Honda eで「つぎはぎ日本一周」にチャレンジする企画の第4日。茨城県の北部を走ってきました。バッテリー容量が35.5kWhのコンパクトEVですが、道の駅や飲食店でうまく充電休憩できれば電気自動車の気ままなドライブは快適そのものです。
モノクロームの夜明けがちょっと残念

今回どうしても訪ねたかったのが、茨城の絶景として名高い大洗磯前神社です。海岸に立つ「神磯の鳥居」で日の出を撮影しよう、と考えてルートも設定しました。千葉編で見損ねたサンライズをぜひ。
最寄りのホテルを選んで、朝4時に目覚ましをセット。夜明け前に神社の駐車場に到着!……でも、霧雨がしとしと。天気予報は晴れなのに。ナビが「茨城県に濃霧注意報が出ています」と教えてくれました。
次第に明るくなってきましたが、水平線が鮮やかに染まるようなことはなく、モノクロームの夜明けを迎えました。それでも、波打ち際にすっくと立つ鳥居は、見応えがあります。いかにも聖地といった風情。神さまが降り立った場所として敬われているのも納得です。

Honda e 仲間のオススメスポットは日立駅

霧が出ていたのは早朝だけで、すぐに青空が広がりました。目指したのは日立市。「茨城を走ります」と予告したら、Honda eオーナーズクラブの仲間が教えてくれたオススメスポットが、JR常磐線日立駅でした。全面ガラス張りの駅舎は地元出身の建築家、妹島和世氏がデザインを監修した名建築です。駅のみならず、海側を走っている道路がビューティフル。

浜の宮ロードパーク。
「日立シーサイドロード」と呼ばれる海上の高架道路です。国道6号バイパスなのですが、多少遠回りになっても立ち寄って損のないポイントでした。日立駅のそばから海に張り出した90度カーブや、少し北側にある浜の宮らせん橋周辺で特にスケールの大きな風景を楽しめます。途中にある休憩場所「浜の宮ロードパーク」も、海の上だけあって見通しが抜群。海と空をバックにクルマを撮影できます。
海沿いの道の駅で充電休憩
この先は、さくら宇宙公園(高萩市)ぐらいしか訪問先を決めていなくて、とりあえず海沿いを北へ走ります。急速充電器の青看板を見かけたので、立ち寄ってみました。SOC(充電率)には余裕があるものの、ロングドライブ、とくに知らないエリアでは、早め早めの充電が吉、ですからね。
鮮魚店や海鮮料理の店がある道の駅日立おさかなセンター(日立市)。充電器は日本充電インフラが設置しているJFEテクノスのRAPIDAS(ラピダス)でした(関連記事)。事前の会員登録が不要で、クレジットカードやQRコード決済で支払います。充電時間に比例する時間制ではなく、充電量に合わせて払う従量制。受電能力の低いHonda eのようなEVでも納得感のある方式です。
QRコード決済は最初に支払額を決めるシステムで、PayPay2,000円を選んでスタート。余った分はあとで戻ってくるので、多めに払っておきましょう。今回は23分で11.8kWhチャージできて、1,298円でした。

朝早くておさかなセンターは営業時間外でしたが、トイレは24時間使えるようです。お隣にコンビニもあって、良いロケーションだと思います。充電スポットにトイレは必須。できれば飲食もできるとうれしいですよね。
海岸沿いを大津港(北茨城市)へ走ります。東日本大震災のあと、しばらく護岸が崩れたままになっていた記憶がありますが、しっかり復旧されています。以前にはなかった津波避難タワーが立っていました。
近くの高台には小さな灯台があります。震災で損壊して建て直された大津岬灯台です。通りすがりには当たり前の風景なのですが、じつは震災の記憶が重ねられている。ここから先の太平洋岸ではそういう風景に出会うことも増えそうです。

大津岬灯台。
さらに北上を続けると「勿来関(なこそのせき)」という案内看板が登場しました。歌枕(和歌に詠まれる名所)になっていて「来る勿(なか)れ」という意味。東北地方の玄関口ですね。ここからは福島県。引き返すことにします。
訪ねたかったさくら宇宙公園へ
続いて目指したのは(じつはうっかり)通り過ぎていたさくら宇宙公園(高萩市衛星通信記念公園)です。巨大な2基のパラボラアンテナがランドマーク。日本初の衛星通信施設なんです、と言ってもピンとこないかもしれませんが、1963年11月23日に史上初の日米テレビ中継で、ケネディ大統領暗殺という衝撃のニュースを受信したのが、このアンテナ。ドキュメンタリー番組などで映像を目にした人も多いのでは。

