ホンダが『Honda e』をホームページで先行公開〜気になるアレはどうなのか?

2020年7月31日、ホンダから『「Honda e」をホームページで先行公開』というニュースリリースが届きました。日本での価格設定は? 急速充電の対応速度は? 販売目標台数は? ディーラー網などへの充電インフラ整備拡充は? など、気になっている情報が得られるのかチェックしてみました。

ホンダが『Honda e』をホームページで先行公開〜気になるアレはどうなのか?

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正式な日本発売の発表は「8月」、つまり、もうすぐです

『Honda e』は、ホンダが初めて本格的に市販する電気自動車です。2019年の東京モーターショーでも披露され、EVsmartブログでもレポート。私自身、かなり興味&物欲をそそられている1台です。搭載するバッテリー容量は35.5kWhと、最近の潮流からするとかなり控えめ。でも、個人的には温度管理をしっかりやって劣化を抑えることができれば、実用的には35.5kWhで十分だろう、とも思っています。

正式な発表は「8月」ということなので、まあ「もうすぐ」ではあるのですが、先行発表ではたしてどんな情報が得られるのか。特設の先行発表ページを確認しつつ、感想的なコメントを付記してみたいと思います。

サイトデザインは典型的なグリッドレイアウト

トップページ

※以下、記事中写真はホンダのウェブサイトからキャプチャしたものです。

トップページのデザインは典型的なグリッドレイアウト。要素別の情報への入り口をブロックを組むように並べる手法で、ウェブデザインの世界では「豊富な情報を効率よく伝える」ために使われることが多いデザインといえます。

アピールしたいことをビジュアル的に訴求できる効果もあるので、デザインにこだわりの感じられる Honda e にはお似合いの入れ物、と考えることもできますね。

さあ、先行公開でどんな情報が得られるのでしょうか。左上のグリッドから、順に確認していきましょう。

ボディカラーのバリエーションは7色か

上段左グリッド

最初のグリッドで得られるのはボディカラーの情報でした。紹介されているのは7色。白〜薄いグレー〜濃いめのグレー〜黒というグラデーションがいきなり提案されているのは、オーソドックスではあっても個性を主張したいユーザーへのアピール、でしょうか。ブルー、レッド、イエローの3色は、いずれもビビッドな色合いです。また、レッドはすでに発売されている欧州にはないので、日本だけの設定かも知れません。

日本での正式な色の名称や追加の価格などが知りたいな、と思ったのですが、このページで公開されているのはここまで。

むむむ、情報はそんなにありませんでした

上段中央グリッド

上段右グリッド

二段目中央グリッド

うーん、なんと申しましょうか。各グリッドをクリックしても、現れるポップアップの説明は数行のみ。3コマ×5段のグリッドに14項目のポップアップが設定されているのですが、気になっていた情報には出会うことができませんでした。

8月29日(土)から代官山 T-SITE でイベントを開催!

五段目右グリッド

結局、情報グリッドをクリックして現れるポップアップウインドのなかで、スクロールするほどの情報が盛り込まれていたのは、二段目右グリッドの「2020年度レッド・ドット・デザイン賞において Honda eがW受賞!!」というやつと、最下段、五段目右グリッドの「Honda e 体感イベントを代官山T-SITEで開催!」という情報だけでした。

代官山 T-SITE では、8/29(土)~9/13(日)まで、『Honda eとつながるWeek』と題して「Honda e体感イベント」が開催される予定になっています。何台くらい展示されて、どの程度の「体感」ができるのかなどの詳しいことは、T-SITE のウェブサイトにもまだ情報がなくわかりませんでした。

気になる情報は正式発表まで楽しみに待ちましょう……

すでに発売されている欧州の場合、たとえばUKのコンフィギュレーターを試してみると、まず、ベースグレードの車両本体価格が2万6600ポンド(約368万円)。2万9160ポンド(約404万円)のアドバンスとの具体的な装備の差としては「Centre Camera Mirror System」 、「Heated Steering Wheel」と「Front heated seats」、「Honda Parking Pilot」程度なので、ベースグレードを選択して先へと進み……。

カラーバリエーションは5色が提示され、「CHARGE YELLOW」がスタンダード、個人的に選ぶかなと思う「CRYSTAL BLACK PEARL」や「CRYSTAL BLUE METALLIC」は550ポンド(約7万6000円)のプラスでしたが、イエローはちょっと……と思うので、追加料金覚悟で「CRYSTAL BLUE METALLIC」を選択。

