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プジョー「E-3008」試乗記/デザインに一目惚れで買っても後悔しないフラッグシップEV

プジョー「E-3008」試乗記/デザインに一目惚れで買っても後悔しないフラッグシップEV

ステランティスからプジョーブランドの電気自動車である「E-3008」が発売されました。急速充電が最大160kW対応となるなどEV性能が充実。同ブランドのフラッグシップと謳われるこのモデルには様々な魅力が詰まっていました。

※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!

目次

空力と造形を高次元で両立したデザイン

E-3008は2023年にワールドプレミアされたプジョーのフラッグシップモデルです。フランスのソショー工場で生産されています。同国では2024年の3月、ヨーロッパの主要市場では同年5月から発売され、日本でも2025年7月のハイブリッドモデルに続いて、2026年2月にEV版のE-3008が登場しました。

ハイブリッドモデルや本国のEVにはベースグレードのAllure(アリュール)がありますが、日本のE-3008はより上位のGTアルカンターラパッケージのみで、駆動方式は前軸に1個のモーターを搭載したFWD(前輪駆動)です。

おもなE-3008のスペックは、全長4565mm、全幅1895mm、全高1665mm、ホイールベース2740mmのCセグメントサイズで、車重は2160kgです。モーターの出力は157kW/214ps、トルクは343Nm。73kWh(ネット値)のバッテリーを搭載し、一充電走行距離は604km(WLTP ※EPA換算推計値は約483km)です。車両本体価格は760万円(税込)、国のCEV補助金額は89万円(2026年3月現在)です。

ハイブリッドモデルのデビュー時から個人的にとても注目していたのが3008のデザインです。フロントはヘッドライトユニット内の3つとそれから下に伸びている「ライオンの爪痕」はすべてDRL(デイタイムランニングライト)になっており、ウインカーとしても光るのでかなりインパクトがあります。ヘッドライトとハイビームはヘッドライトのDRLの内側にあります。

そしてブラックからボディカラーへのグラデーションが美しいグリルの中央にはブランドエンブレムがあり、その上には「3008」のロゴが配置されています。

サイドビューは「プジョーで初めてウィンドウモールが表に見えないように設計されたデザイン」と発表されている通り、通常はガラスとドアの間にあるベルトモールが見えないため、とてもすっきりしたルックスを手に入れています。ボディ後端をスパッと切り落としたようなコーダトロンカデザインは空力性能の向上(Cd値は0.28)にも寄与していると思います。ボディのロア部分を囲むブラックパネルがツヤありなのがハイブリッドモデルとの差異です。

Cピラーの付け根からリアに向かってキックアップしたラインはバックドア後端でさらに少し持ち上げられ、スポイラー形状になっています。

一見シンプルに見えるリアビューですが、テールランプまわりにいくつものラインが引かれていて、折り紙のような面構成になっています。テールランプ外側の少し下の点を起点にして、サイドとリア、テールランプ方面に分かれているところ、リアバンパーからテールランプ内側に向かって伸びているラインなど、見れば見るほど感心させられるデザインです。ルーフの後端は「猫耳」のように左右が上に飛び出ていて、このクルマの「ネコ科属性」を表しているようです。実はこの耳の間は空洞かつ凹凸が設けられているので、ボルテックスジェネレーター効果、つまりこちらも空力に寄与していると思われます。

充電口は左リアフェンダーに普通充電と急速充電(CHAdeMO)がまとまっています。急速充電は、ステランティスに所属する全ブランドの中ではじめて50kW超となり、最大160kWの性能であることも大きなトピックです。

ホイールはBEV専用のFUJIデザインを採用、タイヤはミシュランe.PRIMACYを履いていました。サイズはハイブリッドモデル(225/55R19)よりも1サイズ太い235/55R19です。

オケナイト・ホワイトのボディカラーはソリッドのように見えますが、実はパールで太陽の光が当たるとキラキラと落ち着いた輝きを見せます。それ以外にもオブセッション・ブルー、インガロ・ブルー、ペルラ・ネラ・ブラックの3色もあります。

心地よく包まれる、上質で先進的なインテリア

魅力的なエクステリアに加えて、インテリアのデザインも斬新かつ機能的です。まずはインパネからセンターコンソールにつながるY字のデザインについて。写真で見ていた時は、このデザインにより運転席はかなり窮屈さを感じるかと思ったのですが、そんなことはなく、グレーのファブリックによるカフェのような雰囲気と心地よさもあり、ほどよい囲まれ感という印象でした。

インパネ上段とファブリックの間にはアンビエントライトが光ります。その色は白や青、黄色、紫といった8色から選択可能。ボディカラーと同じく赤がないことはフランス流のデザインセンスでしょうか。

ファブリックのグレーのような明るい色が室内にある場合、日中はフロントガラスにその色が反射して視界が悪くなることがありますが、今回の試乗でそういったことは感じませんでした。どの部分までグレーでいけるかもきちんとデザインされているのだと思います。

ドリンクホルダー前方の小物入れにはUSB Type-Cポートが2つあり、Apple CarPlayやGoogle Android Autoに対応しています(無線接続は不可、電話と音楽はBluetoothで無線接続可能)。

