EVはやっぱり高い?【2022年12月】日本で買える電気自動車の価格を整理してみた

日本国内で購入できる電気自動車の車種が増えてきました。とはいえ、やはり車両価格が高い印象があります。はたして、さまざまなEVがどんな価格で販売されているのか、一覧に整理してポイントを考察してみます。

EVはやっぱり高い?【2022年12月】日本で買える電気自動車の価格を整理してみた

※冒頭写真はジャパンEVラリー白馬2022での最新EV試乗会の様子。

500万〜800万円が激戦区

EVってどうなんだ? というテーマで講演を依頼されたこともあり、今、日本国内で購入可能な電気自動車(BEV)の新車価格を、価格帯を横軸にしたグラフに改めて整理してみました。

グレードによって幅がある車種は最低価格から最高価格までの帯にして、価格の幅がない、もしくは少ない車種については、1cm角(作成都合)の正方形をプロットしています。車種の並び順については、発売年月が早いものからプロットしていったので、順不同です。

まず、一目瞭然なのが「500万円〜800万円」あたりの価格帯に多くの車種が集中していることでしょう。

この価格帯の中心になっているのが、バッテリー容量が60〜90kWhあたりで、普通に走って300km以上の航続距離をもつ高性能EVです。新車価格500万円以上のマイカーを購入するのは、経済的に余裕がある方々といえるでしょうし、おしなべて「EVは高級車」という現状であることがわかります。

ヒョンデ IONIQ 5のお買い得感

具体的な車種(価格はすべて税込です)を挙げながら、ポイントを考察していきましょう。

まず、「500万円」の線上にあって際立っているのが、ヒョンデ IONIQ 5のコストパフォーマンスの高さです。バッテリー容量58kWhのベースモデルで479万円。72.6kWhのモデルは519万円〜589万円で、AWDの最上位モデルでも600万円を切っています。

71.4kWhのトヨタ bZ4Xやスバル ソルテラはざっくり100万円ほど上の価格帯にあり、66kWh〜91kWhの日産アリアはさらに上、ボルボ C40 Rechargeやアウディ Q4 e-tron、テスラ モデルYなどと競合する高級車となっています。

BYD ATTO3の衝撃

さらに刮目すべきなのが、12月5日に価格が発表されたばかりのBYD ATTO3です。58.56kWhで440万円という価格は、グラフ上の位置からしてもグッと庶民の選択肢に近づいてきたと感じます。

コストパフォーマンスとして競合といえるのは40〜60kWhの日産 リーフとe+に見えますが、先日の記事でも言及したように、現在、リーフは値上げを見据えて受注停止中。もうすぐ発表される予定の新価格はグッと右(高額方向)にズレそうです。さらに、ATTO3は先進運転支援システムや電動パワーシートなどがフル装備でこの価格。リーフの場合、電動シートの設定はなく、プロパイロットなどの先進運転支援のオプションを選ぶとさらに高額になってしまいます。

日産サクラが売れる理由

私自身、マイカーとして購入を検討できるのは「200〜400万円」あたりが現実的なところです。今は、かなりの額のCEV補助金が活用できる(来年度にも期待!)ので、IONIQ 5くらいまでかな、といった感じでしょうか。

こうしてみると、200万台後半にプロットした日産 サクラ、三菱 eKクロスEVが販売好調な理由も一目瞭然。最新の「魅力的なEVが購入可能な価格帯で手に入るから」であると解釈することができるでしょう。

商用EVベンチャーのHW ELECTROが発売したELEMOやELEMO-Kは、やや高めにプロットされていますが、ビジネスにEVを導入したいというニーズに応える付加価値と理解して、応援したいと思っています。

「300万円台で300km」の新型EVを!

800万円〜1000万円オーバーのエリアには、ポルシェやメルセデス・ベンツ、アウディ、BMWなど欧州メーカーの超高級EVがズラリと並んでいます。EVシフトに積極的に取り組む欧州メーカーは「高級車からのEVシフトを展開しているところ」と評することができます。

とはいえ、現在の欧州EV市場では、300万円台(欧州では)から購入できるFiat 500eや、国の補助金を活用すると200万円を切るダチア スプリングといった大衆車EVも販売ランキングの上位に名を連ねています。100万円以下で買える宏光MINI EVが販売台数トップを記録した中国では、さらに多彩な大衆車EVの選択肢が並んでいます。つまり、100〜400万円といった、より幅広い人たちが現実的に購入を検討できる価格帯に、まだまだ車種の選択肢が少なすぎるのが日本の不幸。EVシフトがなかなか進まない最大の要因と考えることができるのです。

来年発売が予定されているBYD DOLPHIN は、300万円台で300kmの壁を破るのではと予想しています。

昨日の記事で、ATTO3の価格について「400万円で400kmの衝撃的コストパフォーマンス」と紹介しました。日本でEV普及を進め、日本の自動車メーカーが世界でシェアを失うことなく繁栄し続けるためにも、「300万円台で300km」を実現する、魅力的な新型EVを発売してくれることを渇望しています。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)9件

