日本メーカーは圏外~世界のEV販売台数トップ20の現状【2022年3月のデータ】

日本の電気自動車シフトが遅れています。今、世界はどうなっているのでしょうか。米メディア『CleanTechnica』が「Toyota, take notice……」という切ないつぶやきとともに紹介した2022年3月のレポートを全文翻訳でお届けします。

トヨタさん、気付いて……世界のEV販売台数トップ20の現状【2022年3月のデータ】

【元記事】Top 20 Electric Cars In The World — March 2022 (Charts) by José Pontes on 『CleanTechnica

世界のプラグイン車登録台数は2022年3月に昨年同月比で60%増となりました。史上2番目に多い85万1,000台を記録し、全体の15%(BEV11%)のシェアを占めました。その意味するところは、世界の自動車市場が電気の破壊的ゾーンに入ったという事です。

月内に登録された83万2,000台のプラグレスハイブリッドを加えると、3月には世界の自動車市場全体の30%近くが何らかの電動化を取り入れたものとなりました。

プラグレスハイブリッドに関しては先月の成長率はたった1%で、2020年4月~5月のコロナロックダウン以降で最低値でした。したがって今年がHVのピークとなり、2023年からは販売数の下降が始まるかもしれません。

(トヨタさん、気付いて……)

EVの自動車市場破壊が始まる際に起こる奇妙な現象は、HVがピークを迎えることだけではありません。欧州でディーゼル車(の販売)が崖から落下しているような、ガソリンのシェアだけの話ではないのです。中国メーカーの自国市場での台頭や、フォルクスワーゲングループが欧州で勢いを無くしていること、また米国のビッグ4にテスラが将来入るであろうこと(他はトヨタ、GM、ステランティス、フォード)など、メーカーの立ち位置に関わってきます。

3月のBEVは欧州で販売台数が減ったPHEVよりも広く拡大しました(昨年同月比でBEVが81%増、PHEVが19%増)。年初から今日まででプラグイン車のシェアは11%(BEV8.2%)まで成長しています。純電気自動車(BEV)は3月のプラグイン登録車両のうち75%を占め、通年の数値を72%まで上げています。

テスラが金・銀を獲得

月間ベストセラーを見ると、3カ月連続でモデルYが勝者となっています。今回がセダンの兄弟車(モデル3)を打ち負かした初の四半期となりました。

この結果は2つのトレンドから成り立っています。まず、モデルYのデリバリー数は増え続けており、3月に9万2,221台に達してEVモデルとしては新記録を出しました。2つ目に、モデル3のセールスは2022年第1四半期に昨年同期比で1%しか成長していない事が示すように、しばらく横ばいです。

宏光Mini EVが表彰台で3位に登り、BYDのモデル2つが続きました。4位のSong PHEVは2万2,383台の登録(BEV版を含めると2万6,741台)がありました。

トップ10の中には他に3つ記録的な動きがありました。6位のChery(奇瑞)QQ Ice Cream は市場に現れてからたった5ヶ月目にして1万1,687台が登録されました(表彰台に上がる新たなシティEVをもうすぐ見られるかもしれませんね)。9位にはモデル初の5桁、1万848台を記録したヒョンデIONIQ 5が入り、8位のフォルクスワーゲンID.4との差はたった9台でした。レガシー自動車メーカーから出るEVとしてはヒョンデのEVが初めてベストセラーになるかもしれません。ここで疑問が湧いてきます。トップ20の中でヒョンデのIONIQ 5とその従兄弟であるKia EV6だけが中国で売られていないモデルなのですが、いつ導入されるのでしょうか?

長安汽車のBenni EVに関しては、同社の勢いがEVラインナップに反映された形で、中でもBenni EVは花形選手です。トヨタのヤリスにも似たこのモデルは3月に1万728台が登録されました。

下位半分の中では1万27台の登録がされたBYDの元Plusが、発売から3ヶ月目でランクインしました。これがどれ程速い成長だったのかをもう少し分かりやすく説明すると、兄弟モデルのBYD Dolphinの3ヶ月目のデリバリー数は6,000台でした。これから数カ月以内にこのコンパクトクロスオーバーが月2万台以上の売上になっても私は驚きません。

