今年度のCEV補助金がもうすぐ終了〜EV普及に向けて大きなビジョン構築に期待

経済産業省は2022年9月16日に、クリーンエネルギー自動車の導入促進事業の予算残高が約105億円になったことを公表しました。申請受付が終了するのは10月下旬から10月末頃になると予想しています。これを機会に、補助金の現状と今後のあり方について考えてみました。

今年度のCEV補助金がもうすぐ終了〜EV普及に向けて大きなビジョン構築に期待

※冒頭写真は日産サクラ。

やっぱりなくなったCEV補助金

極端に暑かったり寒かったり、強烈な台風がやってきたり、気候変動の影響が日増しに体感できるようになっていると感じますが、暑い夏もほぼ終わり秋の気配が見えてきた涼しげな朝の中、みなさまいかがお過ごしでしょうか。気温が下がった北海道ではもう冬支度が始まり、ストーブに火を入れた人もいるようです。

実は暑い夏の真っ盛りの中で気になる情報が出ていたのですが、その場でまとめそびれたので、改めて見ていきたいと思います。

気になる情報は、EVなどクリーンエネルギー自動車の導入促進のために用意した補助金(以下、CEV等補助金)のうち車の購入補助分が残り少なくなり、10月末には申請受け付けが終わる見込みという、経産省の発表です。

EVsmartブログでは、軽EVの日産『サクラ』と三菱『eKクロスEV』の予約台数が発表された時に、人気沸騰で補助金が不足するのではないかという予想をしていたので驚きはないのですが、実際に数字が出てくると、ちょっと考えた方がいいのではないかと思うことも見えてきたのでした。

【関連記事】
日産サクラ&三菱eKクロスEV 1万5000台受注~で、CEV補助金は大丈夫なのか?(2022年6月15日)

CEV補助金の残高は約105億円

経産省に確認すると、2022年度のCEV等補助金のうちインフラ整備用などを除いた自動車購入補助分は、2021年度補正予算から250億円、2022年度当初予算から140億円、それに以前からの繰越金が40億円の、合計約430億円でした。

予算残高は、最初の発表は7月25日時点の試算で約177億円でした。それから約1か月後、8月29日時点の予算残高は約126億円になりました。

そして9月16日の発表(9月12日時点)では、残高は約105億円になり、申請受け付けの終了見込み時期は10月下旬から末頃という見込みです。順調に減っている感じです。

けれども経産省も、補助金交付の事務局をしている次世代自動車振興センター(NeVセンター)も、これまでの予算執行額の内訳は公表していません。例えばEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)の申込み台数はそれぞれ何台だったのか、あるいは1台当たりの平均交付額などの具体的な数字は不明です。

仕方がないので、自動車販売協会連合会や、日本自動車輸入組合、全国軽自動車協会連合会が公表している統計データをさらって、数字を集めてみました。

補助金の今を検証してみた

三菱 アウトランダーPHEV

今年度の補助金は2月19日以降に登録した車が対象なので、一番近い3月以降のデータを集計した結果が以下の表です。

2022年3月以降のPHEVとEVの新規登録台数と推定補助額

登録車軽自動車
PHEV (トヨタ)PHEV (三菱)PHEV (輸入車)FCEVEV(輸入車)EV(国産車)日産サクラ三菱eKクロスEV
3月1159180058314017042515
4月6351066568824371173
5月54819434622845711151780
6月404219770549162817511675426
7月64230684371438117883319552
8月49120293431077912553523597
3〜8月計38791210330983235386959786951575
推定執行額
(億円)
21.366.612.44.73581.647.88.7
1カ月あたり
推定執行額
3.5511.12.10.85.813.618.23
※EV(登録車)は、国産車は1台当たり85万円、輸入車は65万円で計算。
※台数は、登録車は自動車販売協会連合会および日本自動車輸入組合の新車登録台数、軽自動車は全国軽自動車協会連合会の発表データによる。

【今年度の補助金の詳細はこちらの記事で】
EV普及へ大前進! 電気自動車などの購入と充電設備設置への国の補助金最新情報【2022年4月更新】(2022年4月2日)

補助金は車種によって異なるので、概算の推測も含んでいることをご了承ください。車種名だけでほぼ確定できる補助額は、PHEVでは現行のトヨタ『プリウスPHV』と三菱『アウトランダーPHEV』『エクリプスクロス』が55万円、EVでは、軽EVの日産『サクラ』と三菱『三菱eKクロスEV』が55万円ということです。ほかの車種は、バッテリー走行可能な距離や電費などをもとに補助額を算出しているので、グレードによって違いがあったりして一律に計算ができません。