  1. ガソリン車とEVの価格差は広がる一方とありますね

    https://president.jp/articles/-/64647
    日産サクラとリーフの値上げが発表された。サクラはベースモデルで16万600円、最上位モデルで10万100円の値上げ。リーフは40kWhバッテリー搭載車で37万1800円、60kWhモデルではなんと102万8500円の値上げである。バッテリー搭載量が多いモデルのほうが値上げ幅が大きくなっている(サクラは20kWhバッテリー搭載)。
    この2車に限らず、BEV(バッテリー電気自動車)の価格は軒並み上昇している。
    テスラも、モデル3を中国生産に切り替えた2021年初頭には429万円で買えたのだが、その後小刻みな値上げを繰り返し、2022年12月現在では596万4000円にまでなっている。なんと2年弱で167万円の上昇である。
    アメリカでも同様で、2019年に3万4990ドルから買えたモデル3が、現在では4万8190ドルである。約180万円の値上げだ。
    フォードが2022年4月に約4万ドルで発売したBEVトラック「F-150ライトニング・プロ」はわずか半年後の10月に5万6000ドルに値上げになっている。約40%、220万円の値上げである。
    「50万円EV」で話題となった中国で最も売れているBEV、宏光(ホンガン)ミニEVも発売当初の2万8800元から3万2800元(約64万円)と値上げになっている。

  2. i-MiEV(M)10.5kWhを作業車として使う電気管理技術者です。
    200万円で200km走れるEVなら現愛車の後継に買うかもしれません。
    そう考えると軽規格商用EVが欲しいですね…ホンダが2024年始に[N-VAN EV]を出す噂があるからしばらく様子見となりますが、仮に実現すれば同業者が買う可能性は大いにありますよ。
    最近軽自動車供給に変化が訪れ、ガソリン軽でもスペーシアベースなど商用4ナンバーに属するハイトワゴンを売り出してきましたよ…内装簡略化で車体を軽くし燃費も上向かせる傾向が出てきまして。スズキ初代アルト47万円を彷彿とさせますよ(笑)
    最近の家族の在り方にシングル志向が根強く、コロナ禍も相俟って車中泊がブーム…そうなりゃ商用車種が売れるのも明白。三菱ミニキャブミーブ生産復活もわかります。同車種ならパワーボックスを使えば電力も使えて快適ですし(ポータブル電源に頼らなくてもいい)。
    ぶっちゃけ充電インフラさえ整えばランニングコストはガソリン車より少ない、排気ガス問題に悩まされなくていい、そもそも電気屋だから商売上必要である…そう考えれば高くもなかったです。中古で手頃な電気自動車から始める、それも一興です(笑)
    ※まずは軽い気持ちではじめよう…それでEV沼にはまった電動車オタ兼EV伝道者です(自爆)

  3. 私もパワーウエィトレシオのように車両価格/バッテリー容量の表を作成頂き、どの車両メーカーが効率よくバッテリーを購入しているのか見たいところです。
    装備の一覧も作成頂けるとなおコストパフォーマンスの高さが具体的に分かりますね。
    もちろんテスラの様に「非公表」のメーカーは推定頂くしかありませんが参考になります。
    また、高級車はこの計算式ではバッテリーを高い買い物になるかもしれませんが、そこは付加価値が違いますので。
    一度ご検討願います。

    1. そろそろBEV さま、コメントありがとうございます。

      >グラフの縦軸がバッテリー容量

      ですよねぇ。グレードの容量違いとかもあったりして挫折していたんですけど。後で再チャレンジしてみます。
      ご提案ありがとうございます。

    2. 散布図はエクセルでも簡単に作れます。車名、容量、価格を並べて表にして、散布図にするだけですね。
      容量違いは違う車種のように分けてしまって、価格も最低価格と最高価格を別々にして、後から同じ車種の価格違いのプロットされた点を棒で結べは出来上がりです。

  4. 日本で購入できるEVが色々増えてきたので、各自のライフサイクルに合わせた賢いEVの選択が重要になってくると思います。約5年程、100km程度の航続距離しかない小型EV(三菱i-Miev M型、10.5kWh)を愛用していますが、自宅充電で街乗り専用と限定すれば非常に便利なクルマになります。長距離移動用にガソリン車も一台所有していますが、普段は余り使う事が無いので、将来的にはレンタル車を利用していく事も考えています。恐らくこの数年で、「300万円台で300km」というEVも出てくると思いますが、「100万円台で100km」という選択肢も意外に有りではないか?と思っています。大容量バッテリーを搭載した高性能、高級EVでなくても十分にEVライフをエンジョイ出来ると思います。

    1. ピーターさま、コメントありがとうございます。

      100万円台で100km & MaaSの実現。ほんとに大事だと思います。
      本当は、マイカーなんて持たないほうが地球には優しいわけで。少なくとも都市部においては自己所有するのと利便が変わらぬMaaSによってEVを活用できると素敵だと思います。

      出光興産のプロジェクトなど、進展に期待しています。

      https://blog.evsmart.net/ev-news/idemitsu-and-tajima-to-establish-micro-ev-and-next-gen-mobility-services-company/

  5. 数年前がまるで嘘のようですね。
    ミニキャブミーブバンに乗っている身としてはコンパクトクラスや軽のEVに魅力を感じるので早く発売しないかなぁ〜、と期待しています。
    メルセデス・ベンツが横浜にBEV専門の販売店をオープンしたというニュースもありましたが、高級車ブランドに勢いがありますね。
    BYDも実店舗を続々オープンさせる予定とのこと。
    買えないながらもメーカー毎にどのような違いがあるのか興味深いです。

    あとは充電スポットにおけるルールやマナー教育も重要かと思います(同じ充電施設を使う仲間として…)。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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