Honda e(35.5kWh)で楽しんだ! 進化する「ありがたい」充電スポット漫遊記

EV放浪記2.0【018】 愛車のHonda eを走らせつつ電気自動車関連の話題をレポートする連載の第18回。TOCJ全国ミーティングへの参加・取材で、東京=愛知を往復しました。Honda eオーナーとのランデブー走行や経路充電で気づいたことなどのご報告です。

Honda e(35.5kWh)で楽しんだ! 進化する「ありがたい」充電スポット漫遊記

初めての新東名120km/h巡航もノーストレス

今回の東京=愛知往復には、2つのミッションがありました。EVsmartブログで先日お伝えしましたが、350台以上のテスラが集まった4月14日の「2024 TOCJ(Tesla Owners Club Japan)全国ミーティング」(関連記事)への参加。これが最大のミッション。愛知県蒲郡市の会場に日曜午前8時に着いておく必要がありました。余裕を持って前泊がベストですが、たまたま土曜午後に横浜市内で別の取材が。夕方から夜にかけて走ることになりました。

ばにらさんとは清水港で合流。

もうひとつのミッションが、Honda eオーナーズクラブのメンバーとのランデブー。放浪記の第7回(記事はこちら)でご紹介した愛知在住のばにらさんに、私が使わなくなったホイール一式をお譲りすることになりました。で、ご近所へ行くのでお届けしますよ、とお伝えしたら、なんと同日程で東京に来ていることが判明。

予定通りなら、土曜の夜に2台とも東名高速か国道1号を西へ走っているはずなので、どこかで合流しましょう、と打ち合わせていました。夕方に横浜から連絡すると「清水港で海鮮丼とかどうですか?」と夕飯のお誘いが。

いいじゃないですか! 一般道ではラストオーダーに間に合いそうにないので、すぐに東名高速に乗りました。充電量が乏しかったので、海鮮丼の前にまずはクルマに電気をご馳走です。いつものアプリ「高速充電なび」をチェックすると、なんと足柄SA下り線(充電器情報)が6口になっています! これはうれしい。早速飛び込みました。

ちょうど夕暮れ時で、富士山のシルエットが素敵でした。それほど走ったわけでもないのに、旅の空という気分になります。充電率(SOC)は23%まで減っていましたが、清水まで届けばいいので20分弱で65%まで増えたところで、充電を切り上げて再スタート。あとで詳しく書きますが、高速道路の経路充電は、NEXCO各社とe-Mobility Powerが積極的に複数化と高出力化を進めてくれていて、格段に使い勝手が良くなりました。

足柄SA下り線。複数口の経路充電スポットが増えると、35.5kWhのHonda eでの遠出も安心感が高まります。

御殿場からはナビの指示通りに新東名高速をたどります。制限速度いっぱいでクルージング。120km/hキープは初めてでしたが、キュートな見た目に似合わずスポーツ走行も得意なHonda e、ノーストレスで走ってくれました。

あとで聞いたら、ばにらさんも新東名ルートで、私の15分ぐらい後方を走っていたとか。2台とも清水港(静岡市清水区)に無事到着。仲卸業者が直接魚介類を販売している「清水魚市場 河岸の市」にあるお店で、私は店員さんがおすすめの海鮮丼、ばにらさんは「まぐろ10種食べ比べ膳」を注文しました。愛車のことをあれこれ話しながらの食事は、料理をさらに美味しく感じさせてくれます。

まぐろ10種食べ比べ膳!

前回お会いした時、すでに10万キロを超えていたばにらさんのHonda eですが、もう12万キロ超え。「街なかベスト」のクルマで、3年で達成するのはかなり難しい距離です。日本で一番走っているHonda eかもしれません。もっと走ってるよーという方がいたら、ぜひコメントをお願いしますね。

3年12万kmの強者と一般道をランデブー

静岡日産自動車清水店。

食事の後、愛知に向けて一緒に走ることにしましたが、その前に充電です。東京=愛知を何度も往復しているばにらさんが「近くに無料スポットがありますよ」と教えてくれました。静岡日産自動車清水店(充電器情報)は、44kWの急速充電器を認証なしで使えるようにしてくれています。無料充電器が次第に姿を消しつつある中、貴重な存在ですね。かなり人気になっているようで、地元ナンバーのリーフが充電中でしたが、急がないのでのんびり順番待ち。お譲りするホイールの積み替えも済ませました。

