岡崎五朗氏『EVシフトは誰のため? その裏に潜む投資マネーとユーザー無視の実態』の指摘って本当?

自動車ジャーナリスト岡崎氏による、EV(電気自動車)シフトは「1つの正解のみを押しつける全体主義や、ユーザー無視の環境利権」とする記事が掲載されました。この記事にはいくつか、重要な誤りが含まれています。当記事では政治や金融には触れず、事実誤認だけを指摘したうえで、意見を述べたいと思います。

岡崎五朗氏『EVシフトは誰のため? その裏に潜む投資マネーとユーザー無視の実態』の指摘って本当?

※冒頭画像はイメージ写真です。

CO2排出がマフラーから火力発電所の煙突に替るだけ?


バッテリーは生産時に多くの二酸化炭素を排出することや、火力発電が主流である限り二酸化炭素を排出するのがクルマのマフラーから火力発電所の煙突に替るだけ、という論はいまや多くの人が知るところとなっている

バッテリーの生産時にCO2排出があるのは事実ですし、日本の火力発電比率は75%で再エネ比率が19%ですから火力発電主体であることには間違いないと思います。しかし……、


この議論はLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)という考え方によってあっけなく説得力を失った。

とまで書いてしまうと誤りと言わざるを得ません。

解説①:バッテリー製造のCO2排出

まず、バッテリーの製造工程からです。電気自動車を世界で一番多く販売しているテスラの場合、ほとんどの電池は米国ネバダ州のパナソニック・テスラ共同の工場と、日本の関西にあるパナソニックの工場、そして中国向けの車両用の電池は韓国LG Chemが韓国内で、中国CATLが中国国内で生産しています。パナソニックやテスラは再エネでバッテリー製造する方向性を発表していますし、LG Chemにはテスラが工場でのCO2排出を再エネ化するように依頼しています。

ご存知のように一定の工場の電力を再エネに切り替えるのはそれほど難しいことではありません。これにより、電池製造にかかる排出はかなり削減され、一説には半分(7ページ目)とされています。

解説②:現時点でもLCAはEVが優位

次に、排出の削減効果についてです。そもそも、火力発電75%の電力であっても、電気自動車はハイブリッド車より排出が少ないです。例を挙げてみましょう。

こちらの表は、米国環境保護庁(EPA)のデータで、左からトヨタプリウス、テスラモデル3 SR+、レクサスRX 450h AWD、テスラモデルX LR+を比較したものです。なぜ日本のデータを使わないのか?というご意見もあると思いますが、実は他の基準には現実に即さないという皆さんもご存知の課題があり、当サイトでは、実燃費・実電費に最も近い基準である米国EPA基準を用いています。

  • JC08:日本独自の基準で、海外の車両は比較できない。また最も基準が甘く、JC08基準で測定した電気自動車の航続距離は、到底一般人では走行が不可能。
  • WLTC:世界で統一された燃費基準だが、実は日本のWLTCと欧州のWLTCの値は基準が異なり、比較ができない。「甘さ」という点では、JC08よりは厳しいが、EPAほどではない。
  • EPA:米国独自の基準。最も厳しく、EPAで300km走行できる、となっていれば、時速100キロで300km走行でき、実燃費に近い。デメリットとしては、日本独自の軽自動車や欧州で一般的なディーゼル車が米国では販売されていないため、それらのデータがない。

【電費に関する詳しい説明記事はこちら】
『電気自動車の燃費=「電費」とは? を徹底解説!』

実際に見やすい形の表に変換してみます。

 プリウス
(乗用車代表)
テスラモデル3 SR+レクサスRX 450h AWD
(大型SUV代表)
テスラモデルX LR+
EPA燃費/電費56MPG24kWh/100mi30MPG32kWh/100mi
↑日本の単位へ23.8km/l6.7km/kWh12.7km/l5.0km/kWh
CO2排出
g-CO2eq/km
97g/km69g/km
@463g-CO2eq/kWh
182g/km92g/km
@463g-CO2eq/kWh
電気自動車から見た排出増の比率+41%+98%

一番下の行をご覧ください。乗用車と大型SUVで、それぞれ同じ車格で比較してみると、乗用ハイブリッド車は75%が火力発電の日本において、電気自動車より41%排出が多く、大型SUVハイブリッド車は電気自動車より98%(ほぼ2倍)排出が多いということがデータから分かります。なお、軽自動車はここで出しているプリウスより燃費は悪く、排出もより多くなります。テスラモデル3 SR+は、日本のすべてのクルマの中で、最も低排出の車なのです。

※ヤリスハイブリッドは64gだ、という意見が出そうです。これは前述のように日本基準WLTC値でのCO2排出量。欧州基準WLTC値でのCO2排出は85g/kmです。欧州基準WLTCでのテスラモデル3 SR+の電費は6.7km/kWh(EPAと同等)ですのでやはり69g。ヤリスハイブリッドはモデル3より23%排出が多いことが分かります。

ライフサイクル(LCA)における電気自動車とガソリン車のCO2排出量の比較を解説した記事では、日本の火力発電比率75%でも、9万キロで電気自動車のライフサイクル排出はガソリン車を下回ることを説明しました。現時点でも、乗用車の廃車時の平均走行距離11万キロを考えると、LCAで見ても電気自動車の優位性は明らかです。

今後、電池製造における再エネ化が進むことで製造時排出が低減すれば、さらにその差は開くことも想定が可能ですね。

※(2020/12/25追記):当原稿で、プリウスのLCAがモデル3のLCAより高い、と読めることが、ミスリーディングだというご指摘を受けました。本文中ではガソリン車と書いていますが、見出しにHVと入っていることが原因だと思います。
実際には、HV車の歴史は長く、様々な車種が提供されています。その中には大型の車両も多く含まれます。HVは大型になると、プリウスほどの燃費改善効果は見込めないため、LCAの改善効果も少なくなります。また、LCAはライフサイクルなので、車両の寿命までを積算して排出量を出します。日本の平均的な登録抹消時の経過年数は13.51年。今日購入した新車は、2033年まで排出を続けます。
EVの排出は、電力網の再エネ率が高まり、排出係数が下がると、過去の車も減少しますので、LCAも低減します。
これらのことから、EVはHVよりLCAでも低排出である、という結論を導き出しました。しかしこれは正確な計算に基づくものではなく、推測を含んでいます。
断定的な内容に読めたことをお詫びいたします。本文はそのまま残しておきます。追加終わり

解説③:発電の低炭素化で差はさらに拡大

LCAにはその先があります。CO2排出量削減は、ガソリン車では、毎年の燃費向上によって行います。電気自動車では、毎年の電費向上に加えて、発電の低炭素化があります。発電網における再エネの増加により、原発事故後も少しずつ電力由来の排出は減少していっています。

イメージを掴んでいただくため、仮にガソリン車の燃費向上の年率と、発電の低炭素化の年率を同じ2%と仮定しましょう。毎年ガソリン車と電気自動車10台ずつ新しい車を販売して、10年後の排出がどう変化するか見てみます。

 ガソリン車排出合計電気自動車排出合計比率
2020年97g x 10 = 970g69g x 10 = 690g1.41倍
2021年970g + 95g x 10 = 1921g67.6g x 20 = 1352g1.42倍
2022年2852g1988g1.43倍
2023年3765g2598g1.45倍
2024年4660g3182g1.46倍
2025年5537g3742g1.48倍
2026年6396g4279g1.49倍
2027年7238g4792g1.51倍
2028年8063g5283g1.53倍
2029年8872g5753g1.54倍
2030年9665g6202g1.56倍

電気自動車より41%排出の多かったハイブリッド車の10年後の排出は、同じ台数販売したと仮定すると、41%→56%まで差が開いています。これはなぜでしょう? 電気自動車は、10年前に販売された車でも、発電が低炭素化することにより、その年の排出量が減少するからです。

補助金付きで5〜6%しか売れないのがEVの実力?

