日産の電動化戦略『Nissan Ambition 2030』から読み解くべきポイントとは?

2021年11月29日、日産自動車が電気自動車を中心とした電動化を戦略の中核とする長期ビジョン『Nissan Ambition 2030』を発表しました。約50分間のオンラインプレゼンテーションとニュースリリースから、理解しておくべきポイントを紹介します。

日産の電動化戦略『Nissan Ambition 2030』から読み解くべきポイントとは?

電動化が移動と社会の可能性を広げてくれる

すでにさまざまなメディアで大きく取り上げられている日産の長期ビジョン『Nissan Ambition 2030』。YouTubeの日産自動車株式会社チャンネルには、ライブ開始前のティザーを削除して、約50分の内容だけに編集された動画がアーカイブされました。

【中継】日産の長期ビジョンについての発表会見

日産が掲げる「Ambition=大志や野望」を端的にまとめると、「共に切り拓く モビリティとその先へ」というスローガンの実現に向けて、2030年までに電気自動車を中心とした電動化をより意欲的に進めていくということです。具体的には、ニュースリリースにもサマリーとして挙げられている3つが要注目のポイントといえます。

●今後5年間で約2兆円を投資し、電動化を加速。
●2030年度までに電気自動車15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入し、グローバルの電動車のモデルミックスを50%以上へ拡大。
●全固体電池を2028年度に市場投入。

今後5年間で電動化加速のために2兆円を投資

ライブ動画より引用。

最初に注目するのは、電動化加速に向けて「今後5年間で約2兆円を投資」すると表明されたことです。

トヨタでは今年9月に開催した「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」で、2030年までに1.5兆円を投資すると発表しました。日産は「今後5年間」なので2026年までとしても、トヨタの倍以上のペースで電動化への投資を行っていくことになります。

具体的な投資の目的として、まず駆動用バッテリー生産体制の増強が考えられます。この点は、トヨタがパナソニックとの合弁会社での増産分を含めて年間200GWh(平均50kWhの電気自動車にして約400万台分相当)のバッテリー生産(調達)能力を目標としているのに対し、今回の日産の発表では「2026年までに52GWh」(アシュワニ・グプタCOO)、さらにさまざまなパートナーと協力して「グローバルで130GWhのバッテリー生産能力を確保」(内田 誠CEO)するという、トヨタと比べてやや控えめに見える目標が示されました。

ただし、アシュワニ・グプタCOOのスピーチでは「マーケットの需要に応じて拡張も検討」するということなので、状況を見極めながら最適な生産体制増強を計画している、と読み取ることもできそうです。

5年間で2兆円! は莫大な投資に違いありません。とはいえ、米国証券取引委員会の資料を確認すると、テスラの直近の投資額は2021年と2022年の2年間だけでおよそ1.3兆円のペースです。電気自動車市場で独走するテスラに迫り、世界をリードしていくためには、5年間で2兆円ではまだ足りないのかも知れません。

2030年までに15車種の新型EVをラインナップ

次に注目したいのが「2030年度までに電気自動車15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入」という発表です。同時に発表された4種類のコンセプトカーも確認しておきましょう。

新世代クロスオーバーEV『Nissan Chill-Out』

アリアで開発されたCMF-EVプラットフォームを採用し、全固体電池(ASSB=All-Solid-State Li-ion Battery)を組み合わせた次世代クロスオーバーEV。日産のEV技術を結集した「ニッサンEV テクノロジービジョン」を示すコンセプトカーとして提示されました。

走りの楽しさの常識を超える『Nissan Max-Out』

超軽量&低重心の設計に、進化した『e-4ORCE(電動4駆技術)』を盛り込んだEVスポーツカー。エネルギー密度2倍を標榜する全固体電池実用化ありきの提案とも感じますが、EVの高い運動性能を楽しむパッケージとしての可能性を感じます。

行動範囲の常識を超える『Nissan Surf-Out』

電動4駆のピックアップトラック。コンセプトシートでは、目的地で電力源として活用することにも言及されているので、アリアとは違いACコンセントの標準装備を前提にしているのだろうと思われます。

