新東名120km/h巡航で無事に浜松SAに到着
1月29日、愛知県の豊橋市役所で催された「電動車災害時派遣協定」締結の式典(関連記事)を取材するために、東京都世田谷区の自宅から、納車間もないヒョンデ『KONA(コナ)Casual』で日帰りしてきました。
片道の距離は約280kmで予想所要時間は4時間弱(by Googleマップ)。11時から始まる式典の時間に少し余裕をもって、朝5時過ぎに出発。10分ほど前から、充電ケーブル外して「Bluelink」というヒョンデのアプリでエアコンを始動させたので、うっかり写真を撮り忘れてましたが、SOC(バッテリー残量)表示は99%からのスタートでした。
航続可能距離表示は、320kmくらいだったと思います。最初の充電を想定している新東名浜松SA(下り)までは約230km、120km/h区間を120km/hで快走しても、まあ大丈夫でしょ、って感じの目論見でした。
御殿場JCTを過ぎて、ACCを120km/hにセット。結果、SOC6%、航続可能距離表示は12kmと、まあまあギリギリで浜松SAに到着することができました。6%と聞くと「ドキドキじゃん」と感じる方が多いかも知れませんが、SAまで5kmを切るあたりでも20kmほどの航続距離が表示されていたので、30kWhリーフに乗り慣れた私としては比較的余裕の到着です。
ひとつだけ、浜松到着の数km手前でバッテリーのコンディショニング(外気温が2℃程度と低かったので急速充電前に温めておく)をONにしようと思ったら「走行可能距離が短いためコンディショニングは作動しません」と警告が出て使えなかったのは、ひとつ、「KONAを上手に使いこなし術」の勉強になりました。
トイレが近い私には珍しく東京から浜松までノンストップ。何も考えずACC任せの100km/h&120km/h巡航で世田谷→浜松SAに到着できたことには、「ね、Casualで十分でしょ」という思いを再確認することができました。
この日4回行った急速充電の結果は?
この日は、マイカーKONAで初めての長距離ドライブだったこともあり、いくつかのシチュエーションにおける急速充電性能を確かめる意図で、合計4回の急速充電を行いました。
結果を表にしておきます。
充電スポット (最大出力) | 充電時間 | 充電電力量 | 開始時SOC | 終了時SOC |
---|---|---|---|---|
新東名浜松SA下り線 (150kW) | 30分 | 22.7kWh | 6% | 50% |
新東名浜松SA下り線 (90kW) | 30分 | 15.7kWh | 50% | 82% |
豊橋市役所 (40kW) | 30分 | 9.7kWh | 69% | 86% |
新東名駿河湾沼津SA上り線 (150kW) | 30分 | 15.5kWh | 42% | 71% |
事前の計画、というか皮算用では、往路の浜松と豊橋市役所の44kW器、復路の駿河湾沼津と3回の充電で走りきるつもりでした。結果を見ても、それでOKだったようですが、SOCが50%からの充電でどのくらい入るか確認したかったので、他に充電するEVが一台もなかった浜松90kW器でお替わりしてみた次第。
開始時SOCの条件が近いのに、2回目の90kW器より復路の150kW器の充電量が少ないのは、おそらく復路はバッテリーが冷えてた(まだコンディショニングを使いこなせてません)のだと思っています。
自宅帰着時のSOCは42%。駿河湾沼津からの復路は御殿場以降下り基調ということもあり、30%程度の電力消費で東京まで戻ることができました。セグ欠け30kWhリーフ生活から思うと、夢のようです。
KONAの急速充電性能については、以前の買い換えるぞ宣言記事で書いたように、駆動用バッテリーの総電圧がカタログスペックで269Vと低いのが懸念点でした。
以下、さらに細かくて恐縮ですが。
急速充電の出力は「電圧×電流」で決まります。そして、電流の最大値はおおむね「50kW器=125A」「90kW器=200A」「150kW器=350A」となっています。本来800Vシステムで、チャデモの場合405Vで受電するIONIQ 5であれば、90kW器なら「405V×200A」をほぼ30分間ぶっ通しで維持してくれて、30分で40kWh近い電力を補給できます。
KONAの急速充電性能は「最大230A」とアナウンスされています。90kW器だと最大200Aなので、最初はあえて150kW器を試してみました。SOCは6%だったので、充電開始時の電圧はたぶん230〜240V程度だったのではないかと思います。ところが、充電開始直後に表示された出力はなんと「60kW(電圧が240Vだとすると250Aになる)」。これはもしや、アナウンスされている230A以上吸い込んじゃうんでないの? と喜びました。