岡崎氏はさらに、BEVの販売は難しく世界各国で補助金の大盤振る舞いがされていると指摘しています。


正直、これだけの大盤振る舞いをしてくれれば私もBEVを買うかもしれない。逆に言えば、ここまでしても5~6%しか売れないのがいまのBEVの実力ということだ。

これは本当でしょうか?

BEVが売れていない最大の理由は価格であり、補助金がなくなると売れなくなる、というのは何となく当たっていると感じる方も多いでしょう。実際に補助金がない地域のデータを見てみましょう。

電気自動車の合計比率を出すのは結構集計が大変なので、あまり正確ではありませんが、傾向を見る意味で、欧州で人気のテスラモデル3とルノーゾエ、米国で人気の同テスラモデル3とシボレーBoltをBEV代表として集計してみました。

国と年度電気自動車1新車に占める比率電気自動車2新車に占める比率
スイステスラモデル3ルノーゾエ
2020(-10月まで)
新車販売184,531台
3,1331.70%2,1301.15%
2019
新車販売311,466台
5,0241.61%1,7990.58%
米国テスラモデル3シボレーBolt
2020(-10月まで)
新車販売2,934,197台
99,9003.40%16,6390.57%
2019
新車販売4,914,791台
146,4502.98%16,4180.33%

欧州で補助金がない国の代表はスイスです。ご覧の通り、今年はコロナによる影響が大きいですが、それでもBEVが新車販売に占める割合は、二車種とも増加しています。

米国では、2020年の1月にテスラの補助金がゼロに、2020年の4月にGMの補助金がゼロになりました。補助金がゼロになると売れなくなるでしょうか? 実際には、同様にコロナの影響は見られるものの、両車種とも昨年より新車販売に占める割合が増加しています。

つまり、補助金がゼロの地域・ゼロになった地域でも、電気自動車のシェアは増大しているのです。

今も価格の高さがBEVの弱点であるという岡崎氏の指摘はその通りでしょう。見方を変えると、EVはまだ高級車が中心でエンジン車に比べて選択肢の車種が少ないにも関わらず、ことに欧州では10%に迫る新車販売シェアに到達しようとしています。現状でさえ「5〜6%も売れている」のが、EVの実力の片鱗であるというのが、EVsmartブログとしての見解です。

中国でさえハイブリッド車を容認した?


一党独裁の中国でさえBEVの普及は達成できずハイブリッド容認へと舵を切ったほどにBEVの販売は難しい。

中国は「ハイブリッド容認へと舵を切った」のでしょうか?

中国の電気自動車に関する規制の記事にもありますが、中国ではハイブリッド車をNEV(=新エネルギー車、これにはBEV/PHEV/FCVが含まれます)ではなく、低燃費車という新カテゴリに分類しています。そして、通常BEVを1台販売すると2-2.5点程度がもらえ、ガソリン車を1台販売すると1点減点。ハイブリッド車を1台販売すると0.5点減点となります。

そうなのです。決してハイブリッドを優遇・もしくは容認しているわけではなく、「2023年までの間」は減点を減らしてあげますよという政策です。2024年以降、どうなるかは発表されていません。

トヨタはもっとも二酸化炭素排出量の少ないメーカーとなった?


その結果、トヨタはもっとも二酸化炭素排出量の少ないメーカーとなっている。【中略】しかし様々な事情で買えない人はハイブリッド車を選んで環境に貢献すればいい。そのほうが全体としての二酸化炭素を効果的に減らせるし、事実欧州でもそういう流れになっているのだ。

まず、欧州で一番CO2排出量の少ないメーカーはテスラであって、トヨタではありません。

ハイブリッド車を選ぶのは、消費者の自由であって、それについては全く同意見です。

でも欧州ではハイブリッド車が普及し、「全体として二酸化炭素を効果的に減らして」いるのでしょうか? 表で見てみましょう。

 2020(1-10月)2019(1-12月)増加率
欧州トヨタ
ハイブリッド車
372,893550,000-32%
欧州EV/PHEV合計918,919564,206+63%
欧州全乗用車計9,696,92815,805,752-39%

ここでは、欧州における今年2020年の1-10月期と、2019年一年間の、トヨタ社のハイブリッド車の販売台数と、完全電気自動車(EVまたはBEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)の合計販売台数を比較しています。

2019年にはトヨタ車のハイブリッド車は約55万台販売されましたが、EV/PHEVも同じくらい貢献していますね。2020年にはコロナの影響でハイブリッド車のみならず、全自動車販売が減少しましたが、EV/PHEVの合計は減少するどころか、逆に63%も増加しています。

2020年度にはEV/PHEVの合計台数はトヨタ車のハイブリッド車の2倍以上に及び、低炭素化に貢献していると言えるでしょう。つまり、ハイブリッド車の低炭素化貢献増大が「事実欧州でもそういう流れになっている」という指摘は事実と異なります。

急激な変化が日本の自動車産業の競争力を削ぐ?


環境問題も大切だが雇用も大切だ。十分な移行期間を設けて部品メーカーに時間の余裕を与え、ソフトランディングを図ることこそが真っ当な企業戦略である。

これはもちろんそうなのですが、EVシフトを急ぐよう求めるのが「環境ファシスト」というのは言い過ぎではないかと思います。というのは、今、一部の米国・中国・欧州メーカーはBEVに真剣に取り組み、雇用の変革を開始しています。企業は「現在の雇用」を守るだけでなく、「将来に渡る継続的な雇用」を守らなければなりません。

日本の自動車産業は、鎖国しているわけではなく、全世界が市場です。全世界の流れが少しずつ変わってきているときに、他国に先駆けて自身が変化し、その際に起きる混沌を受け入れたうえで成長していかないとならないのではないでしょうか?

少なくとも私自身が企業の経営者として、この部分については、「子供の世代に問題は先送り、と、おじいちゃんが言ってる」ように聞こえます。

「BEVはガソリン車より安くなる」はウソ?


数年前の「2021年にはBEVはガソリン車より安くなる」というご立派な予言はいったいどこにいってしまったのだろう?と思わずにいられない。そしていまでも彼らは懲りずに「数年後には下がる」と言い続けている。

Bloomberg New Energy Finance(BNEF)は、2022年にBEVとガソリン車の価格は同等になると、2019年に予測しています。実際に軽自動車やコンパクトセグメントではまだ電気自動車のほうが高額であるものの、毎年、価格は下がり続けています。

例えば日産リーフは以下のような価格推移になっています。

発売年価格(万円)電池容量(kWh)1kWhあたり価格
20104062416.9
20123752415.6
20132732411.4
20153193010.6
2017315407.9
2019416626.7

では実際にもう少し上のDセグメントやD-SUVセグメントではどうでしょうか?日本仕様の、カタログ一番下のグレードで比較してみます。

モデル名税込価格全長x全高x全幅(mm)車両重量(kg)出力(kW)トルク(Nm)燃費(日本WLTC - km/l)CO2排出(g-CO2/km)
レクサスIS 3004,800,0004710x1435x1840164018035012.2190
BMW 318i4,890,0004715x1440x1825154011525013.4173
メルセデス C1804,890,0004690x1445x1810149011525012.7182
テスラモデル3 SR+5,110,0004694x1443x18501611202404149Wh/km
欧州WLTC
69
@463g-CO2/kWh
レクサスNX3004,546,0004640x1645x1845171017535012.6184
BMW X3 xDrive20i6,750,0004720x1675x1890183013530011.5201
メルセデス GLC 220 d 4MATIC7,000,0004670x1645x1890186014340015.1173
テスラモデルY LR Dual Motor6,724,000 想定価格
(国内未発売)
4751x1624x19212003258527171Wh/km
欧州WLTC(推測)
79
@463g-CO2/kWh

最後のテスラモデルYはまだ欧州で発売されておらず、以下の方法で価格を想定しています。

37990(米国内モデル3 SR+の価格):49990(米国内モデルY LRの価格)=5,110,000(日本国内モデル3 SR+の価格):x(日本国内モデルY LRの想定価格)

なかなか評価は難しいかもしれませんが、Dセグメント、およびD-SUVセグメントにおいては、すでに電気自動車のほうが同等の価格で、性能は上になってきていると言えるのではないでしょうか?