移動空間の常識を超える『Nissan Hang-Out』

EVならではのフラットな床面を活かし、室内空間活用の常識を超えた「第3の空間を提供するマルチ・スポーツ・ユーティリティー・ビークル」として提示されました。

コンセプトカーへの評価はあまり意味がないので割愛しますが、個人的には、軽快な街乗りと高速走行の快適さも両立した、コンパクトなセダンかステーションワゴンっぽいパッケージの車種もあるといいのにな、と思います。まあ、EVだけで15車種ということなので、きっと私が欲しい1台や、次期リーフと呼ぶべき車種も登場してくれるに違いないと期待します。

ともあれ、現在の日産の国内向け車種ラインアップを確認すると、軽自動車を含めて19車種しかありませんでした。EVだけで15車種を含めて電動車23車種ということは、すべての車種に電動車が用意され、さらに車種が増える勘定(グローバルで日本に展開されない車種は度外視して)です。

また、何度も引き合いに出して恐縮ですが、トヨタは電気自動車『bZ』シリーズとして「2025年までに7車種を導入」することを発表しています。日産は2030年までに15車種なので、2025年までに出るのは半数の7〜8車種として、これから数年のうちに、この日本でもトヨタと日産だけで14〜15車種ほどBEVの選択肢が増えることになります。

トヨタと共同開発を進めているスバル、2024年に軽EVの市場投入を発表したホンダや、2025年までに実質100万円台の軽EV投入(という社長の談話)が報道されたスズキなど国内他メーカーを加えると、2025年までに20車種以上のEVバリエーション! という喜ばしい状況が実現するかも知れません。「日本におけるEV普及最大の障壁は車種バリエーションの少なさ」と繰り返し論じてきたことが、5年後には笑い話になって、欲しいなと願います。

来年から全固体電池生産ライン建設に着手

今回の日産の発表で、個人的に最も刮目し、できれば追加取材したいと感じたのが「全固体電池を2028年度に市場投入」と明示されたことです。2028年と聞くとまだ先の話に感じますが、グプタCOOのスピーチの中で「来年からパイロット生産ライン建設に着手」することや「2024年に試作を開始して2028年に量産を開始する」というタイムラインが明示されました。

ライブ動画から引用。

内田CEOのスピーチ内容も加味すると、性能としては「エネルギー密度は現在のリチウムイオン電池の2倍」、そして「充電時間は1/3に短縮」を目標としているということです。

ただの目標であれば話半分に聞き流すところではありますが、今回は内田CEOが、リーフを世に送り出し基礎研究を積み重ねてきたことによって「正極・負極に全固体ならではの材料を選択し」と発表しました。具体的に現状のリチウムイオン電池を凌駕する性能を獲得できる材料が見つかっていなければ、来年早々のパイロット生産ライン建設に踏み切るのは難しいでしょうし、2028年の量産開始と明確に表明するのも困難ではないか、と感じます。

すなわち、日産ではEVの駆動用バッテリーとして十分に実用化できる全固体電池の材料や生産方法のメドが立ったのではないか。というのが私の楽観的な解釈です。

さらにグプタCOOは、コバルトフリーのリチウムイオン電池開発を進め、電池のコストを「2028年には(2019年の第2世代リーフと比べ)65%コストダウンした75ドル/kWh」、さらに2030年に量産を開始する全固体電池では「65ドル/kWh」にまで引き下げる目標であることを示しました。実現すれば、日産、いや自動車メーカーがエンジンを作り続ける理由はほとんどなくなってしまうだろうと感じます。

日本の、そして世界の明るい未来のために、日産の野望が成就することを期待しています。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)12件

