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トヨタやいすゞのEVピックアップが注目されていた【バンコク国際モーターショーレポート04】

トヨタやいすゞのEVピックアップが注目されていた【バンコク国際モーターショーレポート04】

EVの販売台数が急増しているタイで開催された「第47回バンコク国際モーターショー」のシリーズレポート。最終回の第4弾は、モータージャーナリストの諸星陽一氏が四輪のEVモデルの注目ポイントなどを紹介します。

目次

日本ブランドのピックアップEVに注目

まず、日本ブランドの話題です。日本ブランドはトヨタ、レクサス、ホンダ、日産、マツダ、三菱、スズキが出展しました。昨年、出展していたスバルのブースは見当たりませんでした。

日本ブランドでとくに注目されていたのがトヨタのハイラックス トラボeといすゞのDマックスEV、2台のピックアップEVです。ハイラックスのEVは2025年のバンコクショーにも展示されていますが、ハイラックスそのものが2025年11月にフルモデルチェンジしているので、展示されたタイプはバンコクショーでは初披露でした。

トラボeは前後にモーターを搭載するAWD仕様で、最高出力は131kW、最大トルクは269Nm。バッテリー容量は59.2kWhで315km(NEDCモード)の航続距離と紹介されていました。価格はデラックスキャブで149万1000バーツ(約630万円)です。

DマックスEVは2025年のバンコクショーに参考出品され、同年4月より生産を開始。2026年のバンコクショーには市販モデルが展示されました。前後合計で130kWとなるモーターを搭載するAWDのピックアップトラック。バッテリー容量は66.9kWhで航続距離は361km(WLTP市街地モード)と提示。価格は159万1000バーツ(約671万円)です。

タイではピックアップトラックを乗用モデルのように使うことが日常化しています。バンコクを出て郊外に行けば、ピックアップトラックの荷台に人が乗って移動していることは日常ですし、ソンテウと呼ばれるピックアップトラックを改造した乗り合いのモビリティも数多く存在しています。

そうしたボリュームのあるカテゴリーのEV化は環境&エネルギー問題の解決に大きなインパクトを持ちますが、タイで急速充電設備が整っているのは都市部のみ。ピックアップトラックのメインマーケットである郊外や東北の山間部では急速充電が難しく、普通充電するにしても場所によっては電圧が安定してなかったり、停電が発生することもあります。またまったく電気が通っていない地域もあるなど、充電インフラの課題は日本の比ではありません。中国ブランドのピックアップトラックの新型も発表されましたが、本格的な普及にはまだ時間がかかりそうです。

乗用車系ではマツダが展示したSUVのCX-6eにも注目。タイ現地法人の情報によれば、モーターは190kWでRWD、採用されるバッテリーはリン酸鉄リチウムイオンで78kWh。航続距離はWLTPモードで484kmとのこと。ボディサイズは全長×全幅×全高が4850×1935×1620(mm)でかなりワイド&ショートのディメンションです。急速充電は最大195kWに対応し、10%から80%までの充電を約24分で終えるとのことです。

そのほかEVはトヨタbZ4X、マツダ6e、スズキe-ビターラ、ホンダスーパーEVコンセプトなどを展示。日産と三菱はブースを出展したものの純EVの展示を見送りました。

中国メーカー製EVモデルは?

さて、バンコクショーでの注目といえばなんといっても中国系EVの動向です。タイでもっとも売れているEVはBYDですが、BYDについては別記事で報告していますので、そちらをご一読ください。

【関連記事】
ショー期間中の販売台数はBYDがトヨタを抑えて首位【バンコク国際モーターショーレポート02】(2026年4月8日)

シャオペンX9エグゼクティブは中国からの輸入EVです。タイでもアルファードのような高級ミニバンの需要は多く、シャオペンX9はそうした市場をねらったモデルであり、エグゼクティブは標準よりも装備を充実させ、より高級感をアップした仕様となっています。

101.5kWh(NMCバッテリー)を搭載し、航続距離は最大690km(NEDC)。シャオペン社のS4充電ステーション(480kW)を利用した場合、10%から80%まで約20分で充電可能だといいます。タイ国内にもS4ステーションに準じる最大350kW~480kW級の提携スタンドがあり、それを利用することによって短時間で多くの電力量を充電できます。シャオペンX9の価格は249万9000バーツ(約1055万円)前後からとなっていて、タイ国内でもかなりの高級ミニバンとして扱われています。

ジーカーXは2023年に中国で発表されたモデルです。2024年からタイでは発売されています。今回展示された2026年モデルはタイ市場での競争力アップのため、エントリーグレードを89万9000バーツ(約379万円)に設定するというかなり戦略的な価格設定をしてきました。

