著者
充電スポット検索
カテゴリー

BYD『シーライオン7』北海道遠征記【前編】さいたま市→北海道陸別町の充電や電費をレポート

BYD『シーライオン7』北海道遠征記【前編】さいたま市→北海道陸別町の充電や電費をレポート

BYD『SEALION 7』AWDで、厳寒環境でのEV性能や北海道の充電インフラを調査してきました。昨年はSEALで実施した「北海道遠征」。今年のレポート、前編では日本で最も寒さが厳しいことで有名な陸別町へのドライブにおける充電や電費などに注目して紹介します。

※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!

目次

電気自動車で「日本一寒い町」へ遠征

ここ数年の恒例となっている真冬の北海道EV遠征。今年、2026年は1月末から2月上旬にかけてBYD『SEALION 7(シーライオン7)』AWDで「日本一寒い町」として知られる陸別町へ走ってきました。

2025年はBYD『SEAL(シール)』で日本本土最北端である宗谷岬へ遠征。3連発のレポート(関連記事)をお届けしました。今年も北海道への上陸は、大洗(茨城県)~苫小牧(北海道)間のフェリーなどは利用せず、基本的に陸路を走行しました。ただし、津軽海峡に橋やトンネルはないので青森港から函館港のフェリーを利用。函館から日本最極寒の陸別を目指す行程です。

スタートのさいたま市から青森港まではおよそ700km、函館から陸別は550km弱程度で、全行程は片道約1250kmを予定しています。日本列島のおよそ半分を一気に走り抜ける超長距離走行。しかも1月末の厳寒環境下でEVにとっては非常に厳しい走行条件となることから、電費性能や冬場における充電スピードの低下などのリアルはどうなのか。また昨年検証したシールと比較してどれほどのEV性能を達成できるのか、順を追ってレポートしたいと思います。

走行ルートや条件など

今回の走行ルート(Googleマップから引用)

まずは、今回の走行ルート、検証した車両の情報、走行条件を整理しておきます。

【車両情報】
●BYDシーライオン7 AWD
●車両価格:572万円(令和七年度補正CEV補助金額:15万円)
●バッテリー容量:82.56kWh
●日本WLTC航続距離:540km
●EVネイティブ航続距離測定結果(100km/h巡航):336km(外気温平均マイナス2.5℃)
●装着タイヤサイズ:245/45R20
●装着タイヤ銘柄:Nokian Hakkapeliitta R5
●タイヤ空気圧(bar):3.0/2.9(実測値/推奨値)(※北海道に近づくにつれて気温が急低下するので、埼玉出発時に推奨値よりもやや多めに入れて出発)

【走行条件】
●追い越しを含めて制限速度の最大10%程度を許容。
●暖房は22~23℃オートに設定。
●八幡平SAまではノーマルモード、八幡平SA以降は降雪のためスノーモードで走行。

【走行結果①】さいたま市(ENEOSさいたま田島店)→那須高原SA(150kW充電器)

●走行距離:162.2km

●消費電力量:99.8%→38.5%
●平均電費:303Wh/km(3.3km/kWh)
●外気温(埼玉→那須高原SA):8℃→マイナス2℃(最低マイナス3℃)

一回目の充電スポットは東北自動車道の那須高原SAです。150kW級が一台、90kWが二台、それぞれ2本出しなので合計6台のEVが同時に充電可能です。昨年のシールの際はまだ那須高原SAの充電設備がアップグレードされる前だったので利用できませんでした。特に那須高原SA手前までは標高が上がることから、多くのEVにとって充電オアシス的な存在です。

ただし電費は3.3km/kWhと思ったほど伸びていません。120km/h制限区間が含まれていること、外気温が氷点下だったこと、そしてタイヤサイズが20インチのスタッドレスなどが影響していると考えられます。

また、シールとは異なりシーライオン7では電源ボタンを押してオフにすると、その電源起動中の使用電力量が表示されます。シーライオン7は電源ボタンを使用せずとも勝手に電源がオフになるので、普通は使うことはないでしょうが、電費を知りたいという方は電源ボタンを操作してみることをお勧めします。

【走行結果②】那須高原SA→国見SA(150kW充電器)

●走行距離:120.2km

●消費電力量:64.6%→20.8%

●平均電費:288.7Wh/km(3.464km/kWh)
●外気温(那須高原SA→国見SA):マイナス1℃→マイナス2℃

国見SAには充電残量20%程度で到着しました。那須高原SAでSOC65%弱まで入れた理由は、シーライオン7の充電特性にあります。シーライオン7はSOC65%弱程度まで105kWの充電出力に対応し、それ以降はSOC85%程度まで84kWが持続します。よって150kW級の充電器で充電する場合は、SOC65%を目安に充電を切り上げて先に進むと最短時間で目的地に到着できるのです。

