【2021年11月版】経産省がEVの購入補助金を2倍以上に増額を発表? いつ何がどうなるのか確認してみた

倍増が検討されていた経済産業省の電気自動車などに対する補助金が、令和3年度補正予算案に盛り込まれ、閣議決定されました。関係各所に問い合わせ、どうなるのかを整理、以前からお伝えしている記事をアップデートします。

【2021年11月版】経産省がEVの購入補助金を2倍以上に増額を発表? いつ何がどうなるのか確認してみた

【補助金最新情報はこちら】
EV普及へ大前進! 電気自動車などの購入と充電設備設置への国の補助金最新情報【2022年4月更新】(2022年4月2日)

※この記事は、2021年度補助金情報のアーカイブです。
※記事初出は2021年9月4日。
※冒頭写真は2022年にグローバルで発売が予定されているトヨタ『bZ4X』コンセプト。

11/29追記●令和3年度補正予算案が閣議決定

EV購入補助金は最大80万円。軽EVも最大50万円に増額

2021年11月26日、令和3年度補正予算案が閣議決定されて、経済産業省が策定していた「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」が盛り込まれました。「電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車の購入」、「充電と水素充てんインフラの整備」を補助するもので、予算案の総額は375億円。この後、国会での補正予算案の可決・成立を経て実施されることになります。

電気自動車購入に対する国の補助金はいくつかの制度が並行して検討されています。何がどうなるのか。改めて現時点の状況を整理しておきます。

「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」(経済産業省)

まず、今回閣議決定された補助金です。電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車の導入と、それらの普及に不可欠な充電・水素充てんインフラの整備を支援します。購入への補助対象に、外部から充電できないハイブリッド車は対象に含まれません。補助の対象者は対象となる車両を購入する個人、法人、地方公共団体等で、補助の上限額は以下のように示されました。

●電気自動車(軽自動車を除く):上限60万円
●軽電気自動車:上限40万円
●プラグインハイブリッド車:上限40万円
●燃料電池自動車:上限225万円
●超小型モビリティ:定額20万円(個人)、定額30万円(サービスユース)

さらに、「A」「B」いずれかの条件を満たす車両の場合、上限額が上積みされます。

【条件】
A.車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両
B.外部給電器やV2H充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両

●電気自動車(軽自動車を除く):上限80万円
●軽電気自動車:上限50万円
●プラグインハイブリッド車:上限50万円
●燃料電池自動車:上限250万円
●超小型モビリティ;定額30万円(個人)、定額40万円(サービスユース)

国内メーカーのEVやPHEVはほとんどの車種が条件を満たし、上積みされた上限額が適用されます。車種ごとの補助金額見込みについては、経産省のニュースリリースページに、補助車両・設備の補助額見込み一覧(暫定版 ※PDF)が公開されています。ただし、まだ予算成立前なので、あくまでも暫定版の参考額です。

最大のポイントは、従来の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」では42万円だった上限が最大80万円へと文字通り倍増されたこと。また、ミニキャブMiEVで14万円(令和3年度CEV補助金の場合)だったのが36万円で約2.6倍と見込まれるなど、軽EVへの補助金額上限が50万円へ大幅に増額されたことです。

昨年度(令和2年度)補正予算で実施された経産省の「EV&外部給電」で最大60万円の補助金では、車両とともに外部給電装置を購入することが必要でしたが、今回の条件はコンセントが装備されているか、チャデモによる外部給電に対応していればOKなので、V2L&V2H対応を進めてきた国産電動車にとって有利といえます。一方、テスラをはじめとする輸入電動車の多くは外部給電に対応していないので、上限60万円の車種が多くなっています。

無事に国会で予算案が成立すれば、今回の制度による車両の購入補助は、令和3年11月26日以降に新車新規登録(登録車)又は新車新規検査届出(軽自動車)された車両が対象となります。今まさに電動車購入を検討している方も、補助金を待って買い控える必要はありません。

令和4年度「CEV補助金」(経済産業省)

初出記事で金額ほぼ倍増となる355億円の概算要求があったことを伝えた令和4年度「CEV補助金」も、なくなってしまうわけではありません。ただし、今回の補正予算案に盛り込まれた電動車購入補助の制度は、通常予算で行ってきたCEV補助金の増額を前倒しして決定された側面がありそうで、今後の財務省などとの調整の中で、375億+355億! となるのは難しいでしょう。

