テスラオーナーが一念発起! 「電気自動車のお店」でEV普及と第二の人生に挑戦

千葉県松戸市のテスラオーナーさんがEV普及を自らの第二の人生の糧とすることを目指して、電気自動車のお店『BeQL』を開業しました。電気自動車のリースや中古車販売を手がけるほか、レンタルピットを備え、電気自動車に優しい整備工場となることを目指しています。

テスラオーナーが一念発起! 「電気自動車のお店」でEV普及と第二の人生に挑戦

松戸市内に電気自動車のお店をオープンすると連絡が……

新型コロナウィルスに翻弄された今年(2021年)のゴールデンウィーク直前のこと、以前、テスラモデルSを購入して自宅にAI充電器を導入した事例として取材させていただいたことがある友田雅宏さんから、1本のメールをいただきました。

「…… さて、4月24日、松戸市内に電気自動車のお店をオープンする運びになりました。よかったら、ぜひ取材していただければと思い連絡いたしました……」

友田さんの本業はシステムエンジニアです。クルマ好きではあっても、自動車整備士ではありません。いったい、どういうことなのか。なにはともあれ、5月初旬に松戸へとリーフで取材に行ってみました。

EVのリースや中古車販売のほかレンタルピットを完備

友田さんが開業した電気自動車のお店『BeQL』は、国道6号線から少し脇道を入ったところ、エンジン車の整備工場だった場所にありました。公式サイトもすでにローンチしています。

友田さんご夫妻。

お店で提供するサービスの内容

●電気自動車販売
新車でも中古車でも対応可能なリース(アンドリースという仕組みと提携)を用意。希望に応じて全国の中古車オークションからカスタマーのライフスタイルに合った1台を探します。

●電気自動車の整備やメンテナンス
電気自動車オーナーが集える場所となり、安心して任せられる整備工場となることを目指します。友田さん自身は整備士の資格は所持していませんが、すでにパートナーとして協力してくれるプロフェッショナルと調整を進めていて、今年の秋ごろには認証整備工場資格取得予定とのこと。

●レンタルピット
柱間3200mm、4トンまでOKのリフトを導入。ホイール交換やドレスアップ、ユーザー車検に向けた整備などに必要な工具とともにレンタルしています。
料金は30分990円。3時間パック(5060円)や8時間パック(1万780円)もあり、期間限定で無料の会員登録をするとそれぞれ50%オフになるキャンペーンを実施中(6月11日現在継続中)です。


【公式サイト】
電気自動車のお店『BeQL』

EV普及を第二の人生のビジネスに!

日本の電気自動車普及はまだまだ黎明期。今、すでにEVオーナーとなっている方はいわゆる「アーリーアダプター=先駆的ユーザー」や「エヴァンジェリスト=電動車の伝道者」であり、実際にEV普及活動への参加や周囲の知人などへの啓蒙を厭わない方がたくさんいらっしゃいます。

友田さんが『BeQL』の開業を決意したのも、自らテスラオーナーとなったことで、従来の自動車整備工場では電気自動車の受け入れを渋られるケースがあるなど、EV普及が進むほどに整備や修理のリソースが足りていないことを実感。電気自動車ユーザーによる電気自動車ユーザーのためのサービスと空間を提供したいと考えたことがきっかけです。

本業はシステムエンジニアですが、そろそろ50歳台を迎えるにあたり、第二の人生を楽しむための「起業」を考えていたそうです。いろいろ試行錯誤を重ねつつ「これだ!」というビジネスモデルと出会えなかったそうですが、「電気自動車のお店」を思いつき、SNSなどで提言したところ、全国から7名の出資者が集まりました。そして、自宅にほど近い場所で、元自動車整備工場だった物件が見つかって、いよいよ開業! となった次第です。

知人などに「EVいいですよ」と勧めるだけならリスクはないですが、実際にショップ(整備工場)を開業するのはリスクが伴う決断です。友田さん自身、今まで自動車販売の仕事などは経験がないそうですが、まずは「秋までに5台の販売実績」を目標として、地域でのEV普及活動にチャレンジしていくとのことでした。

EVユーザーが集える場所になるといいですね

私は自分で愛車を整備するといった習慣がないのですが、DIYで愛車に手を掛けるオーナーさんであれば「リフトがあればなぁ」という機会もあるのではないでしょうか。どしどし活用していただいて、EV普及への貢献を目指して開業した友田さんを、EVユーザーのみなさんで応援してあげられるといいな、と思います。

私が取材に伺った5月初旬の段階では、工場には電気自動車充電用の200Vコンセントがひとつ設置されているだけでしたが、今後、テスラのディスティネーションチャージャーも導入予定とのこと。

リアルなお店なので近隣の方々ということになるでしょうが、友田さんの『BeQL』がEVユーザーが気軽に集える拠点となって、集まったEVユーザーのみなさんの「思い」から、さらに新しいビジネスモデルが生まれ、ゆくゆくは全国フランチャイズ展開へ! なんてことになったら素敵ですね。

以前『新型リーフ専用急速充電停止コントローラー『QCS1』~開発&販売者の思いを聞いてみた』という記事をご紹介したこともあるように、電気自動車へのシフトは、従来とは違うさまざまな「自動車ビジネス」を生み出していくはずです。全国各地「こんなショップがあるよ」とか、「こんなサービスを始めた」といった情報があれば、ぜひEVsmartブログ編集部にご一報ください。

(取材・文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)3件

  1. こちらのお店、気になっておりました。
    ホームページも拝見しましたが、
    マナーについての項目もあったりと
    いうことで、好印象でした。

    (例の感染症絡みで)行くことは今のところできませんが、
    いろいろ落ち着いて来た頃には伺えたらいいな、と思っています。

    今後も充電車両(とその周辺)に強みのあるお店(売るだけじゃない)が増えてくれるとうれしいです。

  2. EVSmart寄本さま
    当日の取材、記事化ありがとうございました。
    おかげさまで、レンタルピットの稼働はほぼ計画通りに進んでおります。
    肝心の販売はやはりEVへの不信感や、まだ「高い」というイメージが高いのか、なかなか商談成立とはなりませんが、地域で「電気自動車を考えるならBeQLで」となるような店作りが出来たらと思います。
    追伸
    当店から10分以内の場所に松戸SCがオープンするようです。
    ますます電気自動車の利便性が上がって普及にはずみが付くことに期待しております。

    1. ともだ さま、こちらこそ、開店のお知らせをいただきありがとうございました。
      松戸SCの存在をうまくチカラにできるようなアイデアがあるといいですね。今後、コンパクトテスラも登場すればますます。。
      商売繁盛、応援しています!

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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