シトロエンの新型EV「ë-C3」が発売されました。バッテリー容量は44kWh、一充電走行距離が388kmと日常使いに必要十分でありながら、最大100kWの急速充電に対応。ロングドライブも快適に楽しめそうです。価格は399万9000円〜。スタイリッシュなコンパクトEVの、魅力的な選択肢が拡がりました。
日常使いにぴったりの魅力的な新型電気自動車
2026年5月14日、Stellantisジャパン株式会社(ステランティス)がシトロエンブランドの新型電気自動車となる「CITROËN ë-C3」の発売を発表しました。BセグメントのコンパクトSUVで、価格(税込)はベースモデルの「PLUS」が399万9000円〜、上級グレードの「MAX」でも425万円〜という身近な価格設定を実現。国のCEV補助金額は49万円(2026年5月現在)なので、MAXでも実質価格300万円台で購入することが可能です。

モーターの最高出力83kW、最大トルク125Nmは両グレードとも同じ。グレードの差は「バックカメラ」「フロントシートヒーター」「オートエアコン」「スマートフォンワイヤレスチャージャー」といった装備の違いということになります。
サイズは「全長4015mm×全幅1755mm×全高1590mm」で、同時に発売されたハイブリッドモデルを含めて全モデル共通です。EV2モデルの車両重量は1470kg。1.5トンを切り、EVとしては軽量と評することができそうです。
搭載するバッテリー容量(総電力量)は、両グレード共通で44kWh。カタログスペックの一充電走行距離(WLTCモード)も388kmと同じです。実用的な航続距離がカタログスペックの8割程度と考えても、310km程度は走破できるでしょうから、日常使いには必要十分。ロングドライブにおいても、おおむね300km先の急速充電スポットまで無充電で走ることができますから、一般的な自動車利用シーンを想定して「不便」を感じることはないでしょう。
ステランティスグループでは2020年にプジョー「e-208」を日本発売(当時はグループPSA)するなど、早くからグループ内ブランドのEV導入に注力しています。その後、プジョー「e-2008」やシトロエン「e-C4」、DSブランドの「DS 3 CROSSBACK E-TENSE」などにも、「e-CMP」というコンパクトEV用のプラットフォームを活用。50kWhのバッテリー容量で「日常使いに必要十分で、現実的な価格の電気自動車」の魅力的な車種をラインナップしてきています。
ë-C3はアルファロメオジュニアでも採用されているCMPを簡素化した「Smart Car プラットフォーム」を採用しているとのこと。ただし、搭載するバッテリー容量などは異なっています。
最大100kWの急速充電に対応

ë-C3の「進化」として注目したいのが、CHAdeMO(チャデモ)規格の急速充電において、最大100kWの出力に対応すると明示した点です。今まで、「e-CMP」を採用した各車種や、同じプラットフォーム採用のジュニアでも「最大50kW」でした。日本でも高速道路SAPAなどに設置される急速充電器の高出力&複数口化が急速に進展しており、今では多くの(ほとんどといってもいいくらい)SAPAの急速充電器が出力90kW以上になっています。最大100kWの急速充電性能があれば、90kW器はもちろん、さらに高出力な150kW器(これも急増中)の恩恵を享受することができます。
シトロエンブランドでは高速道路SAPAなどの急速充電器設置を手掛けるe-Mobility Power(eMP)ネットワークと連携した「充電カード」は用意していないので、充電カードは所有せず、高速道路などでの充電時は「ビジター利用」するケースがあろうかと思います。詳しいことは別記事を参照いただくとして、eMPのビジター利用料金は充電器の出力別になっていて、50kW以下が「77円/分」に対して90kW器は「99円/分」、150kW器では「121円/分」と割高です。つまり「最大100kWの急速充電性能」は経路充電(高速道路などでの急速充電)を行いながらのロングドライブを合理的にしてくれるメリットがあります。
もちろん、充電速度も向上します。日本発売発表のプレスリリースでは「バッテリー残量(SOC)20%から80%までを約26分で充電可能」と示されています。実際の長距離試乗で検証が必要ですけど、具体的な使い勝手としては、「SOCが30%を切ったら、トイレ休憩のついでに出力90kW以上の充電スポットを選んで、15〜20分間の急速充電で80%程度まで回復」する感じだと思います。つまり、充電のためのストレスを感じることなくロングドライブも楽しめるということです。
普通充電は出力6kWに対応。「44kWh÷6kW=約7.3時間」ですから、一泊旅行などで宿泊先に6kW普通充電器があれば、かなり夜遅く到着しても翌朝は気持ちよく満充電で出発できます。
V2HやV2Lには非対応
一点、購入を検討する際に留意しておきたいのが、いわゆる「V2H(Vehicle to Home)」には非対応であることです。先日、別の仕事で取材する機会があったシトロエン Ë-C4のオーナーさんから、「新築した戸建てにV2H機器を導入したけど、以前から所有していたË-C4がV2Hに非対応でEVの電気を家庭で使えないのが誤算だった」というお話を聞きました。V2Hには別売の高価な機器が必要だし、EV性能としてはあくまでもプラスアルファの機能であると個人的には思っていますが、EVとともにV2H導入を考えている方はご注意ください。
また、ë-C3には車内のアクセサリーコンセントや普通充電口からAC100Vを取り出すアダプターなどはなく、いわゆる「V2L(Vehicle-to-Load)」にも対応していません。
暮らしに寄り添う心地いいEV

車種の公式サイトでは「フランス生まれの、お手ごろEV」であることがアピールされています。「フランスならではのデザインと快適性を、もっと身近に、もっと手の届く存在へ。高価で難しいものではなく、毎日気軽に使えること。コストも、サイズも、快適性も、日常の使いやすさを大切に、ひとつひとつ考えました」という言葉は、新型電気自動車であるë-C3の魅力がしっかり説明されていると感じます。
ë-C3と同じプラットフォームを採用したEV車種が、欧州ではC3 AIRCROSS と FIAT GRANDE PANDAでも採用されていますが「BEVモデルを(日本に)導入するかは未定」(ステランティスジャパン広報部)とのこと。なにともあれ、スタイリッシュで魅力的、バッテリー容量も「ちょうどいい」コンパクトEVの選択肢が拡がったことを喜びたいと思います。
文/寄本好則






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