  1. Ambitionといえば
    三菱の「Drive your Ambition」
    に見覚えがあります。

    アライアンスを組んでいるので
    敢えて同じ単語を使ったのかな、と思っています(より部品や車台等の共通化を推進?)。

    どちらにしてもいろんな人が選べる車が出てくるといいですね。

    1. はははっ。Ambitionつながりでっかwww
      ここで僕はクラーク博士の名言「Boys,be ambitious!」を連想しましたが!!(自爆)
      「少年よ大志を抱け」…それだけ日産三菱の志が高いんですわホンマ。両者とも世界に先駆けて電気自動車を生産販売してることに間違いありまへんから。
      従来のEVラインナップは層の薄さが問題、人気のミニバンにEVがないのが問題やったやないですか…キューブ・セレナ・ルークスなど人気の形状にEVがあれへんかったのが不人気の理由に挙げられる訳で。i-MiEVもミニバンよりスペシャリティ寄りかつ高価やったのが売れにくい理由でしたがな。
      ※もっともi(アイ)車体剛性が高くハンドリングの良い後輪駆動という美点がEV化に好都合でした。そもそも海外輸出できる軽自動車が唯一後面オフセット対応のi-MiEVであったことも忘れちゃあきまへんで!?

      日産三菱軽EVがトールワゴンになるなら、利便性最優先の子育て主婦層が買うんやないですか!?ガソリン代より電気代が安いだけではなくエンジン耐久性の低さも解消され排気ガスを出さない分子供に優しいと感じるはずですから…女性の発想がクルマ開発の現場に少ないことも問題やないですか!?事実女性のリーフオーナーは決して少なくないですし。

  2. 既存メーカーの全個体電池(リチウムイオン電池の一種だと思う)にかける期待は分かるんだけど、目標に掲げるようにそんなに魅力ある電池であれば、1台当たり大量に電池が必要になる車載用はやめて、初めは、家電やスマホに使って、コスト低減を図った方が、電池生産メーカーも、消費者もうれしい。何とか安価な、流体リチウムイオン電池の生産もしくは調達を、日産には実現してほしい。

  3. 安川様
    EVシフトは単に車の電動化に留まらずあらゆるサービス業に変革をもたらす可能性があるというご指摘には感服いたしました。
    >一番仕事を失う可能性の高い場所は、販売店・・・
    これは、テスラのようにネット販売主体になるからということでしょうか、それとも今のようなメーカー系列のディーラーではなく、ヤ〇ダ電気のような総合EV量販店のようなものに変わっていくというイメージでしょうかね。あるいはもっと別の形態でしょうか。
    私としては、EVでも時には100キロで突っ走る乗り物なので、特に足回りの点検整備をしっかり行っていただける今のディーラーのような場所はぜひ残って欲しいと思うのですが。

    1. bun134様、お付き合いいただきありがとうございます。
      販売店のミッションはモノを売ることだけではなく、故障の多い化石燃料車の時代には、修理や定期メンテナンスの拠点として必須だから、販売店にマージンを渡して販売し、顧客との関係を作り・維持してもらうことが目的でした。販売店無くして、化石燃料車の体験を維持することは不可能だったのです。これは米国で考案され、日本を始め世界各国に導入されました。
      しかし電気自動車とインターネットの普及により、誰もが、試乗はともかくとして情報をほぼリアルタイムに入手し、他の所有者とつながり、購入という行為を実行することができます。そして、メンテナンスがほとんど不要なので、メンテナンス拠点との深いつながりが不要になります。実際、販売店の利益は、半分以上が点検修理・部品交換などのメンテナンスによりもたらされており、電気自動車化により、販売店の利益は半減以下になると予測されています。また先ほど申し上げたように、自動車メーカーは販売店にマージンを渡す理由が少なくなります。なぜなら、維持を委託する理由が少なくなってしまうからです。ネットで契約するなら、コストはゼロですからね。値引きもする必要がありません。

      自動車メーカーはメーカーで、今まで部品を生産し、それを高い値段で消費者や販売店に卸してきました。これらのビジネスも大幅に縮小せざるを得なくなります。つまり、自動車メーカー側の利益も(一定の割合で)部品に依存しているのです。つまり、メーカーも販売店も、ガソリン車のメンテナンスにお金がかかる=言い方を変えれば消費者が継続してお金を払ってくれる、という前提に依存していたのです。

