トヨタの「東京オリンピックをゼロ排出車両のお披露目に」計画は惨憺たる結果に終わる

東京オリンピックが開催中です。トヨタはゼロ排出車両のテクノロジーとして水素燃料電池車や全固体電池(による電気自動車)研究開発に投資してきており、オリンピックはその成果をお披露目する舞台となるはずだったのですが……。アメリカメディアの『CleanTechnica』が「大失敗だった」と指摘する記事を、全文翻訳でお届けします。

トヨタのゼロ排出オリンピックは惨憺たる結果に

元記事:The Great Toyota Zero-Emissions Summer Olympics Debacle by Steve Hanley on 『CleanTechnica

計画通りにいかなかった水素や全固体電池の車両

夏季オリンピックを水素や全固体電池で動くゼロ排出車両のお披露目の舞台に! というトヨタの夢は無惨な結果に終わりました。

2019年の、Roadshowのヘッドラインを覚えていますか?「トヨタは東京オリンピックを、全固体電池の電気自動車をデビューさせる場に選んだ」というものです。2020年のオリンピックはみんなが自動運転の電気や水素燃料電池車であちこちを移動している中、日本の自動車産業がゼロ排出車両によって能力を示す場となるはずでした。Covid-19 は確かに自動車産業を滅茶苦茶にしましたが、一方で完璧なゼロ排出車両を作る時間を1年余分に稼げたという理解もできます。

2020年3月、安倍晋三総理は、嘘で塗り固めた大胆な約束をしました。「オリンピック・パラリンピックの大会期間中、街の中でも、自動車やバスが水素で走り、選手村では、水素を活用した電気が利用されます」。燃料電池車で動くバスに『グリーン』な部分などまったくありません。現在日本にある『クリーン』だとされる水素は、主に大量の二酸化炭素を排出する既存化学プラントで天然ガスから作られています。

大袈裟に宣伝され続けている日本の水素経済をどうにかするには時間がかかるでしょう。この国は水素の大半を将来、存在もしない二酸化炭素回収テクノロジーを使って「石炭から水素を作る」というオーストラリアからの輸入で賄う計画を立てているのです。

グリーン水素なる物が存在するとしても、2018年からトヨタが売っている燃料電池バスは当初の約束を果たせていません。ファイナンシャル・タイムズによると、経済面が予定通りにいかなかったようです。まず初めに、寿命が15年のディーゼルバスが22万ドル(約2,400万円)であるのに対し、燃料電池バスは6年のリースに90万ドル(約9,900万円)かかります。

最初の100台を使えるようにするため、国と地方自治体はリース用コストの80%に補助金を出さなければなりませんでした。それでも十分な競争力は得られませんでした。燃料電池バス2台を導入した民間企業、東急バスのオペレーションを担当する原山大輔氏は、「燃料のコストも高いんです。FCV用燃料のコストは、ディーゼルの2.6倍です」と話しました。日本にあるほとんどのバス停には、水素補給設備が設置されていないので、水素ステーションに行く必要があるのですが、ここでも時間とコストがかかります。

原山氏は、「今のところ燃料電池に移行するのは難しいと考えています。燃料電池が良いとか悪いとかではない。ディーゼルを使えなくなった時に、他の選択肢を考える必要が出てきます」と付け加えました。

フィナンシャル・タイムズは「今のところ、オリンピックのアスリートや関係者を水素バスで移送する環境的な利点は仮説の域を出ていません。水素で灯されるオリンピックの聖火は美しく燃えるでしょうが、水素社会に本格的に移行するには、多くの忍耐とコスト面での大きなブレイクスルーが必要とされます」と結論付けています。

トヨタの全固体電池技術に関しても、現時点では絵に描いた餅です。日本政府からの多大なサポートを以ってしても、そのタイムラインはかなり長いものになります。

大きな夢を見ることは誰も責められません。イーロン・マスクもかつてはそうでしたし、彼やテスラにとって物事はうまくいきました。しかし水素物語は日本の悪夢です。政府とトヨタのような主要企業はブロックに頭を打ち付けながらEV革命のリーダーではなくフォロワーになってしまう道のりを避けることができるか模索していますが、できないのです。

水素は鉄鋼業において炭素排出量を減らすのには非常に役立つかもしれませんが、交通手段の燃料としては、バッテリー電気自動車の競争相手にはなり得ません。狂気の定義とは、何度も同じことを繰り返して違う結果を期待することです。様々な約束をした末に結果が伴わないトヨタを見るのは悲しい限りです。トヨタと日本政府がやっていることは痛々しくて見ていられません。

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)120件

  1. 安川様

    わざわざ確認いただいてありがとうございます
    >副生水素というものが実際に存在するのか?でした。実際の商用水素ステーションで、化石燃料改質でなく、副生水素を使用しているところはわずかではないでしょうか?
    最初のメッセージで私が申し上げたのは『石油改質』の結果出てきているのが副生水素ではないですか?
    というものです。
    そのように申し上げる理由は最初のメッセージの通り、石油改質の目的はエチレンやプロピレン、ガソリンのような生成物の取得であり、水素は他の方法でも取得できるからです。お示し頂いたリストの供給元が樹脂やガソリンを扱っている企業であることからもそれはお分かりいただけると思います。
    ついでに副生物の記載がないのはおそらく、リスト自体水素の作り方が書いてあるだけであり、副生物かメイン生成物かと言う括りで書かれていない資料ではないでしょうか?
    製造業の常識のような話ですが、『副生物』なんていう書き方をしたら買い叩かれて利益が出ないので、そんな書き方はしない筈です。