が、しばらくすると出力は低下。朝ごはんに「しぞーかおでん」を食べて充電器に戻ったときには、SOC42%で出力は34kW。結局、30分間で22.7kWhという充電結果になったのでした。
これなら、90kW器で十分だな、ってことではありますが、42%(電圧はたぶん260Vくらいと推定)で34kWってことは、130Aくらいの電流になっている計算で、ニチコン90kW器の最大電流が悪評高きブーストモードで125Aに落ちてしまうと、最大限に充電できないということになる可能性があるので、微妙です。
個人的に、高速道路の30分間の急速充電で20kWh(バッテリー容量の約41%)くらい補給できれば、さほどの不満はありません。ということで、今回の検証結果から……
●SOC20%以下くらいからを目安に。
●できれば150kW器(もしくはブーストモードのない90kW器)で充電するのがベター。
という教訓を得られた、って感じです。
ちなみに、試してないので推測ですが、総電圧が358Vと約90V高くてバッテリー容量が大きい上位モデルでは、おおむね30分当たり5〜10kWh程度は多く充電できるのではないかと思います。
式典で会ったヒョンデの方に「150kW器で60kW出たけど、すぐ落ちた」件をお話ししたところ、社内でもKONAの充電性能向上は議論されているそうで。もしかすると、IONIQ 5の急速充電性能が上限200Aから「一時的に250A」になったような、うれしいアップデート(できればOTAで)が舞い降りてくる可能性に期待したいところです。
巡航速度を抑えると電費が劇的に向上
さて、初めての長距離ドライブで改めて実感できたのが、KONAの電費性能の優秀さです。
往路は、前述のように長い距離をACC設定120km/hで走行。浜松SA到着時の電費表示は「5.3km/kWh」でした。
が、巡航速度による電費の違いを比較するために、120km/h制限区間もACC設定を90〜100km/hに抑えた復路は、豊橋市役所〜藤枝PA(トイレ休憩)までが「7.9km/kWh」。藤枝PA〜駿河湾沼津SA「7.5km/kWh」。駿河湾沼津〜三茶の自宅「7.8km/kWh」という電費を記録したのでした。
SOC6%と、客観的にみてギリギリだった往路でも、まったり100km/h巡航していれば、SOC20%以上残して余裕で到着してたかも、です。
なによりも、高速道路走行時の先進運転支援の出来や、インターフェースの使いやすさ、乗り心地や静粛性といった点は大満足。下位グレードのCasualにして正解だったと実感しています。「まあ、そこそこ」の急速充電性能とは上手く付き合いながら、KONA CasualのEVライフを楽しんでいきたいと思います。
最後に、これからもちょくちょくレポートすると思うので。篠原さんの『EV放浪記』や生方さんの『ID.4日記』に倣い、マイカーKONAの現状を記しておきますね。平均電費はこれから徐々に、7km程度までは向上していく、と思います。
私のKONA Casual(2024年2月2日現在)
総走行距離 780.4km
平均電費 6.1km/kWh
取材・文/寄本 好則
納車おめでとうございます!
総電圧の低さはやはり気になりますね。まだ 90kW 以上の充電器は多くないですし、90kW 以上の充電器は eMP のゲスト料金も高いのでなんだかなと思ってしまいました。
(それにパワーシェア機だと出力としては出てない割に電流値は高い = ユニット数を食ってしまうので、それもどうなのかなと思ってしまう次第)
逆にこの電圧だと最近数を減らしている日産の縦細型で 125A 出せたりもするんですかね…?気になるところです。
ZESP3 も日産車以外加入不可になってしまいましたし、充電カード周りどうされているのか、はたまたゲスト中心運用なのかなどもレポートいただけると嬉しいです。
eMP カードかおでかけカードしか選択肢がないのは厳しそうです…(月会費どうにかならないですかね…)
JB さま、コメントありがとうございます。
総電圧の低さ。車両価格とのトレードでもあると思っているので、使えるように、工夫して上手に使うことを楽しみたいと思っています。
パワーシェアリングや日産44kW器。
パワーシェア器電源ユニットの電流制御の詳細は知らないので、なんとも。
日産器、まだ試していませんが、充電器の最大が110Aでしょうから、それなりの出力(30kW程度)になるのだと思っています。
充電カード。さらなるレポートで突っ込んで言及したいと思いますが。私の場合、以前の記事でも報告したように、まだ半年残っていたZESP2を早めに解約してZESP3の3年定期契約に乗り替えました。あと2年半程度は、月額2750円で急速100分間、普通600分は使えます。
https://blog.evsmart.net/nissan/ev-charging-card-nissan-zesp3-service-content-revised/
お返事ありがとうございます!