もちろんまだまだ一般に普及する価格ではありませんが、テスラはEセグメントからDセグメントまで降りてくるのに5年かかっています。これから先、2022年に本当にそうなるかは分かりませんが、Cセグメント、Bセグメントと価格が下がってくるのは間違いないと言ってよいと思います。

むしろ、日本メーカーには安価で小型の魅力的な電気自動車開発で、欧米や中韓メーカーに負けないように奮闘していただきたいと願っています。

BEVは思ったより二酸化炭素排出が減らない?


ハイブリッド車という、リーズナブルな価格で使い勝手がよく燃費もいいクルマをユーザーに提供する企業が「時代遅れのガラパゴス」と非難され、高くて不便で思ったより二酸化炭素が減らないBEVをつくれば「よき企業」と賞賛されカネが集まる。

時代遅れのガラパゴスかどうかは全く分かりませんし、触れませんが、高いという点でも、不便という点でも、思ったより二酸化炭素が減らないという点も、ここまでお読みいただければ誤りであることが分かりますね。不便というのは人によると思いますので抜いたとしても、こちらの記事は、BEVについて根本的に誤った認識に基づいて書かれた記事だということが分かります。

一方、最後の結論部分で岡崎氏は「BEVの押しつけは良くない」と論じており、この点については当サイトも同意見です。あくまで、車両の選択は消費者に任せられるべきではないでしょうか。そして日本でEVに乗りたいという「クルマの選択権」を守るためにも、日本メーカーにはぜひ多様なEV開発に尽力していただきたいと願っています。

●元記事のスクリーンショット
元記事
リンク『EVシフトは誰のため? その裏に潜む投資マネーとユーザー無視の実態』岡崎五朗(Yahoo! ニュース個人)

(文/安川 洋)

38 thoughts on “岡崎五朗氏『EVシフトは誰のため? その裏に潜む投資マネーとユーザー無視の実態』の指摘って本当?”

  1. 正確な資料に基づくとても良い記事をどうも有り難うございました。
    昔のことですが,アメリカでGMがかなり優れたEVを開発してリースしたことがありました。
    ユーザーには大いに好評でしたが,周囲の圧力には激しいものがありました。
    様々な既得権益者がEVの普及に反旗を翻しました。
    その結果,GEは全てのEVを引き上げて廃車にしてしまいました。
    この辺りの事情は「誰が電気自動車を殺したか?」というアメリカのドキュメンタリービデオに詳しいです。
    私はそのビデオを持っていますが,アマゾンプライムで見ることもできます。
    EVに反対する人は,事実をねじ曲げてでも反対するものです。
    その本当の動機は分かりませんが,色々と裏のある方もおられるのかもしれません。
    しかし,国の方針としては軽もEV化を進めるということで喜ばしい限りです。
    国には頭のいい人がおられるのでしょうね。
    田舎にある拙宅ではリーフとアイミーブを使っていますが,近くのガソリンスタンドが次々廃業する中にあってEVは自宅で充電できるのでとても便利で助かっています。
    深夜電力で充電していますので,ピーク時に電力需給の面で迷惑をかけることはないと思います。
    またメガソーラーが地元でも普及すれば,余る電力の受け皿として昼間の充電もアリかなと思っています。

    1. 20年以上前のゴルゴ13にこんな話が

      サワダ自動車(モデルはホンダ)からスピンアウトした若手技術者が水素自動車を作りフランスの自動車メーカー(モデルはルノー)に売り込み、テスト走行を無事に終えれば契約するとの回答を得る。

      サワダの創業社長が自動車爆破の狙撃をゴルゴ13に依頼するが断られる

      マスコミを集めた水素自動車テスト走行中にゴルゴ13の狙撃により自動車爆発、契約は反故に

      その後サワダ社長に米国のメーカー(GMがモデル)から電話が入り、我が社はとっくに水素自動車は開発済、でも発売はさる所の意向により絶対に不可能、ゴルゴ13に依頼したのは自社でなくさる所ではとの回答

      サワダ社長の頭の中に石油プラントの絵が浮かんで(石油メジャーを暗喩)終わり

      という内容でした。

  2. 岡崎さんのお持ちの知識がどうあれ、近年のイノベーションに伴い内燃機関車よりもEV車の優位性が生まれてしまっていること、日本政府がどうこう言おうが車販売量の主要国・州においてタイムリミット付きで内燃機関車の販売に制限がかかっていること、日本車メーカーの販売市場が世界市場となっている現状であること、の3つだけを知っていれば、このような未来思考ではない記事を書かないと思うなぁ。

    書きたくないと訴えたけど、メーカー広報部から強く強要されたのかなぁ。

  3. エンジン車から排気されるCO2は回収できないけど
    火力発電所から出るCO2は回収できるんですよね。
    と言うことはCO2排出についてはEVはすごくアドバンテージを持っていると思います。
    ネックはCO2回収についてはコストがまだ高いみたいで「CO2分離回収コスト 2,000円/t」かかるそうですが。
    ただ技術開発はどんどん進んでいるみたいで400円/tも視野に入っているみたいですね。
    なんか世界じゃ石炭火力が悪者のように扱われてますが、これで石炭火力も使用できますね。
    なんせ資源が世界中に何百年分もあるし、途上国にもいっぱい埋蔵されてますからね。
    「先進国はCO2出しまくって発展したのに、俺たちに使わせないとは何事だ! 」となるのは当然ですし。

  4. 良い記事ありがとうございます。

    テスラがトヨタの時価総額を超えたあたりからでしょうか。ネットの素人の書き込みはおろかプロのジャーナリストのものでも冷静さを欠いたようなEVに否定的な発言が散見されるようになりました。

    EVに関する巷のネットニュースを見て疑問を感じた時はまたこのサイトを拝見させていただきます。

    おそらくこれから相当増えることになると思いますが笑。

  5. バッテリー”セル”の生産だけでなく活物質の生産(焼成)にも再生エネルギーを使わないとLCAのCO2排出量は大きく減らないと思いますが
    そこら辺の取り組みってどうなっているかご存知でしょうか?

    1. Cm2p様、コメントありがとうございます。おっしゃるように、バッテリー生産には、生産そのものの他に焼成や、セルの生産後のエージングにも電力が多く使われています。
      特にご質問の焼成については、最近のイーロンマスク氏のインタービューで、ドライ電極技術についての言及があります。これにより、工場面積の削減と消費電力の削減も可能になりそうですが、これはまだ開発中の技術であると認識しています。現時点では、再エネ化を進めてカーボン・フットプリントを下げるしかないと思われます。
      https://blog.evsmart.net/tesla/elon-musk-at-european-conference-on-batteries/

    2. 安川様
      ご返答ありがとうございます

      ドライ電極はCO2やコストの削減のために重要な技術ですが、セル生産時の話です

      懸念してるのは、セルメーカーに供給される活物質が高温焼成で作られているためCO2排出量へのインパクトが大きい点です

      LCAで考えるならセルやモジュールの工場の電力グリーン化だけでなく、各種電極材やその大元の鉱物原料の精製までも考えないといけないのですが
      そこまで踏み込んでグリーン化を謳ってる例を知らないためお聞きした次第です

    3. Cm2p様、勘違い失礼しました。セル生産前の、原材料(例えば炭酸リチウムみたいな)のことですかね?
      私はあまり詳しくないのですが、炭酸リチウムに関してはテスラは検討を進めているようです。確実な情報ではないのでご参考までに。
      https://resourceworld.com/piedmont-lithium-shares-up-90-on-tesla-agreement/
      先日テスラがPiedmont Lithiumとのリチウム・スポジュメンに関する契約をしたことがニュースになりました。ここには二点不思議なことがあります。
      the supply of spodumene concentrate from the company’s North Carolina lithium deposit. Spodumene is the hardrock mineral of lithium.
      と上記記事にありますが、
      1. North Carolinaということはオーストラリアやチリではなく米国東海岸。そして当然ながらトップ企業のAlbemarleなどでなく、何故か中小規模のPiedmont Lithium。この理由は?
      http://mric.jogmec.go.jp/reports/mr/20190329/112230/
      ↑リチウム生産トップ企業
      2. 通常、パナソニックのような電池メーカーはリチウムを炭酸リチウムで調達する。なぜスポジュメン鉱石なのか?