    >ガソリンスタンドほどの密度は必要ありません。なぜならほとんどが自宅充電で済むからです
    この話も、元はICEとBEVの普及までのギャップの話でした。私が挙げたのは
    ①GS程の密度で充電ステーションを設置
    ②充電時間待ち
    ③充電時の消費電力増大に伴う電気代と発電能力
    の3点がありました。
    後出しでフェアではありませんが、④正極材の金属高騰や⑤安全性に関する問題もあると思います。
    触れられているのは①と②の半分(充電時間は家であれば寝ている間に充電できるが、外で充電する場合の解決策がない)です。
    少なくとも経済性以外の面でこれらに全てに誰もが納得できる何らかの解決策がなければ、お世辞にも『近い』とは言い難いと思います

    >日本の平均の乗用車の廃車時の走行距離は、11万キロ程度です。Nakka様が車を買い替えられる際には、5万キロで廃車にされるのでしょうか?下取りに出されますよね。次に乗られる方はNakka様が売却された車両を、11万キロまで乗られるのです
    いまいち理解できていないかもしれませんが
    私が1台目を5万kmで下取りして他の誰かが11万km走行したとして、その間に2台目が6万km走ることになりますよね?日本における貴方の計算を元にして
    11万km走行時:25190g(?)+6万km走行時:16224g=41414g
    BEVの場合
    11万km走行時:23572g+6万km走行時:18388g=41960g
    となりますので、僅差ですがICEの方が低排出ではないでしょうか?
    実際にはVWの計算のようにBEVがICEの排出量を下回るのはもっと距離を走った後のようですので、もっと差が出るのではないかと思います。

    >ミスリーディングなのは論文じゃなく、前提値なのです。
    いいえ。ミスリーディングと申し上げているのは
    『今の時点でBEVがICEよりも低排出』と安易に結論づけられている点です
    上記のように逆の結果になることもありますし、何よりも一定以上の走行が必要であると言う厳然たる事実があり、その走行距離もあなたご自身が前提が正しいと認められているVWと倍半分異なります。
    そういう状態で『BEVがICEよりも低排出』と言い切ってしまうことがミスリーディングだと申し上げています。

    また、一つ前のメッセージで触れませんでしたが
    BEVのバッテリーを用意するのは通常自動車メーカーではなく、セルメーカーです。テスラのギガファクトリーもほぼパナソニックの技術です。
    (最近は眉唾物の技術を活用した内製化を検討しているようですが。)
    それに対して、トヨタはそのパナソニックと合弁を作り、自社でもリチウムイオン電池の高い技術を保有しています。テスラに納入実績がある以上、LIBを増産すること自体はそこまでハードルが高いわけではありません。
    あなたが触れられた毎年18倍の工場建設という話ですが、別に現状フルキャパで動いているわけではないと思いますので、そこまで急激に工場建設が必要ではないと思いますし、実際に供給不足に陥った時のためにトヨタはCATLやBYDともコンソーシアムを組んでいますよね?
    いずれにしてもいざとなれば電池は買ってくることができるので、トヨタだけの力で年間18個もの工場を作らなくてはいけないということはない筈です

    1. Nakka様、コメントありがとうございます!

      >最初のメッセージで私が申し上げたのは『石油改質』の結果出てきているのが副生水素ではないですか?

      そうお考えなのですね。
      石油改質とは言っても、天然ガスやナフサを改質したら、出てくるのは水素と二酸化炭素だけですよ。それって改質なんですかね?半分燃やしているだけでは??

      >①GS程の密度で充電ステーションを設置
      >②充電時間待ち
      >触れられているのは①と②の半分(充電時間は家であれば寝ている間に充電できるが、外で充電する場合の解決策がない)です。

      私は、電気自動車だけを2014年から所有し、ガソリン車は30万キロほど、電気自動車は15万キロほど乗ってきました。その中で、(1)は全く不要と感じていますし、(2)は今まで、年23000km走ってきて、ゼロなんです。恐らく、Nakka様は電気自動車に長期間乗られたことがないですよね?だから、実感がわかないんだと思いますよ。
      何故か?それは、23000km走行のうち、電力量ベースで70%の充電は自宅だから。時間ベースでは、90%を超えます。残りの3割(時間では1割以下)の部分を賄えばいいだけですから、そんなに多くの場所にあっても要らないんです。例えば家の周りには数か所のガソリンスタンドがあります。これらが全部急速充電スタンドになったとしましょうか?無料じゃなかったら、私は絶対に、決して使うことはありません。なぜなら数キロ走って家につけば、置いてる間に満タンになるからです。

      >いまいち理解できていないかもしれませんが
      >私が1台目を5万kmで下取りして他の誰かが11万km走行したとして、その間に2台目が>6万km走ることになりますよね?

      大丈夫でしょうか。。その2台目も11万キロ走りますから同じですよ。算数の問題だと思います。
      また、BEVの製造時排出は、毎年低下しています。テスラやVWは、電池製造時の排出をサプライヤーに明確化するよう求めていますし、製造時電力の再エネ化も進めています。これらにより、製造時排出は60%程度まで減少すると言われています。
      そして、、私の記事の計算は、ガソリン車に最も有利な、小型乗用車でのライフサイクル比較です(電気自動車には、75kWhの電池を搭載して比較)。では、SUVやミニバン、ピックアップトラック、大型乗用車などではどうでしょうか?2倍以上、ライフサイクル排出の差が開くのです。

      >>いざとなれば電池は買ってくることができるので、トヨタだけの力で年間18個もの工場を作らなくてはいけないということはない筈です

      それは、私も希望しています。そうなると良いですよね。
      でもグローバルの投資家は、そうは思っていませんよ。
      例えばアウディは2018年にLGからバッテリーコストの10%の値上げを強制されました。
      https://cleantechnica.com/2018/10/22/audi-hit-with-10-price-increase-on-lg-batteries-due-to-high-demand/
      2019年にも再度値上げされています。
      https://www.theverge.com/2019/4/19/18508066/audi-etron-delay-batteries-lg-chem
      そして、供給が追い付かない結果、出荷を遅延させています。でもe-tronってそんなに売れたわけじゃないですよね??
      全く同じLGのバッテリーはどこに行ったか(LGは誰に売ったか)ご存じですか?