史上2番目に良い月だった世界プラグイン車両市場においてはトップ20のうち9モデルが過去最高の売上となり、多くの新記録が出ました。上述したモデルに加え、14位のGAC(広州汽車)Aion Yが9,501台登録され、MPV(ミニバン)がGACラインナップの新しいスターとなりました。

15位のXPeng P7も過去最高の9,195台が登録されました。このスタートアップモデルはフルサイズカテゴリーで先を行く7位のLi Xiang(理想汽車)Oneや12位のBYD Hanに追いつこうとしており、このカテゴリーのベスト3(16位のBYD Tang PHEVを含めれば4つ)が中国メーカーなのは興味深いところです…… ドイツのメーカーさん、気付いてください。

中国のスタートアップと言えば、20位のHozon(合衆)Neta Vの登録数は8,122台でした。3つ目のレガシー自動車メーカー、また2つ目のE-GMPモデルであるKia EV6は17位にランクインしました。ヒョンデからもうすぐ出るIONIQ 6はこの中に入れるのでしょうか。

今年通年の表を見ると、テスラ モデル3が2位につけていますが、昨年の11%から6.4%にまでシェアが下がり、今のテスラの成長がモデルYにかかっていることが分かります。

その下を見ると、8位のVW ID.4と10位のChery QQ Ice Cream は1つずつ順位を上げてきましたが、前者は2つランクを上げて12位につけたヒョンデIONIQ 5に注意が必要かもしれません。というのも韓国製のレトロかつ未来的なハッチバックとの差は3,000台しか無く、レガシー自動車メーカーのモデルとしてベストセラーにすぐにでもなりえるからです。

下半分では、トップ20に2つのニューフェイスが見えます。GAC Aion Yが兄弟車のAion Sにとって代わって18位に入り、キア EV6がヒョンデ・キアグループの中で2つ目のモデルとしてランクインしました。

20位以下ではBYDの元Plusが1,500台を売り上げ、トップ20にもうすぐ登場しそうです。そうなればBYDモデルとしては7つ目(!)のトップ20入りになるでしょう。

テスラが断トツのナンバー1

トップ2つのブランドにとって3月は記録的な月でした。テスラの登録台数は18万台、BYDは10万5,000台に迫っており、両メーカーが同時に6桁を達成したのは初めての事です。

3位以下でも多くの記録が出ました。ヒョンデとキアはそれぞれIONIQ 5とEV6が強い結果を残し、QQ Ice Creamの成功でCheryは9位につけました。11位のGACはAion Yの成功に乗り、その他16位のChangan(Benni EV)、20位のHozon(Neta V)が見られます。

新記録とはいきませんでしたが、6位のメルセデスベンツは2万6,814台の登録で過去15ヵ月では最高でした。そのすぐ上、5位はフォルクスワーゲンで、こちらもスローな月になっています。またBMWがヴォルフスブルクのメーカー(VW)を抜き、レガシー自動車メーカーとしては3月のベストセラーとなりました。

2月にはあまり動きの見られなかったXPengと長城汽車は3月のランキングに戻り、中国ブランドとして貢献しました。

通年の表では四半期終わりの盛り上がりのおかげでテスラがBYDを抑えトップに君臨しましたが、その差は1.2%で、2019年以降でテスラが2位とつけた差の中では最も小さくなっています(実は2019年の第1四半期終わりでは、BYDの方がテスラを上回っていました)。

他企業に大きな差をつけているトップ2の下には、SGMWジョイントベンチャーが安定して3位に居座っています。その下には4位に返り咲いたBMWがおり、ヒョンデとキアはそれぞれ8位と10位に順位を上げました。

2つの韓国メーカーに挟まれ、Cheryも1つ順位を上げて9位にランクインする一方、下位半分ではChanganが14位に上がってきました。長城汽車とXPengは3月に好成績を残してそれぞれ16位と18位に躍り出ました。

トップ20の中で、平均的なカーブを越えてきたのは誰でしょうか。昨年比でシェアを伸ばしたのは?

