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EVおでかけ推進プロジェクト「ぶっちゃけNight 第二夜」注目ポイント/ニッポンのEV充電インフラがもっと良くなっていきますように

EVおでかけ推進プロジェクト「ぶっちゃけNight 第二夜」注目ポイント/ニッポンのEV充電インフラがもっと良くなっていきますように

「EV充電エネチェンジ」(運営:ミライズエネチェンジ)のアプリで、e-Mobility Powerが設置する急速充電器(対象器限定)のビジター利用がスムーズに行えるようになる「EVおでかけ推進プロジェクト」の一環として、参加登録者限定のオンラインイベント「ぶっちゃけNight 第二夜」が開催されました。両社のキーパーソンがぶっちゃけた話題から、EVユーザーとして気になるポイントを紹介します。

目次

日本最大級の充電ネットワークを展開する両社が連携

2026年3月10日(火)、目的地充電を中心とした普通充電サービス「EV充電エネチェンジ」を展開するミライズエネチェンジ株式会社(ミラエネ)と、全国各地の急速充電器を中心に公共用EV充電インフラの整備・拡充を行う株式会社e-Mobility Power(eMP)が、オンラインイベント「ぶっちゃけNight 第二夜」を開催しました。

「ぶっちゃけNight」は、両社が連携して実施している「EVおでかけ推進プロジェクト」参加者限定のウェビナーです。ミラエネとeMP 、両社のキーパーソンがプロジェクトに参加するEVユーザーと言葉を交わし、質問などに本音で答えようという試みで、2025年10月の「第一夜」(関連記事)に続く2回目の開催。今回は、ミラエネから柘野善隆社長と、EV充電事業担当執行役員の内藤義久氏。eMPからは今年1月、新たに就任したばかりの池亀耕太郎社長と、取締役の岩堀啓治氏が登壇しました。

EV充電カード(eMPネットワーク)をもたずに高速道路などでeMPの急速充電器を「ビジター利用」する場合、その都度決済するクレジットカード番号の入力が必要になるなど、ユーザーにとって「面倒」なことが課題でした。「EVおでかけ推進プロジェクト」は、充電スポット検索アプリでもある「EV充電エネチェンジ」アプリから、利用対象となるeMPの急速充電器をスムーズに利用できるようになる取り組みです。

急速充電ができるEVやPHEVのオーナーであることに加えて、「現在、EV充電カード(eMPネットワーク)を契約していない方」といった参加条件がありますが、充電カードを契約していないEVユーザーにとってはとっても便利。前述のようなeMPの急速充電器をビジター利用する際のクレジットカード番号「都度入力」が不要になることに加えて、プロジェクトの一部期間において参加者限定の「特別料金期間」が設定されるといった特典が用意されています。

eMPは公共用EV充電サービスで日本最大級のネットワークを展開。日本全国の高速道路SA・PA等に設置されている急速充電器をはじめ、一般道路沿線の道の駅、コンビニなど約2万7千口の充電器がつながっています。一方のミラエネは、宿泊施設や商業施設などの「目的地充電」を中心に、出力6kWの普通充電器を全国で1万口以上設置。独自アプリの「EV充電エネチェンジ」は国内で最大の利用者数であり、アプリ提供サービスにおける普通充電設置口数は国内トップのネットワークです。いわば、急速充電と普通充電それぞれのサービスで、国内最大級のネットワークを展開する両社が連携して、ユーザー本位のEV充電サービス実現を目指そうという共通の思いを具現化してくれたのが、「EVおでかけ推進プロジェクト」と評することができます。

「EVおでかけ推進プロジェクト」公式サイト

「ぶっちゃけ」トークの注目ポイント

個人的には、私は日産のEV 充電カードである「ZESP3」の会員なので、「EVおでかけ推進プロジェクト」の参加資格がありません。とはいえ、日本のEV充電サービスをリードする両社のキーパーソンが揃った「ぶっちゃけNight 第二夜」では、EVユーザーとして気になるぶっちゃけトークも飛び出しました。注目すべきポイントをピックアップします。

