第8回『ジャパンEVラリー白馬2021』レポート~EV普及本格化の進展を実感

2021年10月23日(土)、第8回『ジャパンEVラリー白馬2021』が開催されました。今年は12台の『モデル3』が参加。試乗会用車両などを含めると60台のEVとPHEV、FCEVが集まり、電動車普及が新たな段階に入ったことを実感するイベントとなりました。

第8回『ジャパンEVラリー白馬2021』レポート~EV普及本格化の進展を実感

今年は60台の電動車が集結!

『ジャパンEVラリー白馬2021』(主催:一般社団法人 日本EVクラブ)が、今年も長野県白馬村で開催されました。

24日(日)の朝に行った「EV気候マーチ(電動車の村内パレード)」。半数近くの参加者が残ってくださいました。

白馬村でEVを普及させたいと願う、『あぜくら山荘』という宿泊施設を経営する渡辺俊夫さんを中心とした地元の方々と、モータースポーツを持続可能な文化とするためにEV普及を進める必要があることを発信し続けてきた日本EVクラブ代表理事の舘内端さんが共鳴。世界的なスノーリゾートとして脱炭素実践に取り組む白馬村との協力で、2年間のプレ開催を含めて10年目の「ジャパンEVラリー in 白馬」(以下、EVラリー)となりました。
※白馬開催の発端は以前の記事でもご紹介しています。

EVラリーはレースではありません。「ラリー」の語源的には「集合離散」という意味があります。イベントがスタートした2012年当時(市販EVは24kWhの日産リーフや、軽EVの三菱アイミーブくらいでした)は、EVでロングドライブすること自体がちょっとしたアドベンチャー。本州のおおよそ「真ん中」に位置していて、スノーリゾート=自然の恩恵を満喫できる象徴的な場所である「白馬村に全国各地からEVで集まる!」ことの意義を実践して広めるため、「いざ、白馬!」を合い言葉に始まったイベントです。

ゴールしたら白馬村キャラクターの「ヴィクトワール・シュヴァルブラン・村男III世」と記念撮影。参加者には写真入りの「EV普及アンバサダー認定証」が授与されました。

以来、自動車メーカーなどの協賛をいただきながら、日本EVクラブのメンバーや白馬村のみなさんのボランティアで支えてきたイベントで、回を重ねるごとに集まってくださる方々との親交が深まっていたのですが……。

今年は、ちょっと様子が変わりました。昨年の参加台数は30台程度でした。ところが、今年はテスラ『モデル3』だけで12台。一般参加車両は46台、同時開催された試乗会用の車両を含めると60台のEVとPHEV、FCEVが集まってくれたのです。

最も遠くの山口県山口市から日産リーフで参加してくださった津田龍春さんには、白馬村長賞が授与されました。神奈川県海老名市から、超小型EVの『コムス』で参加してくれた羽鳥正彦さんには、白馬観光局賞が授与されました。

ほかにも、日産『リーフ』や三菱『i-MiEV』はもちろん、ポルシェ『タイカン』(しかも、ターボS!)やテスラ『モデルS』、『モデルX』。ソーラーパネルを装着した三菱『ミニキャブMiEVトラック』、『ミニキャブMiEV』。トヨタ『プリウスPHV』、プジョー『e-2008』、日産『e-NV200』。さらにはトヨタ『ハイエース』のコンバージョンEVなど、参加車両だけで日本で走るプラグイン車展覧会になりそうなくらい多彩な参加者が集まってくれました。

新しいEVエヴァンジェリストが増える喜び

多彩だったのは車両だけではありません。今年の春にHonda eのオーナーとなり、夕刊フジで『EV放浪記』を連載している篠原知存さんをはじめ、YouTubeで電気自動車情報を発信し続けているEVネイティブさん(リーフとモデル3オーナーで、今回はモデル3で参加)や、「クルマも、おなかも、いっぱいに!」をテーマに、SNSで日本全国のEV充電スポット周辺の美味しいグルメ情報の投稿を募る「EVごはん」を主宰する石井啓介さん(モデル3で参加)など、自らEV関連情報を発信している方々が参加してくださったのも、スタッフの一人としてとてもうれしい「変化」でした。

私自身、脱炭素への近道であり、乗り物として優れた(と実感している)EV普及の大切さを感じています。そして、日本でEV普及を進めるために、EVユーザー自身が「実感」を発信&拡散していくことが大切な役割を担っているのではないかと思います。

ことに、自ら Honda e を購入したことをきっかけにしたEVに関する「発見」をフレッシュな筆致で発信している篠原さんには、今後、EVsmartブログへの寄稿もお願いしたいと考えています。(篠原さん、改めてご連絡します!)