通常のCEV補助金は、EVやPHEV購入への補助制度としては今回の補正予算案による制度と内容を合わせて予算額を上積みするとともに、二輪車や原付、ミニカー、V2H機器や外部給電器といった、今回発表された補助制度ではカバーしていない車両や機器への補助制度として継続されることになりそうです。

再エネ×電動車による脱炭素型カーシェア・防災拠点化促進(環境省)

軽EVの購入補助については、環境省でも「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」の施策のひとつとして、令和4年度新規概算要求で200億円が盛り込まれていたことは以前の記事でお伝えしました。経産省での軽EVへの補助金増額を受けて、環境省のプランがどうなるのか気になったのですが、令和4年度概算要求についてはまだ検討中であり、詳細はわからないという回答でした。

一方、今回閣議決定された令和3年度補正予算案に、「再エネ×電動車による脱炭素型カーシェア・防災拠点化促進」のための予算として10億円が盛り込まれたことが発表されています。

個人ユーザーの軽EV購入補助をどうするかは経産省補助金との兼ね合いなどを考え合わせて引き続き検討するとして、環境省としては地方自治体への再エネ×電動車導入と、地域住民へのカーシェア拡大を目指すということです。

貴重な予算を活かすためにもEVの車種拡大を!

いずれの補助金も、申請などについては正式に予算案が成立し、事業実施者(令和3年度CEV補助金などは次世代自動車振興センターでした)が決定してからということになります。

軽EVへの補助金増額は、先日受注を開始した軽トラEV『ELEMO-K』にも追い風となる(進行中の手続きが成就して対象車に認定されれば)でしょう。来年春頃とされている、日産&三菱の新型軽EV発売への前祝いとも思えます。

とはいえ、大切な血税を使った補助金を活かすには、まだまだ、EVやPHEVの車種バリエーションが少なすぎるのが現実です。国産メーカー各社もEVをはじめとする電動車への意欲的な発表はいろいろとあるものの、「欲しくて買える」車種のバリエーションがないことには、電動車普及は進みません。

また、補助金が増額されたからといって、EVなどの新車が補助金を上乗せした価格に設定されてしまえば、ユーザーにとって電動車が高い買い物である現実は変わりません。さらに、補助金が出る車種はディーラーの値引きが渋い、なんていう噂も耳にします。

なんとなれば、補助金はなくても世界で勝負できる価格と魅力を備えた、車種豊富な電動車ラインナップが、国産メーカーから続々と登場することを願います。

あと、個人的なアイデアですけど。軽EVへの購入補助を見込んでいた環境省のプラン。経産省補助金と重複してしまうようなら、その予算で全国あまねく観光施設や宿泊施設の駐車場に電気自動車用普通充電設備を拡げるために使ってくれないかな、と思います。

ともあれ、今回の閣議決定は令和3年度補正予算についてです。令和4年度の本予算でも、明るいニュースが飛び込んでくることに期待しています。

(11/29 追記ここまで)

11/17追記

令和2年度第3次補正予算の補助金はすでに受付終了

昨日追記したばかりですが、ちょっとわかりにくいので、修正します。(11/17日)

この記事中でもご紹介している令和2年度第3次補正予算事業であった経済産業省の「EV&外部給電器など」への補助金は9月8日受付分ですでに終了。12月までの延長が示されていた環境省の「EV&再エネ電力」への補助金も、11月8日到着分で受付が終了しました。

したがって、2021年11月17日現在で実施されている電気自動車購入に対する国の補助金は「令和3年度 CEV補助金」だけとなります。対象となる車両の新規登録は令和4年(2022年)2月18日まで。それ以降に登録される車両は次年度分の補助金の対象となります。補助金の最高額は40万円(給電機能を有する車両は+2万円)。車種によって補助金額は異なるので、申請先である次世代自動車振興センターが公開しているPDFファイルを確認してください。

2022年2月19日以降に登録する車両が対象になるはずの、令和4年度の「CEV補助金」は、例年通りとすると3月ごろに予算が成立次第、交付団体募集などが始まり詳細な内容が決定。おおむね5月ごろから申請の受付が始まる(購入日は前年度分の締め切り翌日まで遡って申請可能)はずです。予算が倍増されるということは、もしかすると補助の金額がアップするのかも知れません(未確認の希望的予測です)。予算の成立と、経産省からの正式なアナウンスを待ちましょう。

