オーストラリアの電気自動車発売カレンダーに日本の状況を重ねてみました

オーストラリアの自動車メディア『Car Expert』にオーストラリアでの電気自動車ローンチスケジュールをまとめた記事がありました。日本の状況と比較するとどうなのか。試しに一覧表にしてみると「日本未導入」の多さが目立つことがわかります。

オーストラリアの電気自動車発売カレンダーに日本の状況を重ねてみました

※冒頭写真は Kia『EV6』(公式メディアサイトから引用)。

車種がすごく多い! と感じた理由とは

2021年8月7日、オーストラリアの自動車メディア『Car Expert』で「Australian electric vehicle launch calendar」(オーストラリアの電気自動車発売カレンダー)と題した記事を見つけました。

記事によると、オーストラリアでの電気自動車の販売はまだ少ないものの「月ごとに勢いを増している」とのこと。発売予定車種が並んだ記事をざっと見てみると、日本では見慣れぬブランドや車種名もたくさんあって、「こんなにたくさん発売されるんだ!」という印象です。

興味をそそられたので、日本の状況を重ねて一覧表にしてみました。

ブランド車種オーストラリア日本日本価格
Audie-tronAlready on sale発売中9,330,000円〜
e-tron SportbackAlready on sale発売中11,430,000円〜
e-tron GT quattroQuarter 4 20212021年秋13,990,000円〜
RS e-tron GTQuarter 4 20212021年秋17,990,000円〜
Q4 e-tronExpected 2022未発表未発表
Q4 e-tron SportbackExpected 2022未発表未発表
BMWi3Already on sale発売中5,050,000円〜
iXQuarter 4 20212021年以降(予約受付中)11,550,000円〜(限定車)
iX3Quarter 4 20212021年以降未発表
i4Quarter 1 20222022年春以降(予約受付中)未発表
BYDE6Quarter 3 2021未導入未導入
T3Quarter 3 2021未導入未導入
EA1Quarter 4 2021未導入未導入
FordMustang Mach EUnder consideration未導入未導入
Fiat500No confirmation2021年中未発表
GenesisGV60Quarter 4 2021未導入未導入
Electrified G80Quarter 1 2022未導入未導入
Electrified GV702022未導入未導入
HondaHonda eNo confirmation発売中4,510,000円〜
軽自動車--2024年未発表
HyundaiIoniqAlready on sale未導入未導入
Kona 64kWhAlready on sale未導入未導入
Nexo hydrogenAlready on sale未導入未導入
Kona 39kWhJuly 2021未導入未導入
Ioniq 5Quarter 4 2021未導入未導入v
Ioniq 6Confirmed, timing TBC未導入未導入
Ioniq 7Confirmed, timing TBC未導入未導入
JaguarI-PACEAlready on sale発売中10,050,000円〜
JeepWranglerUnder consideration未発表未発表
KiaNiroAlready on sale未導入未導入
EV6Quarter 4 2021未導入未導入
New-gen Niro2022未導入未導入
LexusUX-300eQuarter 4 2021発売中5,800,000円〜
MazdaMX-30Quarter 3 2021発売中4,510,000円〜
Mercedes-BenzEQCAlready on sale発売中8,959,000円〜
EQA250Already on sale発売中6,400,000円〜
EQSQuarter 4 2021未発表未発表
EQA350Quarter 4 2021未発表未発表
EQB2022未発表未発表
MGZS EVAlready on sale未導入未導入
Marvel RUnder consideration未導入未導入
MiniMini ElectricAlready on sale未発表未発表
NissanLeaf 40kWhAlready on sale発売中3,326,400円〜
Leaf e-PlusAlready on sale発売中4,417,600円〜
AriyaUnder consideration発売中6,600,000円~(限定車)
軽自動車--2022年未発表
Peugeote-208Expected 2022発売中3,961,000円〜
e-2008Expected 2022発売中4,332,000円〜
PartnerExpected 2022未発表未発表
PolestarPolestar 2Quarter 4 2021未発表未発表
PorscheTaycanAlready on sale発売中12,030,000円〜
Taycan Cross TurismoQuarter 3 2021発売中13,410,000円〜
MacanExpected 2022未発表未発表
RenaultMegane E-TechUnder consideration未発表未発表
SkodaEnyaqUnder consideration未導入未導入
SubaruSOLTERRAUnder consideration2022年未発表
TeslaModel 3Already on sale発売中4,440,000円〜
Model Supdate due 2022発売中(新型予約受付)11,699,000円〜(納車予定2022年末〜)
Model Xupdate due 2022発売中(新型予約受付)12,699,000円〜(納車予定2022年末〜)
Model YExpected early 2022未発表未発表
RoadsterExpected 2023未発表未発表
CybertruckExpected 2023未発表(先行予約受付中)未発表
ToyotaMiraiAlready on sale発売中7,100,000円〜
bZ4XExpected 2022/32022年中ごろ未発表
C+ pod--限定発売中(2022年一般発売)1,650,000円〜
VolkswagenID.3Expected 2023/4未発表未発表
ID.4Expected 2023/4未発表未発表
VolvoXC40 RechargeQuarter 3 20212021年未発表
C40 RechargeQuarter 4 20212021年秋未発表