分かりやすいのはBYDで、1年で大きく9%のシェアを伸ばしました。他にも数値は控えめとはいえシェアを伸ばしたメーカーがあります。Cheryはシェアを倍に伸ばして2.6%となり、ヒョンデ(+0.8%)とキア(+0.6%)は韓国の陣地を作り、 Li Auto(+0.7%)やGAC(+0.2%)も中国に同じように貢献しました。

メーカーごとの登録台数を見ると、第1四半期終わりにはテスラがリードしていましたが、昨年同期に比べてシェアを1%落としています。勢いをつけてきたBYDが2位におさまり、テスラとの差は1.2%しかありません。2022年に深圳の自動車メーカーはテスラを抜くのでしょうか。個人的にそうは思えませんが、確かなのは両社ともに高い成長のポテンシャルがあるということです。したがってこれから数カ月でその可能性もまだあるでしょう。

BYDのランクアップによりSAICとフォルクスワーゲングループは3位と4位にランクを下げ、昨年に比べて4%もシェアを失っており、大活躍のトップ2の足元にも及びません。さらに5位のGeely・Volvo(5.5%)と、6位のヒョンデ・キア(5.4%)がバックミラーに映っています。

BEVだけを見ると、徐々に市場でのポジションが侵食されているとは言え、テスラが21.6%を占めて主力の位置をキープしています。2位には同じくシェアを減らしているSAIC(昨年から6ポイント減の10.8%)が続き、BYDは5%増加で3位につけました。

フォルクスワーゲンは2021年の同時期に比べて1%シェアを落とし、4位でした。ヒョンデ・キア(5.7%)がその背後に近づいてきています。

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)5件

  1. 高圧受電設備のエキスパート(電気管理技術者)が思うにテスラ社は日本の電気事業法を相当研究しており、高圧受電設備導入・電気主任技術者外部委託・大電力契約などインフラ優先できて「ガソリン車感覚の人間」が欲しがるようにしてはる。よー言うたら電気アレルギーもしくは電気音痴でも乗れるようにした。その分車両本体価格を釣り上げて(笑)高級感も出す…練りに練られた電力情報弱者対策やないですかww
    逆に以前エネルギー管理士を目指した僕は電費の悪いEVを嫌い、インフラコストも電気主任技術者の仕事でイヤになるほど痛感、何より狭い通路をクルマで通らねばならぬからテスラ車などアウトオブ眼中ですー。同じ条件で日産リーフも検討対象から外れて三菱アイミーブMタイプに乗ってる有様ww
    ※さらには高い車を買うのを嫌がる妻の制止力も異様に高い!!(爆)

    ここまで考えたら日本のメーカーは徹底的にガラパゴス市場で戦える車を作るべきですわホンマ。日産三菱軽EVはまさにそんな日本の道路事情と低圧受電49kW制限に即した設計の賜物、しかもEVでは比較的安価ときたもんだ。それに海外とは自動車保安規制が違うから簡単に海外製車種が入れるとも思えまへんで!!

  2. 日本の自動車メーカーは家電・PCと同じ道を辿ってしまうんですね。
    アリアの開発に関わっている人から「アリアは買うな!」と聞きました。
    まだ胸を張ってリリースできる状態ではないようです。
    技術的にも経済的にも中国,、韓国に抜かれていることに気付いていない日本人が多いですね。
    ということで納期を考えるとあまり時間がないので、IONIQ5を注文しました。

  3. Teslaが世界的に売れているのは何なく判るが中国製は『何処で売れて/売って』いるのかな?アジア圏、インフラ見整備の発展途上国にも輸出?・・余り聞いた事無い 逆にTeslaならステータスとして有るのは聞くけれど 台数だけならグラフで判る グダグダの説明より【販売地域/国】で《インフラ整備》の状態示す方が良いのでは 因みに中国の写真では《普通の家庭用電源/コード》でチャージしているのを見た事ある この中の車種にもあるのだろうか?

    1. 旅人様、コメントありがとうございます。中国ブランドの電気自動車は、ほとんどが中国国内で販売されていると思います。
      中国の電気自動車インフラは既に日本や米国を遥かに超え、例えばシンセンではタクシーは100%電気自動車です。北京でもタクシーは、車両入れ替えのタイミングでは必ず電気自動車にしなければなりません。業務に使用して、問題ないレベルの車両が中国中を走行しています。
      また中国は電気自動車を輸出していますがその多くはテスラで、アジア地域や欧州地域に輸出されています。日本で手に入るテスラ車両も中国製です。

  4. 電動化は、Tesla化と言われてしまうほどの勢いになってる。VWグループでも難しいのかぁ。

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この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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