白馬でのEVラリーが、エヴァンジェリスト(電動車の伝道者)たる先駆的EVユーザーのみなさんの思いを集結する場になるといいな、と思います。また、11月7日に今年は箱根で開催予定の『Japan EV Meetup』のように、EVユーザー自身がEVの魅力を発信する試みが、日本全国、同時多発的に広がっていくとパワフルだな、と思っています。

今年、モデル3のオーナーが飛躍的に増えたように、来年は日産と三菱から発売される軽EVで、さらに多くの「新しいEVオーナー」が誕生するでしょう。とはいえ、エンジン車に比べると、EVユーザーがまだまだ少数派であることに変わりはありません。新たにEVオーナーになったみなさんが、新たなEVエヴァンジェリストとしてさまざまなイベントに参加して盛り上げ、それぞれの情報発信をしてくれれば、日本のEV普及の大きな力になるでしょう。

あ、もちろん大事なのは新しい仲間だけではありません。8回の全開催に参加してパーフェクト賞を受賞した、中村さつきさん、三坪達弥さん、湊ふみ代さん。エッセンシャルワーカーということもあり昨年だけは参加を断念、準パーフェクト賞の石崎啓幸さんをはじめとする、長年の同志のみなさん、そして白馬EVクラブのみなさんの思いが、このイベントの底力になっているのです。

試乗会やフォーラムも盛況でした

試乗会には6台のEVと3台のPHEVが集まりました。

EVラリーでは、今年も白馬村主催の『白馬クールチョイスイベント』として、『EV&PHEV 展示&試乗』と「白馬のゼロカーボンを考える」をテーマとした『クールチョイスフォーラム』が同時開催されました。

6車種のEVと3車種のPHEVが揃った試乗会では、EVラリー参加者はもちろん白馬村民のみなさんなどが、プラグイン車の走りを体感。試乗枠は満員御礼状態になりました。定員を80名に抑えたフォーラムにもたくさんの白馬村のみなさんが参加してくださって、ほぼ満席の盛況となりました。

今までにも開催してきたフォーラムでは、観光地である白馬の方々が忙しい週末の開催ということもあり、なかなか多くの方に参加いただけない実情でした。でも、今年はより多くの村民の方に参加いただくことができ、熱気も高かった印象です。

モデル3の飛躍でEVユーザーが増えたことに比例して、「まだユーザーではないけれど、EVへの関心を高めている」方が、かなりの勢いで増えているのだと感じます。

展示のみでしたが、アウディの『e-tron GT quattro』もサプライズで登場!

コロナ禍の影響で2年続けて1日だけの開催になりましたが、来年は以前のように2日間の開催に戻り、より多くの参加者のみなさんと有意義なコンテンツを楽しめるイベントにできるといいなと願っています。

F1のエンジニアであった舘内さんが内燃機関の危機を実感して、モータースポーツ存続のために電動化が不可欠であることを発信するために「東京ー鈴鹿」を歩き、愛車のジャガーを売って電気フォーミュラーマシン『電友1号』を作ってから30年が経とうとしています。

私自身、舘内さんに啓発されたEVユーザーのひとりとしてこれからも微力を尽くすつもりですが、全国各地のEVユーザーひとり一人が「発信者」になれば最強です。まずは、日本国内で買える「電気大衆車」の選択肢を広げるために、みんなで楽しく声を上げていきましょう! という思いを強くした白馬の週末になりました。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. テスラに代表される高級車には縁もゆかりもないのですが
    電トラにソーラーパネルだとかコンバートハイエースには興味あります。

  2. e208のオーナーです。イベントお疲れ様でした。来年は私も参加してみたいと思いました。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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