      ここまでは事実です。ここからは推測。
      トータルのカーボン・フットプリントを下げるには、Cm2p様がおっしゃるように炭酸リチウム行程そのものを何とかする必要があります。
      https://d1io3yog0oux5.cloudfront.net/_387a8ad2078edb4536fdea17b0a793e2/piedmontlithium/db/299/2617/pdf/2107973.pdf
      これがPiedmont Lithiumの資料ですが、そもそも炭酸リチウムを経由せず、水酸化リチウムのプロセスであると書かれています。
      https://www.benchmarkminerals.com/membership/exclusive-tesla-becomes-first-automaker-to-enter-lithium-supply-chain-reshapes-foundations-of-china-dominated-spodumene-2/
      これはBenchmark Mineralsの独占記事ですが、これによると、テキサスのギガファクトリーで、スポジュメン鉱石から水酸化リチウムを直接生産するとあります。この方法についてよく理解していないのですが、Piedmontの上記資料には「低コスト」であると書かれています。
      https://www.jadecove.com/research/liohco2impact
      こちらによると、LiOHを使うプロセスはLi2CO3プロセスより排出が多いとの記述もあります。

      Piedmontとの契約の理由は、LiOHにより原材料の輸送コストを下げられる(低炭素)代わりに、できる限り高い効率で水酸化リチウムを製造し(高炭素)、結果としてコストと低炭素化を実現するというものではないかと思います。特にノースカロライナからテキサスへは鉄道で鉱石の輸送が可能なので、ロジスティクスの観点からパートナーを選んでいる可能性があります。
      もちろん、すでにトップ企業であるAlbemarleは鉱石をエンドユーザーに売ったりしないでしょうし、炭酸リチウムをある程度のマージンを取って販売したいのだと思われます。

      ノースカロライナ・スポジュメン鉱石・低コスト・鉄道輸送による低炭素化の組み合わせが、テスラを水酸化リチウム自社生産に向かわせたのではないかと言えるのではないでしょうか?

      最後になりましたが、Jade Cove Partnersの以下の記述をご紹介します。
      To be clear, EVs containing LIBs made from high CO2 intensity LiOH•H2O still save significantly on CO2 emissions over the life of an EV compared to ICEs.
      つまり、水酸化リチウムプロセスであっても、電気自動車はガソリン車などより充分に低炭素であるとのことです。

    4. EV向けの正極材は高容量化のためにハイニッケル化されている傾向ですが、これは炭酸リチウムを原料に使っても上手く作れません
       
      そこで「炭酸リチウムから水酸化リチウム作って、それを原料にする」という一手間を加えており、その分だけコストもCO2排出量も増えます
       
      そのため、水酸化リチウムの直接生成でそれらの増分をなんとかしたいのだと思います
       
      スポジュメン鉱石はかん水由来よりも精製コストが高く、そしておそらくCO2排出量も多いとは思いますが
      もしかしたら、水酸化リチウムの直接生成には有利な原料なのかもしれません
      (つまり、水酸化リチウムを得るまでの総コストで有利?)
       
       
      で、これら原料の精製だけでなく、原料から正極材を高温で焼いて作るところもCO2排出が多いプロセスです
       
      ほとんどのセルメーカーは正極材を外部調達していますので、セルメーカーがグリーン電力を使っているだけでは不充分です

      原料→活物質→セル→モジュールの全プロセスのグリーン化まで踏み込まないといけませんが、実例は有るのでしょうか?
      というのが質問の意図でした

    5. Cm2p様、コメントありがとうございます。

      >(つまり、水酸化リチウムを得るまでの総コストで有利?)

      恐らく壮乞うことなのではないかと推察します。

      >原料→活物質→セル→モジュールの全プロセスのグリーン化まで踏み込まないといけませんが、実例は

      私が調べた限りでは、まさにこれから、というところなのだと思います。先ほどのコメントにコンサルティング会社のリンクがあったと思いますが、その方の記事の下のほうに、製造プロセス全体を見て低炭素化を図らないとダメだ、という主張がなされていました。テスラはここあたりに切り込んでくれそうですが、成果が出るとしても再来年になるのではないかと思います。

  6. 間違っている本人に直接教えてあげてください。他人の間違いを本人の知らないところで言いふらすのは仰っていることがもっともなだけに残念です

    1. つるぴひ様、ご助言ありがとうございます。ご本人には、(私ではないですが)他のEVユーザー様が以前より、いろいろとFacebook等でコメントされているようです。それを拝見させていただきましたが、恐らくご自身の考え方は変わりないのではないかと考えておりました。なお、当サイトでは、ご本人の間違い探し的なことをするのが目的ではなく、事実やデータに基づいた情報をご提供するのが目的です。そのため、元記事において参照されていた数字やデータの解釈等についてだけ、反論を行っています。ご了承のほど、お願い申し上げます。

  7. 普通はハイブリッドからEV化してもCO2は3割減る。と表現すべきところをEVがハイブリッドになると4割も増加すると書くのはフェアな表現とは思いません。(数字上は間違ってはいませんが…。)
    電池製造のLCAについて、いつもデイリーの時間の概念が抜けていらっしゃるのですが、使用する電力のトータルの量がグリーン電力で賄えていても、電力を使用するすべての時間帯でそれが賄えていなければ、あとで系統にグリーン電力で返済していても実態はCO2を排出する電力に頼っているわけで、LCAの計算上は成立しても、実態は電力変動対応の火力発電所が排出するCO2を他人に押し付けているだけで、国や地域全体で見た排出削減にはメーカーが言うほどには貢献できていないと思うのですが、いかがでしょうか?
    私自身もEV大好きで普及して欲しいとは思いますが、正しい情報によるユーザーの選択と、それを後押しする国の政策で実現していってほしいと願っています。

    1. RiotNa様、重要なポイントに関するご指摘ありがとうございます。

      >使用する電力のトータルの量がグリーン電力で賄えていても、電力を使用するすべての時間帯でそれが賄えていなければ、あとで系統にグリーン電力で返済していても実態はCO2を排出する電力に頼っている

      これはもちろん重要な視点だと思います。最終的には、再エネの導入は、時間帯を超えて実現するべきであります。米国においては(日本より地の利が多い場所が多いため)風力発電が盛んで、テキサス等では夜間電力が無料になってきています。
      ただ地域によってはネバダ州のようにあまり風力発電で賄えない地域もあり、そのような場所では蓄電設備を用いて、できる限りグリッドとの取引に寄らず、自前で再エネ電力を100%調達できるようにしていくことが、次のステップになると思います。

  8. 安川さん、私の懸念点について意見をお聞かせください。

    1.「BEVは日本の電源構成において9万キロ乗れば、ガソリン車に比べてエコになる」について

    同じ岡崎五郎さんが書かれた12月6日付Yahooニュースの記事
    「排他的EV推進論が日本を滅ぼす」 https://news.yahoo.co.jp/byline/okazakigoro/20201206-00211242/
    の中段あたりにVWゴルフのLCAのCO2排出量グラフを載せています。

    ディーゼルgolf(1.4t)を一番左に、その右側に電気自動車e-golf(1.5t、35kwh)が様々な電源構成でそれそれ20万km走った場合におけるCO2のLCA排出量を比べたグラフになっています。このグラフは今年の5月に発表されたようですが、BEVのe-golfが20万km走っても電源構成によっては同じ距離を走ったディーゼルgolfとあまり変わらないという、にわかには信じがたいグラフです。中国で走らせるとBEVのe-golf方が二酸化炭素排出量が多いという結果になってしまっています。日本でBEVのe-golfが走った場合のCO2排出量はグラフにはなく記事中で注釈されていますが、ディーゼルを少し上回るようです。