いまも国立天文台の施設として天文観測に使われています。芝生敷の一般用駐車場にクルマを停めて、のんびり眺めました。機能美あふれる巨大建造物は見ていて飽きませんね。筆者は同じ1963年生まれということもあって、現役で働いているのもうれしい。まだまだ頑張ってほしいものです。
景勝地では「30分制限」に配慮して充電を断念
アンテナを堪能した後、内陸部へ進路を変えます。高萩市から花貫渓谷を抜けていく国道461号は、山中を抜けるワインディングロード。眺望はそれほど期待できませんが、この季節は走っているだけで鮮やかな緑に癒されます。

袋田の滝。
県内屈指の景勝地・袋田の滝(大子町)にも立ち寄りました。アプリで調べたところ、町営第一無料駐車場に充電器があるようなので、見学している間にチャージできるかも、と期待していました。着いてみると、50kWの急速充電器で認証システムはe-Mobility Power(eMP)とエコQ電。ただ、30分制限がネックでした。滝までわりと距離があるので時間オーバーは必至。充電後放置は不本意なので諦めました。ちなみに駐車場からチケット売り場まで徒歩できっちり片道15分かかりました。
観光地へのEV用充電器の設置は、素晴らしい取り組みです。大歓迎です。ただ、30分制限にしたことで利用率が下がるのはもったいないです。このシチュエーションなら普通充電器で時間制限無しというのも良さそう。EVユーザーの独り言に過ぎませんが、せっかく整備するなら、がんがん使われる充電器が増えてほしいと思います。

袋田の滝で充電できなかったので、最寄りの道の駅常陸大宮に立ち寄って休憩&チャージ。ここはテラチャージの50kW充電器でした。時間制で44円/分。専用アプリから充電時間を10分単位で最大60分まで予約できます。遅めの昼ごはんを摂るつもりで60分に設定。余裕を持ってのんびりできますね。常陸牛のサイコロステーキ定食をいただきました。
26分で15.2kWhをチャージ。充電料金は1,188円でした。1kWh当たり約78円とかなりリーズナブルです。結果的に充電時間は30分以内でしたが、せっかくのんびり旅をしているのに、追い立てられたくないですよね。もし、袋田の滝がゆっくり充電器を繋げる環境だったら、あちらで食事も済ませていたでしょう。
渡良瀬川の夕景を堪能

茨城編の最終目的地に決めていた古河城跡(古河市)へ向かいます。渡良瀬川を天然の水濠としていたお城で、建造物などは残っていませんが、河川敷の雄大な風景が楽しめます。ちょうど日没時に到着することができました。
渡良瀬川で夕日というと、つい森高千里さんの曲が脳内で再生されそうになりますが、見えているのは渡良瀬橋ではなくて三国橋。名前が示している通り、茨城、埼玉、栃木の三県境がすぐ近くにあります。じつはここ、ちょっとめずらしい三県境隣接地で、埼玉、栃木、群馬の三県境もすぐそばに。次の県を訪ねる時の出発地候補にします。
ファミレスでちょい足しチャージ

SOCが30%を切って東京の自宅まで届きそうにないので、アプリで検索。充電器のあるファミレスを見つけました。フライングガーデン加須店(埼玉県加須市)です。東北自動車道の加須ICのすぐ近く、というのはナイスな立地条件です。
鹿島市の「ばんどう太郎」でも普通充電器を使ったDMM EV Chargeのサービスですが、こちらは急速充電器。専用アプリからQRコードを読み込んで充電しました。ちょい足しチャージでいいので、ソフトドリンクでちょっと休憩。20分(540円)で11.4kWh充電できて、無事に自宅まで帰ることができました。
今回は、日本充電インフラ、テラチャージ、DMMと3種の急速充電を使うことになりました。いろいろなサービスが増えてきたのは素晴らしいと思います。テラチャージにも事前登録不要のQRコード決済が導入されたようです。使い勝手もどんどん良くなっていますね。
5年前にEVに乗り始めたころのロングドライブは、地方自治体が設置した充電器や日産・三菱のディーラーが頼り、という感じで、ほとんどすべてeMP提携カードかエコQ電カードで利用していました。逆にいうと、2枚のカードがあれば不自由はしなかったし、いまもおそらくそれは変わらないと思います。
ただ、ホンダが昨年3月末に充電カードのサービスをやめて以来、eMPはビジター利用に。面倒だし高額だし個人的には利用頻度が激減中。それでもロングドライブでは使うシーンがあるのですが、この企画ではこれまで、eMP提携の充電器を使わずに、まったく不自由なくドライブできています。新しい充電サービスが普及してきたのを実感します。
さて、次はどこへ行きましょうか。
みだれ打ち日本一周の記録④
<充電スポット>
【08】道の駅日立おさかなセンター/37%→77%(23分)
【09】道の駅常陸大宮/9%→69%(24分)
【10】フライングガーデン加須店/27%→65%(20分)
<走行距離>
茨城編:592.4km / 合計:1185.7km(4日間)+ アプローチ 183.8km
<茨城編の平均電費>
9.5km/kWh
茨城県の走行ルート

取材・文/篠原知存






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