    2. 安川様

      返信有難うございます
      >石油改質とは言っても、天然ガスやナフサを改質したら、出てくるのは水素と二酸化炭素だけですよ。それって改質なんですかね?半分燃やしているだけでは??
      それはないです。わざわざ水素を得るために何故炭化水素を改質する必要があるんですか?
      最初から申し上げているように、水素だけを取ろうと思ったらリソースはいくらでもあります。化石燃料を改質して得たいものは同じ炭化水素であるエチレンやプロピレンです。
      もちろん、化石燃料改質にCO2負荷がかかっていないわけではありません。ですが、水素自体は副生物のはずなので、水素を得るために排出されるCO2としてカウントされるのはおかしいのではないでしょうか、というのが私の主張です。

      充電時間と充電スポットについて
      家で充電できるので不要、これはわかりました。(本当は日本のマンション比率がおよそ40%くらいなので、自宅で充電できない場合も相当数出ると思いますが。)
      これも最初の話に戻りますが、元々はBEVとICEのギャップの話でした。
      充電スポットの問題が解決したとしても、ガソリン車がBEVに変わることで消費電力が増える事、BEVが相当数増えることでこれまでガソリンにまわっていたエネルギー分が電力に回ってくるので発電能力の増強が必要なこと、LiBの原料価格高騰や枯渇の問題、安全性の問題など、BEVがガソリン車にとって変わるにはハードルはたくさんあります。

      >その2台目も11万キロ走りますから同じですよ。算数の問題だと思います>
      そう、算数の問題です。私が(そんな乗り方はしませんが、)5万kmで車を下取りに出すようなユーザーの場合、11万kmまでの走行は他のユーザーが行い、私はどんどん次の車を買うことになります。
      つまり5万km走行時点でのBEVの総排出量とICEの総排出量の差を
      11万km走行時の差が埋めてくれる台数まではトータルで見た時にICEの方が排出がすくないということだと思います
      5万km走行時のBEVとICEの差=(BEV)17377-(ICE)14452=2925
      11万km走行時のBEVとICEの差=(ICE)25190-(BEV)23572=1618
      2925/1618=1.8
      つまり5万kmで乗り換える乗り方を続けると私というユーザーが排出するCO2総量は2台目の途中でBEVが上回るということですよね?

      >BEVの製造時排出は、毎年低下しています。
      そう。なので私も未来永劫BEVの方が不利とは思っておりませんし、そのように申し上げてもいません。
      ただ、『今の時点でBEVの方が低排出』と言い切ってしまうのはVWの発表などを加味してもミスリーディングであると申し上げています

      >全く同じLGのバッテリーはどこに行ったか(LGは誰に売ったか)ご存じですか?
      LGの顧客であればVW以外にもダイムラー、GMや、それこそTesla(円筒セルになりますが)もそうだと思います。
      それはさておき、LGにはバッテリーが作れなくてTeslaがギガファクトリーで作れるというなら、そのTeslaに納めているパナソニックと協業しているトヨタには作れるということじゃないでしょうか?
      何度も申し上げますがバッテリーを作るのは自動車メーカーではなくセルメーカーというのが基本なので、LGが作れないなら作れるメーカーにオーダーするだけです。(もっともLGはパウチセルなので安全性を重視するトヨタは使わないと思いますが)そういう意味ではトヨタはHEVでパナとは繋がりと技術共有ができており、そのパナはTeslaとの品質の実績あり、ということで相当恵まれた環境にいると思います。

      私はBEVに未来がないとは考えていません。
      ただ、今BEVが広まっても本来の目的であるCO2排出抑制の効果があるかどうか疑問だらけだし、インフラや越えるべきハードルが無数にある、また技術的にどう考えても向いていない領域もあり、万能薬にはなり得ない
      というのが持論です。
      ミスリーディングな情報に踊らされてユーザーが失望してしまうかもしれません。
      できないところはできないと認め、FCなり他の技術に期待した方が良いのではないでしょうか?

    3. Nakka様、再度のコメントありがとうございます!

      >>わざわざ水素を得るために何故炭化水素を改質する必要があるんですか?

      今の商用水素ステーションは、前述したように、ほぼ全数が化石燃料の改質で、わざわざ水素を作っているんです。これは事実なんですよ。Googleで調べるなど、確認されてみてはどうでしょうか?エビデンスを出しているのに、「そんなはずはない」とおっしゃるのは、論理的な議論にならないと思います。

      >>日本のマンション比率がおよそ40%くらいなので、自宅で充電できない場合も相当数出る

      現時点ではそうだと思います。例えば私はマンション住まいで、車通勤、会社の駐車場は月極ですが、どちらの駐車場にも充電器を設置しています。技術的に実証が終わってない水素と比べると、駐車場に充電器を付ける作業に、技術的に不可能なものはほとんどありません。

      >>発電能力の増強が必要

      仰るとおりです。
      試算してみましょう。日本の全乗用車数は約6000万台ですが、これを全部、電気自動車に、いま変えたとします。この場合、
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-and-fossil-fuel-power-station/
      必要な発電電力量は10%増加します。
      この増加は、実際には今すぐ起こるわけではなく、恐らく30年くらいかかって起こりますので、特に無理と言うことはないと思います。

      >>LiBの原料価格高騰や枯渇の問題

      原料価格は次第に高騰しますね。
      でも、ガソリン車の原材料は高騰しないのでしょうか?また燃料代がかからない、再エネの使える電気と比べ、化石燃料の原価は高騰しないのですか?
      枯渇する資源とは、具体的になんでしょうか?

