12カ月点検は完全無料で無事クリア
早いもので、日産リーフ AZE0/30kWh エアロスタイルから乗り替えたHyundai『KONA Casual(カジュアル)』が納車されて一年が過ぎました。納車されたのは2024年1月21日。ちょうど丸一年経った2025年1月21日の火曜日、新横浜にあるHyundai Customer Experience Center 横浜(CXC横浜)で法定12カ月点検を受けてきました。
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点検メンテナンス一切の明細を記した納品請求書がこれ。私が購入したKONAをはじめ、ヒョンデジャパンが販売するEV&FCEV(全車種がZEV)には「Hyundai Assurance Program(ヒョンデ・アシュアランスプログラム)が自動的に適用されています。「HEALTH CARE」の特典として、初回車検まで含めた新車登録後3年間の法定点検の基本料金は無料です。
作業内容を確認するとウインドウォッシャ液を補充してくれたようですが、基本料金に含まれているようで請求はありませんでした。タイヤローテーションや溝チェックも無問題。12V補機バッテリーの健康状態も大丈夫だったようです。
ウェブサイトから整備予約を入れる際、駆動用バッテリーのSOH(State of Health=バッテリーの満充電容量劣化を示す指標)測定をお願いしてあったのですが、それも無料。結果は「100%異常ありません」ということで、すべからくマイカーの健康状態は良好であることが確認できました。
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ちなみに、KONAカジュアルの駆動用バッテリー容量カタログ値は48.6kWh。SOH100%ということは、しっかり48.6kWh以上の総電力量を維持していると理解できます。搭載されているのはCATL製の三元系(正極にニッケル、マンガン、コバルトを使用している、いわゆるNMCバッテリー)リチウムイオン電池で、そもそも使用開始当初は一定程度劣化する特性があるので、診断結果が100%だからといって「まったく劣化していない」はずはありません。仮に新品時から10%劣化していても100%を維持しているとすれば、KONAのバッテリーはあらかじめカタログスペックの総電力量より10%以上多くのバッファをもっていたことになります(明確にヒョンデのエンジニアさんなどに確認したわけではないですが)。EVユーザーとしてありがたいことだと感じます。
ともあれ、そんなわけで法定12カ月点検は完全無料でクリア。優遇税制で「環境性能割」や「自動車重量税」は免税で、東京都では「自動車税」も新車登録年度および翌年度から5年度分が免税です。私は「もうマイカーにスタッドレスタイヤは履かない」ことにしているし、以前はクルマを買い替える度に購入していたYetiスノーネットもアルファロメオGTを最後に購入していないので、マイカーKONAの維持運用に費やしたコストは、任意保険の約8万円(新車買替特約付き)と、他社オーナーも加入可能で3年割引があるうちに駆け込み加入した日産ZESP3プレミアム100の月額会費2500円、無料分をオーバーした際の充電料金を少々(利用履歴を確認すると2024年7月に1800円分だけ超過料金支払いがありました)、自宅充電の電気代くらいです。
優遇税制などは無期限に続くわけではないでしょうし、ZESP3の制度が変わって他社EVオーナーはNGになったので3年定期契約が切れる2026年5月以降は充電コストが上がってしまう可能性はあるものの……。EVユーザーでよかったなぁと実感しています。
実質約300万円で買った新車EVへの満足度
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KONAにはバッテリー容量48.6kWhのカジュアルと、64.8kWhとより大容量のバッテリーを搭載した「ボヤージュ」「ラウンジ」というグレードがあります。車両価格はカジュアルが399万9000円〜、大容量モデルは装備を節約したボヤージュでも452万1000円〜となります。
購入時の検討記事などでも書いたように私は「マイカーEVのバッテリー容量は約50kWhもあれば十分」と判断し、カジュアルを選びました。購入当時、KONAへのCEV補助金額は65万円、東京都からの45万円の補助金もあったので、ETCなどのオプション含めて実質約300万円の新車でした。「300万円で300km!」を基準にして検討したのは、昨年の記事に書いた通り(記事末に関連記事リンク入れておきますね)です。
1年間の走行距離は1万3406km。ガソリン車最後のアルファロメオGTや中古リーフの頃はほぼ年間1万km未満だったので、私としては「よく走ったな」という印象です。
実際に、1年間、1万km以上乗ってみてどうなのか。いくつかのポイントについて、正直な感想やインプレッションをまとめておきます。
48.6kWhのバッテリー容量
より大容量の上位グレードがあるので少ないように感じる人がいるかも知れませんが、私はそもそも日産リーフZE1の40kWhで十分と感じていました。KONAカジュアルの一充電走行距離は456kmというカタログスペックで、まあ、実際はそんなに走れませんが、遠出の前に自宅ガレージで満充電にすると420km以上の航続可能距離表示が出るし、兵庫県北部の郷里まで片道約620kmは、途中充電(休憩)2回くらいで走りきることができます。つまり、48.6kWhのバッテリーで、不便も不満も感じていません。
最大230Aの急速充電性能
KONAの急速充電性能は「最大230A」と聞いています。公共の急速充電器は出力によって最大電流の上限があって、おおむね「50kW=125A」「90kW=200A」「150kW=350A」です。したがって、できるだけ効率的なロングドライブをするために「SOC20%くらいまで減ったら150kW器(上限の230Aまで使えるから)で充電する」という使いこなし術を実践しています。東京から、新東名で120km/h巡航すると150kW器がある浜松SAにちょうど20%くらいで到着するのでドンピシャリではあるのですが……。
