もうすぐ日本発売〜ヒョンデ『KONA』に韓国で乗る!「お先にごめんあそばせ」【吉田由美】

7月にHyundai Mobility Japanが韓国で実施した『KONA Electric』のプレス向け試乗会に、カーライフエッセイストの吉田由美さんが参加。日本でももうすぐ正式発売予定で期待が高まるコンパクトなクロスオーバーSUV電気自動車の印象をレポートします。

もうすぐ日本発売〜ヒョンデ『KONA Electric』に韓国で乗る!「お先にごめんあそばせ」【吉田由美】

試乗の前に韓国事情をいろいろ見学

今年5月、Hyundai Mobility Japan(以下、ヒョンデ)は、2023年の戦略を発表する「Hyundai Brand Day」で一台のクルマを展示(関連記事)。それが日本で初披露された「KONA Electrric(コナ エレクトリック)」でした。と言っても、ボディはカモフラージュされ、ありのままの姿を見ることはできませんでした。日本に導入される今秋までお預けかと思いきや、すでに発売されている韓国で試乗してきました。

日本初公開されたKONA Electric。

まず、「ヒョンデ・モータースタジオ・ソウル」で、ヒョンデのクルマのデザインのルーツともいえる、1972年に発売した巨匠ジウジアーロがデザインした「ポニー」やEV化されたポニーEVのコンセプトEVなどを見て、ヒョンデのデザインの歴史とアートを楽しみました。ここはソウル市内の観光スポットにもなっているそう。

試乗はソウルのベッドタウンと呼ばれる高陽市にある「ヒョンデ・モータースタジオ・高陽(Goyang)」をスタートし、仁川空港(インチョン空港)近くのネストホテルとの往復約105㎞。

試乗は2グループに分かれて行われましたが、私は試乗の前にモータースタジオ見学のグループになりました。

ここはソウルのモータースタジオより断然広い韓国最大の体験型自動車テーマパークで、敷地面積は1万7千平方メートル。そこに先鋭的なデザインの建物。お隣は以前、ソウルモーターショーで来たことがあるKINTEX(キンテックス)。1階には KONA Electric をはじめ、最新のヒョンデのモデルラインアップが展示されていて、あとはロボットによるクルマ作りのデモや、エアバックが壁一面にあってそれを触れる場所など、クルマに関するいろいろなものが体験できます。

しかも見せ方がうまい! たとえば交通安全に関して、車の衝突実験のシーンなども実際に車に乗っているような気分で臨場感たっぷりで体感できたり、音楽に合わせ、棒が自由自在に形を変えるアートとクルマの融合…。どれもアイデアとデザインに満ち溢れています。

施設内の地下駐車場にはヒョンデ製のBEV用超急速充電器「E-pit」もあり、それも見学。これも自社製。今回の試乗では実際の充電シーンに立ち会うことはできませんでしたが、260kWで0-80%充電が18分とのこと。2025年までにこの充電器は韓国国内に150か所設置されるそう。というわけで、韓国ではヒョンデの取り組みによって超急速充電のインフラも整いつつあります。

気になって韓国のエネルギー事情を調べてみたら、約70%がガスや石炭を利用した火力発電で、30%が原子力。再生エネルギーはわずか1~2%。エネルギー源のほとんどを海外からの輸入でまかなっているらしく、それは日本と似ていますが、再生可能エネルギーは20%ぐらいで韓国より日本の方が多いのに、なぜでしょう? この差は……。

いよいよKONAとご対面

そして、いよいよ KONA Electric 試乗会のスタート地点。

ここでカモフラージュが取れた KONA とご対面。実は KONA にはガソリンターボエンジンやハイブリッド、スポーティなカスタムモデル、そしてBEVの KONA Electric などのバリエーションがあり、これらは同じ「K3プラットフォーム」を採用するコナファミリーになっています。

ヒョンデのほかのBEVラインアップ「IONIQ(アイオニック)」シリーズのプラットフォームはE-GMP(Electric-Global Modular Platform)なので、そもそも骨格から違うのです。

ボディスタイルは日本にすでに導入されているIONIQ 5 より少し小ぶりなクロスオーバーSUVですが、ICEなどのモデルと比べると全体的に拡大。全長で175㎜、全幅25㎜、全高20㎜、ホイールベースも60㎜大きくなっています。これは、後席を広くするため、とのこと。ちなみに、日本に導入されるのはBEVモデルのみの計画です。