      >>安全性の問題

      BEVは一般的に、ガソリン車より安全だと言われています。NHTSAやEuro NCAPのクラッシュテストの動画を、同等クラスの車で比較してみてください。
      また燃料が漏れたり、バッテリーが破壊されるほどの大事故の際、車両火災が起こります。この車両火災時にも、
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-vehicle-fire-risk/
      電気自動車のほうが火災が発生してから逃げられる時間が長く、燃え方もマイルドであることが知られています。

      >>5万kmで乗り換える乗り方を続けると私というユーザーが排出するCO2総量は2台目の途中でBEVが上回るということですよね?

      誤りです。
      排出量は、長期間で見ないといけないです。車は毎年数千万台も製造されており、それらは製造から廃棄まででライフサイクルをみないといけません。貴殿のようにライフの途中で都合の良いところだけ切り出して、計算することは、論理的でなく意味のないことです。
       
      >>LGの顧客であればVW以外にもダイムラー、GMや、それこそTesla(円筒セルになりますが)

      そうですね。まさにテスラに販売したわけです。
      なぜテスラに売るか分かりますか?それは、テスラが大口顧客だからです。アウディは小口顧客ですよね?

      >>LGが作れないなら作れるメーカーにオーダーするだけです

      それが実際にできていないのが、現状です。例えばトヨタのRAV4 PHVは生産が全く追いついていませんが、これはセル生産の立ち上がりの遅れです。仮に、
      https://blog.evsmart.net/test-drive-reports/2020-rav4-phv-mihori-morohoshi/
      国内向け3600台、スズキアクロス3000台、北米向け3200台として、おおよそ1万台でしょうか。18.1kWhですから、0.181GWhとなります。
      2020年のテスラモデル3とYの製造台数合計は45万4千台。最も電池の小さいモデルが55kWhを搭載していますので、最低でもテスラが昨年モデル3/Yのために調達した電池の生産量は24.9GWhです。

      トヨタさんは、テスラの137分の1の電池を調達しようとして、調達が追いついていませんでした。これは事実。現時点でもRAV4 PHVは世界的に納車遅れが顕在化しています。
      https://bestcarweb.jp/feature/column/167499
      https://www.caranddriver.com/news/a33266528/2021-toyota-rav4-prime-supply-demand/

      >>今BEVが広まっても本来の目的であるCO2排出抑制の効果があるかどうか疑問

      これ、申し訳ないのですが、今までこの議論の中で、一度も根拠の提示をされていませんよね?
      こちらは私が書いたものです。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-global-life-cycle-co2-emissions-less-than-ice/
      アイントホーフェン工科大学の論文もご参考までに。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/technische-universiteit-eindhoven-research-shows-electric-cars-are-greener/
      逆に、主張されていることを証明するための計算や、論文等をご提示いただけませんか?

      >>できないところはできないと認め、FCなり他の技術に期待した方が良い

      当サイトでは、仰るように電気自動車の苦手な部分、例えば寒冷時の問題や自宅充電(集合住宅等)、価格、リサイクルなど、多くの課題に対して、可能な限り最新情報や、解説記事を、事実とデータに基づいてご紹介しています。
      逆に、FCは、FCそのものの技術が確立しただけで、サプライチェーンそのものに大きな課題があるのではないでしょうか?
      オーストラリアから水素を輸入することは良いと思います。しかしその水素はガソリンより高くなるなら、水素で発電して電気自動車のほうが、はるかに高い効率で走行でき、我々庶民の財布も痛みません。
      自動車に限って言えば、特に乗用車の場合、FCでメリットがあるのは単に水素を販売する人々だけ。我々ドライバーにとって、燃料が安くなければ、わざわざFCを使った車を買う理由がありません。
      FCVについてはこちらの記事でもまとめています。ご参考までに。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/hydrogen/hydrogen-fuel-cell/

      最後にお願いします。
      今後コメントいただき、記事内容を批判または否定されるのであれば(=歓迎します)、事実やデータに基づいて行ってください。当サイトは、何万人もの方々がご覧になります。当サイトの目的は、失礼とは思いますが、貴殿の書き込まれたいことをコメントいただく場ではなく、検索してわざわざ訪問いただいた方々に、正しい情報を得ていただくことです。多くの方は、エビデンスに裏付けられた情報を求めていらっしゃいます。

    4. 安川様

      >ほぼ全数が化石燃料の改質で、わざわざ水素を作っているんです。これは事実なんですよ。Googleで調べるなど、確認されてみてはどうでしょうか?エビデンスを出しているのに、「そんなはずはない」とおっしゃるのは、論理的な議論にならないと思います。
      何度も申し訳ありませんが、化石燃料の改質による水素が副生物ではないかと申し上げています
      エビデンスもこれまでに載せていますが、以下の2点です
      http://www3.scej.org/education/ethylene.html
      https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/suiso_nenryo/pdf/025_01_00.pdf
      上のリンクのフローチャートの一番上に出ている水素が化石燃料改質の水素だと思います(というかそうです。私の会社もこれですので。)
      貴方のおっしゃるように、燃やして水素だけを作っているというエビデンスはありますでしょうか?

