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BYDオートジャパン東福寺社長が熱弁&質問に回答/SEALを導入したタクシードライバーさんの現実とは?

BYDオートジャパン東福寺社長が熱弁&質問に回答/SEALを導入したタクシードライバーさんの現実とは?

日本EVクラブが主催する「EV入門塾」が開催されました。EV講座などのセミナーとモータージャーナリストが同乗解説してくれる試乗会の二部構成で、セミナーではBYDオートジャパンの東福寺社長も熱弁。実際のEVオーナーが本音で語るインタビュートークなど、有意義な一日となりました。

※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!

目次

EVを知って体感する有意義な一日になりました

試乗車はBYDの2車種。「BYD特集」の入門塾でした。

2026年3月8日(日)、お台場の東京国際交流館で一般社団法人日本EVクラブ(代表理事:舘内端氏)が主催する「EV入門塾」が開催されました。EV購入を検討している方など、約25名が参加。前半は舘内氏の「EV基礎講座」に続き、BYDオートジャパンの東福寺社長、技術顧問の三上龍哉氏によるプレゼンテーションなどのセミナーが行われ、後半では参加者がグループに分かれて試乗会。試乗の待ち時間には「社長と話そう/EV何でも相談室」といった参加者の質問に東福寺社長や三上氏らが本音で回答するなど、EVを知り、体感できるイベントとなりました。

実車を前に、三上さんが熱量満点の技術解説を行いました。

僭越ながら、日本EVクラブのメンバーとして2013年に「急速充電日本一周の旅」のメインドライバーを務め、EVsmartブログ編集長である私も前半のセミナーで登壇し「EV最新事情」の解説を行いました。

当日のスライドを1枚だけ引用してポイントをお伝えしておくと……。航続距離やバッテリー劣化、さらには充電インフラが足りないのではないかといった「EVへの不安」は、すでに「時代遅れの偏見」と言い切れるようになっています。世界に先駆けた量産市販EVとして果敢にチャレンジしてくれた日産リーフが3代目へのフルモデルチェンジを果たし、トヨタbZ4Xが魅力的な値下げを実現してきた今、EVに対する「古い常識を書き換えましょう」と呼びかけました。

この「EV入門塾」、じつは日本EVクラブでは2011年から2015年ごろまで何度も開催してきた「EVへの知識を広げ、試乗できる」機会を提供するイベントです。久しぶりの開催となった今回の試乗車は、BYDのSUV電気自動車「SEALION 7」と、スーパーハイブリッド(PHEV)の「SEALION 6」でした。試乗会では参加者が運転してお台場の試乗コースを巡り、助手席にはEVsmartブログ執筆陣のひとりでもある諸星陽一氏と、急速充電日本一周で栃木県あたりを一緒に旅した斎藤聡氏がインストラクターとして同乗。モータージャーナリストの解説を受けながらEVを体感できる試乗会になりました。

個人タクシーの車両にEVのSEALを導入

参加者がいくつかのグループに分かれて順番に試乗。その待ち時間のコンテンツとして、私が聞き役となって「EVオーナーインタビュー」を行いました。東京都足立区在住の山口太一さんは、BYDの電気自動車であるSEALで個人タクシーの仕事をしています。日本のEV普及を考える上でも興味深いお話が聞けたので、一問一答スタイルで紹介します。

EVオーナーインタビューに協力してくれた中村さつきさん(左)と、山口太一さん(中央)。

Q. SEALの前は、どんな車種を使っていたんですか?

私は21歳からタクシーをやっていて、36歳で個人タクシーになって9年目です。個人タクシーになってから、最初は日産のフーガ、それからBMWの750、さらに20系アルファード、30系アルファードと乗り継いで、SEALの前はトヨタでいちばん大きなミニバンであるグランエースに乗っていました。

Q. 高級車や豪華なミニバンを愛用してたのに、なぜEVであるSEALに乗り換えたんですか?

日本ではインバウンドが好調と言われてますけど、実感として上り調子は終わりつつあると感じてました。さらにガソリン代がどんどん高くなったりして「そろそろダウンサイジングや、燃料費対策をしないと事業が成り立たなくなるという危機感を抱いていたんです。すると、ちょうどタイミングよくBYDの営業マンが、SEALの試乗車をもって飛び込みで訪問してきたんですよ。

個人タクシーとして活躍している山口さんのSEAL。

Q. 試乗して「これは使える」と感じたということですか?

私自身、中古ですけどi-MiEVや初代リーフに少しだけ乗ってた経験がありました。中古車でバッテリーがへたり気味だったこともあって、満充電にしても100kmに届かない航続可能距離が表示されたりしてました。だから、営業マンには「電気自動車なんてタクシーでは使いものにならないし、しかも中国製なんてあり得ないだろ」と正直な思いをぶつけたんです。

すると、「時代は変わった。今までの概念は捨てて、とにかく一度乗ってみてくれ」と言う。まあ、試乗するのは無料だし、クルマはもってきてくれていたので乗ってみました。

試乗した印象は、頭の上からブロックが3つ降ってきたくらいの衝撃でしたね。メーターの航続可能距離も600km以上を表示している。「これはなんだ!」と驚きました。

Q. それで購入を決断した?

衝撃の試乗をきっかけに、自分なりに全メーカーのEVをいろいろ調べました。その結果が「BYDに勝てるメーカーはあるのか?」ということでした。LFPのブレードバッテリー、セル・トゥ・ボディ技術などによる剛性感や安全性。コストパフォーマンスの高さと上質な装備。これは「個人タクシーとして入れたら面白いんじゃないか」と感じて購入しました。SEALの個人タクシーは私が日本の第1号と聞いています。