そのため今回は、前記5車種を個別に算出したほかは、輸入EVはざっくりと1台当たり65万円、同じく国産EVは85万円、輸入PHEVは40万円で計算してみました。

輸入EVの65万円は、もっとも台数が出ていそうなテスラ『モデル3』の補助額を参考基準にしています。

この数字で試算してみると、8月末時点の推定残高は約152億円なので、経産省発表の126億円より少し多いです。数字の違いは、給電装備の有無や2月登録を含んでいないことなどもあるかもしれませんが、まあ妥当な線かなと自分を納得させてみます。

さて、ここから1か月あたりの予算執行額を推定すると、10月~11月上旬には予算が底を突く計算になります。7月以降は『サクラ』『eKクロスEV』の台数が増えているので終了時期はさらに早まり、経産省発表の10月下旬という予測とよく似た結果になります。

●推定執行額の合計  278.1億円
●推定残高(8月まで) 151.9億円

(実際は8月29日までで126億円)
●1月あたり推定執行額 58.1億円
●PHEVへの推定補助 100.3億円

そして補助金終了時までに補助対象になるEVは、4万2000~3000台程度になりそうです。

予算が足りなくなると販売台数に影響が出るのではないかというのは、よく見かけるニュースです。金の切れ目が縁の切れ目ではないですが、影響がないとは思えないですよね。納車、登録の時期によって補助金の有無に違いがでるのは不公平感も伴うので、次回の補助が始まるまで買い控える動きも出るかもしれません。

なお、これまでの執行額の約3分の1は、PHEVに交付されていると考えられます。このことについて、もう少し考えてみることにしました。

補助対象のEVの台数は市場シェアの1%程度しかない

テスラ モデル3

その前に、ちょっと話が逸れます。今回、補助金の推計をする中で輸入EVの販売台数を調べていたら、少し興味深いことがわかりました。日本でのテスラのおおよその販売台数です。

テスラは国別の販売台数を公表していません。もちろん日本でも非公表です。

ところで、日本自動車輸入組合(JAIA)が公表しているデータに、ブランド別の販売(登録)台数があります。数字は国交省のデータがもとになっています。

さて、この中に「Others」というカテゴリーがあります。JAIAのブランド別台数は日本に輸入されているブランドをほぼ網羅しているのですが、その中に含まれない特殊な車を「Others」でカウントしているのです。台数は、2012年頃までは年間にせいぜい数十台でした。

一気に増えたのは2014年度で、年間に452台の登録がありました。その後も順調に増えて、2021年度(4月~3月)の「Others」は5989台、2022年は1~8月で2534台です。

ということは、この登録台数のほとんどが、テスラである可能性が高いことになります。テスラ以外に、こんな台数が売れている車は、たぶんありません。それにヒョンデやBYDはブランド別台数に名前が出てきます。そうすると、「Others」はやっぱりテスラであると推定できます。

長年の疑問が晴れた感じで、少しすっきりです。でもそれ以上に、マツダやホンダの台数の少なさが目についてしまって哀しくなるのでした。とくにマツダは、ものすごいスーパーカーを手作りで作ってるような台数です。

2022年のEV新規登録(販売)台数

国産車輸入車
ホンダマツダ日産
(登録車)
日産
(サクラ)
トヨタスバル三菱三菱
(eKクロスEV)
全輸入EV内ヒョンデ内その他メーカー内BYD
1月372127320103491910
2月464158517062914212
3月5592437140170401201
4月313100262750437415
5月24310241784816045772
6月471166816753410426162837870
7月1591728331936005523816025
8月131121335232800597779762220
合計2683211930869525992101575636421725345
※台数は、登録車は自動車販売協会連合会および日本自動車輸入組合の新車登録台数、軽自動車は全国軽自動車協会連合会の発表データによる。
※日産(登録車)は、リーフ、アリアの合計

閑話休題。それにしても、年間の自動車の販売台数が400~500万台に対して、補助対象のEVが約4万数千台というのは、あまりにも少なすぎるように感じます。市場シェアの1%前後しかありません。

テスラ社は昨年1年間で約100万台を販売し、今年は150万台に届きそうな勢いです。BYDも年間の販売台数が急増し、テスラに真っ向勝負をかけている状況です。

欧州市場では、イギリス、ドイツ、フランスといった自動車王国で、EVの市場シェアが2ケタになっています。日本の自動車メーカーが主戦場にしているアメリカのカリフォルニア州も、2021年にはEVの市場シェアが10%を超えています。カリフォルニア州はEV導入政策を強化しているので、今年以降はもっと増えるのが確実です。