      >どちらの駐車場にも充電器を設置しています。技術的に実証が終わってない水素と比べると、駐車場に充電器を付ける作業に、技術的に不可能なものはほとんどありません。
      それが成り立つのはまだEVの普及率が低いからではないでしょうか?
      普及率に対してどのくらいの充電器が必要なのかはわかりませんが、うちのマンションには充電器はありませんし、勤務先も都内なので充電器などありません。
      駐車場に世帯数だけもれなく充電器をつけるのは住み替えのタイミングも踏まえると相当先になるのでは?なので公共の充電設備が必要になるのは間違いないと思いますが。

      >必要な発電電力量は10%増加します。この増加は、実際には今すぐ起こるわけではなく、恐らく30年くらいかかって
      私は停電するなどとは言っておりません。『電力の増強が必要』と申し上げているのです。そのスパンで考えるのであれば徐々に増えるわけですので停電の心配はないでしょう。ですが、メッセージで申し上げているのはもともとガソリンに向けられていたエネルギーが電気に回るのでその分は発電能力を増やす必要があるのと、ご存知の通り、それが再エネである必要があります。

      >バッテリーが破壊されるほどの大事故の際
      https://jp.techcrunch.com/2021/08/21/2021-08-20-general-motors-issues-third-recall-for-chevrolet-bolt-evs-citing-rare-battery-defects/
      GMのボルトがリコールされました。これは充電中に火災が発生する可能性があるためと言われています。このようにLiBはもともと電子機器に使用されていたバッテリーなので製造がとてもデリケートです。あとで出てくるトヨタのバッテリー供給が追いつかないのは、トヨタの要求する品質をサプライヤーのパナソニック(正確にはトヨタの資本も入っているPPESですが)が満たせないことにあります。
      LiBを使用する以上、破壊しなくてもデンドライトなどの発生により潜在的に発火してしまうリスクがあります。トヨタが一生懸命全固体を開発しているのは、現行LiBのエネ密の問題もありますが、安全性の担保がもっとも強い動機のはずです。

      >排出量は、長期間で見ないといけないです。
      その通りですが、車を買うのはユーザーなので、ユーザーが排出する量という視点は必要です。実際に以下の研究もされていますので、重箱のすみを突いているというわけではありません。
      https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2020-pp-10.pdf
      上記のp9に4.製造時の CO2 排出を考慮した車両更新の最適タイミングという項がありますし、そもそもVWの報告などでもあるように、BEVの排出量がICEを超えるのは一定以上の走行が前提である以上、ユーザーがどのタイミングで買い換えるかというのは排出量を左右し得るファクターですよね?

      >まさにテスラに販売したわけです。なぜテスラに売るか分かりますか?それは、テスラが大口顧客だからです。アウディは小口顧客ですよね?
      何をおっしゃりたいのかよくわかりませんが、もともとパナが電池を作れないことの例としてLGの話が挙がった筈です。LGの電池は上のボルトの例でもあるように、若干品質に問題があるようですね。VWに納められないのは品質基準がクリアできないからではないでしょうか(納期遅延理由のエビデンスありますか?)?
      そういう意味でもテスラはパナから供給を受けられて非常に幸運だと思います

      >トヨタさんは、テスラの137分の1の電池を調達しようとして、調達が追いついていませんでした。
      それは品質の問題と、予想外の需要が生産計画を上回ってしまった為ではないでしょうか?実際RAV4の供給は今は改善しているようです
      https://autoc-one.jp/toyota/rav4_phv/special-5010392/
      新しいものの発売時には起こり得ることですし、コロナで稼働が落ちていたこともあると思います。
      何より、テスラのギガファクトリーもついこの間まで赤字でしたよね?
      https://www.sankeibiz.jp/business/news/181116/bsb1811160603002-n1.htm

      >これ、申し訳ないのですが、今までこの議論の中で、一度も根拠の提示をされていませんよね
      根拠は何度も示しておりますように
      VWの報告
      https://www.volkswagenag.com/en/news/stories/2019/04/from-the-well-to-the-wheel.html
      マツダの論文です
      https://www.mdpi.com/2071-1050/11/9/2690
      何度ももうしわけありませんが私が申し上げているのは、あなたが
      『EVは今の時点でエコ』と言い切ってしまっていることにあります
      上にあげた2つの論文や、貴方があげられているアインとフォーヘン 工科大学の論文もそうですが、”一定以上走ることが前提”である以上、その距離を走らなければBEVの排出量がICEを下回ることはなく、エコではないユーザーもいるからです。
      貴方の言葉を借りれば、『都合よく切り抜いて』いいところだけを宣伝している
      ように見えて仕方ありません。
      また、貴方は前提が同じとおっしゃいますが、VWの論文で出されている走行距離と、貴方の算出された走行距離が倍半分異なるのは何故ですか?
      前提が同じなのにこうしたバラつきが出る以上、チャンピオンデータがいくら優れていても、それだけを持って結論づけることは難しいと思います
      VWの前提に倣えばBEVの必要走行距離は11万kmですので、日本の自動車の生涯走行距離に倣えば少なくともBEVはICEと『同じくらいの排出量』になりますよね?
      また、ゴールドマンサックスが以下の資料を出しています
      https://www.goldmansachs.com/japan/insights/pages/electric-vehicles-lfa-f/lca-report.pdf
      真偽はあるにせよ、私が一方的に決めつけているわけではないということはおわかりいただけるかと思います

      >事実やデータに基づいて行ってください。
      一番最初の私のコメントは水素の供給源についてでした
      冒頭のコメントにあるように水素が副生物ではなく、化石燃料からそれだけを生成するために作られているということのエビデンスを出して頂けますでしょうか?