ちなみに参考データとなりますが、シーライオン7の平均電費はさいたま市街から国見SAまで約3.4km/kWhでした。2年前にテスラモデルYパフォーマンス(旧型)でさいたま市街から仙台市街まで走行した際の平均電費が約4.9km/kWh(関連記事)。外気温やタイヤサイズなどシーライオン7の方が条件が厳しいですし、仙台市街を走行した際に電費は伸びますので一概に比較は難しいですが、少なくとも同走行条件下ではモデルYの方が電費性能で優れていると言えます。

また、昨年のシールでは国見SAでバッテリー温度による充電出力の制限がわずかにかかっていましたが(関連記事)、シーライオン7ではSOC65%まで規定通りの105kWが持続しました。国見SA以北には150kW充電器はありませんので、84kWの充電出力を維持できるSOC85%弱程度まで充電して、さらに北を目指します。

【走行結果③】国見SA→紫波SA(90kW充電器)

●走行距離:205.7km

●消費電力量:83.8%→1.2%

●平均電費:315.5Wh/km(3.17km/kWh)
●外気温(国見SA→紫波SA):マイナス2℃→マイナス5℃

外気温が想定よりも低下したり、岩手県に突入してから早々に積雪が始まったことなどによって電費が想定より悪く、充電残量ギリギリで到着しています。

90kW充電器でも84kWの充電出力に対応しているため、充電時間の遅さについてはそこまで気にすることはないのですが、問題はブーストモードを使用しているため、15分経過すると約50kWに充電出力が制限されてしまう点です。90kW充電器といえども、その最高性能が15分しか持続しないというのは、2026年の段階ですでにスペック不足感が否めません。

さらなる懸念は、4月から施行されるeMPの新たな充電料金体系では、この90kW級充電器と50kW級充電器で料金単価が異なる点です。充電セッションの後半15分間は50kW充電器と同じ電力量しか充電できないにも関わらず、料金単価は90kW級の高めの単価が適用されてしまうのです。これは不公平と感じるので、eMPにはブーストモード付きの充電器を利用する場合、料金単価で公平性を担保できるような料金体系の仕組み構築を求めたいところです。

【走行結果④】紫波SA→日産青森販売 青森西バイパス店(50kW充電器)

●走行距離:200.5km

●消費電力量:84.5%→22%

●平均電費:260.4Wh/km(3.84km/kWh)
●外気温(紫波SA→青森市街):マイナス5℃→マイナス5℃(最低マイナス10℃)

紫波SA以降は雪になりました。特に八幡平SA以北は降雪が強まったので常時AWDモードとなるスノーモードを起動し、速度も抑えたことで電費がかなり改善しています。

2年前にモデルYで電欠した青森の日産ディーラーをあえて目的地にしました。その際に電欠の要因となってしまった充電プラグの固着(凍結)もなく充電することができて一安心です。フェリーの時間が迫っていたこともあり最小限の充電で切り上げてフェリーに乗船。5年連続6回目となる、いざ北海道へ。

【走行結果⑤】函館市街→セブンイレブン千歳インター店(150kW充電器)

●走行距離:241.4km

●消費電力量:100%→36.9%

●平均電費:209.2Wh/km(4.78km/kWh)
●外気温(函館市街→千歳市街):マイナス2℃→マイナス6℃(最低マイナス11℃)

函館からは海沿いを北上して洞爺湖から支笏湖を横目に、千歳市に入るルートを選択しました。というのも、長万部以降は吹雪によって道央自動車道に規制がかかっており、それなら下道で距離をショートカットした方がいいからです。また千歳にはIC近くに150kW充電器が設置されたセブンイレブンがあるため、道東自動車道の入り口として、北海道を長距離移動する際の経路充電スポットとしても非常に利便性が高いです。

ちなみに、今後eMPにも設置計画を聞いてみたいのですが、現在北海道では高速道路上のSA/PAではなく、IC近くのコンビニに90~150kW級急速充電器を優先的に配備しているように見えます。これは今回のように高速道路が定期的に閉鎖されることを見越して、必ず使用可能な下道に設置することを優先しているのではないかと推測できます。

インターチェンジ付近のコンビニであれば、24時間365日稼働は当然なので除雪も必ず入ります。さらに駐車場自体が広い場合が多いので、高性能な充電器を設置できるスペースも確保しやすいでしょう。北海道の経路充電スポットとしては理想系に近いのではないでしょうか?