    ディーゼルはCO2排出量が元からガソリンに比べ少ないのかもしれませんが、それにしても20万km走行した後の結果でこういうデータが出てきてしまうとBEVは本当にCO2排出削減に寄与できるのか不安になります。
    再生エネルギー比率が33.6%のドイツ(日本は16%)ですら、20万キロ走ったe-golfの方が環境負荷が重いという…。この事実がある為に、ドイツ政府が水素供給インフラに投資したり、自動車メーカーが水素研究を続けバスやトラックの燃料電池車の構想を発表したり、48Vハイブリッドを作ってみたりする理由はこの辺りにあるのだな、と合点がいきました。

    イニシャルコストが高く、充電設備を整えるのにもお金がかかり、税金なども今後ICE車と同様に取られていくことを考えると、現時点でも経済的とは言えないBEVがその普及で欠かせない大義名分の「環境性能」が失われているような気がしてなりません。
    このグラフがBEVを積極的に推進するVWから出されているのでより信ぴょう性があるように感ぜられます。BEVを選んでよいのか疑問を持ってしまいます。

    2.「BEVはガソリン車より安くなる」について

    https://blog.evsmart.net/ev-news/electric-vehicles-cost-parity-in-2022/
    こちらの記事を読みましたが、このブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスがレポートすることのみで、主張が組み立てられていて根拠に弱い印象を受けました。
    リチウムの価格はこれまでは下がってきていて、それに伴いリーフの価格も低下しているというのはよく理解できます。

    私もリチウム電池の価格がこのまま下がっていけばBEVが手の届く価格になる!と期待を持っていましたが、リチウムの先物価格https://jp.tradingeconomics.com/commodity/lithiumが先月から17%ほど上昇していて値段が下げ止まっています。
    2017年末からずっと下げてきているのですが、それ以来初めて反発しました。これ以降は下がらなくなるという兆候のようなものではないでしょうか?

    岡崎さんの記事にもあるように、電池は原材料価格がもろに効いてくる化学製品です。半導体やほかの工業製品と違い製造技術の改善で製造コストが劇的に下がるというような性質の品物ではありません。
    これから世界中で大容量の電池を積んだBEVや、電池を動力とする船舶、航空機、およびバッファとしての定置型電池などが作られるようになると需給がひっ迫し材料価格が高騰、リチウム電池も鉛電池のように価格の下げ止まりが来るのではないかと危惧しています。
    BEVのインバータ他の部品が量産効果で価格を下げたとしても、それを帳消しにしてしまうほどのリチウム価格の上昇があれば意味がありません…。

    1. BEVに乗りたい 様、いつもコメントをいただきありがとうございます。

      >ディーゼルはCO2排出量が元からガソリンに比べ少ないのかもしれませんが、それにしても20万km走行した後の結果でこういうデータが出てきてしまうとBEVは本当にCO2排出削減に寄与できるのか不安になります。

      これは、誤解を恐れずに申し上げると、(岡崎氏のFacebook Storyには個人名で投稿させていただきましたが)岡崎氏が参照されていると思われる、日本Car and Driverの記事の書き方にちょっと問題があると思います。この記事は今年の夏に出されているのですが、実際に元となっているのは下記のVWのPR記事で、日付は2019年4月。つまり、Car and Driverはこの内容を、自社の解釈を含めて1年4か月後に別の記事として出しているのです。
      https://www.volkswagenag.com/en/news/stories/2019/04/from-the-well-to-the-wheel.html
      ※注、日本Car and Driver誌の記事は、リンクは貼りませんが、「car and driver vwevco2」をGoogleで検索いただければ表示されます。
      この記事の主要なポイントは、タイトルを見て頂いても分かりますが、電気自動車のLCA排出が多いから辞めようよ!という内容ではありません。
      結論は「the analysis helps on the path to quickly achieving CO₂-neutral mobility.」CO2ニュートラル、つまり電気自動車へのシフトを明確に指し示しているのです。具体的には
      Optimization opportunities are rapidly revealed: Consistently using green power for producing batteries significantly reduces the environmental impact.
      この部分です。つまり、電池製造時に再エネを利用する(ここでNorthVoltを示唆しています)ことで、VWとしては他の自動車メーカーと差別化を行うのだ、というわけです。もちろんこの主張は、走行時電力を供給するグループ会社や、低排出リサイクルへの取り組みに及び、VWが電気自動車に対し、Holistic Approach、すなわち全体を見て、全体としてちゃんとCO2ニュートラルを実現するんですよ、という宣言(PRですからね)なわけです。

      つまりまた誤解を恐れずに言えば、Car and Driver誌は、元のニュアンスを逆に伝えているのです。

      さてデータに再度注目してみましょう。
      https://www.volkswagenag.com/content/dam/online-kommunikation/brands/corporate/world/presence/stories/2019/04/lifecycle/Website_CO2EAuto_EN_1163.png
      こちらの図で、2017年時点でのドイツの電力の排出係数では、ディーゼルのLCA 140g/kmに対し、e-GolfのLCA 142g/kmと逆になっているのですよね。実際には2018年には排出係数はもう少し下がっていて、再エネ率も直近では33.6%→48%へと上昇しています。あまりe-Golfに対して新しい値を使ってもしょうがないですから(もう作ってないでしょうし)、1年進めて2018年の電源構成ではどうなるか試算してみましょう。VWのPRは2019/4時点ですから、2017年のデータを使うのは納得はいきます。
      https://www.en-former.com/en/co2-emissions-from-german-power-producers-on-the-decline/
      ここで、Back in 2016, 523 grams of carbon dioxide were emitted per kilowatt hour of electricity generated, a figure which went on to decrease over the following years to 485 grams in 2017 and 468 grams (provisional figures for 2018).とありますので、2017年は485g、2018年は468gと仮定しましょう。先ほどの図でe-GolfのWell-to-tankの85gが走行時排出ですから、
      485:468 = 85:x で、2018年のWell-to-tankは82gであることが分かります。つまり製造時排出の57gを加えると、57+82=139gと、超僅かですがディーゼルより、e-GolfのほうがCO2排出はLCAでも少なくなっていることが分かります。もちろん、2019年や2020年までこの車を乗り続けていれば、LCAの排出量の差はさらに開き、より電気自動車であるe-Golfのほうが低排出になります。

      二点目、リチウム価格についてですね。
      ここしばらくリチウム価格は上昇しています。またリチウム資源に関する資源株の株価も今年に入ってから上がり、ここ10年で最高値を付けています。しかしリチウムがすべてではないのです。
      https://about.bnef.com/blog/behind-scenes-take-lithium-ion-battery-prices/
      こちらの記事に、同BNEFですがprice sensitivity analysisが掲載されています。これは、どの鉱物が価格に影響を与えているかです。NMC811の場合(これはNMCでは最新です)金属においては、ニッケル価格がより大きい影響を与えていることがお分かりいただけると思います。リチウムが仮に50%高騰した場合、NMC811ベースの電池パックコストは4%以下の影響を受けるそうです。
      A 50% increase in lithium prices would for instance increase the battery pack price of a nickel-manganese-cobalt (NMC) 811 battery by less than 4%. Similarly, a doubling of cobalt prices would result in a 3% increase in the overall pack price. Yes, contracts may fluctuate depending on the underlying commodity price but not by as much as you might think.
      またこれは、BNEFの最新の、バッテリーのパックコストとセルコストに関する記事です。
      https://about.bnef.com/blog/battery-pack-prices-cited-below-100-kwh-for-the-first-time-in-2020-while-market-average-sits-at-137-kwh/
      BNEFとBenchmark Mineral Intelligenceをチェックすると、このあたりの事情が良く理解できます。ご参考までに。