「EVおでかけ推進プロジェクト」は2026年も継続実施

生配信動画から引用。用意したフリップを一緒に掲げるミラエネの柘野社長とeMPの池亀社長。両社の連携が深まっていることを感じさせる和気あいあいとした雰囲気でした。

先日の記事でもお伝えしたように、3月31日に終了予定となっていた「EVおでかけ推進プロジェクト」ですが、2026年4月1日以降も継続して実施されることが「ぶっちゃけNight」のなかで発表されました。3月31日まで参加登録への第一期応募期間でした。
編集部注※レポートが遅れていったん応募受付が終了してしまいました。次のチャンスをお待ちください。

発表された実施期間は「2026年4月1日〜8月31日」です。GWやお盆シーズンもあるので、高速道路で経路充電へのニーズも高いはず。応募者全員が参加できるわけではないですが、EV充電カードを契約していないEVユーザーの方は「まず応募してみませんか」(参加者募集ページ)ってことですね。

新たなビジター料金体系を導入した理由

「ぶっちゃけNight 第二夜」の当日。eMPはビジター利用料金における「kWh課金(従量課金)」の導入と「充電器の立地・最大出力に応じた時間課金」への移行などを発表しました(関連記事)。詳細は3月11日の記事を確認していただくとして。「ぶっちゃけNight」では、eMP取締役の岩堀氏から新たなビジター利用料金体系の導入に至った理由などの説明がありました。

ビジター利用料金単価(税込)

課金方式充電器最大出力高速道路一般道路
kWh課金すべての出力143円/kWh110円/kWh
時間課金50kW以下77円/分55円/分
50kW超〜100kW以下99円/分77円/分
100kW超121円/分99円/分

※eMPや自動車メーカー各社等が発行するEV充電カードで利用する場合は各カードの定める充電料金(時間課金)が適用されます。

時間課金に「100kW超」、つまり一口最大出力150kW機が含まれる料金区分を新たに設定。kWh課金の新料金は、一般道路が「110円/kWh」、SA・PAなど高速道路が「143円/kWh」です。(※料金はすべて税込)

高速道路の充電料金を一般道路よりも高額に設定する理由は「維持費、運用費が高くなっていること」です。高速道路の急速充電器は高出力化・複数口化が進んでいて以前よりも便利になった分、広い場所が必要になっており、設置工事だけでなく土地や設備の使用料も高くなっているため「大変心苦しいのですが、高速道路の充電料金を1段階上げさせていただく」ことになったという説明でした。

参加者からの質問に答えるコーナーでは「kWh課金導入はうれしいけど、単価が高い。どうなれば安くできるのか?」という質問も。岩堀氏のぶっちゃけ回答は「四半期に一度ホームページで公表しているように、急速充電器の整備拡大は進んだものの、EVがそこまで増えていないため、稼働率はとても低いのが現状で3〜4%程度。ということはかなりの時間が待機状態になっていて、その間も固定費がかかっています。もちろん企業努力としてコストダウンを図る取り組みは継続していますが、EVが普及して充電器の稼働率が上がってくれば、1回の充電に対する固定費も薄まって、利用者のみなさんに値下げというカタチで還元できる構造と思っています」という主旨でした。

コストと収益のバランスで価格が決まるのは、インフラビジネスとしては至極当然のことでしょう。EVユーザーとしては「日本のEV普及が加速することに期待!」です。

高出力複数口化には引き続き取り組んでいく

生配信動画から引用。

とはいえ、EVが普及して急速充電器を利用する台数が増えると、かつてのように「充電待ち」が発生するのではないかという心配もあります。この点については、eMPの池亀社長が東名高速道路 海老名SA(上下線)を例に挙げ「急速充電器の高出力化、複数口化に引き続き取り組んでいく」という説明がありました。

2月19日の記事で紹介したように、今、海老名SAでは一口最大出力350kW(最大電圧1000V)の「SERA-400」を含む急速充電器3基 (8口)を設置する工事が進められています。「3基8口を有する急速充電ステーションの整備工事は長期間になる」ということで、上り線が夏頃、下り線は冬頃の運用開始になる予定です。

eMPには合理的な充電インフラ拡充を期待するとともに、EVが「社会の基準」になって、充電器を設置する場所の使用料をより広く分担するなど、公的な便宜が求められるようになるのかも知れません。