カジュアルのシステム総電圧は269V(ボヤージュ、ラウンジは358V)と低いので、150kW器で230Aの電流出力があっても「約260V×230A=約60kW」くらいの最大出力しか享受できません。ZESP3からメールで送られてくる充電結果通知を確認すると、150kW器でも30分で25kWhくらいが精一杯。「充電性能がまあそこそこ」なのは、KONAカジュアルに感じている唯一といっていい「もっと頑張ってほしいな」というポイントです。
まあ、休憩がてらの経路充電をうまくマネージメントすればいいことで、実用上、そんなに不便は感じてないですけど。
取材でいろいろ聞くところ、先行予約が始まったインスターのボヤージュとラウンジは、バッテリー容量がKONAカジュアルとほぼ同じ49kWhだけど、総電圧が310Vと少し高く、最大電流270A(310×270=約84kW)くらいの急速充電性能があるようです。ちょっとうらやましい。
急速充電は速いほうがうれしいのは当然だし、KONAも最大260Aくらいへの充電性能アップが計画されているという噂もあるので、OTAのアップデートが降ってくるのを心待ちにしています。
UIなどEVとしての使い勝手全般
電気自動車のベンチマークとも言えるテスラ車と、KONAを含むヒョンデのEV開発姿勢は違っています。テスラ車は徹底的に物理スイッチを排除してるけど、ヒョンデEVはエアコン操作ボタンなど適度にレガシーな自動車の様式を踏襲している、って感じですね。
とはいえ、EVをEVとして活用するために必要な情報提供や操作の使い勝手の完成度は高いです。ステアリング奥のパドルで回生ブレーキの強さをコントロールできる機能は、ワインディングの下りなどで気持ちよく走れて個人的に大好きで、これはテスラ車にはない魅力(テスラはこれも自動でコントロールしてくれる)と感じています。
急速充電に備えた駆動用バッテリーのプレコンディショニング機能とかにも抜かりなく。ドイツで新型KONAがワールドプレミアされた際の記事で書いたように、「量産EVできちんとフルモデルチェンジが施されたのは世界初」といっていい進化を遂げました。既存メーカーの中で、ヒョンデはもっとも実用的で先進的なEVを開発する力を発揮していると感じています。
実際に1年間乗ってみて、修理が必要になるようなトラブルはまったくなし。使い勝手などに対する不満はとくにありません。というか、総括すると大満足。EVが気になるけど新車価格が高いよなぁと迷っている方に、「300万で300kmはどうですか?」とオススメしたい気持ちは変わりません。CEV補助金の制度が変わってヒョンデには少々不利になったけど。「コンパクト車でいい」という方にはインスターも出てきたし。
BYDも頑張ってます。韓国や中国製の自動車への違和感ってだけで、EV生活へのシフトを見送るのはあまりにももったいない。1年乗った実感として、あらためてKONA、しかもお買い得なカジュアルをオススメしておきます。
取材・文/寄本 好則
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そんなこんなで、テスラがバッテリー容量を公表しない理由の一端はこのあたりかな、とも。
異端は日本メーカー? って気になりつつ、世界全般、わかりやすくやってほしいなぁ。
以前もコメントさせて頂きましたが、InsterのVoyageかLoungeかで悩んでいるので、Konaの記事はとても参考になります!
ところで先ほどヒョンデのサイトでスペックを調べたところ、InsterはLoungeでも1400kgでKonaのCasualと比べてさえも250kg軽量で且つバッテリー容量は後者とほぼ同じなので、後者でも420kmと表示されるあたり、よほど無茶な走りをしない限りInsterのLoungeはともかくVoyageは450km以上走れるじゃないでしょうか。
当てると一台なので多めに書いておくと。488kmで!
頼本さん
残念ながらまだ理解していませんね。
総電力量とグロスのバッテリー容量は異なりますよ。
WLTC交流電力量消費率(Wh/km)が121Wh/km
WLTC一充電走行距離(km)が456km
よって、満充電のバッテリーで456km走れて、これを充電するのに必要な消費電力量は
456kmx0.121kWh/km=55.176kWh です。
これが総電力量です。
それに対してKONAのグロスのバッテリー容量は48.6kWhなので、充電効率としては48.6/55.176=88.1%となります。割と高めです。
空のバッテリーを交流200Vで充電するのに55.176kWh消費して、直流から交流に変換して昇圧してバッテリーに48.6kWh溜まったということになります。
効率よく充電出来ているということになりますね。
公開情報でわかる話なので、なんでこの程度のことをやらないかが理解に苦しみます。
トヨタのようにバッテリーを総電力量で表示しているメーカーとグロス値で表示しているメーカーとグロス値を公表していないメーカーがあるということを理解していただければと思います。
WLTC交流電力量消費率とWLTC一充電走行距離は何処も公開しているので、それを掛け算した総電力量とバッテリー容量を公表している値を比較するとbZ4Xのバッテリー容量だと思っていたのが総電力量であり、他車と同じようにバッテリー容量なんて言ったらダメということですよ。
ちなみに、KONAカジュアルの駆動用バッテリー容量カタログ値は48.6kWh。SOH100%ということは、しっかり48.6kWh以上の総電力量を維持していると理解できます。
メーオさま、コメントありがとうございます。
メーカーや国交省に、ちゃんとして欲しい、とコメントしておきます。
名前が違います
ほろ酔いですが。もう一度読み返して、WLTCカタログスペックが実用と無関係なことを感じつつ。
ぶしつけな返信失礼しました