    2. 返信いただきありがとうございます。
      また、さまざまな参考になるサイトをご紹介いただき重ねてお礼申し上げます。やはり、英文情報の方がグラフもあわせてより詳しい解説が読めますね。ありがたいです。
      それで回答を読んで尚、疑問に思ったことがあるのでまたお答えいただければと思います。

      1. 走行距離20万km以下ではBEVの方がディーゼル車よりCO2排出量が多くなってしまわないでしょうか。

      >つまり製造時排出の57gを加えると、57+82=139gと、超僅かですがディーゼルより、e-GolfのほうがCO2排出はLCAでも少なくなっていることが分かります。もちろん、2019年や2020年までこの車を乗り続けていれば、LCAの排出量の差はさらに開き、より電気自動車であるe-golfのほうが低排出になります。

      ドイツや他国の乗用車の平均的な年間走行距離がどれほどなのか私にはわかりませんが、2015年発売のe-golfが2020年までに20万km走行できるものなのでしょうか?
      電源の違いによるCO2排出量を示した棒グラフ:The CO₂ balance of an electric car depends on the energy mix (Calculations based on 2017 data
      https://www.volkswagenag.com/en/news/stories/2019/04/from-the-well-to-the-wheel.html#
      で示していることは、BEVは20万km乗って初めてディーゼル車と比較して多少CO2排出量が少なくなるということですよね。
      私の場合で言えば一台の車を20万km走らせるまで所有できる自信がありません(笑)。国土交通省の自動車の使用状況レポートからすると、日本の自家乗用車の平均走行距離1万km/年、平均使用年数11年となっています。20年保有して20万kmですから、いくらテスラのようにOTAでソフト更新されるといってもハードの古さは否めなくなるのではないでしょうか…。15年、20年乗った車に満足感を覚えられるのか、他のBEVに目移りせず所有し続けられるのか、人情的な問題があります。
      平均なので割合がわからないのですが、11万kmが手放される目安と見た場合、
      11:20=x:100でx=55。ディーゼル車の走行時(tank to wheel)CO2排出量が55g。
      11:20=x:82でx=45.1。ドイツでのBEVのwell to tankのCO2排出量が45.1g。
      それぞれの製造時CO2排出量を加えると、
      ディーゼル車:95g=40+55
      BEV:102.1g=57+45.1
      となってしまいます。ドイツでは11万kmというのがどのあたりの走行距離になるのか不明ですし一概には言えませんが、BEVのCO2排出量がディーゼルより多いということになってしまわないでしょうか…?
      ガソリン車との比較ならBEVがCO2排出が少ないのかもしれませんし、そうであることを願います。トヨタのCセグメントハイブリッド車が比較にあると話が早いのですがないものは仕方がありません。ただHVはディーゼル以上に効率が良いのでBEVの分が悪くなる…?正直あまり認めたくないことではあります。さらに日本では再生可能エネルギー発電が少なく、排出係数が高いはずですので、もっと数字は悪くなります。アメリカや中国も同じです。
      BEVを本当にエコロジカル製品にするためには、最低限この距離は乗るように、不本意ですが…強制しないといけないのではと思ってしまいます。ドイツより排出係数が高い国や地域においてはより長い距離となります。距離義務付けが現実的でないなら、再生可能エネルギーで作られた電気を買うよう義務付けるとかですかね。また、手放されたBEVが中古車として流通、利用された場合で、手放した人が新たにBEVを購入してしまえばまた新たに何年、ウン万km走らなければco2排出は改善しません。もちろん、CO2フリーの電源であれば大丈夫です。ICE車は20万km走るには大掛かりなメンテナンスを必要としますが、BEVは低コストでそれが可能でそれ以上の距離も稼働できると私は思っています。ただ、十何年経過したBEVの価値をICE車とは別に捉えなおし、中古車市場で啓蒙していく必要があります。BEV車を次々と乗り換えていくようなスタイルはCO2排出量削減にはまったく逆行する行いであると思います。10万kmぐらいは低走行車、ぐらいに意識を変えていかないといけないと思います。
      また、自家用車でこの距離を乗れないのならば一般消費者に売っていくのではなく、タクシーでBEVを採用するよう促していく方がCO2排出に寄与するのではないでしょうか。企業の営業車でもよいです。運用面では工夫が、充電設備には投資が必要になりますが、それこそ補助を出して普及を後押ししましょう。長距離利用を前提とした営業用乗用車であればBEVの持つ「環境性能」を十二分に活かせるのではないでしょうか。
      あとは電源のカーボンニュートラルを整備した国や地域でないとBEVを使わせないぐらいのことをしなければ、BEVが「思ったより二酸化炭素が減らない」などと岡崎五朗氏やBEV懐疑派に言われつづけてしまうのかもしれません。汚れた電気を使う国や地域でのBEV運用においては不都合な現実ですので、非常に嫌な指摘です。
      このBEVの環境負荷と走行距離と電源構成の関係をうやむやにして大容量BEVの普及を進めていくと、20万kmに満たない走行距離で廃車になった2020年以前のBEVのCO2排出量が問題になってしまうのではないでしょうか?あとでBEVを貶める論調が発生しないか心配になります。
      また、厄介なのが世界のCO2排出国トップ5の再エネ発電シェアがドイツのそれ44%を下回っていることです。中国、アメリカ、インド、ロシア、日本の5か国で世界のCO2排出の6割弱を占めています。これらの国でBEVを走らせることは汚い電気を使うことになります。2020年現在ではCO2の増加を招く事態となってしまいます。フランスは原発大国で、中国は原子力発電所を積極的に増設していますが、放射性廃棄物が出ることを考えるとCO2とは違った性質の問題がありますので、CO2排出が少ない電源とはいえ手放しには原発推進に賛同できません…。むしろ、反対です…。

      申し訳ありません、少し長くなってしまいました。とりあえず質問を終えます。安川さんの知見をご教示いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
      …なんというか自分で自分の首を絞めているような考察になってしまい気分がよくありません笑

    3. BEVに乗りたい 様、コメントありがとうございます。

      >>1. 走行距離20万km以下ではBEVの方がディーゼル車よりCO2排出量が多くなってしまわないでしょうか。

      そのままの、電力の排出係数が11年間続けばそうなりますね。同じ条件で、排出係数を2019年の401gに変更してみると
      https://www.umweltbundesamt.de/en/press/pressinformation/co2-emissions-per-kilowatt-hour-of-electricity-in

      ディーゼル車:95g=40+55
      に対し、
      BEV:96g=57g+39g

      となり、ほぼ同等か少しディーゼルのほうがベターになります。来年以降は恐らくBEVのほうが低排出になりますから、LCAは結局BEVのほうが低くなると考えて良いと思います。

    4. ヤフーの岡崎氏の記事を見てきましたが、20万キロ走ったディーゼル車の走行モードの資料が載せてないのでなんとも言えませんね。
      うちのガソリン車も高速を淡々と走れば18km/ℓでますが、ゴーストップの多い市街地を走ると9km/ℓしか走りません。
      だいたいゴーストップで加速減速を繰り返すとCO2や悪環境物質はいっぱい出て効率は半分まで落ちますね。VWが加減速で数十倍の環境物質を排出するのをソフトウエアでごまかしてデータ捏造をしていたのは事実なので、もしかしたら高速を走るだけのデータかもしれません。
      その国独自の走行モードもあると思いますが、日本のようにゴーストップ加減速の多い地域ではBEVの方がCO2の排出量は少ないように思えますね。

  9. とても参考になる記事をありがとうございます。
    欧米の急激なEV推しには環境問題だけではない裏の事情があることは素人でもわかりますが、ルールチェンジをもくろむ欧米勢に日本勢だけで対抗できないのは明白なので、新しいルールに沿うべく早急に準備しなければ排除されるだけです。
    欧米や中国はもうBEV主流で行くと決めてしまったので、その変化に積極的に取り組んでいる姿勢を見せないと日本製BEVまで難癖つけられかねません。