システムのスタート/ストップスイッチはインパネの左手側にあり、その隣がシフトスイッチです。そして左手をセンターコンソールに置くと自然とハザードスイッチに触れられます。

シフトスイッチの左には「i-Toggles(アイトグル)」があり、最大10個の機能をカスタマイズできます。センターディスプレイと連動しているので、i-Togglesで使いたい機能をすぐに呼び出すことができます。

ナビ画面ではワンタッチで周囲の充電器を表示させることができますが、出力表示まではありませんでした。

センターディスプレイは、ホーム画面として3パターンのメニューをスライドさせて切り替えることができます。ホーム画面はナビとオーディオのほかに、上の写真のような各種設定にすぐにアクセス可能な画面があります。3種類のどれであっても左右にエアコンの温度調節が表示されていました。写真の各種設定画面では、バッテリーのプレコンディショニングをすぐに操作できます。

音声認識によるナビの目的地入力も可能なのですが、まだ日本語に完全には対応できていないようで、一度も成功しませんでした。その一方、エアコンの温度調節の「温度をあげて」「温度を1℃下げて」などの指示には確実に反応しました。

ドライバーディスプレイも5パターンの切り替えが可能です。よく使用したのは電費をすぐに確認できる上の写真の画面でした。中央の「0」が車速、その右のPの隣の下向き矢印は回生ブレーキの設定を表しています。パドルにより3段階で調整が可能で、写真の状態は一番効きが弱い設定です。中央下段の「PEUGEOT」とトリコロールのワンポイントがおしゃれです。

スマートフォンの置くだけ充電は、センターコンソールの先端、インパネとの隙間に1台分が設けられています。冷却機能はありません。

運転席は2パターンのメモリー機能付き。リアシートはリクライニングしません。

フロントシートは電動調整式で、10パターンのマッサージ機能もあります。さらに、前後席ともに3段階のシートヒーターが備わります。身長172cmの筆者がドライビングポジションをとった運転席頭上には13.5cm、後席頭上は5.5cm、膝前には18.5cmの余裕がありました。

荷室の最大幅は116cm、最小幅は103cm、奥行きは89cm、トノカバーまでの高さは46cmでした(いずれも実測値)。

リアを切り落としたようなコーダトロンカデザインですが、荷室はしっかり奥行きが確保されていて、容量は520~1480リッターです。後席を倒さなくても機内持込可能サイズのスーツケースとゴルフバッグを、各1個ずつ収納できました。4:2:4の分割可倒式シートを倒せば、ゴルフバッグ3個と3人乗車も可能だと思います。

高剛性プラットフォーム(STLA-Medium)が生む上質な走り

E-3008はフロントに最高出力157kW(214ps)、最大トルク343Nmのモーターを搭載したFWDです。数字的には2リッターターボエンジン並みのパワーとトルクですが、そのイメージよりも少しおっとりした加速性能に感じるのは2160kgの車重が影響しているかもしれません。とはいえ、ドライブモードがノーマルでもアクセル開度70%以上になると全速力になり、ブーストが効いたターボエンジンのような2段階の加速フィーリングが新鮮でした。

乗り味としては、ボディとサスペンションに相当高い剛性感を感じます。サスペンションの取り付け位置もしっかり定まっていて、段差などによる遊びやヨレもないように感じます。それは重いバッテリーを搭載することをはじめから想定して作られたSTLA-Medium(ステラ ミディアム)プラットフォームの恩恵だとステランティスの関係者が教えてくれました。車重を支えるためか、サスペンションは少し固めのセッティングという印象で、スポーティな乗り心地です。

3008のハイブリッドモデルのリアサスペンションはトーションビーム、E-3008はマルチリンクと形式が異なります。筆者自身は乗り較べることはできていませんが、前出の関係者によるとその違いは明確で、段差を乗り越えるだけでE-3008は左右が独自の動きをしていることをすぐに実感できたそうです。

ハイブリッドモデルの車重は1620kgでE-3008とは540kgも異なりますので、ボディ全体としては軽快感があると思いますが、エンジン性能は100kW(136ps)、230Nmと大きな差があるので、走りの力強さはE-3008の方がありそうです。どちらが好みかはぜひ乗り比べてみてください。

小ぶりで上下が水平な樽型のような形状のステアリングは、違和感なく回せて、操作感も軽めです。ハンドリングはBEVらしく低い重心を活かしたスポーティなものでした。リアサスが異なる利点として、回頭性に優れている印象もありました。

ステアリングにある左右のパドルで3段階の回生ブレーキを切り替えることができます。減速度は弱い方から-0.6m/s²、-1.2m/s²、-1.8m/s²と0.6の倍数なのですが、実際の印象は最も強い-1.8m/s²を10とすると、1、6、10という感じでした。

-0.6m/s²はわずかに回生を感じる程度、-1.2m/s²はメーターの「CHARGE」のバーが半分以上振れます。そして-1.8m/s²はバーが振り切れてしまうほどに強い回生なので、アクセルを戻すだけで速度を停止直前までコントロールできます。ただし完全停止はしませんので、最後はブレーキを踏む必要があります。また、ブレーキオートホールド機能はありません。