      また、これも何度も申し上げていますが、私はBEVがダメでFCなら良いというわけではなく、現状はどちらもまだ遠いと申し上げているだけです。

    5. Nakka様、コメントありがとうございます!

      >化石燃料の改質による水素が副生物ではないかと申し上げています
      >エビデンスもこれまでに載せていますが、以下の2点です
      >http://www3.scej.org/education/ethylene.html
      >https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/suiso_nenryo/pdf/025_01_00.pdf
      >燃やして水素だけを作っているというエビデンスはありますでしょうか?

      これはナフサ改質ですよね。
      現状商用水素ステーションで利用されているのは、ほぼ天然ガス改質だと思います。ちょっと日本の資料は、きちんと割合を出している資料がないんですよね。。Nakka様の伝手で、実際の割合を調査した資料がないでしょうか?本当にエチレン作るためにおまけで水素ができるだけなら、そして水素を取り出しちゃっても熱源として追加の化石燃料が不要なら、これはとても大きなニュースですし、世界的に発信すべきと考えます。ちなみにグローバルではこんな感じです。
      https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2021/02/hydrogen-trajectory.html
      水素製造の76%は天然ガスからです。天然ガスはご存じの通り、

      CH4 + 2H2O = 4H2 + CO2

      ですから、半分燃やすだけですね。

      >普及率に対してどのくらいの充電器が必要なのかはわかりませんが、うちのマンションには充電器はありませんし、勤務先も都内なので充電器などありません。

      これは、自宅充電に関することですね。
      電気自動車を普及させるには、自宅充電は必須になります。その点で、現時点の普及が十分でないことは確かです。しかし、注目すべきは、自宅充電を整備するためのコストと、技術的障害は、水素ステーションを整備するためのコストと、技術的障害に比べて、前者が圧倒的に低いのです。
      ちなみに私のマンションも、会社(千代田区です)の駐車場も、どちらも後付けで設置したものです。

      >もともとガソリンに向けられていたエネルギーが電気に回るのでその分は発電能力を増やす必要があるのと、ご存知の通り、それが再エネである必要があります。

      そうですね。大まかにはおっしゃる通りだと思います。
      しかしここも重要なポイントです。「再エネである必要がある」本当にそうでしょうか?旧型の石炭火力でもない限り、火力発電であっても、電気自動車の排出はガソリン車や(天然ガス由来の)水素燃料電池車より低排出になります。もちろん再エネであることは非常に望ましいし、そうするべきですが、時間的に間に合うかどうか・経済性などの問題点もあると思います。例えば稼働しているLNG火力を耐用年数がまだまだあるのに止めて、新しく再エネを入れる必要はないでしょう。

      >https://jp.techcrunch.com/2021/08/21/2021-08-20-general-motors-issues-third-recall-for-chevrolet-bolt-evs-citing-rare-battery-defects/
      >GMのボルトがリコールされました。これは充電中に火災が発生する可能性があるためと言われています。このようにLiBはもともと電子機器に使用されていたバッテリーなので製造がとてもデリケートです。

      ここは重要ですので、理解する必要があります。GMのBOLTのリコール対象の電池はLGエナジーソリューションです(以下LGES)。GM/LGESは、これが「a torn anode tab and folded separator」の製造上瑕疵に起因するものであると認めています。
      https://media.gm.com/media/us/en/gm/home.detail.html/content/Pages/news/us/en/2021/aug/0820-bolt.html

      日産リーフは、バッテリーに確実に起因すると判断されている火災は全世界でゼロです。また最大のメーカーのテスラは初期、ある程度火災を起こしていましたが、バッテリーパックの底面の保護の強化やBMSの改善で、最近ではほぼ火災はありません。
      デンドライトなどの発生についても研究が進み、デンドライトを発生させづらい添加剤(LiDFOB/LiBF4)についてもテスラのDahn教授の研究が進んでいます。
      https://www.nature.com/articles/s41560-019-0428-9?proof=t

      もちろん安全性については、物理的な側面もあります。現状テスラ以外の自動車メーカーが多用しているパウチセルは均等な冷却が困難で、一つのセルが過熱した際に他のセルにもそれが広がって、火災になるリスクが、ケースに入っている角型や円筒型セルより高くなります。例えばテスラ/パナソニックが使用しているNCAセルは、現状多くの他メーカーが使用しているNMC622/811セルよりかなり危険なセルですが、テスラはこれを円筒型に納め、周囲に間隔を取り、冷却のためのクーラントパイプを電池パック内に張り巡らせることにより、過熱を防ぎ、万が一の製造不良でショート・過熱するセルが出ても、他の周辺セルに波及しないような構造を達成しています。

      全固体だから絶対に安全というわけではありません。例えば12Vが原因で火災が発生すると、現状の全固体電池は硫化物の煙を出します。実際、車両火災の原因は12Vが圧倒的に多いのです。(国土交通省のデータベースをご覧ください)

      >ユーザーがどのタイミングで買い換えるかというのは排出量を左右し得るファクターですよね?

