マイカーであるテスラ「モデルY」を購入してからすでに3年以上が経過しました。そこで、関東から山口県までの往復、約2000kmを走行しながらスーパーチャージャーを使用した長距離の使い勝手がどれほど進化しているのかをレポート。その上で、今後EVを購入するとしたらどのようなことを重視するのか。テスラを選び続けるのかを考察します。
※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!
往復約2000kmの検証コースなどを確認
今回、長距離ドライブを行うのは、新型車ではなくマイカーの2022年モデルの「モデルY」です。最初に、マイカーのスペック概要を確認しておきます。
【マイカー車両スペック概要】
●車種:テスラモデルY(2022年モデル)
●グレード:パフォーマンス
●装着タイヤ:ノキアン ハッカぺリッタR5 EV(255/45R19)
●日本WLTC航続距離:595km
●EPA航続距離:459km
●最大急速充電出力:250kW
●SOC 10-80%急速充電時間実測値:32分
●0-100km/h加速:約4秒
次に、東京から山口までの長距離走行の概要を紹介します。

① 世田谷砧スーパーチャージャー(SC)→南大高SC(250kW級急速充電器)
●走行距離:320.4km
●消費電力量:95.2%→8.36%
●平均電費:5.67km/kWh(176.4Wh/km)
●外気温:10℃→7℃
●天候:晴れ
●充電セッション:8.36%→44.4%(13分)
まず今回のルートを走破する上で問題となるのが120km/h制限区間が続く新東名自動車道の走行による電費悪化です。すでに新車時から3年以上が経過していることもあり電池が多少劣化しているので、最初の充電スポットである南大高SCに辿り着けるかに一抹の不安を感じます。
しかしながら、実際の消費電力量はSOC87%分に留まり、余裕を持って320kmを走破できました。今回は冬の検証ということを加味すると、モデルYのロングレンジバッテリー搭載グレードであれば、旧型でも新東名区間を通過して、愛知県内まで完全無充電で走破することができると言えそうです。当然現行型であればさらにバッテリー容量が増えているので余裕が増すでしょう。

また、南大高SCは伊勢湾岸自動車道沿いに設置されているため、インターを降りてから時間をかけずに充電することができます。さらにファミリーマートの敷地内に設置されているため24時間365日利用可能で休憩にも便利です。
② 南大高SC→京都東SC(250kW級急速充電器)
●走行距離:120.0km
●消費電力量:44.4%→8.66%
●平均電費:5.12km/kWh(195.2Wh/km)
●外気温:7℃→5℃
●天候:晴れ
●充電セッション:8.66%→94.8%(63分)

2回目の充電スポットは2025年9月にオープンした京都東SCです。最新のV4スーパーチャージャーが京都東IC付近のファミリーマートに設置されており、南大高SCと同じく経路充電スポットとしての利便性が非常に高いです。
ところが問題は、この京都東SC以降、テスラSCを使用出来なくなるという点です。というのも京都以西の高速道路沿いのテスラSCは神戸北SCが最後となり、岡山、広島、山口県のいずれも存在しません。さらに唯一の神戸北SCも営業時間が深夜24時までであり、夜間に走行する場合は使用できません。よってゴールである山口SCまでの400km以上の区間でテスラSCを使用することができないのです。
よって京都東SCではSOC95%程度まで充電を入れる必要があるのですが、テスラ車はSOC80%以降の充電スピードが遅いため、充電時間の大幅なタイムロスが発生してしまうのです。
③ 京都東SC→吉備SA(90kW級急速充電器)→山口SC(ゴール)
●走行距離:506.0km
●消費電力量:118.2%分
●平均電費(東京・山口間累計):5.93km/kWh(168.7Wh/km)
●外気温:5℃→5℃(最低1℃)
●天候:晴れ

約950km走って、ついに山口SCに到着しました。やはり途中充電が足りなくなることを見越して、中間地点の吉備SAで継ぎ足し充電を行いました。(グラフ中盤の充電残量が増えている部分がそれに該当。約20分充電しました)チャデモアダプターを所有していない場合は充電できないので、旧型であるかどうかに関わらず、テスラオーナーは深夜に西日本を移動する際にはかなり注意が必要だと感じます。
その一方、山陽自動車道にはSAPAに最大150kW級急速充電器が多数設置済みであり、正直西日本の長距離移動ではチャデモ規格のEVの方が圧倒的に利便性が高いというのが率直な感想です。

復路はこのルートを逆に走りましたが、充電記録などは割愛します。往復で1900km強。出発地点とした世田谷砧SCから自宅までの往復を含めると約2000kmの弾丸ドライブでした。
次もテスラを買うなら、何を選ぶ?
さて、今回の記事のテーマは「次の乗り換え、どうする?」です。2000kmを走りながら考察したポイントを挙げていきましょう。
マイカーであるモデルYはすでに納車から3年以上が経過し、走行距離も7万kmの大台が見えようとしています。これまで私はリーフを所有してからモデル3、モデルY RWD、そして現在のモデルYパフォーマンスと乗り継いできましたが、次の乗り換え車種をテスラとする場合、どんな選択肢があるのかを考えてみました。
① 新型モデルYパフォーマンス