      >足回りの点検整備をしっかり行っていただける今のディーラーのような場所

      もちろんこれらは残ると思いますが、価格は上昇するでしょうし、今のように町ごとに存在したりはしなくなると思います。

  4. 安川様
    20兆は行き過ぎでしたね。海外各社が巨額投資の発表するので2兆程度ではあまりにしょぼい気がしてつい筆ならぬキーが滑ってしまいまいした^_^
    EVシフトには既存アフター部門のリストラ費用にも巨額の経費がかかるんですね。
    整備員はメカの修理よりも制御ソフトや自動運転ソフトのメンテナンスをする方向になるとしたら、転換教育経費はかかりますが、全く新しい仕事が生まれるわけで、それも複雑多岐にわたるので人数的なリストラは意外に回避されるかも、なんて気もしております。

    1. bun134様、再度返信ありがとうございます。人数的なリストラ、どのくらい回避できるかは分かりませんが、できる限り事業転換を「早め」にやることが重要だと思っています。ギリギリまでやって得するのは大きな会社だけ。自動車メーカーが、下請けを犠牲にして自らはギリギリにウルトラCで切り抜ける、ということにならないことを祈ります。変わるのに時間がかかるのは、末端なのだから。。
      最近自動車のことをモビリティという言い方に変えている例が見受けられますが、厳密にいうと自動車産業じゃないところにも雇用は生まれます。ガソリンスタンドとサービスが必要なくなり、代わりに経路充電・目的地充電という考え方が生まれます。経路充電場所では、軽整備のニーズがあります。また当然ですが飲食・休憩・日本ではお土産のニーズもありますので、簡易的な店舗・ギャラリーやショールームのようなものも受け入れられるでしょう。目的地では、充電サービスが付加価値になります。使い易さなども、「部屋に加湿器が用意されている」「温泉の脱衣所が寒くない」などの価値観と同様、評価軸に入って来るでしょう。
      自動運転化が進むと、レベル2であっても、疲れは激減するので、長距離旅行が増えると考えられます。レベル3-4が実現してくれば、旅行は土曜の朝ではなく、金曜の夜に始まるということになります。旅館などは朝からチェックインする時代になるかも?車内で楽しめる音声サービス(ポッドキャストやラジオ)、後部座席・助手席で楽しめるゲームなどハイパワーなCPU/GPU・ネットワーク接続を使用するゲームも、電気自動車であれば問題なく対応できるため、新しく増加する可能性もあると思います。

      一番仕事を失う可能性の高い場所は、販売店だと思います。そのため、自動車メーカーは、販売店の変革に最もパワーをつぎ込む必要があると、私は思っています。そのためには、早めにシフトを体感させ、どう変わればいいのかを示唆することがメーカーの役割ではないかと考えます。

    2. 完全自動化が実現すると特に都心ではカーシェアを利用する人が増えるでしょうね。カーシェアが事業的に成立しない地方や通勤に利用していれば別ですが、そうでもないかぎり車を所有することは無駄です。ウィークデイはただ駐車場に置いているだけ。利用するのは、土日だけです。
      完全自動化になれば、利用したいときに指定した場所に無人で来てくれます。用が済めば、自動で帰ってくれる。別に所有する必要はありません。こうなれば、幹線は別にして公共交通機関もなくなるでしょう。車を持つことは、金持ちの趣味になるでしょう。
      ここで問題になるのが、車の台数が今ほど必要なくなるということです。各社が競って新しいクルマを開発する必要もなくなります。資金的にも余裕がなくなり、そういうこともできなくなるでしょう。EVの普及が問題になっていますが、完全自動化が実現すれば、ガソリン車やHVが減少するだけでなく、EVの生産台数もさほど増えないかもしれません。
      これまでは、車を所有することで移動の自由が広がったわけですが、そういった価値観はなくなり、いかに車を効率的に利用するかが課題になっていくと思います。