      いいえ、違います。
      車は必ずそのまま廃車になるわけではなく、平均的に期待される寿命を経て廃車になります。ここまでのサイクルで評価すべきです。

      >まさにテスラに販売したわけです。なぜテスラに売るか分かりますか?それは、テスラが大口顧客だからです。アウディは小口顧客ですよね?
      何をおっしゃりたいのかよくわかりませんが、もともとパナが電池を作れないことの例としてLGの話が挙がった筈です。LGの電池は上のボルトの例でもあるように、若干品質に問題があるようですね。VWに納められないのは品質基準がクリアできないからではないでしょうか(納期遅延理由のエビデンスありますか?)?
      そういう意味でもテスラはパナから供給を受けられて非常に幸運だと思います

      >VWの報告
      >https://www.volkswagenag.com/en/news/stories/2019/04/from-the-well-to-the-wheel.html
      >マツダの論文です
      >https://www.mdpi.com/2071-1050/11/9/2690

      まず、VWさんの報告は、2016年の数値を基に計算したものです。これはこの時期であれば当然ですが、2017年の数値に変更してみてください。結果は逆転します。
      マツダさんの論文に至っては、もっと古いデータを使用し、16万キロしかバッテリーが持たない前提を使われています。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-is-cleaner-mazda-lca/
      こちらに示したように、最近のデータを使い、バッテリーを交換しなければ、75kWhのバッテリーを搭載する電気自動車でも、ガソリン車よりライフサイクル排出量は低くなります。そもそもマツダさんに電話して、MX-30 EVは16万キロしか走れませんか?と聞いてみてはどうでしょうか?

      >VWの前提に倣えばBEVの必要走行距離は11万kmですので、日本の自動車の生涯走行距離に倣えば少なくともBEVはICEと『同じくらいの排出量』になりますよね?

      VWの計算は根っこの数値がないのでちょっと検証できないのと、e-ゴルフというかなり古い車両を使っているので単純比較は難しいですが、2016年度の電力の排出係数で「同じくらいの排出量」なら、今の電力の排出係数では電気自動車のほうがライフサイクル排出は低く、かつ、今後も低下していくのです。化石燃料車では、いくら新車で燃費を改善しても、ライフサイクル排出を下げられるまでには非常に長い期間がかかってしまいます。

      >また、ゴールドマンサックスが以下の資料を出しています
      >https://www.goldmansachs.com/japan/insights/pages/electric-vehicles-lfa-f/lca-report.pdf

      こちらのレポート拝見しました。

      一般的なガソリン車(ICE)は「Tank to Wheel」のCO2排出量が120g/㎞だが、LCAでは
      170-180g/㎞に膨れる(当然車格によって数値は異なるため一般的なセダンの平均を採
      用)。一方でEVでは「Tank to Wheel」は当然0g/㎞だが、LCAでは100-120g㎞と試算され
      る。

      こうあるので、私が書いていることと同じ主張ではないでしょうか?

      またHEVについて書いている点

      世界各国で強化される環境規制(2025-2030年目線)を乗り切るためにも、当社はHEVが少なくとも今後10年の電動化のメインストリームになると考える。しかしその後はLCAの導入、パリ協定を軸とした電源構成の変化、そしてバッテリー価格の下落により、EV化が大きく進展するだろう。2030年時点のEV販売構成比は10%にとどまるとみる

      ですが、この後に
      https://blog.evsmart.net/ev-news/european-green-deal-no-gas-cars-from-2035/
      ほぼ2030年にはHEVが販売できなくなる(記事内に詳細あります)という決定がなされているので、予測は変えざるを得ないと思います。また
      https://blog.evsmart.net/ev-news/electric-vehicle-sales-in-europe/
      7月のデータでは、欧州はすでに電気自動車/PHEVの新車販売シェアは17%になっています。

      いずれにしろ、主要な点としては、水素の製造元の割合ですよね。
      この点について、私は先ほど示したグローバルのKPMGさんの資料と
      https://www.energy.gov/eere/fuelcells/hydrogen-fuel-basics
      これくらいでしょうか。これは米国なのですが、水素製造は95%天然ガス由来、としていますね。
      ぜひ日本の資料が見たいと私も思います。期待できるソースがなくてすみません。以前は水素ステーションはどういう方式で(天然ガス由来か、など)生成されているか書いてあるサイトもあったのですが、今はなくなってしまいました。
      これは全体の数を見せるものじゃないですが、
      https://www.eneos.co.jp/business/hydrogen/distribution_center.html
      ↑ENEOS水素はLPGから作っています。
      http://www.sakai-lng.co.jp/business/outline/index.html
      ↑イワタニ最大の水素工場であるハイドロエッジは天然ガスから水素を作っています。サイトは、ハイドロエッジの横にある堺LNGのサイトです。

    6. 安川様

      長くなってきたので論点を整理したいのですが
      私がはっきりさせたいのは以下の2点です
      ①水素が副生物か否か
      ②BEVが”現時点でも”ガソリン車よりもエコであると言って良いか

      ①についてはわかりました。
      これまでの中で、化石燃料改質と表現されていたので、ナフサと天然ガスがごっちゃになっていたようです。
      天然ガス改質が現状のメインであるということは理解しました。ナフサ由来であれば当社が行っているように水素が出てくるのですがそれはメインではないということですね。ありがとうございます
      ②についてですが
      >自宅充電は必須になります。その点で、現時点の普及が十分でないことは確かです。しかし、注目すべきは、自宅充電を整備するためのコストと、技術的障害は、水素ステーションを整備するためのコストと、技術的障害に比べて、前者が圧倒的に低いのです。
      最初から申し上げているように私はBEVとFCVを比べているわけではなく、ガソリン車との比較をしています。貴方ご自身もお認め(最初は『全く不要』とおっしゃっていましたが)のように、インフラというものは絶対必要であり、それが相当数必要である以上、普及までは遠いと言えるのではないでしょうか?

      >旧型の石炭火力でもない限り、火力発電であっても、電気自動車の排出はガソリン車や(天然ガス由来の)水素燃料電池車より低排出になります。
      これこそエビデンスが必要な情報ではないでしょうか?
      何を根拠に低排出と言い切られるのでしょうか?