当然候補に上がるのがジュニパー世代の新型モデルYパフォーマンスでしょう。まだ日本には未導入ですが、欧米市場や中国製造分を輸入するオーストラリア市場でも発売されており、間もなく導入されるはずです。82kWhへと増量されたバッテリー、新型パワートレイン採用によるさらなる動力性能の向上、電子制御サスペンションなどハード面がさらに進化しており、パフォーマンスグレードの正常進化と言えるでしょう。
② モデルY L
そして、私が次にテスラを購入する場合、最も可能性が高いのがモデルY Lです。大型SUVの需要が急増している中国市場で一足早く発売されていますが、実はすでにオーストラリアや韓国市場、さらに欧州市場の公式機関に対する車両登録が完了しており、つまり発売準備がほぼ完了している状況なのです。特にオーストラリアと韓国は中国製造分を輸入しているため、中国製造のモデルY Lが海外展開することを意味します。よって同じく中国製造分を輸入する日本市場にもモデルY Lが導入される可能性が高いと思っています。

この表は、モデルY LのEV性能を示したものです。一部スペックが不明な部分が残されているものの、すでに確定しているのは、バッテリー容量が約88kWhと、通常のモデルYのロングレンジバッテリーと比較してもさらに増量されている点です。また、欧州市場におけるWLTP(日本WLTCモードとは異なる)で681kmを実現しており、モデルYロングレンジAWDと比較しても航続距離が延長されています。バッテリー容量が増量されてはいるものの、車格が大型化されているにも関わらず、電費がそれほど悪化しないという点も魅力的です。
モデルY Lの最大の魅力はなんといっても三列シート6人乗りという点です。日本国内では希少な6人乗りSUVであり、積載性も十分です。大は小を兼ねるという言葉がまさにピッタリであり、通常のモデルYと比較しても、より大きなバッテリー、さらなる積載性の高さに期待できます。小回り性能は若干落ちますが、都内でもモデルYを取り回すのは難しくありませんので、問題なく購入することができるでしょう。
ちなみに値段設定を中国市場から予測すると、概ね700万円程度で発売されることになるはずです。CEV補助金が127万円適用されるとすると、実質580万円程度でモデルY Lを日本国内でも購入できるかもしれません。

また、個人的な推測として、モデルYはまもなくグレードの大幅調整が入るのではないかと踏んでいます。実はテスラジャパンは直近において注文ページのグレード名に「プレミアム」という接頭辞を付記しています。これは欧米市場における内外装デザインによる差別化を受けたグレード設置の差別化と同様の流れであり、つまり日本でも内外装デザインが簡素化される「入門グレード」が展開される可能性が濃厚ということです。
さらに中国市場ではロングレンジRWDグレードを追加設定していることから、4月以降は、現行の2グレード展開となっているモデルYが、大幅にグレードが増える可能性が高いのです。現在モデルYの購入を検討しているユーザーはこれらの最新動向も頭の片隅に置いておく必要があるかもしれません。
結局、次もテスラを買う?
結論から申し上げて、次の乗り換えでテスラをチョイスする可能性は低いと思います。というのも、東京=山口間の往復約2000kmを経て、ますます長距離走行におけるテスラの優位性が低下していると感じたからです。
eMPを筆頭とする充電サービスプロバイダーが150kW級以上のチャデモ超急速充電器を拡充しており、そのペースは当然テスラSCを遥かに凌ぎます。とくに高速道路上のSAPAに複数口の急速充電器が設置されているという点は、チャデモ規格を採用するEVの明らかな優位性に変わりつつあり、私が3年以上前にモデルYを購入した際とは状況が一変しています。さらに今後は1000Vに対応する次世代急速充電器も設置され始めますし、さらにテンフィールズファクトリーなども1000V規格に対応した超急速充電器の設置を進めています。
長距離走行の機会の多い私としては、「高速道路上に150kW級以上の急速充電器が100km程度間隔で使用可能」なEVを次の乗り換えの最低条件としています。よってテスラはこの条件を満たせず、逆にチャデモ規格を採用する高性能寄りのEVであれば条件に合致するわけです。
とはいえ、テスラの強みは電費の良さによる実質航続距離の長さにあります。テスラ級とまでは言えなくとも、電費の良いEV、もしくは100kWh級の大容量バッテリーを搭載するEVも乗り換え条件となりそうです。

とはいえ、私が2026年シーズン、一般ユーザーに広くオススメできるのはやはりテスラ新型モデルYだと思います。競合をリードする電費性能をはじめとするEV性能の高さ、優れた積載性、静粛性、プラグアンドチャージ機能によるテスラSCの使いやすさ、車載インフォテインメントシステムのUIの洗練度合いなど、とくに私と同世代の20〜30代にはモデルYをオススメすることは間違いありません。
いずれにしても、トヨタや日産が実用的なEVを多数投入する2026年というのは、まさに真の意味でのEV元年と言えます。今回のテスラの長距離走行レポートをはじめとして、今年も様々なEVを使用して、EVの購入を検討するユーザーに有益な長距離走行レポートや最新EV情報を執筆していきたいと思います。
取材・文/高橋 優(EVネイティブ ※YouTubeチャンネル)






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