そんな中、シェア1%ちょっとの台数が出ただけで補助金が底を突くとか、なんか寂しくないですか。

【関連記事】
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本当は補助金なしでこのくらい売れるといいとは思いますが、気候変動対策は時間との勝負なので、導入初期の促進策はできる限り手厚い方がいいと思うのです。

PHEV補助金とEV普及促進のバランスは検討課題か

メルセデス・ベンツ EQB

EVの台数とともに、数字を見ていて気になったのは、車種による補助額の設定と、今後のEV普及促進を考えたときのバランスなのでした。

前述したようにCEV等の補助金は、これまでの執行総額約300億円のうち、約100億円がPHEVに交付されています。とくに人気の三菱のSUV2車種だけで70億円近くが出ています。

現在の日本は、欧米先進国に比べてEVの車種も充電インフラも貧弱なので、補助をEVだけに全振りすることは無理があります。

それでも、充電インフラ、特に急速充電器の整備や使用の効率向上を考えると、とくに急速充電機能を備えたPHEVは、場合によってはEV普及の足かせにならないかという不安がくすぶります。すでに不足気味の急速充電インフラをPHEVが使うことで、EVの利便性が極端に落ちてしまうからです。

PHEVの急速充電については、別の視点からの疑問もあります。電気だけで走ると燃費(電費)が悪くなるPHEVに、急速充電がほんとうに必要なんだろうかということです。この点はきちんとした検証が必要とは思います。

確かに、『アウトランダーPHEV』は20kWh、『エクリプスクロスPHEV』は13.8kWhのバッテリーを搭載していて、電気だけでもそこそこ走ることができるので、急速充電器を使いたくなるのは理解できます。

でも電費は、メルセデス・ベンツの『EQB』が実走行で1kWhあたり6km台なのに対して、三菱の両車はどちらもWLTCのスペック上で4km台です。実走行ではさらに下がるのは確実です。

【関連記事】
ベンツの7人乗りEV『EQB』長距離実走レポート【速報往路編】(2022年8月13日)

そもそもPHEVは、ハイブリッドで使ってこそ効率が上がるシステムです。急速充電があれば、充電カードの料金設定との兼ね合いもあって(三菱の場合はとくに)充電料金が安いので、結果的に燃料代を抑えられるかもしれませんが、電気だけで走ってエネルギー効率を落とせばCO2が増えるわけで、環境的には元も子もありません。急速充電が可能になることで、こうした少しいびつな使い方が増える可能性が否定できません。

この点、トヨタの『RAV4 PHV』や、最新PHEVの『ハリアー Z』などが普通充電だけになっているのは合理的だと思います。個人的にはバッテリー搭載量の少ないEVも、基本は普通充電(できれば6kW以上)、ごくまれに急速充電という使い方にした方が利便性も効率も高まると思っているので、PHEVはなおさらです。ちなみに、輸入車のPHEVはほとんど(メルセデス・ベンツA250eのみオプションで設定あり)急速充電機能は搭載していません。急速充電が必要なほどバッテリーを搭載していないからなのですが、トヨタ同様、海外勢はシステム効率から見てこれが最適解と考えているわけです。

EUでは2026年以降、HEVはもちろんPHEVもZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)とは認めず、サステナブル投資の対象から除外することをすでに決議しています。PHEVが登場した十数年前は筆者も、ユーザーがEV走行に慣れるまでのつなぎになるかもと考えていましたが、すでにEVは珍しいものではありません。今は、PHEVの位置づけを再考することが必要ではないでしょうか。

このあたり、政治的、地政学的な判断の違いはあると思います。メーカーの事情もあるでしょう。でも気候変動対策を進めるのなら、急速充電インフラへの負荷を増やし、なおかつ電気だけで走ればEVよりかなり電費が悪くなるPHEVに対する補助金をどのようにすればいいかは、科学的観点から早急に検討すべき課題だと思うのです。やっぱり、『アウトランダーPHEV』と『サクラ』の補助額が同じなのは違和感があるのです。

まあ、今のようにEVの市場シェアが1%程度で補助金がなくなるのでは、議論以前の問題かもしれませんが。

政府はこれから、年間に何台くらいまでEVを増やそうと考えているのでしょうか。台数がどうなるにしても、補助金のもとは税金です。普及促進を最大化するため、どうすれば効率よく補助ができるのか、数字の分析と検証は不可欠なはずです(日本がとても苦手にしている手法ですが)。

日本でのスムーズなEV普及に向けて、大きなビジョンを示しつつ、合理性のある施策の実現に期待しています。

(文/木野 龍逸)

