電動バイク『XEAM』が快進撃〜『ZERO』新モデル導入や試乗可能なディーラー網拡大も!

電動バイクブランド『XEAM(ジーム)』が「バイクのテスラ」と言われる『ZERO』の新モデルを導入。『レンタル819』との業務提携により全国各地で気軽に試乗できるようになったほか「オーソライズドディーラー」など試乗も可能な販売店網が拡大しています。

電動バイク『XEAM』が快進撃〜『ZERO』新モデル導入や試乗可能なディーラー網拡大も!

『ZERO』の新モデルを導入予定

『XEAM』は、福岡市に本社がある「MSソリューションズ」という商社が展開している電動バイクブランドです。EVsmartブログでは、2019年にネットで偶然『niu U』という原付規格の電動バイクを発見、当時の価格19万2240円(税込)で一充電航続距離70km(バッテリー容量は1kWh)というスペックに感嘆。『電気バイク『niu U』で「これでいいじゃん」を実感!』という記事で紹介したのが最初でした。

その後も何度か試乗会などを紹介したり、2020年、アメリカの電動バイクブランドで「バイクのテスラ」と評される『ZERO』の『SR/F』を導入した際、袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催されたサーキット試乗会で元鈴鹿8耐チャンプの生見友希雄さんに試乗してもらったレポートなどを紹介してきました。

今回、『ZERO』のフラッグシップマシンともいえる『SR/S』と、軽二輪規格の『DS』『FXS』を新たに導入するというニュースとともに、東京・湾岸エリアでのプレス向け試乗会への案内をいただき、久しぶりにMSソリューションズの塩川正明社長にお話しを伺ってきました。

私は二輪免許を持っていないので、試乗はモータージャーナリストの諸星陽一さんにお願いしました。各車の試乗レポートは追って別記事でご紹介します。

ZERO SR/S。2,649,800円〜(税込)
ZERO DS。1,949,800円〜(税込)
ZERO FXS。1,799,800円〜(税込)

着実に電動バイクのニーズが拡大中

塩川正明社長。

まず、ZEROの新モデル導入への意気込みを伺ったのですが、さすがにSR/SやSR/Fは1台250万円オーバーという価格もあって、引く手あまたでどしどし売れる、ということではなさそうです。とはいえ、ZERO の魅力は塩川社長自ら「電動バイクで日帰りロングツーリングはできるのか?」を検証する動画に自身がSR/Fを駆って出演するなど深く体感しています。

【大型電動バイク】SR/Fの充電スピードが早すぎる!?260kmのロングツーリング!前編【湯布院】(YouTube)

「ZEROの走りが極上であることは、一度乗っていただければわかるはず。とはいえ、電動バイクだからというだけでは、高価なブランドバイクの購入モチベーションにはなりにくい。まずは、できるだけ多くの方に試乗していただく機会をご提供できればと考えています」と塩川社長。

ちなみに、XEAM ではMSソリューションズが電動バイク事業に進出するきっかけとなった『notte』(現在は『notte V2』)をはじめ、原付一種、原付二種から軽二輪、大型のZEROまで、さまざまな車種を扱っています。本格的に電動バイク販売をスタートしておよそ4年で「累計販売台数は2000台を突破しました。そのうち7〜8割は原付一種ですね」(塩川社長)とのこと。日本でも、電動バイクへのニーズは着実に拡大しつつあるようです。

XEAMや電動バイク関連の記事では何度も引き合いに出して恐縮ですが、日本で電動バイクというと、出川哲朗さんの人気番組『充電させてもらえませんか?』(テレビ東京系)を思い出す方が多いことでしょう。番組で使われている電動バイクはヤマハの『e-VINO』で、バッテリー容量は0.5kWh、一充電航続距離はカタログスペックで29kmしかありません。

電動バイクの認知を広げるという意味ではとても貢献しているし、私自身大好きな番組ですが、「電動バイクはすぐスッカラカン」になるヤバイよ! な乗り物というイメージを広げている一面もありそうです。とはいえ、XEAMがラインナップしている電動バイクは、原付一種でも全車種がバッテリー容量1kWh〜で、航続可能距離もおおむね e-VINO の倍以上。番組的には頻繁に電欠しないとつまらないでしょうが、XEAMの原付電動バイクはそれなりに便利に走れてしまう、感じ(私自身ユーザーではないのでスペックからの想像ですけど)だと思います。

ラインナップはいろいろです。(公式サイトより引用)

販売拠点や試乗のチャンスも拡大&充実中

「ZERO(電動バイク)の走りが極上であることは、一度乗っていただければわかるはず」という言葉を実践するため、塩川社長が進めているのが、多くの方に試乗の機会を提供し、購入しやすくするための仕組み作りです。

2021年7月には全国150拠点以上でバイクレンタルの『レンタル819』を展開している株式会社キズキレンタルサービスと業務提携。電動バイクを短時間レンタルできる『e-レンタル819』と、電動バイクで特設のトライアルコースを走るアクティビティ『e-Trail Park』のサービスがスタートしています。

『e-Trail Park』はすでにオープンしているイオン海老名店の屋内施設のほか、南箱根、北軽井沢などに開設される予定になっていました。特設コースなので免許は不要。施設によって年齢制限が設定されるものの、子どもでも楽しめるアクティビティになっています。チャンスを見つけて、海老名で体験レポートとかもやりたいですね。

【関連サイト】
『e-レンタル819』EV BIKE サービスウェブサイト

期間限定で『ZERO』のレンタルも!