ちなみに、今年実施された令和2年度第3次補正予算の経産省と環境省の補助金が始動したのは、2021年3月でした。令和3年度の補正予算でも、昨年度と同様に、通常予算で実施される「CEV補助金」よりも高額となる、新たな次世代車普及支援の補助金が組まれる可能性もあります。12月の臨時国会で審議される予定になっているそうなので、期待しつつ、ニュースを注視したいと思います。

EVsmartブログを運営するアユダンテが社有車として日産アリアを正式注文。納車が3月ごろになるということで「じれったいなぁ」と思っていましたが、補助金のことを考えると、いっそ2月19日以降になった方が有利になる(憶測です)、のかも知れません。

(2021年11月16日、経産省担当部署に電話で確認して追記/寄本)

以下、初出記事(2021年9月4日)

2022年度の「CEV補助金」が2倍以上の予算になる!

2021年8月24日、日本経済新聞が「経済産業省が電気自動車(EV)などの普及を促すため、購入者への補助金を2021年度(令和3年度)の155億円から、2022年度(令和4年度)予算では2倍以上となる355億円を要求する予定である」ことを報じました。

報道の根拠となっている概算要求の資料は、経産省の公式サイトでもPDFが公開されていました。また、令和3年度、155億円の予算額についての資料も同様に公開されています。この資料を見る限り、倍増されるのは「CEV補助金」であると思われます。

クリックすると経産省のPDFにリンクします。

両方の文書を比べてみると、「成果目標」として記されている文言に少し違いがありました。

●令和3年度
令和3年度から令和7年度(2025年度)までの5年間の事業であり、「成長戦略フォローアップ」における2030年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を5〜7割とする目標の実現に向け、クリーンエネルギー自動車の普及を促進します。

●令和4年度
令和3年度から令和7年度(2025年度)までの5年間の事業であり、「成長戦略フォローアップ」における2035年までに新車販売に占める乗用車を電動車100%とする目標の実現に向け、クリーンエネルギー自動車の普及を促進します。

すでに施行されている令和3年度補助金の対象となる車種や機器は以下の通り。

●電気自動車(EV)
●プラグインハイブリッド車(PHEV)
●燃料電池自動車(FCV)
●超小型モビリティ
●クリーンディーゼル自動車
●側車付二輪自動車、原動機付自転車
●ミニカー
●V2H充放電設備
●外部給電器

外部から充電できないハイブリッド車(HV)は含まれていません。つまり、経産省が示している「2035年までに新車販売に占める乗用車を電動車100%とする目標」でも、制度の大義としてHVは電動車には含まないと理解することができます。

現在の補助金制度について

今日現在、電気自動車などの補助対象車両を購入する際に利用できる補助金について整理しておきます。今年はとくに、令和2年度補正予算による環境省の「再エネ&EV」と、経産省の「V2H&EV」への補助金があるので、少々ややこしい状況になっています。

令和2年度補正予算による補助金については『期間限定! 環境省と経産省の補助金で電気自動車やPHEVの購入は2021年の今がチャンス』という記事で詳細を紹介しています。

3つの補助金の申請先は、いずれも一般社団法人 次世代自動車振興センターです。

今回の報道を受けて確認してみると、予算額37億円だった経産省の「V2H&EV」への補助金は、8月30日時点で予算残高が約2.2億円。経産省の発表によると、9月13日の週に終了になる見込みとなっています。

また、予算額80億円だった環境省の「再エネ&EV」への補助金は、8月30日時点で予算残高が約29億円。申請受付終了見込み日が、9月30日から12月28日に延長されていました。

年末まで延長されたということは「アリアの納車にも間に合うんじゃない?」と思いつき、日産に確認してみましたが「アリアB6 limitedは今冬の納車を予定していますが、補助金の申請期限に間に合うかどうかはわかりません」との回答でした。

ちなみに、環境省の担当部署に電話して「12月28日に延びた受付終了が、3月末まで延びる可能性もあるんですよね?」と聞いてみましたが、「それはなんともお答えできません」というお返事でした。はは、ま、当然ですね。ともあれ、最大80万円という環境省のビッグな補助金を活用するチャンスはまだ続いています。

2022年度以降、環境省の補助金などはどうなるのか?