> 日産器、まだ試していませんが、充電器の最大が110Aでしょうから、それなりの出力(30kW程度)になるのだと思っています。
日産機は初期型(富士電機製、NSQC-44-A-1、同 B-1、同 C-1)はおっしゃるとおり 110A までですが、広く普及した縦細型(NEC 製、NSQC442、同 443 シリーズ)は出力電圧によっては 125A まで出るんです。
以前の EVsmart ブログで箱守さんが i-MiEV で実践されています。
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/i-miev-10kwh-roadtrip/
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/i-miev-10kwh-roadtrip-return/
このとき箱守さんのコメントでは 283V までは 125A を確認しているとのことで、KONA だとどうなんだろうと気になった次第でした。
> ZESP3の3年定期契約に乗り替え
なるほど、直近の変更で日産車のみの対象になったかと存じますが以前からの契約者は日産車じゃなくても OK なんですね。それだと ZESP3 がコストパフォーマンス良さそうです。
EV デビューする方々で充電カードの無い、自社で充電網を構築していないメーカ製の EV を買う場合は面倒なことになりそうです。
個人的にはあまり多くの認証方式が乱立するのもかえって UX 落ちると感じる部分ではあるので、程々に競争が生まれる範囲で最近の流れは収まるか相互提携するなどしてほしいなと思っています。
箱守さんのレポート。私が編集を担当しましたが、超長編だったこともあり、日産44kW器で125A、完全に忘れていました。ほんと、ですね。
さすが、5Cの充電性能を謳っていたSCiB、恐るべし、です。
充電認証問題。
私もQC利用は月数回といったところ(マイカーの電池容量増えたのでさらに頻度は低くなりそう)ですし、今の三年定期割引ZESP3が切れたら、プライベートはもうビジターかなぁ、と思いつつ。
eMPが月額無料で認証できるビジターカード出してくれないかと夢想しているところ(機会があれば関係者にお話ししてみます)です。ユーザー本位の使いやすい仕組みが確立すると、いいですね。
充電時のバッテリー端子電圧は充電電流×内部抵抗分上昇しますので、SOC6%といっても開放端子電圧とは異なります。なので、60kWの時はもう少し電圧高かったのではないでしょうか。
「すぐに落ちた」という状況は、CCCV制御ならば最大電圧に到達している感じがしますね。
充電レートに関しては、この季節でもありますしほぼ1Cですから安心できる範囲、納得できるレートではないでしょうか。
(高レート充電はBatt.劣化懸念で不安です。by元LEAF乗り)
yukibon さま、コメントありがとうございます。
開放端子電圧とかCCCV制御とか、学ばねば、ですけど。
ほぼ1Cの納得レート、ご指摘の通りと思っています。
これからもいろいろ試してみます。
寄本様 Kona の試乗記事はたくさん見かけますが、カジュアルの情報は大変貴重ですので助かります。実際に購入された率直なレポートは大変参考になりました。高速に乗られたとのことで、カジュアルグレードは出力控えめですが加速感はいかがでしょうか?また、自動運転も上位グレードのドライビングアシスト2と比較してどうなのか気になっていたのですが情報があればよろしくお願いします。
ヤマモトリュウジ さま、コメントありがとうございます。
>出力控えめ
とはいえ99kW(135PS)ありますし、トルクは上位グレードと同じ255Nm。日本仕様のKONAは上位グレードでも加速感などはややマイルドな味付けになってるし。
Casualでの高速巡航でも「必要十分なパワーは備えている」と評価してます。もちろん、大きな交差点での右折時や、高速(幹線道路)での合流などがスムーズなEVの魅力は存分に満喫できる印象です。
>ドライビングアシスト
Loungeのように「ウインカー出したら自動で車線変更」はしてくれないけど、レーンキープやハンドルアシストの信頼性の高さは上位グレードと同じで、IONIQ 5を凌駕するほど、と感じています。
ただし、ジャンクションなどの急カーブでは、しれっとハンドルアシストがオフになるので、クルマに任せっぱなしにするのではなく、ドライバーとしての緊張感を維持しておくことが大事、ですけど。
そんなこんなを含め、さらにレポートを重ねていきたいと思っています。