特設サイトから引用。

また、レンタル819お台場店で、9月15日〜10月5日までの期間限定で『ZERO』各モデルのレンタル試乗ができる『Try the ZERO』を実施中。

【関連サイト】
Try the ZERO 特設ページ

XEAM(MSソリューションズ)では、限定情報を配信するメールマガジン「Zero EV Riders Club」の会員限定(このために入会してもOK)で20%オフのクーポンを配布するサービスを行っています。

取扱店は全国で283店舗に拡大

1年ちょっと前は、都内で試乗できる販売店を探すのが大変だった記憶がありますが、あらためてXEAMのウェブサイトを確認すると、取扱店は全国で283店舗に急拡大。私の拠点である世田谷区にも試乗できるショップができていました。

さらに、試乗もできる正規認定販売店として、『XEAM Authorized Dealer (オーソライズドディーラー)』制度を創設し、ネットワークを拡大しつつあります。

城南島海浜公園のEV充電施設に驚いた

というわけで、XEAMはますます快進撃中。これからも応援していきたいと思います。

さて、今回のプレス向け試乗会。拠点となったのは東京・湾岸エリアにある城南島海浜公園の駐車場でした。今回の試乗車であるZEROの電動バイクは、J1772規格(一部車種ではオプション)の200Vで充電可能。公共の普通充電器を備えた場所を拠点にしたということなのですが。

真新しい50kW器が2台!たぶん東光高岳とハセテック、メーカーが違う理由はわかりません。
ケーブル付き普通充電器もズラリと8台。
バイクでJ1772規格の200V普通充電ができるのは、現状ではこのZEROと、BMWのバイクくらい。今回、バイクが入れる普通充電スポットを探すのが大変だったそうです。

城南島海浜公園第1駐車場にある充電スポット(『EVsmart』のスポット紹介ページにリンク)が驚愕でした。最大出力50kWの急速充電器が2台(なぜかメーカーは違う)に加え、普通充電器がズラリと8台も設置してあったのです。しかも、エコQ電の認証(これが結構面倒ではありますが)が必要とはいえ、充電料金は急速も普通も無料です。

設置主体は東京都だと思うので、「なぜ、ここに?」というのは改めて取材したいな、と、思わぬ記事ネタを拾うことができました。

電動バイクも充電インフラも、ますますがんばれ! な思いを抱きしめたレポートでした。

(取材・文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)4件

  1. 電動バイクといって某スイカヘルメットを連想しますが(笑)むしろ本命は自動二輪免許が必要な原付二種あるいは自動二輪サイズだと思います。
    まずはバイク用J1772普通充電器(3kW)を拡充するのが必須だと思います。多くの道の駅に急速充電器が付いてますが、EVも電動バイクも共用で充電できる環境を構築するのが一番かと思います。新電元の連立充電システムを30kW(中速充電器)+3kW*3で構築し3kW1台をバイク専用にして残りの2台はクルマもバイクも共用にするくらいの意気込みが必要と感じましたあるいは電動バイクを扱う店舗にJ1772充電器を最低1台確保するとかすれば充電網の構築はとりあえず可能かと。
    むしろ問題は行政側の無知でしょ!!公園に3kW充電器を2台設置すれば市内あるいは近隣観光には使える公共施設として投資価値はあると思いますので。
    電気技術者としてこういう提案をしていきたいと強く感じますよ。エネルギー充填こそが電動化の基本ですから。

  2. スイカヘルメットの番組、よく観てます。

    二輪でもいろんな車種が出ているんですね。

    これからの問題としては
    遠乗りで充電が必要になったときのために充電アプリが二輪車対応(駐車場入場の可否情報)することは重要だと思います。

    原付バイク(50cc未満)と同等ならば近距離使用が主(家で充電)になると思いますが、
    それ以外ではロングツーリングの需要も出てきますので自宅以外での充電に対するネガな部分を潰していくことがユーザーの獲得にも繋がるのではないかと考えます。

    蛇足ですがEVsmart二輪車バージョンなんて出来たら面白いかも…。

  3. EVバイクXEAMを運営するMSソリューションズの塩川社長自らYouTube で、電動バイクの紹介をしておりました。
    日本のバイクメーカーも本気で電動化に取り組まないと、電気自動車同様に世界に遅れを取りかねません。
    既に遅れを取ってしまっていると思います。

  4. 電動バイクの問題点はお書きのように電気自動車用普通充電コネクタ「J1772」対応車種が少ないのと、イオンや7&iなど複数台数設置しているショッピングモールの充電設備設置場所が立体駐車場上層階に多く、二輪車進入禁止となっていて利用出来ない所が多いことだと思う。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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