今回試乗したのは韓国仕様車で最高出力150kW、最大トルク255Nmのモーターと64.8kWhのバッテリーを搭載する航続距離の長いロングレンジモデルです。1回の充電の航続距離は最大368㎞(韓国産業通商資源部認定距離)。全長4355㎜、全幅1825㎜、全高1575㎜、ホイールベースは2660㎜。

エクステリアデザインで印象的なのは、アイオニックシリーズ同様、四角い「ピクセル」をフロントやリアなどに採用し、先進感を感じさせる直線的な一文字のLEDのデイタイムランニングライトやライトバーの中もよく見るとピクセル型。

サイドビューは、「Z」型のキャラクターラインが入っていますが、アイオニック5は逆Zで、コナ エレクトリックは正Zというのもデザイナーの遊び心でしょうか。そしてアイオニック5と比べると、全体的に丸みがかっていて、親しみやすい感じがするのも狙いでしょう。

19インチのホイールとタイヤは KUMUHO・マジェスティ9で235/45R19。トランク容量は466L。

今回のコミニュケーションカラーは鮮やかでインパクトのある蛍光の黄色、ネオテレック・イエローのようですが、私の試乗車は華やかな赤(アルティメートレッドメタリック)。カーキ色のようなミラージグリーンも今ドキなボディカラー。

室内はスッキリとシンプルで、12.3インチのスクリーンが2つ並ぶ「デュアルパノラミックディスプレイ」と、意外にもスイッチが多いのが印象的。また、ドライブモードと連動して車内のアンビエントライトの色が変わります。個人的には前方視界はスッキリしているものの、ダッシュボードの高さが気になります。

撮影/木野龍逸

スムーズな走りとデザイン力の高さを実感

試乗コースは、仁川空港近くのネストホテルまで往復105㎞。行先をカーナビにセットしてもらい、先導車付きのカルガモ走行。

走り出しは静かでマイルド。駐車場を出るときの上り坂ですでにBEVの効果てきめん。コナ エレクトリックは、滑らかでかつ元気に登っていきます。そのあとはほぼ高速がメインのルートですが、加速はのびやか。

ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツ、スノーとあるうち、まずはエコモードで走行。スポーツモードに変更するとアクセルを踏んだ直後のレスポンスがよくなります。ただ、ちょっと高速巡行時にステアリングが軽くて、ちょっと落ち着かない感じ。もう少しどっしりした感じのほうが安心感が高まりそう。とはいえ、ACCを設定すれば気にならなくなりますが。

回生の強さはパドルシフトでこちらも4段階。最強ではワンペダルモードになります。

ヘッドアップディスプレイにはカメラマークが頻繁に登場しますが、これは高速道路などのスピード違反の取締り用カメラの表示。韓国ではカメラの数も多く、取り締まりも結構シビアなようで、私もスピードメーターを気にしながらドライブ。しかし、ACCの速度を少し高めに設定しても、道路標識に合わせて速度調整を自動で行ってくれるので、高速道路上での速度変化にも対応してくれて、うっかりミスが防げます。これはうれしい装備!

ちなみに音声ナビは英語(もしかしたら言語は選べるのかも)でした。

高速道路などの分岐は、道路上も色分けされていて、ナビも同じ色で表示されているので、一瞬で行きたい方向を認識でき、これが統一されているので初めての韓国の道でも走りやすかったです。韓国の道路標識が優秀なのと、韓国のデザイン力の高さを感じました。

また、「アクティブ・サウンド・デザイン」という疑似音の音量を3段階での設定が可能ですが、これは音の質というよりボリュームの違いなので、気分的なものかも。

折り返し場所のネストホテルには KONA Electric が展示されていて、フロントバンパーの充電ポートで充電も給電も可能という展示がありました。V2LもV2Hも行えるという演出で、もちろん日本仕様では急速充電のポートがCHAdeMO対応となります。それにしても使われているアウトドア用(?)テレビがお洒落!ここでも韓国家電のデザイン力の高さを痛感。

以前、元日産自動車のデザインのトップだった中村史郎氏と数年前に話していた時に、今、日本の自動車メーカーのデザイナーには韓国人のデザイナーが多いそうですが、「どうしたらああいうセンスが磨かれるのか不思議。その才能に嫉妬する」というような話をしていたことを思い出しました。確かに、韓国は今やデザイン先進国と言ってもよいかもしれません。今回はそんなことを感じた KONA Electric の韓国試乗になりました。

取材・文/吉田 由美

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この記事の著者


					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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