この記事のコメント(新着順)11件

  1. > そもそもPHEVは、ハイブリッドで使ってこそ効率が上がるシステムです。
    > 電気だけで走ってエネルギー効率を落とせばCO2が増えるわけで、環境的には元も子もありません。

    電気で走ると効率が落ちるのは、EV走行時にロスとなるようなハイブリッド機構がベースでバッテリー容量を増やしただけのPHEV(PHV)の場合では?
    槍玉に挙がっている三菱のPHEVは、EV走行の効率が落ちる高速巡航時にガソリンエンジンで効率良く走れるようにクラッチで繋ぐパラレル・ハイブリッド・モードを備えてこそいますが、それを除けば基本的にはREX付きBEVに近いシリーズ・ハイブリッド主体の構成かと。
    エンジンとガソリンタンクを積まずに純BEVにして十分な航続距離を確保しようとすると、現在のバッテリー単価ではモデルX並みのバッテリー搭載量と価格になるのを、PHEVにすることであの価格帯に抑えて発売できたと説明されています。
    また、文中では、カタログ値を見て航続距離÷総バッテリー容量で4km/kWh台と計算されていますが、航続距離を決めている実際に使用しているバッテリー容量(劣化防止の為にSOC 0%までは使い切らない設計)で割っていないので、値が不正確なのではないかと思量します。使用される値が間違っていないかは、このサイトの過去記事を見れば簡単に裏取りできると思いますが。

    1. いつになく偏った記事ですね 様、コメントありがとうございます。

      >電気で走ると効率が落ちるのは、EV走行時にロスとなるようなハイブリッド機構がベースでバッテリー容量を増やしただけのPHEV(PHV)の場合では?

      もちろんそういう傾向にあり、モーターだけで、シングルギアでBEVに近い走行を想定しているアウトランダーPHEVについては、電費は良いほうだと思います。それでも、実際に比較してみると
      https://www.fueleconomy.gov/feg/Find.do?action=sbs&id=44460&id=44984&id=44362&id=45018
      アウトランダーPHEVは100マイルあたり45kWh、RAV4 PHVが36kWh、プリウスPHV(これは一つだけサイズ小さいので比較のため)が25kWh、モデルYが28kWhと、やはりPHEVのBEVに対する電費の悪さは比較すると、結構目立つと思います。このkWhには、車載充電器の性能も含まれており、トヨタやテスラの車載充電器の効率の高さも良く分かると思います。

      まったく別件で恐縮なのですが、貴殿のハンドルネームは、著者に対する敬意を欠いていると思います。今後のご投稿の際は、別のお名前をお使いいただけるようお願い申し上げます。

  2. 補助金はインフラ整備と充電料金に使ってほしい。
    あと、高速道路の料金値下げ。
    自動車にはかけなくていいと思う。
    今年度地元の自治体(24万人規模)が補助金を出しましたが、聞いてみたところ新しくできた広域公民館に急速充電器を1基整備するだけというので希望というか苦情を言いました。

  3. >そもそもPHEVは、ハイブリッドで使ってこそ効率が上がるシステムです。
    >電気だけで走ってエネルギー効率を落とせばCO2が増えるわけで、環境的には元も子もありません。

    急速充電ある三菱のPHEV狙い撃ちしたような記事書いた人は三菱のPHEVのシステム知らないんだろうか?
    三菱のPHEVはトヨタのPHEVと違い高速以外電気でモーター使って走り電気が無くなればエンジンで発電してバッテリーに貯めるシステム
    環境の事考えたらエンジンで充電するより急速充電で充電したほうがよっぽど環境にいい

    1. are様、コメントありがとうございます。一点だけ、補足させてください。

      >環境の事考えたらエンジンで充電するより急速充電で充電したほうがよっぽど環境にいい

      エンジンで充電するのと、急速充電の比較ではそうかもしれませんが、記事中で指摘しているのは、エンジンによるハイブリッド走行と急速充電による走行の比較です。PHEVの場合、ハイブリッド走行に重点が置かれて開発されていますので、EV走行のみにフォーカスした場合、効率が若干低下し、電費は多少悪くなるのが一般的です。これを解決したものがEREVまたはレンジエクステンダーと呼ばれる車両で、日本車ではないのですが、他の国ではBYDやGMが発売しています。これらの車では、ハイブリッド走行そのものができず、エンジンは発電専用(つまり回転数も効率の良いところをメインに使う)、モーターと電池はEV走行に最適化されています。