宿泊施設の目的地充電器設置促進をアピール

生配信動画から引用。

ミラエネの内藤氏からは、目的地充電設備のさらなる拡充を目指すための取り組みとして、まずはEVフレンドリーな宿泊施設を紹介する「EV STAY&CHARGE」というウェブサイトをローンチしたことが紹介されました。これは「EVのドライバーさんが安心して利用していただけるよう、積極的に協力してくれる宿泊施設さんを紹介していく」試みです。

最近の市販EVは普通に走って300kmを超える航続距離性能を備えた車種が増えています。たとえば、EVで宿泊をともなうロングドライブを行う際、宿泊施設に出力6kWの普通充電器があって、確実に使えることがわかっていれば、高速道路SAPAなどでの急速充電、いわゆる「経路充電」はしなくてもこと足りるケースは少なくありません。自宅で満充電にして往路を走り、宿で満充電にして復路を走りきる、ということですね。

さらに「充電器がある宿を探して予約するのが大変」とか「宿泊施設の充電器を予約したい」といったEVユーザーの声が多いという課題に言及して、その改善にも取り組んでいることを説明しました。

充電器がある宿は「EV充電エネチェンジ」アプリのフィルタリングで「宿泊施設・温浴施設」に絞り込んで検索することはできますが、宿泊予約を取るためには別の予約サイトを立ち上げなければいけないのが現状です。これが、たとえば「EV充電エネチェンジ」アプリで検索した宿のページから、宿泊や充電器の予約へのリンクがあるだけでも便利だと思います。

また、ルートインホテルズでは「宿泊者に限り充電器予約が可能」(関連記事)な仕組みを導入していますが、充電区画にパイロンを立てたり、充電器に鍵を掛けるといった「手作業」が必要になるため、宿泊施設の協力が不可欠です。

ミラエネでは合理的な予約システムを実現するための方法を研究&検討中。さらには「プラグアンドチャージ(PnC)とはいかないまでも、もっと簡単に充電できる方法の検討を進めている」(内藤氏)ことが示されました。いろいろと簡単に越えられないハードルはあるでしょうが、より便利で使いやすい充電サービスに進化していってくれることを期待しています。

直接EVユーザーの声が届く大切な機会

「EVおでかけ推進プロジェクト」、そして「ぶっちゃけNight」は、ミラエネとeMPという日本最大級の充電ネットワークを展開する企業のキーパーソンに、EVユーザー(参加者)の声が直接届く貴重な機会であることが印象的でした。

ちなみに、発表されたeMPの新料金は、充電カードを契約していない「ビジター」のみが対象です。それは、特定計量制度に対応した計量器を備えた急速充電器でのkWh課金では、自動車メーカーなどカードを発行する「会員事業者」や「充電器設置事業者」、「ネットワーク事業者」などがそれぞれ、取引(充電器利用)について国への届出・報告や取引の相手方への説明対応を行う義務が課せられている(実施するのは各事業者の運用が煩雑になり困難)ことがおもな理由です。つまり、ほかの事業者が介在しない、eMPが自ら設置運営を行っている急速充電器のビジター利用に限って「すぐに実施可能なところから始めよう」という姿勢で実現されたのが、今回の「kWh課金導入」です。

充電器設置運営の業態はもう10数年にわたって積み上がってきたものだし、届出が必要といった国の制度は一企業の思いだけで変わるものではないでしょう。よりユーザーフレンドリーな充電環境を実現していくためには、より多くのEVユーザーの、より大きな声が必要になるのだろうと感じます。

eMPネットワークの充電カードを使う場合の料金は、従来通り「時間課金」です。EV車種の急速充電性能の違いによる不公平感を是正するのがkWh課金だとすれば、報告義務などの規定が緩和され、充電カードを使った会員料金がいくらになるかというのが、EVの利便に関わる「本番」ともいうべきポイントになるのだと思います。

と、そこで気になるのが充電カードの月額料金。現在のeMPカードの「4,180円」をもう少し値下げしてほしいというのは、EVsmartブログの記事中で何度も繰り返している私の本音ですが……。ぶっちゃけトークのなかでは「料金を含め、使いやすさの向上については、社内でも日々議論している」(岩堀氏)という発言もありました。

ミラエネとeMPの連携はEVユーザーにとっても大歓迎。日本のEV充電環境がますます良くなっていくことを期待しています。

取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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