三菱が軽商用電気自動車『ミニキャブEV』を12月に発売〜ついに「MiEV」の車名消滅

三菱が、軽商用電気自動車の新型『ミニキャブEV』を12月21日から販売開始することを発表しました。昨年10月から販売再開されていた『ミニキャブ・ミーブ』はお役御免。同社のラインナップから「MiEV」の車名がなくなりました。

三菱が軽商用電気自動車『ミニキャブEV』を12月に発売〜ついに「MiEV」の車名消滅

バッテリーを増量して一充電航続距離も向上

2023年11月24日、三菱自動車工業株式会社が、軽商用電気自動車の新型『ミニキャブEV』を、12月21日から全国の系列販売店を通じて販売開始することを発表しました。

ミニキャブEVは軽商用EVとして12年間で約1万3000台(2023年10月末時点)の販売実績を持つ『ミニキャブ MiEV(ミーブ)』をベースに、EVシステムなどを大幅に改良。駆動用バッテリーを従来の16kWhから20kWhに約25%増量したのに加え、モーターとインバーターを一体化した構造のパワートレインを採用しモーター効率を向上、WLTCモードの一充電航続距離は180kmと、約35%向上しています。

ミニキャブ・ミーブは、世界初の量産EVとしてデビューした『i-MiEV』とともに、三菱の軽EVを象徴する「MiEV」の車名を纏って発売されました。一時期、一般の受注を停止していたものの、2022年10月から販売が再開(関連記事)されていました。今回、新型の車名がミニキャブEVとなったことで、日本発、三菱発の電気自動車の象徴ともなっていた「MiEV」という車名がラインナップから消滅することになります。長年のEVファンとしては少し寂しい気もしますがこれもまた時代の流れ。三菱には、さらに魅力的なEVのラインナップを広げてくれることを期待します。

アクセサリーコンセントなどの設定も追加

スターリングシルバーメタリック
ホワイトソリッド

ミニキャブ・ミーブの再販売開始時には、従来モデルからの改良点は「ほとんどない」と評する状況だったのですが、今回の新型ではいくつか注目すべきアップデートがあります。

まずは上記のバッテリー増量とパワートレインの改良が加えられたこと。また、衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)や車線逸脱警報システム(LDW)、オートマチックハイビーム(AHB)、前進時の誤発進抑制機能(UMS)といった予防安全技術である「三菱e-Assist」を採用。急な坂道で発進時の後退を防止するヒルスタートアシスト(HSA)も追加されました。

さらに、駆動用バッテリーからAC100V電源を取り出せるアクセサリーコンセント(最大1500W)を2シーターモデルにオプション設定(2024年3月生産開始予定)することのこと。インパネにはタイプC(3A)とタイプA(2.4A)のUSBポートがオプションで装備できます。

車両本体価格は2シーターがともに税込で243万1000円(ミニキャブ・ミーブも同額)。4シーターが248万6000円(ミニキャブ・ミーブは245万3000円)と、バッテリーが4kWh増えていくつかの改良が加えられたにも関わらず、ほぼ据置価格となっています。

航続距離が延びたことなどもあり、ミニキャブ・ミーブでは41万円だったクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)は、45万円となる見込み(オンライン見積もりでの表示)です。

激戦区になりつつある軽商用EVの選択肢

とはいえ、価格据置でのバッテリー増量など、評価すべき改良点はあるものの、インテリアや商用車としての利便などはあまり変わっていない印象でもあります。

かつてはミニキャブ・ミーブの独壇場だった軽商用EVのカテゴリーですが、2024年にはホンダが『N-VAN e:』の投入を発表済み。ASFが佐川急便と共同開発した『ASF2.0』も登場しています。さらに、トヨタ、スズキ、ダイハツが共同開発した軽商用EVももうすぐデビューと伝えられていて、先日の東京モビリティショーで発表されたHW ELECTROの『PUZZLE』も登場してきます。ここにきて、一気に激戦区カテゴリーになってきた印象ですね。

HE ELECTROが独自開発中のPUZZLE。

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N-VAN e: やASF2.0はバッテリー容量30kWhであることが発表されています。また、PUZZLEを含めて、インテリアや荷室などにはユーザーの心に響く工夫がいろいろあったりもして。ASF2.0のコスモMyカーリースでお試し見積もりすると4年(48カ月)総額で約290万円程度〜。N-VAN e: やPUZZLEの価格は未発表ですが、ミニキャブEVの「約250万円」がどの程度の価格的なアドバンテージとなるのか気になるところです。

文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)3件

  1. 【電気自動車のための充電器・充電スポット検索アプリ「EVsmart」チームのブログ】と言う目線で見ると、記載の内容が他メディアとほぼ同じくプレスリリースの転記が殆どなのが残念。

    一般ユーザーに公開した(web上に投稿した)のが何時なのか存じませんが、少なくとも11月24日21時台には取扱説明書がメーカーのサイトからダウンロード&閲覧できました。
    その中で、CHAdeMO充電や普通充電での最大入力電流(62A)や最大定格電流(15A)はMiEV時代から変わっていないことは確認できました。

    また発表前に個人的に聞いた情報で搭載電池の型番も聞いていました。
    LEJ製のLEV61 みたいです。

    個人的には、上記程度の情報は24日の段階で記載して欲しかったです。

    1. よこよこ さま、コメントありがとうございます。

      「LEJ製のLEV61 みたい」貴重な情報、ありがとうございます。
      総電圧が低い(セル容量拡大)? は編集部内Slackでも話題になって気になっていたのですが、確認できずスルーしていました。

      今後とも、よろしくお願いします。m(_ _)m

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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