欧州ではポルシェ初の電気自動車タイカンが年内に発売予定
ポルシェから、ヨーロッパの急速充電インフラ整備についての気になる最新情報が届きました。残念ながら日本語でのリリースはまだないので、英語版のニュースリリースを抜粋しながら、ポイントをチェックしておきましょう。
『Mission E』と銘打って、電気自動車シフトへの本気を示しているポルシェ。初めてのBEV(完全な電気自動車)となる『タイカン(Taycan)』が、ヨーロッパでは年内にも発売される予定になっています。そのタイカン発売を目前に控え、ポルシェ自身も合弁事業として参加している『アイオニティ(IONITY)』が、100カ所目となる超急速充電スポットを、ノルウェーのリッジ(Rygge)に開設しました。
この施設は、ヨーロッパの標準規格である「CCS(Combined Charging System)」による350kWの超急速充電に対応した「HPC(High Power Charging Point)」を備えています。HPCの整備を進めるアイオニティにとっても、100カ所目のマイルストーンになりました。
「私たちは、アイオニティの重要なマイルストーンを達成できたことをうれしく思います。リッジはオスロからコペンハーゲンやハンブルグへドライブするための理想的な充電場所となります。EVでのドライバーは、バッテリー容量に応じてより短時間で充電できる利便性を得ることができます」
(アイオニティCOOのDr. Marcus Groll氏)
アイオニティはミュンヘンに拠点を置く急速充電ネットワーク整備のための組織で、2017年に設立。BMWグループやダイムラーAG、フォード、そしてポルシェやアウディを含むフォルクスワーゲングループの合弁事業となっています。
アイオニティの使命はヨーロッパでHPCネットワークを構築すること。ヨーロッパ全域で2020年までに400カ所のHPCを計画中で、その95%で設置場所事業者との契約が締結しているそうです。
タイカンの日本登場は2020年
ポルシェ初のBEVであるタイカンは、ヨーロッパでは9月に発売開始、年内にはデリバリーが始まることになっています。HPCであれば、わずか4分間で100kmを走行するための充電をすることが可能になります。
世界中で2万人が予約金を納めたという注目のタイカン。ちなみに、日本では発表が年内、発売が2020年になることを、5月28日に渋谷で開催された新型『911』の発表会場で、ポルシェジャパンの七五三木敏幸代表取締役社長が明言したことを、さまざまなメディアが伝えています。
ポルシェのニュースリリースでは、販売&マーケティング担当役員であるDetlev von Platen氏のコメントも伝えています。
「タイカンのために、私たちはさまざまなeモビリティの未来を創ることに取り組んでいます。アイオニティのHPCだけでなく、世界中のレストランやホテルの充電ネットワーク、ポルシェセンターへの急速充電インフラ構築を進めています」
『ポルシェジャパンがABBと150KW以上の急速充電器を共同開発、に突っ込んでみた』で伝えたように、ポルシェによる充電インフラ整備は、日本でもしっかりと進行中。
急速充電は車両側の電池容量や電池性能によって受け入れ可能な電力量が左右されるので、充電器が350kWや150kWになったとしても、日産リーフなど、現状の市販EVのすべてがその電力をフルに活用できるわけではありません。とはいえ、高出力の急速充電ネットワークの拡大は、今後の電気自動車普及の大きなポイントのひとつであることは間違いありません。
タイカンに続き、主力車種であるマカンの電動化もすでに発表しているポルシェ。自動車メーカーとして急速充電ネットワークの構築に本気で取り組んでいる姿勢に、EVファンとしてエールを贈りたいと思います!
(寄本好則)