内装のスタンダードはグレーのファブリック。まあ、悪くはないのですが、追加で1395ポンド(約19万3000円)の「BROWN LEATHER」をチョイス。

ひとまず、しめて2万8605ポンド(約396万円)になりました。

欧州仕様で公表されている一充電航続距離は137マイル(=約220km)。日本の次世代自動車振興センター(NEV)の補助金はなぜかJC08ベースの航続距離で算出されることになっていて、日産リーフの欧州WLTP値に比べたJC08値が40kWh、e+ともに約1.48倍なので、「220×1.48=325km」で、推定補助金額は25万円+給電機能分2万円で27万円。UKサイトで見積して日本の補助金を適用してみるという、いかにも身勝手な試算として、実質的な購入金額は「396ー27=369万円」となりました。私の住まいは東京都なので、厳密には都からの補助金もあります。

うーん、アリアの65kWhモデルがおそらくグロス(補助金未算入)で550万円、電池のkWh単価換算で「550÷65=約8.46万円」と示唆したことを考えると、「396÷35.5=約11.2万円」はやや高い。たとえば、kWh当たり9万円とすると「35.5×9=約320万円」、27万円の補助金が出たら293万円で、一気に物欲全開モードになるんですけどねぇ。

って、あまり意味のない皮算用ですみません。

つーか、電気自動車にとってJC08は補助金算出基準ってことしか意味ないですね。日本独自のWLTCもあまり意味ないし。。。

ともあれ、日本での発売発表で、価格設定がどうなるのか。また、欧州では100kWhに対応している急速充電の出力はチャデモ対応でどうなるのか。もし、100kWhに対応するとして、ホンダとして高出力充電インフラの拡充を進めるのかなどなど、いろいろ気になる Honda e。正式な発表の日を楽しみに待ちましょう。

追記(2020年8月3日)
文中、次世代自動車振興センターのCEV補助金額について、コメントでご指摘をいただき修正しました。ご参考までに、補助金額算出方法は以下のようになっています。

【普通自動車(3ナンバー車)】
補助金額=2000円×(一充電走行距離ー200)
【普通自動車(3ナンバー車以外)・小型自動車・軽自動車】
補助金額=1000円×(一充電走行距離)

※給電機能がある車両には一律で2万円を増額。
※次世代自動車振興センターウェブサイトの参考ページ>>>

Audi e-tron Sportback が9月発売となることも発表されました

Honda e の先行公開(?)が発表された7月31日。アウディジャパンからAudi e-tron Sportbackを9月に発売することも発表されました。再生可能エネルギーを供給する『自然電力株式会社』と連携して、e-tronオーナーへの特典を用意するそうです。また、e-tronを扱うAudiディーラー(現時点で全国52店舗)に、急速充電器を整備するとしています。ただし、e-tronがチャデモで対応する急速充電出力は最大50kW、というのが少し残念。

輸入車がチャデモで軒並み50kWまでしか対応しない状況には、きっと何かきちんとした理由があるんでしょうね。追って、取材してみたいと思います。

ともあれ、Honda e をはじめとして楽しみな電気自動車がもうすぐ、次々と日本市場に登場します。Honda e は日本で生産して欧州へ輸出されています。日本発売なら船賃などは掛からないし、ホンダさん、我々が「おっ!」とうれしくなっちゃうような日本発売価格を期待しています! 欧州の規制を……とかではなくて、日本でe旋風を巻き起こしちゃいましょうよ、と応援しつつ。待ち遠しいなぁ。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)4件

  1. 価格はスタンダードモデルで451万円から(白色は4,548,500円)。HONDA E(イー)でなく、E(エー!)でした。笑 何故、欧州とこんなに差があるのか?是非、モータージャーナリストの皆さんに取材をお願いたいところです。しかし、400台の第一期販売分も苦労するだろうな・・って言うか、初日(8月27日)午前中に完売(東京の某店)。翌々日には神奈川内も完売。そうなると物欲は一層かき立てられるもの。あっちこっち探して辛うじて残っていた第一期販売分の1台を四国の某販売店でゲット。ホンダさんの「販売戦略」に負けた?(悔しい〜!)ガソリンエンジンからモーターに駆動力を置き換えただけではないと言うのがウリなんでしょうが、iPhoneじゃ当前のコトが、クルマがやって退けると”凄い!”と思わせるところが凄い。ともあれ、この「電気居間空間」に座って全国温泉旅行するのが楽しみ。「設計者の意図と違った使い方」が、販売戦略力で負けた唯一の敵討ちか?笑 納車は年内かなあ〜・・??

  2. UKの「ベースグレード車両本体価格は2万6600ポンド〜」情報は随分前からネットで見てました。日本の補助金(国・自治体(東京)・サポカー補助金、他)を考慮すれば、私も現在「物欲全開モード」になっています。
    しかし、UK車両本体価格に補助金を上乗せした額が日本の車両本体価格だったりすると、一気に消費マインドは消え失せること間違いないですね。どうなんでしょう? 

    1. Brownie さん、ご指摘ありがとうございます。
      うっかりしていました。修正して、補助金額算出方法を追記しておきます。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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