エントリーグレードといってもフレームレスドア&フレームレスサイドミラー、1.21m2の紫外線カットガラス採用のパノラマサンルーフ、リアフェンダーに一体化した充電ポート、14.6インチ・タッチスクリーン、8.8インチ・デジタルメーター、ヤマハ・サラウンドシステム(13スピーカー)、アンビエントライト、ZEEKR AD(自動運転支援)が標準で、かなりお得感が強くなっています。

中国でも高い認知度を誇るとともに、タイでも高い顧客満足度を得ているのがチェリーブランドです。そのチェリーブランドのコンパクトEVがチェリーQです。中国ではQQ3の名で発売されています。全長×全幅×全高は4195×1811×1574(mm)とコンパクトですが、ホイールベースは2700mmとかなり長い仕様です。

搭載されるモーターは90kW、バッテリーはリン酸鉄リチウムイオンで42.7kWh。航続距離はNEDCで400kmと発表されています。コンパクトモデルながら急速充電性能は85kWと高めで、30%から80%まで約16分で充電できるとのこと。価格は40万バーツ~50万バーツ(約169万~211万円)で、ショー会場での予約特典として2万バーツ(約8万円)のキャッシュバックが設定されていました。

人気のクロスカントリーAWDで注目のEV

タイは東北部に行くと険しいオフロードが点在することもあり、タフネスなクロスカントリーAWDの人気も高くなっています。チェリーブランドのV23は、レトロなクロスカントリー4WDのスタイリングが与えられたモデルです。あくまでもスタリング重視のためRWDモデルも設定されています。全長×全幅×全高は4220×1915×1845(mm)で、ホイールベースは2735mmです。RWDモデルは100kwのモーターに59.93kWhのLFPバッテリーの組み合わせ、AWDモデルは155kWのモーターに81.76kWhの三元系リチウムイオンバッテリーの組み合わせとなっています。

新たにタイ市場への参入を決めたのが東風汽車のフォーシングブランドです。バンコクショーにはフライデーという名の5人乗りSUVが展示されました。全長×全幅×全高は4600×1860×1680(mm)でホイールベースは2715mmです。

BEVモデルとレンジエクステンダーモデルがあり、BEVは最高出力が150kWで、バッテリー容量は63.4kWh、NEDC基準で最大480kmの航続距離を持ちます。レンジエクステンダーモデルは1.5リットルエンジンを採用。バッテリー容量は31.9kWhです。

BEVモデルの価格は99万9000バーツ~119万9000バーツ(約422万~506万円)、レンジエクステンダーモデルは105万9000バーツ~125万9000バーツ(約447万~531万円)。モーターショー特別キャンペーンとして、0.99%の特別金利、5年間または10万kmまでのフリーメンテナンス・パッケージ、5年間または15万kmの車両本体保証、8年間または16万kmの駆動用バッテリーおよびモーター保証、家庭用充電器「Forthing Home Charger」の本体および標準設置工事の無料提供が用意されています。

テスラがスーパーチャージャー網の拡充計画を発表

アメリカブランドはフォードとテスラが出展しましたが、フォードはICE仕様のSUVが人気のためとくにEV系のモデル展示はありませんでした。対して、テスラはモデルYの3列シートモデルを展示しました。直後に日本でも展示され話題になったモデルです。

タイ仕様のモデルY3列シート車は、最上位モデルのモデルYパフォーマンス、航続距離を重視したロングレンジの両方で3列シート仕様が選択可能。航続距離は約533km(WLTP基準/3列シートによる重量増を考慮した公式値)で、0-100km/h加速は5.0秒、最高速度は217km/hとアナウンスされています。価格は約204万9000バーツ~(約865万円~)と発表されました。タイで販売されるモデルは引き続きギガ上海(中国工場)からの輸入です。テスラ・タイランドは2026年中にタイ国内の「スーパーチャージャー」をさらに30拠点増設し、合計80拠点以上にするインフラ拡充計画も公表しています。

【編集部注】記事中で紹介している各モデルの航続距離(一充電走行距離)は、現地発表のデータを参照しているため、NEDC(新欧州ドライビングサイクル)やWLTP(世界統一自動車試験手順)が混在しています。一般的には、実用的な電費としてNEDCはWLTPに比べて2割程度悪くなる傾向があるとされています。

取材・文/諸星 陽一

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この記事を書いた人

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。国産自動車メーカーの安全インストラクターも務めた。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。自動車一般を幅広く取材、執筆。メカニズム、メンテナンスなどにも明るい。評価の基準には基本的に価格などを含めたコストを重視する。ただし、あまりに高価なモデルは価格など関係ない層のクルマのため、その部分を排除することもある。趣味は料理。

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