途中、八雲で昼食休憩。

【走行結果⑥】セブンイレブン千歳インター店→セブンイレブン帯広西19南4丁目店(90kW充電器)

●走行距離:171.0km

●消費電力量:88.8%→43.1%

●平均電費:214.1Wh/km(4.67km/kWh)
●外気温(千歳市街→帯広市街):マイナス6℃→マイナス10℃(最低マイナス14℃)

ようやく「道東の玄関口」である帯広に到着です。気温も低下しており北海道の厳しい寒さを体感。その一方で電費が想定よりも伸びています。やはり東北自動車道よりも速度域が低めな分、気温が低くても電費を稼ぐことができています。

ここが帯広市街の中心部に位置するセブンイレブンです。ここまで来ると経路充電というよりも、街中にある方が観光などの需要を考慮に入れてベターでしょう。シーライオン7には手動の電池プレコンディショニング機能が搭載されているものの、とくに起動せずとも期待通り84kWを発揮できています。

ちなみに、たまたま帯広市街で立ち寄った温泉施設にエネチェンジの6kW充電器が設置されていたので利用しました。このような小さめの温泉施設だと滞在時間は1時間ほどでしょうから、どれだけの需要があるのかはなんとも言えません。ただしエネチェンジは帯広市街の複数のホテルに複数器の6kW充電器を設置しており、これはEVユーザーにとって非常に安心感のある目的地充電インフラと言えるでしょう。

【走行結果総括】さいたま市街→陸別小利別地区

●走行距離:1224.6km

●充電回数:6回

さいたま市を出発してから約1225km、日本最極寒の地である陸別町に到着しました。充電回数は合計6回。道内は積雪などで運転に気を使うこともあり、充電中にちょうどいい休憩時間を確保できると感じました。

一方で東北自動車道の走行では、やはりもう少し充電と充電の間の航続距離が欲しいと率直に感じました。車両の性能として、真冬でスタッドレスを装着したとしても、充電回数1回で青森まで走破可能なスペックが欲しいところです。その上で、150kW充電器が国見SA以北にも最低2箇所以上設置されると、ユーザーは好きな場所で150kW充電器を使用しながら短い休憩を挟むことができるでしょう。

実はこれに近しい性能を実現しているのがテスラモデルYでした。3年前の遠征でも途中仙台で充電するだけで青森市街まで走破できたわけです(ただし2年前は充電残量を責めすぎて人生初の電欠をやらかしてしまいましたが……)。BYDとしてはあと一歩、冬場の電費が改善すると、雪国のユーザーでもある程度満足できるようなEV性能の実現に近づくと感じました。

北海道遠征で恒例の「極寒車中泊」検証

また、毎年恒例の陸別における極寒車中泊テストも実施しました。テスト条件と結果を簡単にまとめておきます。

●検証場所:陸別小利別地区
●検証方法:車内を快適な温度に維持しながら、一晩車中泊を行なって電力消費量を計測。
●検証時間:2026年1月26日23時45分~1月27日7時45分(8時間)
●外気温:マイナス22℃~マイナス25.5℃
●空調設定:23℃/ACオフ/風量3
●消費電力量:13.4kWh(SOC18%分)
●1時間あたり平均電力消費量:1.675kWh

この通り、シーライオン7は外気温マイナス25.5℃という超極寒環境下でも優れた電力消費量の低さを実現。2024年に実施したテスラモデルYと比較してみると一目瞭然、ほぼ同じ条件下でモデルYは1時間あたり約2.7kWhを消費しています。

モデルYはヒートポンプシステムのみで超極寒環境の空調システムを作動させる必要があり、熱が足りないと判断した段階で、フロントモーターをあえて回すことで熱を生み出して、それをオクトバルブ経由でキャビンの暖房空調の熱源として利用するなどのサーマルマネージメントを行います。世界中のユーザーの使用想定の99%以上で、マイナス25℃の運用などありませんから、その条件下では暖房効率が落ちる分、PTCヒーターなどを搭載しないことで車両の搭載効率などを高める設計思想を採っているわけです。

ちなみに、シーライオン7では車中泊終了時点でバッテリー温度が最低でも9℃に保温されていました。なぜ電池温度が保温されたのかというロジックは謎ですが、この保温機能によって、走行を再開した直後でも回生ブレーキが期待通り効いたり、アクセルを踏んでもパワーが出るなどの効果が見られました。もしかしたら電源をオンにしておくと、すぐの走行にも対応できるように電池の保温機能が作動するのかもしれません。

いずれにしても、マイナス25℃の条件下でSOC50%から車中泊を行なっても23時間以上電池は持ちます。もし仮に真冬の陸別で立ち往生が発生したとしても、電池残量がすぐになくなってしまうという心配は全く不要ということがおわかりいただけるはずです。

いずれにしても今回の北海道遠征では中国製最新EVの冬季EV性能を徹底検証することができました。遠征レポートの後編では、札幌を出発して道東を巡る3泊4日の旅程を取り上げます。途中の急速充電ゼロを目標にして、どれほど快適に真冬の道東旅行を過ごせたのかをレポートする予定です。

取材・文/高橋 優(EVネイティブ ※YouTubeチャンネル

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

免許を取得してから初めて運転&所有したクルマが電気自動車のEVネイティブ。

コメント

コメントする

目次