  10. i3乗りですが現時点はBEVは趣味車です。
    BEVはやっぱり高いです。
    それと自宅中でできれば便利とか充電スタンドが沢山あるとか言いますが、やはり外出先で5分で満タンにできないBEVは不便極まりないです。
    EV推進したいのであれば岡崎さんの一部間違いがある記事の重箱を突く暇があるなら、価格と充電時間というEVの2台課題を屁理屈ではなく正面から解決すべき理論を展開すべきです。

    1. d43f様、コメントありがとうございます。
      i3だとバッテリー容量がありますので、多少工夫が必要になってしまうかもしれませんね。

      >EV推進したいのであれば

      EVを推進したいのではなく、電気自動車に関して、事実やデータに基づく発信を行いたいだけなのです。

      >価格と充電時間というEVの2台課題を屁理屈ではなく正面から解決すべき理論

      これらは、自動車メーカーが必死になって進めています。そのリーダーは日産であり、フォルクスワーゲンであり、テスラであるわけです。当記事で論理的にご説明させていただいたように、価格については一部のセグメントで解決し始めていること、そして充電時間については、すでに当サイトをお読みいただいているのであれば、解決がほぼ不可能ということはお分かりいただけているのではないでしょうか?
      充電時間に対する解決は、自宅充電、大容量バッテリー、超急速充電技術と、アメニティを伴う超急速充電インフラ、そして簡単な充電計画しかないと、現時点では考えられています。

    2. >>EV推進したいのであれば

      > EVを推進したいのではなく、電気自動車に関して、事実やデータに基づく発信を行いたいだけなのです

      そうなんですね。
      EVを推進して、充電スタンド探索の貴アプリユーザーを増やしたい、という立場、思惑なのかと思っていました。
      岡崎氏との議論、楽しみにフォローします。

  11. いつも楽しく参考にさせていただいています。
    地方では公共交通機関が乏しくDoor To Doorに自家用車を必要とします。 CO2排出等の机上計算のみでBEVへの移行を促されても、充電インフラ問題を解決しなければ実用できないと思われます。集合住宅での充電問題は都会と同様としても、地方は毎日の通勤にそれなりの距離を走りますし、車の複数台所有率は高く1戸建てだとしても帰宅後翌朝までに複数台同時に充電できるのか?など解決すべきハードルは高そうです。BEV移行への社会的意義は十分理解し賛同した上で、実生活では都会とは場面も環境も違いすぎて議論に乗れないなという実感です。福井出身金沢在住なので、「東京<>福井のテスラで往復」記事は個人的に萌えあがりまして、テスラ購入したい思いが高まっているところですが、出先(北陸近辺)での充電方法や車両サービス対応などで二の足を踏んでいます。政府自治体には、地方でも自信を持ってBEVを購入できるインフラ整備を是非お願いしたいところです。

    1. 磯かつ様、コメントありがとうございます。金沢にいらっしゃるのですね。弊社にはなぜか福井出身者が私も含めて3人もいたりします(笑)

      >地方は毎日の通勤にそれなりの距離を走りますし

      これはさすがに大丈夫です。ああ、石川は結構南北に長いんですよね、、私も和倉くらいまで行って、こんなに遠いんだ!と思ったことがあります。
      仮に片道150kmとしても、往復300km。リーフだとe+は必須ですが、テスラならLRなら大丈夫かと思います。夏は余裕。冬は、リーフe+やモデル3 SR+だと帰りに足りなくなる可能性があるので、途中でちょいと休憩しつつ足す必要があるかもしれません。ロングレンジモデルなら往復300kmは余裕と思ってください。そして、ガソリン代の相当な節約になると思います。

      >車の複数台所有率は高く1戸建てだとしても帰宅後翌朝までに複数台同時に充電できるのか?

      これもテスラの話で恐縮なのですが、テスラの純正の充電器は価格が安いだけでなく、4台まで自動的に連携して充電することができます。例えば自宅用の配線が15A分しか準備できなかったとしても、2台の車両を半分ずつ同時に充電してくれます。例えば1台目が通勤用で200km、もう片方が近所用で10km走行するとし、電費が5km/kWhとすると、通勤用で40kWh、近所用で2kWh、計42kWhの充電が必要です。この充電には14時間かかりますが、仮に夜6時に帰宅したとして、14時間後は朝8時。2台とも充電して出発することができます。足りなかったとしても大丈夫。別に12時間しか充電できなかったからといって、200kmが走行できないわけではありません。仮にLRモデルとして
      月曜日朝70kWh→夜30kWh→充電36kWh追加
      火曜日朝66kWh→夜26kWh→充電36kWh追加
      水曜日朝62kWh→夜22kWh→充電36kWh追加
      木曜日朝58kWh→夜18kWh→充電36kWh追加
      金曜日朝54kWh→夜14kWh
      と、仮に実際に使えるバッテリー容量を70kWhと見積もっても、週末には20%の電池が残ります。週末ちょっと出かけるまでに時間があれば、満タンまで戻すことが可能です。
      もちろんご自宅の充電環境を強化して、32A充電できるようにしてしまえば、こんな問題は一瞬でなくなり、充電時間が14時間→7時間に減少します。

      通勤に関しては、あまり、公共のインフラに期待されないことをお勧めします。遠出のときだけ使うくらいで考えておくのがよろしいかと思います。

  12. 実際問題、日本のプリウス、アクアのような普及価格のHVを持たない米国、欧州は一気にEV化を進めてきています。
    日本でのEVの基礎技術は確率されており、日本の技術があればあっという間にテスラや他国並みのEVを造ることは可能と思います。
    ただそこで問題になるのは、バッテリーの生産の確保だと思います。全個体電池はそんなに直ぐには量産体制が整わないと思われるしHONDA e やレクサスの限定的な発売台数を見れば現状ではバッテリー確保が難しい状況ではないでしょうか。

    向こうの土俵で戦うのかこちらで土俵を変えるつもりなのか不明ですが、前者のつもりなら少なくとも海外ではもっと積極的にEVへのシフトを進めて行くべきではないでしょうか。

  13. 科学的な検証を経ているデータを、こちらに置いておきます。
    MITのチームが提供している可視化サイトで、車種別の比較ができます。
    http://carboncounter.com/
    日本の電力の排出原単位と総走行距離にして比較しますと、こちらでも、プリウスとModel3は同程度だと分かります。またそのプリウスはHVの中でもっとも低排出な部類で、他のHVにはずっと排出量が多いものもあります。
    https://twitter.com/kei_sakurai/status/1342413763979345921

    CarbonCounterの計算方法やデータは論文の形で無料公開されており、誰でも検証できます。
    https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.est.6b00177
    またNature Sustainabilityに掲載された独立した報告では、現在の技術ではEVは世界の95%の地域で排出量削減になると記されています。
    https://twitter.com/kei_sakurai/status/1340337631574388736
    こうした科学的報告に疑義があると主張するならば、同等の学術論文誌に投稿し、反論等も科学的に退けて見せるのが筋です。
    それなのにVWやAstonMartinのように、エンジン車だけこっそり非現実的な低燃費を仮定して発表する等のケースがよく見られます。諸賢、ご注意を。
    https://twitter.com/kei_sakurai/status/1335612358325018633

    1. 補足ですが、これは日本の現状の電力の排出原単位の場合です。
      日本でも今後電力の低炭素化が進むと、その分EVも全体的に低排出になって行きます。
      また欧州平均やカリフォルニアのように日本より低排出な電力なら、基本的にEVの方がHVより有利になります。