EVにして困ったことやトラブルは「何もない」

Q. 実際の運用で困ったことやトラブルは?

これがですね、驚くべきことに何もないんですよ。私は固定のお客様だけで商売してますから、車両を入れ替える前にはお客様全員に「BYDのSEALっていう電気自動車に入れ替えようと思っている」とご連絡しましたが、ほとんどの方は「面白いじゃないか」と賛成してくれて。一人だけ反対されたお客様とは、こちらからお付き合いを止めさせていただきました。

Q. 遠距離走行のオーダーもありますよね?

私は関東一円どこでも走りますし、箱根周遊にも行きました。SEALになって一番遠くまで行ったのは東京から名古屋への往復ですね。

Q. 名古屋往復はさすがに無充電では厳しいですね。

真冬の一番寒い時期、お客様4名を乗せて新東名(120km/h制限区間が長い)を走りました。今日集まってらっしゃるEVに興味がある方には答えは見えてるでしょうけど、岡崎SAの手前あたりでバッテリー残量が8%になりました。当然警告が出ますし、お客様が「山口くん、大丈夫?」と心配してくださって「岡崎SAで充電させてください」とお願いすると、お客様のほうから「じゃあ、ここでお昼ごはんを食べちゃおう」と提案してくれて、無事に名古屋まで到着できました。

お客様のご用事は名古屋でご葬儀への参列だったので、その間に近くのホームセンターに設置されていた出力90kWの急速充電器でほぼ満タンまで充電して。復路は気温が上がっていた影響もあるのか、途中無充電で、12%ほどのSOCを残して東京まで帰着することができました。

Q. 個人タクシー仲間にもBYDのEVの方が増えているとか?

都内を中心に、私が導入したSEALをはじめ、SEALION 7、ATTO 3などを導入する仲間が増えていて、今、15台くらいになってます。「EVに入れ替えて失敗した」といった声は、ひとりも聞いていませんね。

Q. さきほどBYDは国のCEV補助金が厳しい話をしましたが、タクシーならLEVO補助金が出ますよね?

あ、それ言っちゃいますか(笑)。おっしゃるように、環境省と国交省が所管するLEVO補助金が120万円ほど。東京都から60万円。あと、足立区にも10万円の補助金制度があるので、合計で190万円の補助金をいただいてます。

補助金があるのはありがたいことですが、一方で、これだけの補助金が出るのはカーボンニュートラル社会の実現という国の大きな目標のためですよね。個人タクシーという仕事は公共の道路を使って商売させていただいてますから、CO2削減という目標の実現に協力するのは大切な義務だと思っています。

Q. 入れ替えて何年くらい? 走行距離やバッテリー劣化は?

私の場合、走行距離はタクシーとしては少なくて、SEALにして約1年半で、走行距離は4万3000kmくらいですね。バッテリーのSOHはBYDのディーラーで測定してもらった結果が99%。劣化は1%だけですね。

Q. 普通充電器の基礎充電が中心ですか?

いえ、家には充電設備がないから、全て外充電で運用しています。ネットなどで自宅に充電器なかったらEVは止めた方がいいという意見を目にすることがよくあるけど、そんなことはないですね。

もちろん急速充電が中心で、充電カードは月額無料のエコQ電と、e-Mobility Power(eMP)を使っています。eMPカードは4,180円の月額を払ってますけど、十分に元は取れてます。

私の場合、総売上に対する燃料費の比率が、ガソリン車の頃は15〜20%程度でした。EVに替えて、今では7.5〜8%くらいまで下がってます。おおまかに計算すると、ガソリン車と比べて1/3くらい。ハイブリッドを使ってる仲間の半分以下程度ですね。しかも、エンジンオイルの交換などの経費も抑えられています。一般ドライバーの方でも、毎月のガソリン代を節約できたら、そのお金で家族や恋人と美味しいものが食べられるじゃないですか。

充電の待ち時間が「旅」になる

EVオーナーインタビューではもう一人、初代日産リーフから、ZE1リーフ、軽EVのサクラ、そしてご主人の愛車として日産アリアを乗り継いでいる中村さつきさんにも登壇いただきました。さらに、この日は前日に納車されたばかりの3代目日産リーフ(ZE2)で埼玉から走ってきたということで、驚愕の日産EVコンプリートを成し遂げているベテランEVユーザーです。

印象的だったのが、以前、バッテリー容量が小さな初代リーフで遠出をすると、急速充電器を求めて訪れた日産の販売店で出会った方と話が弾んだり、充電のために一度高速を下りた見知らぬ場所で素敵な古い街並みに出会ったり。EVでのロングドライブは「充電という手間が必要だったおかげで、ただの移動じゃなくて旅になって楽しかったんです」という言葉でした。

新しいリーフは「B7G」ということで、77kWhの大容量バッテリーを搭載しています。以前と比べて出先で急速充電をする必要は少なくなるでしょう。とはいえ「EVがどんなにロングレンジになったとしても休憩は必要ですから、そういう機会でいつもと違う充電スポットを選んだりすると、楽しい出会いがあったりするかも知れないですね」と中村さん。ベテランEVドライバーならではの「楽しみ方」を示唆してくれました。

EVの魅力って、エンジン車では見過ごしていた景色や音に気付けることだと感じています。ああ、またEVで日本一周したくなってきました。

取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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