相性がいいのか、ここの充電器が良く入ってくれて、30分でSOCは29%から87%まで復活。充電量は表示されませんでしたが、16~17kWhってところでしょうか。ほんとにありがたい限りです。

清水からは一般道をチョイス。静岡県内の国道1号は全線バイパス化されていて、自動車専用区間もあります。スムーズに走れていいのですが、ばにらさんは突然ウインカーを出して脇道へ。「えっ、どこいくの」と思いつつ、ひたすらついていきましたが、裏道をスイスイとたどります。時間節約のためではありません。交通量が少なくて信号もなく、50km/hでずっと走れる道路とか、のどかな風景が広がる河川敷の道とか。EVで気持ちよくドライブすることを追求した裏道走行なのでした。

日付が変わった頃に、目指していた場所に到着しました。愛知県岡崎市の三菱自動車工業岡崎製作所(充電器情報)です。蒲郡市より少し西へ行き過ぎることになりましたが、ばにらさんの話を聞いて、どうしても訪ねたくなったのでした。

ほんと、驚きました。広大な駐車場、見える限りの全区画に普通充電器が用意されています。数えきれません。大袈裟な表現でなく、野鳥の会にお願いしたら何とかなるかもしれませんが、私はとても数える気になりませんでした。見渡す限りの充電器の列。EVユーザーの方は、近くまで行ったらぜひ立ち寄ってみてくださいね。

そのほとんどは関係者用ですが、うれしいことに「EV専用 充電器はご自由にお使いください」という表示があって、無料開放されている普通充電スタンドもありました。さっそくHonda eを繋がせてもらいました。送ってくれたばにらさんともお別れ。また一緒に走りましょうね~。ひとりになった私は車中で休憩です。東京から376km。さすがに疲れていたのか、すぐ眠りに落ちたようで、ハッと気がつけば朝になっていました。

輝く朝日の中で見る充電スタンドの森は、また格別です。心強くてビューティフル。いつか、日本中の駐車場がこんな風になったらいいのになぁ……と夢想しました。

SOCは24%から64%まで回復していました。充電器があるホテルに泊まったのと同じようなもの。蒲郡市まで1時間ほど走ればいいので十分です。イベント開始前に悠々と到着することができました。TOCJの全国ミーティングについては、記事でも書きましたが、楽しい時間を過ごさせてもらいました。いつかHonda eもずらっと並べてみたいなぁ。

コンビニや高速SAPAの経路充電インフラが進化中

帰路は、昨夜2台で走った一般道を途中まで逆にたどり、袋井市内のセブンイレブン袋井方丈店(充電器情報)で1回目の充電。駐車場に90kWの2口タイプ。以前は、コンビニの急速充電器というと中速の20kWとか、老朽化したものが散見されましたが、こちらもSAPAと同様にリプレイスや新設が進んでいます。真新しい充電器は、30分で16.2kWh(SOC23→84%)も充電できました。

コンビニで30分というと長いようにも感じますが、トイレをお借りして、サンドイッチとコーヒーを買って車内でモグモグしつつ、スマホやパソコンをさわっていたら、すぐに充電停止です。駐車スペースが十分に取れることが条件でしょうが、24時間営業のコンビニは、経路充電スポットにピッタリ。これからも増えそうな気がします。

充電後もしばらく国道1号バイパスを走って、島田金谷ICから新東名高速に。今度は飛ばしたりしません。大型トラックに合わせて75~80km/hで左車線をキープ。2回目の充電は往路と同じく足柄SAに寄ることにします。上り線(充電器情報)もしっかり6口になっていました。贅沢に独り占めしていたら、終わりかけたところにテスラ モデル3が。ほんとに今日はテスラをよく見かけるなぁ……と思ったら、全国ミーティング帰りのテスカスさんでした。充電スポットで知人とばったりというのは、うれしいEVあるあるですね。

足柄SA(上り)でテスカスさんとバッタリ。

ここでも16.6kWh(SOC 24→84%)をチャージして、無事に東京の自宅まで帰り着きました。EVでの東京=名古屋間約350kmの移動は、2023年3月以来、高速・複数化された新東名の駿河湾沼津SA(6口)と浜松SA(8口)の急速充電をつなげるようになって、劇的にスムーズになりました。ただ、私のHonda e(35.5kWh)や日産サクラ(20kWh)のようにバッテリー容量が少なめ、充電出力(受け入れ)も低めの車種にとっては、ちょっと区間距離が微妙でした。出発時の充電量次第では、東京から駿河湾沼津SAまでそもそも届かなかったり(今回もそうでした)。