  5. EVだけで15車種とありますがたぶん三菱自工との共同開発生産販売になる車種も含まれてるんやないですか!?どうみてもMiEVシリーズ3車種(乗用車/商用バン/トラック)は含まれると見てますよ。あとはSUVも共通車種が出るかもしれませんね。
    個人的に興味をそそったのはHang-out、なんだか形状がキューブEVっぽく見えませんか!?とはいえこんな画像だと期待したくもなりますが…元々日産は以前でんきキューブコンセプトを出していたから小型ミニバンとしてなら考えられなくもないですよ!?
    Surf-Outはダットサンの再来を思わせるピックアップトラック…これはテスラサイバートラックにインスパイアされた感が拭えませんがサイズが小さければ(1.8m程度なら)購入検討も出来ますね。e-NVに同じく100V/1500Wインバータ搭載を期待します(最低でも電気管理技術者が欲しがる)。
    しかし二兆円規模の投資といって日産本体の体力がそこまで続くかは正直疑問です。ガソリン価格上昇に伴い来春発売予定の軽EVが売れてくれれば可能かもしれませんが…そこでしくじると後がないと感じますがな。

  6. クルマの電動化の目的は、再生可能エネルギーを用いた持続可能な交通社会を作っていく事にあると思います。EVを用いていかに多くの再生可能エネルギー導入を計っていくかが日本のエネルギー政策として重要です。EV事業は再生可能エネルギー導入への蓄電池ビジネスであって、従来のガソリン自動車の様な、化石エネルギーを用いた大量生産、大量消費の自動車ビジネスとは根本的に異なってくると思います。今後自動車各社は、ユーザーのニーズに合わせていかに安全で安価な再生可能エネルギーを用いたEVを提供していくかが問われていくと思います。

  7. 52GWhとか130GWhとかの巨大な生産規模は、テスラのギガファクトリーと同等かそれ以上の工場規模が必要になると思われ、2兆円ではなく20兆円の間違いではないかと思いました。
    全個体電池の話はかなり具体的で実現出来たらすばらしいのですが、全個体が行けるとなれば既存電池メーカーも全個体に参入してきますから、日産だけが技術的に有利な状況はかなり短いのではないでしょうか。
    結局は既存でも全個体でもいかに安く大量生産できるかにかかってくるわけで、ここは国内メーカーと国が一丸となって設備投資し、早急にEVの国内市場を作らないと外国勢に歯が立たないのではないかと危惧します。

    1. bun134様、コメントありがとうございます。bun134様にコメントいただいて、私も2兆円という金額にちょっと目が眩んでいたのですが(汗、確かテスラのギガファクトリーは$5Bで35GWhくらいだったので、今の価値で5500億円くらい。日産さんが自社電池工場兼EV工場を建設されるなら、50GWhを生産できる工場は1兆円を超えるくらい(米国価格で)だと思われます。またテスラの$5Bというのはネバダ州とのディールによるものなので、税金はかなり減免されていると思います。日本が、国としてどこまで支援していくのか、土地の確保や環境アセスメント等にどのくらいの優先度を置いて実施するのか、そのあたりで、実現可能性が決まってくるように思います。今後自動車の生産は再エネで行うのが一般的になりそうなので、風力発電や太陽光発電に理解のない日本国内の工場は、もしかしたら検討していない可能性もあると思います。
      いずれにしろ、考え直してみましたが、20兆というところまではかからないのではないかと思いました。。
      とはいえ、既存自動車メーカーにはまだまだやらないといけないことがあります。プラットフォームの開発、自社社員の再教育、サプライヤーの育成・教育・投資促進、販売店の再教育、そして販売店・サービス網の統廃合です。特にアフターサービスがほとんど要らなくなり、お金を生み出さなくなる電気自動車では、部品で売り上げを上げることがほぼ不可能になり、部品販売網と、修理で利益を出している販売店網が半減以下になる必要があります。このあたりのリストラクチャリング費用は、1兆円程度ではぜんぜん済まないと私は考えており、おっしゃるように2兆円で不足するのではないか、という印象は私もbun134様同様、持っております。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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