  4. カリフォルニア州の例を見ても分かりますが、2050年にカーボンフリー社会を目指すとなると、2035年には販売される新車は全てEVにする必要があります。
    https://ww2.arb.ca.gov/our-work/programs/ab-32-climate-change-scoping-plan
    しかし2050年の時点にも若干のガソリン車が残るので、古いガソリン車からEVへの置き換えを促進するための奨励策も必要となってきます。
    残念ながらわが国は2050年にカーボンフリー社会を達成するというビジョンが欠けており、現状のCEV補助金は単なる税金の無駄使いになってしまっています。こういうをやっているといずれ日本は自動車後進国に陥り、取り返しのつかない事になってしまうと危惧しています。

  5. ご存じのことでしたら申し訳ありませんが、三菱PHEVが急速充電対応なのはV2H対応の副産物だそうです。ですので、V2Hのみ対応で急速充電をプログラムでできなくするとかでないと急速充電自体できなくするわけにはいかないんだと思います。この災害の多い日本ではV2Hは非常に優れた技術だと思いますので、PHEVで急速充電はしないでくれってのはこういったサイトやディーラーさんなどで地道に啓蒙するしかないんでしょう。

  6. アウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVにチャデモがあるのは、どちらかというと急速充電ではなく外部給電(V2HやV2L)のためだと思います。なので、PHEVに急速充電は不要かもしれませんが、チャデモは必要だと思います。
    太陽光が家にあるユーザーとしてはV2H機能はかなり魅力的なので売れるのも分かります。

  7. 「クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」の事業目的の一つは「CO2排出量の削減」です。 にもかかわらず、プラグインハイブリッド車よりも一充電走行距離が長い「電気自動車」への補助金が少ない制度では、その設計自体が間違っています。 このような「目的」と「具体的な中身」との整合性がとれない政策では、えこひいきしたプラグインハイブリッド車は買われても、「次世代自動車の普及を促進」は望むべくもないでしょう。
    という文は2017年に書いています。
    5年たっても制度設計を変えない政府の姿勢から透けて見えることは、電気自動車の普及を本当は望んでいないということだと思います。
    https://evnews.blog.jp/archives/21504437.html

    今年度、150km近く走るミニキャブミーブ(16kWh)は41万円なのに、EV走行距離95kmのプリウスPHVや87kmのアウトランダーPHEVは55万円という制度は、矛盾に満ちています。

  8. もちろんEV購入時の補助金も一つの手法として賛成なんですが、それのみにこだわらず、企業生存のためにではなく人類生存のために温暖化対応・脱炭素を優先度第一に置いた総合的な政策が必要であると考えます。

    自動車を購入して使う使う人への政策(A)としては、
    1)EV・FCEV購入時の補助金(PHEVは過渡的なものとして、早めの補助終了を計画する:英国では2022年6月に終了)
    2)重量税・自動車税の恒常的な差別化(ICE車>PHEV>EV・FCEV)
    3)新築戸建住宅、新築集合住宅への充電設備の設置義務化(いずれについても、駐車スペースを設ける場合や設置予定の駐車スペース数に対応して義務づける:英国や米加州等がお手本)
    4)新築・既築を問わず戸建住宅・集合住宅への充電設備設置への補助金
    5)有料道路・高速道路料金の差別化(ICE車>PHEV>EV・FCEV)
    6)公共駐車場料金の差別化(ICE車>PHEV>EV・FCEV)
    7)都心へのICE車の流入制限(北京やロンドン市内への流入制限等お手本に、東京・大阪なども)
    8)国立公園等へのICE車の流入制限(富士スバルラインの事例などを拡大)
    9)ナンバー・プレートにEV/FCEVであることを明示する(英国ではプレート左端に緑色の表示)

    などです。他にもあるでしょう。しかし、より多くの人が購入できるように多種多様なEVが妥当な価格と維持費(充電コスト等)で市場に出回るようにならないと、どうしようもありません。

    そこで、自動車メーカーや関連企業の転換を促すための政策(B)も合わせて、必要なことは言うまでもありません。しかし、日本の場合は政策(B)が遅れているので企業マインドの転換(あるいは、企業のイノベーション)が遅れてくる(いや逆かも?あるいは変革を望まない国民性による?)が故に、それが政策(A)の遅れに繋がっているようにも感じます。実際はどうなんでしょうかね?

    1. 冒頭で企業が悪いと言っているわけではないので、「短期的な国内企業生存のためにではなく、長期的な企業競争力維持と長期的な人類生存のための目標を一致させて」と書くべきでしたね。失礼しました。

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この記事の著者


					木野 龍逸

木野 龍逸

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

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