電源を供給できる強みは電気自動車ならでは。化学物質過敏症問題で携帯発電機が使えないのは致命的ですが、そんな電気主任技術者が居るならお力になりたいです!実際それで退職寸前なのでこの際電気管理技術者として独立も検討中ですので。
    それに限らず排気ガスが苦手なガテン系職人各位を応援します!僕が実例を見せることで悩みを解決できれば御の字。

    想いをひと言
    僕の人生や考え方を大きく変えてくれたアイミーブに乾杯!

    1. ヒラタツ様、いつも的確なコメント、ありがとうございます。ヒラタツ様も M を十二分に活用されていますよね。これからも i-MiEV を相棒にした暮らしを楽しんでまいりましょう。

  6. リーフ乗りですが、SCiBバッテリーがすごく魅力的に感じます。
    なぜあんなにいいものが無くなるのだろう、残念でなりません。

    1. むらさんに同意。アイミーブMタイプは航続距離を犠牲にしてでも電池の耐久性や充放電特性の大切さを教えてくれました!!
      当然NMKV日産三菱連合も黙って見ている訳でなく、ガソリン車マイルドハイブリッド仕様のデイズ/eKの蓄電池としても採用されているあたりまだ日の目を見る機会はあると思います!
      しかも最近流れてきた情報だと2021年にはeK-MiEV/デイズEV(仮称)も廉価モデルが出るらしいとのこと。東芝が次世代SCiBを生産開始すればi-MiEV(M)相当モデルも出るようですよ?もちろん日産主導ながら三菱の意見も取り入れてるんでしょか!?

    2. むら様、コメントありがとうございます。SCiBは確かに魅力的な二次電池です。問題はエネルギー密度だけだと思います。2020年現在では、密度はかなり上がっているそうですので、今後に期待したいですね。

      もともとインフラ用途で開発された経緯があるので、密度を最優先した設計ではなかったのでは、と考えております。とは言え、驚異的なサイクル寿命と、発火リスクの低さなど、長く付き合うという点での価値は色褪せないと言えそうです。

  7. iMiev生産終了の噂に対して正式な発表が見つからないのですが、こちらの記事にある2020年9月18日の三菱自動車工業の発表というのはどちらにあるのでしょうか?
    「関係者への取材で〜」など、正式発表ではない噂しか見つかりません。

    1. とおりすがり さま、コメントありがとうございます。編集部の寄本です。

      ご指摘の通り、まだ三菱自工が正式に発表したわけではないですね。記事公開前には私も確認しているのですが、うっかり「既成事実」としてスルーしておりました。記事内容、修正いたします。
      的確なご指摘、ありがとうございました。

    2. 2020/9/18の日経に載った「三菱自「アイ・ミーブ」生産終了へ 世界初の量産EV 」が情報元だと思います。
      私が書いていた「電気自動車ニュース」でもこの記事を取り上げています。
      https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64014110Y0A910C2MM8000/?n_cid=NMAIL007_20200918_Y

      http://evnews.blog.jp/archives/41803479.html

      生産終了を三菱として発表はしないものの、次期軽EVの発表の場で「アイミーブを引き継いで」のような表現で「終了」を表明するのではないでしょうか。

    3. Eddy様、コメントありがとうございます。Eddy様が M を導入されて情報発信を始められたことが、筆者の M購入の背中を押す原因の一つでした。長く付き合いたいですね。

    4. とおりすがり様、ご指摘ありがとうございます。確かに正式発表ではありません、間違いでした。9/18以降に「日経などが一斉に報じ始めた」と書くべきでした。

      いくつかのソースから情報は出ているようで、筆者も耳にしております。

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この記事の著者


					箱守 知己

箱守 知己

1961年生まれ。青山学院大学、東京学芸大学大学院教育学研究科、アメリカ・ワシントン大学(文科省派遣)。職歴は、団体職員(日本放送協会、独立行政法人国立大学)、地方公務員(東京都)、国家公務員(文部教官)、大学非常勤講師、私学常勤・非常勤講師、一般社団法人「電動車輌推進サポート協会(EVSA:Electric Vehicle Support Association)」理事。EVOC(EVオーナーズクラブ)副代表。一般社団法人「CHAdeMO協議会」広報ディレクター。 電気自動車以外の分野では、高等学校検定教科書執筆、大修館書店「英語教育ハンドブック(高校編)」、旺文社「傾向と対策〜国立大学リスニング」・「国立大学二次試験&私立大学リスニング」ほか。

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