回生のモードについては、できれば全く回生のないコースティングモードや減速度を先行車に合わせる自動回生モード、ブレーキを踏まずに停止までするワンペダルモードがあると、さらにEVらしさを高めることができるのではと感じました。

期待を超える完成度を実感

今回は昨年夏のハイブリッドモデル発表から待ち焦がれていたEVのE-3008に試乗することができました。実車を目の当たりにして、まずはデザインの良さを実感しました。

具体的には、一目でプジョーと分かる「爪痕」などの明確な個性をもち、他のどのブランドとも似ていない独自かつ斬新で機能的でもある内外装デザインを備えています。加えてブランドのフラッグシップらしく、居心地の良いカフェのような優しいインテリアも魅力です。

実際に、プジョーのエクステリアデザインが気になり、ディーラーで実車を見てさらに気に入り、内装にやられて(魅了されて)購入に至る方もいるそうです。

ディーラーに試乗に行く場合、ぜひハイブリッドモデルと乗り比べて、リアサスの違いを体感した方が良いと思います。そして試乗中はシートマッサージの「キャットポー」を試してみてください。猫に背中を踏まれているように8個の「もみ玉」が動きますので、猫好きな方はさらに「やられる」かもしれません。

シートマッサージの強さは3段階で調節可能です。

E-3008の日本でのラインナップ拡充について、日本発売発表時の記事では「未定」でしたが、96.9kWhバッテリー搭載モデルも導入予定との話も聞けましたので、状況が一歩進んでいます。

今回試乗した73kWhモデルにおいても冬季の高速道路でも400kmほどの航続距離はありそうです(後日「東名300電費検証」の記事を掲載予定です)。96.9kWhであればフル充電で一気に500km超の走行も可能になると思います。さらに160kWの急速充電性能もあり、まさに鬼に金棒のスペックです。

早朝に、エアコン、シートヒーター、ステアリングヒーターをつけて、猫ちゃんマッサージを受けながら、約23kmの下道を1時間ほど走行した電費は5.6km/kWhでした。この電費でも400km超の走行が可能です。

そして、ステランティスからはE-3008と同じSTLA-Mediumプラットフォームを活用して、DS AUTOMOBILESブランドから「N°8(ナンバーエイト)」も初夏に日本発売が予定されています。N°8は97.2kWhバッテリーとAWDの組み合わせ、691km(欧州WLTPモード)の航続距離、システム出力は350psで、停止までするワンペダルモードも装備されています。

ステランティスの魅力的なBEV攻勢は続きますが、より大きなバッテリーが必須という方は除き、プジョーブランドのフラッグシップとしての充実装備もありますので、73kWhバッテリーのE-3008を買ってもきっと後悔はしないと思います。

プジョー「E-3008」主要スペック

プジョー E-3008
GT アルカンターラパッケージ
車両型式ZAA-P64ZK03
全長(mm)4565
全幅(mm)1895
全高(mm)1665
ホイールベース(mm)2740
トレッド(前、mm)1630
トレッド(後、mm)1635
車両重量(kg)2160
前軸重(kg)1170
後軸重(kg)990
前後重量配分54:46
乗車定員(人)5
最小回転半径(m)5.4
プラットフォームSTLA-Medium(ステラ ミディアム)
交流電力消費率(WLTC、Wh/km)149
一充電走行距離(WLTCkm)604
EPA換算推計値(km)483
バッテリー総電力量(ネット値、kWh)73
バッテリー種類NMC
バッテリー冷却方法水冷式温度調節システム
急速充電性能(kW)160
急速充電時間150kW器で20-80%が約30分
普通充電性能(kW)11
V2X対応非対応
モーター数1
駆動方式FWD
モーター型式ZK03
モーター出力(kW/ps)157/214
モータートルク(Nm)343
フロントサスペンションマクファーソンストラット
リアサスペンションマルチリンク
ブレーキ(前後)ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前後)235/55R19
タイヤメーカー・銘柄ミシュラン e-プライマシー
荷室容量(L)520-1480
フランク(L)なし
0-100km/h加速(秒)非公表
最高速(km/h)非公表
Cd値(空気抵抗係数)0.28
暖房システムヒートポンプ
生産工場フランス・ソショー工場
車両本体価格 (万円、A)760
CEV補助金 (万円、B)89
実質価格(万円、A - B)671

取材・文/烏山 大輔

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この記事を書いた人

1982年生まれ、長崎県出身。高校生の時にゲームソフト「グランツーリスモ」でクルマに目覚め、 自動車整備専門学校を卒業後は整備士、板金塗装工、自動車カタログ制作、 自動車雑誌カーグラフィック制作、ALPINA総輸入代理店のNICOLEで広報・ マーケティングと一貫してクルマに関わる仕事に従事。 現在の所有車はインテグラ・タイプR、ハイゼットとガソリン車のみだが、BEVにもFCEVにもとても興味を持っている。

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