  14. メディアはトヨタの電気化の遅れを叩いたり、”欧州は〜、アメリカは〜、中国は〜”と日本の後進性を書くような記事が好きなようですが、私はメディアの海外贔屓なのではと思ってしまいますね。確かにまぁ、ラインナップを見れば日本勢はほとんど売っていませんから当然といえば当然なのかもしれませんが。
    私はトヨタは全固体に可能な限りのリソースを全てのつぎ込んでいて、2025年位までには史上において相当な優位性を持つ車を売っているのではないかと思います。
    長期的なスパンで見たら電動化は確実だと自分も思いますが、だとすると尚更ここ数年の業績を捨ててでも全固体にリソースを振るという方針は案外間違ってないんじゃないでしょうか?
    実際全固体が実現すれば実用面で全く別のフェーズに突入すると思います。
    今安易な批判をして、後で”それ見た事か”と言われるのはメディアが1番損をすると思いますがねぇ。

  15. いやいや驚きました。僕の記述の「重大な誤り」を指摘するために詳細なLCA解説をされていますが、これはそもそも必要ないのです。というのも……以下原文です。

    「問題は、上記の動きに乗じて急浮上してきたBEV至上論だ。曰く「二酸化炭素を一切出さないEVこそが地球温暖化防止の切り札なのにハイブリッドを許容するとは生ぬるい!」。彼らが言うEVとはバッテリーのみを搭載したEV=BEV(バッテリーEV)のこと。しかしこの議論はLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)という考え方によってあっけなく説得力を失った。バッテリーは生産時に多くの二酸化炭素を排出することや、火力発電が主流である限り二酸化炭素を排出するのがクルマのマフラーから火力発電所の煙突に替るだけ、という論はいまや多くの人が知るところとなっている。細かく言えば日本の現在の電源構成でもEVはハイブリッド車よりわずかに有利だが、それは枝葉の議論であり、「二酸化炭素を一切出さない」という主張の証明にはならない。」

    LCAにおけるEVの優位性は認めているんですよ。その上で、その程度の差であればEVが圧倒的に優れているわけではない=思ったほど二酸化炭素は減らないという評価を導き出しているだけの話です。

    このサイトに集うEVファンの方はわずかなLCAの差を重く見るでしょうし、その重要性も理解しますが、EVに詳しくない多くの一般ユーザーにしてみれば、HEVとBEVの二酸化炭素排出量が5万キロ走行時点で並ぶのか10万キロ走行時点なのか、あるいは15万キロなのかはさほど大きな問題ではなく、ゼロヒャクじゃない=思ったより差は大きくないことの方が重要なのです。EVの世界にどっぷり浸かっていると見えなくなるのかもしれませんが、それがリアルワールドの現実であり、僕が語りかけているのはそういうリアルワールドの人々なのです。もちろん、EVを普及させることを目的とするなら安川さんの主張は正しいんだろうと思いますが。

    いずれにしろ、自説を正当化するために都合のいいところだけを抜き出して印象操作をするのは三流週刊誌のやり方であり、EV界きっての論客である安川さんや、EVsmartブログさんのクレディビリティ低下につながりかねないと危惧します。EVsmartブログさんの益々の発展をお祈りしています。岡崎五朗

    1. 岡崎様、コメントありがとうございます!

      >>LCAにおけるEVの優位性は認めているんですよ。その上で、その程度の差であれば
      >>EVが圧倒的に優れているわけではない=思ったほど二酸化炭素は減らないという評価を導き出している

      ここが要点だと思いますが、この点が、客観的に見て、データをもとに判断すると、論理的ではないと考えています。

      将来的には低炭素化するためのEVですが、そのためには、ご同意頂いているように電源構成の低炭素化が必須で、「現状のままでは」少ししか差が出ない、というのは事実です。しかしポイントはそこではありません。

      将来的に、電気自動車と、低炭素電源はお友達として、一緒にエネルギーセクターと運輸セクターの低炭素化を同時に図るのです。つまり、今後、電源構成の低炭素化により、電気自動車のLCAは飛躍的に低下します。「思ったより差は大きくない」ではなく、大きな差がつく、ということです。

    2. >自説を正当化するために都合のいいところだけを抜き出して印象操作をするのは三流週刊誌のやり方であり

      特大ブーメラン乙w
      貴方の記事だって内燃機関車メーカーにとって都合のいいような印象操作とも言える内容でしょうに。
      あ、元から3流週刊誌の記者でしたね、失礼しました(笑)

      違うというなら櫻井さんの仰るように世界的な学術誌や学会で自身の記事を発表して、正式に認められた論文として議論に持ち出すべきでは?

    3. takku様、コメントありがとうございます。
      大変申し訳ないのですが、できる限り、コメントされている他の方々へも敬意を忘れずに、投稿いただけますようお願い申し上げます。今後ともまた機会があれば記事をご覧ください。

  16. 安川さん
    「思ったほど優れていないLCA」、「まだまだ高い価格」というBEVに対する現状認識は共有できました。いずれその問題が解決される日が来るという点も同じだと思います。そこから先の見解の相違は見ているタイムスパンの違いでしょう。

  17. i-MiEVに乗る強電屋(電気主任技術者)です。
    たしかに現在の電力会社発電エネルギー源を考えると火力主体ではLCAつーかCO2排出は減りにくいですが、当家のようにソーラー発電がある場合は間違いなくCO2排出削減は可能です。
    EVパワーコンディショナーやV2Hなどがあれば送配電ロスすらありませんし、HVDC(高圧直流)が普及すれば日産リーフDC360Vは変換しなくとも電源として役に立ちます。おそらくそれが重要なんじゃないかと。
    IT化でいうならデータセンターの電源が交流では機器ごとに直流へ変換するため大量の熱が発生し大型空調機が必要になるなど損失だらけですが、直流化すれば蓄電池もコンピュータも相性がよくなり発熱も電力消費も3~4割減ります、さらにソーラー発電があれば耐停電性能も上がるとの報告多数。DC400V前後なら日産リーフを蓄電池代わりにすればOK!!…電気自動車は「動く蓄電池」、視野は広くワイドビューでww

  18. 先日、ウチの電気メーターがスマートメーターに切り替わりました。
    調べてみると2019年3月の段階で5200万台設置で普及率64%らしいです。
    この夏の猛暑でも電気が足らないということは聞きませんでしたがスマートグリッドの効果が出始めたんでしょうか。
    もし100%普及になったら火力発電の出力の制御がもっと無駄なく行われるようになるんでしょうね。
    とはいえ火力発電の出力上げ下げは、車のゴーストップと同じで何パーセントか効率が悪くなります。
    そこで役に立つのが電気を貯めておいて必要な時に放出できる電気自動車という事ですね。
    BEVがあるだけで火力発電の効率を落とさなくできます。
    単なる移動の道具としての比較だけじゃなく、BEVのおかげで火力発電の効率を良くなりCO2の抑制にもなるということも考慮すべきでしょうね。
    ところで西日本では再生可能エネルギーの比率が増えて、九電に続いて四国電力、中国電力が出力制御による受け入れ拒否しだしたそうですね。
    夏冬は冷暖房が必要なので比率は低いですが、春秋になると再生エネルギーだけで7割くらいを占める時があるそうです。
    V2Gがこれから普及していけば、BEVは火力発電所のCO2を多く排出するどころか、CO2を減らすことに貢献できますね。
    これはガソリン車には真似のできないことですね。

  19. 岡崎五郎さんが投稿されるとはこのサイトもメジャーですね。
    私は「クルマで行こう」をよく見ますし岡崎さんの的確な自動車評を参考にさせていただいています。
    しかし「三流週刊誌」という表現は頂けません。これでは売り言葉に買い言葉になってしまいます。
    問題点は発電によるCO2排出に日本がどういう態度を取るのかという事だと思います。EVとHVのどちらが優れているかという議論は泥沼化します。石油や石炭を燃やしながら「これが最適解」と言うのも空しいです。
    間違いなく言えるのは技術革新が世界を変えて来たことでありEVもその一つかなと思います。日本はこの点でどう見ても地盤沈下しています。
    日本の現状のEV普及率でEV至上主義などと言って危機感を煽るのもどうかと思います。
    世界一の産油国であるアメリカが世界一のEVを作り普及させているのに石油を輸入に頼っている日本がEVの普及に消極的なのは奇妙です。
    負けモードに入っているのではないでしょうか?

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この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

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