一覧表は『Car Expert』の記事に準じてブランド名や車種名を並べました。「fully electric vehicles」をリストしたもので、燃料電池車(FCV)も含まれています。プラグインハイブリッド車(PHEV)や、もちろんハイブリッド車(HV)は含まれていません。

象徴的な「日本の状況」を盛り込みたかったので、ホンダと日産の「軽自動車」と、トヨタの超小型EV『C+ pod』を赤字で加えました。

オーストラリアの発売予定車種が「すごく多い!」と感じたのは、日本にまったく導入予定のない(赤字で「未導入」と記載)車種がたくさんあるから、ですね。

中韓メーカー未導入の差が大きい

アメリカやヨーロッパから見れば、オーストラリアも日本も「太平洋の端っこの国」という条件は似たようなもの。欧米ブランド車種の導入予定状況は、それほど違いはありません。

大きな違いとして目立つのは、赤字で記した「未導入」が多いこと。つまり、BYDや現代グループなど、中韓メーカーの電気自動車が日本には導入されるチャネルすら存在していないのが、オーストラリアとの差になっていることがわかります。

ちなみに、日本では馴染みのない「Genesis」は現代グループのブランドで、「MG」は中国資本。「Skoda」はチェコのメーカーです。

あと、アメリカの「Ford」も、今、日本では販売チャネルがありません。

ŠKODA Enyaq

「Polestar」は、ボルボグループの高級電動車ブランド(ボルボも十二分に高級ですけど)なので、日本でもおいおい導入されるのではないかと思われます。

欲しくて買えるEVはまだまだ足りない

こうして整理してみると、私がEVsmartブログの編集に関わり始めた2018年12月以降、ほんの2年強の間にも日本で買えるEVの車種が格段に増えたことが実感できます。
(当時は、日産リーフ、三菱アイミーブ、BMW i3、VW e-Golf、テスラと、指折り数える程度でした)

【参考記事】
2020年まで待てない! 今、買うべき電気自動車を比較検討「コストパフォーマンス」編(2018年12月28日)

また「やっぱりまだまだ欲しくて買えるEVがないよなぁ」ってことが、心に染みてきます。タイカンやe-tronは魅力的ですが、気軽に手が出せる価格じゃありません。まるで値段と電池容量を申し合わせたような Honda eとMX-30は、相対的に安価に見えますが、電池容量=EVとしての性能を考えるとお買い得とはいえません。リーフは電池の温度マネージメントがなくて、さすがにもう目新しさも枯渇気味。こうして表にしてみると、値下げしたモデル3の販売台数が日本でも急増している理由がわかります。

先日、白馬で40kWhリーフのオーナーさんに東京へ日帰りするためのバス乗り場まで送っていただきながら「そろそろ買い替えも考えたいんだけど、バッテリー容量とか急速充電の対応出力がまだ流動的すぎて、何を買えばいいか判断できないんだよね」という話を聞きました。共感できる意見です。

端的に言うと、車種は増えたものの「欲しくて買えるEVはまだまだ足りない」ということです。

たとえば、日本ではまだ正式な導入時期などのアナウンスはないフィアット『500』のEVは、欧州ではすでに発売されていてバッテリー容量42kWhのモデルが300万円台前半、欧州コンボ規格で85kWの急速充電に対応しています。個人的に「実用的にはバッテリー容量50kWh前後で100kW程度の急速充電対応」があるといいな、と思っているので、500 EVのスペックはまさにドンピシャです。

ところが、ご承知のように日本国内の公共急速充電インフラはおおむね最大50kW出力で、高出力化の動きはまだあまり進んでいない現状です。そのため、海外仕様では100kW程度の急速充電に対応するポテンシャルがあるEVも、日本に導入されるとチャデモへの対応は最大50kWに抑えられる流れになってしまっています。とても、もったいないことだと感じます。

一日も早い軽自動車EVの登場ともに、せめて300万円台で、40〜60kWh程度のバッテリー容量、最大80〜150kW出力の急速充電対応を備えた、できれば日本メーカーの車種選択肢が増えること。そして、なんとか最大150kW程度のチャデモ公共急速充電インフラが、せめて高速道路SAPAには複数台設置で網羅されることを願っています。

そういえば、たくさんのアクセスをいただいている『電気自動車のメーカー別一覧』の記事も、最新情報にアップデートすべく鋭意情報の整理などを進めています。ご期待ください。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 逆に、日本で発売済/発売されるかも、なDS/Citroën/Opelはリストにないですね。
    Polestarは日本に導入されるんですかね。

    1. tobermory さま、コメントありがとうございます。

      細かく検証するよりも、全体像を迅速にお伝えしたく。記事中にも記したように、一覧表は『Car Expert』の記事に準じてブランド名や車種名を並べました。

      ポールスターの日本導入は、すみません、未発表ですし、未確認です。すでに「Polestar Engineered」モデルは導入されてますし、入るといいな、という希望的観測が入っています。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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