なので、今年に入ってからの足柄SAや静岡SA(こちらも6口化)のような、隙間を埋めてくれるような複数化がとてもありがたいわけです。充電渋滞を避けて複数化されたSAPAへ逆に充電車両が集中する傾向も出てきていたので、分散化も期待できます。

追記しておきたいのは電費のこと。今回の愛知往復、2日間で走行距離は674.4kmでしたが、かなりの好電費だったのがうれしい驚きでした。メーター読みで9.8km/kWh。往路の海鮮丼ダッシュがなかったら、久々の10km/kWh達成もあったかもしれません。走行ルートは高速道路6割、一般道4割ぐらい。夜の一般道でほぼ定速走行ができたのも大きかったと思います。

なにしろ今冬は充電性能悪化に悩まされました。大寒波の最中に広島を往復した時は、気温が0~3℃のなか、SOC7%から30分充電しても11kWhそこそこしか入らないとか、平均電費が8km/kWh前後に落ち込むとか、壊れちゃったのかと心配したぐらい。それもこれも低温のせいだったとわかって、ほっと一息なのでした。

私のHonda e(2021/4/29~2024/4/17)

総走行距離 5万5564km
平均電費 8.8km/kWh
累計充電回数 急速397回、普通102回

取材・文/篠原知存

この記事のコメント(新着順)3件

  1. 初めまして。私もHonda eユーザーなのですが、どの乗り方しても電費8km/kWh以上走る気がしません。特に高速道路、120Kmで走行したら6km/kWh程度では?と思っています。冬場の話ではなく気温の高い日でです。「メーター読みで9.8km/kWh」この電費数値はメーターに表示されていた数値でしょうか?それともメーター表示距離から計算した数値でしょうか?そもそもこの数値ではHonda eのカタログデータより走れてしまうのではないでしょうか?購入先の車屋さんにこの記事を伝えたら「ネットの記事だから嘘でしょう」と言われました。ネット情報を信用する私としてはそれはそれで寂しい思いなのですが、筆者様の電費計算は妥当なのでしょうか?妥当となれば私のHonda eはあまりにも走らなすぎる。ご教示いただけるとありがたいです

    1. masa さま、コメントありがとうございます。
      横から失礼、ですが。
      >高速道路、120Kmで走行したら6km/kWh程度では?
      いえ、120km/h巡航すると、おそらく電費は5km/kWh台、へたすると4km台になるかと思います。EVではとくに、速度控えめの定速走行が電費を伸ばす鉄則で、私も篠原さんとHonda eで白馬遠征とかご一緒したことありますが、篠原さんはおおむね中央自動車道の法定速度である80km/h巡航。私が運転を交替すると速度を上げてしまいがちで電費がちょっと悪くなって申し訳なかったことがあります。

      >「ネットの記事だから嘘でしょう」
      篠原さんの記事を含め、EVsmartブログでは長距離試乗や電費検証記事などもお届けしていますが、誓って嘘はありません。w

      これからも、信頼してご愛読いただけますように。

    2. masaさま
      こんにちは。
      同じHonda eユーザーの貴重なコメントなのに、
      気づいていなくて申し訳ありません!

      編集長にもお答えいただいて、いまさらなのですが、
      電費はメーター読みです。たしかにWLTCモード走行距離より走れますね。
      いま劣化して実質30kWhなので、JC08モードは届きませんが。
      滅多に出る電費ではありません。冬には厳しいですし、
      最近のような酷暑でもエアコン必須なので無理です。
      Xの個人アカウントに、メーター写真をアップしておきます。
      よかったらご確認ください。
      https://x.com/ev_hobo/

      masaさんのHonda eはアドバンスでしょうか。
      オーナーズクラブで情報共有しているところでは、
      アドバンスは電費が伸びにくいようです。
      タイヤがミシュラン・パイロットスポーツ4だから、
      というのが、いまのところ有力視されている推測です。
      以前の記事にも書きましたが、
      モータージャーナリストの片岡英明さんが
      「冬にスタッドレスタイヤに履き替えた時の方が電費がいい」と
      コメントされています。
      私のはベーシックグレードで、横浜タイヤのブルーアースが入っているのも、
      好電費の要因だと思います。

      18インチに換装して以来、電費は低下傾向ではありますが、
      よかったらぜひランデブーしましょう!

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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