経産省の予算要求額が倍増されることは確認できましたが、補正予算で施行されたプラスアルファの補助金が次年度以降どうなるのか。また、倍増された経産省予算の内訳などはわかりません。日経の報道で「軽自動車でもEV車種が増えることが予想され、ガソリン車並みに価格を抑えられるよう補助額の引き上げを検討する」とあるように、1台当たりの補助金額が多くなるのでしょうか。

まず、経済産業省に日経新聞の報道にあった335億円は、どの補助金の予算額なのか聞いたところ、「現時点では概算要求の状態であるため、CEV補助金として335億円が充てられるかどうか不明」という回答でした。

次に、環境省に2022年度の補助金や内訳がどのようになるのか問い合わせたところ、「決定している補助金については答えられますが、報道されている2022年度予算のことについては答えられません」とのことでした。

とはいえ、『小泉大臣も熱弁!『Mobility Transformation 2021』に感じた「移動の進化」の現在地』という記事でご紹介したように、再エネと脱炭素モビリティの普及促進は環境省にとっても大切なミッションです。EV普及を応援する『EVsmartブログ』としては、環境省の補助金は次年度以降もなんらかの形で継続すると考えておきたいところです。

補助金だけで日本のEVは普及するのか?

はたして、倍増された補助金はどのように使われるのでしょうか。日経の記事には「ガソリン車並みに価格を抑えられるよう補助額の引き上げを検討」とありますが、たとえば単純に補助金額を倍増というのは賢明な策とは思えません。

ガソリン車並みに価格を抑えると言われると「なるほど」と感じる方も多いでしょうが、すでに中国では約45万円の『宏光MINI EV』が大ヒットして欧州への進出が決まっていたり、BYDや長城汽車などからお手頃価格のEVが続々と登場しています。プジョーの『e-208』や『e-2008』も、エンジンモデルより新車価格は高価ですが、3年間の維持運用コストを考えるとほぼ同等であることをアピールしています。いわば、EVの価格を「ガソリン車並みに抑える」のは、補助金頼みではなく、企業努力による競争という段階に突入しつつあるのです。

今、明らかになっているだけでも、2022年には日産『アリア』が本格的に発売されるのをはじめ、日産と三菱が合弁で設立したNMKVが開発した軽EV、さらにスバルとトヨタが共同開発中のスバル『ソルテラ』、トヨタ『bZ4X』などの新車種が続々と登場することになっています。

日本でEV普及が進まない最大の原因は「欲しくて買える車種の選択肢が少ない」ことでした。ソルテラやbZ4Xがどんな価格で発売されるかは未知数ですが、実質200万円程度と発表された日産と三菱の軽EVなど、多くの方が現実的な選択肢として検討できるEVの車種が増えることで、2035年に電動車100%という目標が実現に近づいてくるのではないかと思います。

スバル『ソルテラ』。(公式サイトより引用)

ひとつ、あえて提言しておくと「軽EVやバッテリー搭載容量が少ないコンパクトなEVへの補助を厚くする」仕組みがあっていいかも知れません。500万円オーバー、さらに1000万円クラスの大容量バッテリー搭載の高級EVを購入できるのは、家計にもゆとりのある人たちでしょう。「そんなに余裕はないけどEVの新車が欲しい!」という大多数の慎ましく暮らす人たちの背中を押してくれるような補助金があると、とても「ありがたい」のではないかと思うのです。

現行のCEV補助金では、一充電航続距離などを基準にして車種ごとの補助金額が決められているので、大容量バッテリー搭載車が有利。たとえば、バッテリー容量16kWhの軽商用車である三菱『ミニキャブミーブ』への補助金は、車両価格223万円(4人乗り※NEV発表資料掲載価格)に対して14万円だけになっています。

2022年に登場する日産&三菱の軽EVも、バッテリー容量は20kWhという発表なので、現行制度の基準に照らすと補助金額は20万円に届くかどうかといったところになるでしょう。これがたとえば「30万円!」になれば、購入を決断できる人が数万人レベルで増えそうな気がします。

ただし、増額される補助金額を見込んでメーカーが新車価格を高めに設定しては元も子もありません。日本の自動車メーカー各社には、ぜひとも性能やコンセプトとともに、価格の面でも世界、ことに中国と真っ向勝負できる新型電気自動車の開発や発売に尽力していただきたいと、伏してお願いしておきます。

(取材・文/齋藤 優太、寄本 好則)

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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