      >また最大のメーカーのテスラは初期、ある程度火災を起こしていましたが、バッテリーパックの底面の保護の強化やBMSの改善で、最近ではほぼ火災はありません。
      失礼ですが安全性とそれに対する信頼性を甘く見ていませんか?信頼というものは徐々に積み上げていくものであり、最近改善したからといって『はい安全ですね』と判断して良いものではありません。
      『ある程度』火災を起こしている以上、火災を起こすリスクは『ある』というものです。これから改善していけば良いとは思いますが、『安全』と言い切れるようになるには相当な時間がかかると思います
      https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-ooi/topix/denchi.pdf

      >全固体だから絶対に安全というわけではありません。
      このご意見ならなぜTeslaのバッテリーを安全サイドで語られるのでしょうか?
      おっしゃる通りと思いますが、そもそもLiBの可燃リスクの最大原因である電解液が固体である以上、リスクは低くなっていると言って良いのでは?

      >いいえ、違います。
      車は必ずそのまま廃車になるわけではなく、平均的に期待される寿命を経て廃車になります。ここまでのサイクルで評価すべきです。
      私は貴方の求めるエビデンスを持って『考え方』を申し上げただけです。
      https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2020-pp-10.pdf
      否定されるのは貴方の『お考え』でしょうか?
      あるいはそういうスタンダードなのでしょうか?
      前者であればそのようにお考えの根拠を、後者であればエビデンスをお示し頂けませんでしょうか?

      >最近のデータを使い、バッテリーを交換しなければ、75kWhのバッテリーを搭載する電気自動車でも、ガソリン車よりライフサイクル排出量は低くなります。
      私が申し上げているのは、貴方のご主張が都合の良い一部を切り取っているのでは無いですか?というものでした。
      //jp.techcrunch.com/2021/09/07/2021-08-22-the-tough-calculus-of-emissions-and-the-future-of-evs/ ※安川注:リンク外しました(Manhattan Institute関連)
      上記の記事にあるように、BEVとICEの排出量の差は簡単に結論づけられるものではありません。
      今の時点でBEVの方がエコであると言い切るには、少なくとも世界中の論文の大半を検証する必要があるのでは無いでしょうか?
      今の時点で言えることは
      『BEVは国や乗り方次第でガソリン車よりもエコになる可能性が高い』
      まででは無いでしょうか?
      何度も申し上げますが、私はBEVが未来永劫エコではないとは考えていません。そのために必要な個人や国の努力が必要と思います。
      少なくとも、今の時点で(BEVの方がエコであると)結論づけるのは時期尚早だと思いますし、もし貴方がEVの利害関係者であるならば誇大広告になってしまうと思います。

    7. Nakka様、再度のコメントありがとうございます!

      まず水素の生成方法について、もし可能でしたら、業界の方のようですので(ご専門ではないにしろ)国内の水素供給の、原材料の割合を調査可能でしたら、教えていただければと思います。もちろん記事をお書きいただくことも可能です。これ、本当に分からなくて、ほとんどが天然ガス由来ということは分かっているのですが、例えば今回のオリンピックの水素はENEOSが供給していますが、聖火は福島から輸送した再エネ水素、FCEVは天然ガスとなっているように、なかなか分かりにくくなっています。
      消費者の方によられては、カーボンフットプリントを気にされている方もいらっしゃいます。電力のように、排出係数を、明確にすべき時期に入ってきているように感じます。

      さて、BEVのライフサイクル排出についてですね。

      >最初から申し上げているように私はBEVとFCVを比べているわけではなく、
      >ガソリン車との比較をしています。
      >インフラというものは絶対必要であり、それが相当数必要である以上、
      >普及までは遠いと言えるのではないでしょうか?

      なるほど、ガソリン車と比べて、インフラが追加で必要ということをおっしゃっていたのですね。それはおっしゃる通りで、自明だと思います。しかし、普及まで「遠い」かどうかは分からないと思います。実際に欧州では新車ア販売におけるBEV+PHEV比率が17%まで上昇しています。
      https://blog.evsmart.net/ev-news/electric-vehicle-sales-in-europe/
      良く「日本では」という言い方をされる方がいらっしゃいますが、主要市場である米国・中国・欧州で化石燃料車が減少していけば、メーカーは化石燃料車の開発を止めざるを得ませんし、販売もしなくなります。スケールメリットが出ないですし、R&Dコストの配分も変わるべきだからです。

      >火力発電であっても、電気自動車の排出はガソリン車や(天然ガス由来の)水素燃料電池車より低排出になります。
      >これこそエビデンスが必要な情報ではないでしょうか?

      タンクからだけの計算にしてみますね。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-and-fossil-fuel-power-station/
      こちらの記事に、かなりBEVに不利な数字を使って計算してみたものがあります。計算は追えるようにしてありますし、表をうまく再現していただければ、排出係数が発電構成の変化でどう変わるか、見ていただけると思います。こちらの計算では排出係数を平均627g-CO2eq/kWhと算出していますが、実際に現在の、電力会社が発表している排出係数は、
      https://www.fepc.or.jp/environment/warming/kyouka/index.html
      463g-CO2eq/kWhと、私の計算よりさらに低いです。これは記事内にも理由を記していますが、石炭火力・LNG火力と一口に言っても、世代によって排出係数がかなり異なること、またデータの年度の違い等もあります。

      >『ある程度』火災を起こしている以上、火災を起こすリスクは『ある』というものです。
      >これから改善していけば良いとは思いますが、『安全』と言い切れるようになるには相当な時間がかかると思います
      >https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-ooi/topix/denchi.pdf

      例に出されているのは、自動車用とは異なる、エネルギー密度を最大限に重視し、かつケースに入っていないことの多いパウチセルの例ですね。自動車の議論をしているときに、違うアプリケーションの例を出しても参考にはならないと思います。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-vehicle-fire-risk/
      ↑非営利組織バテル記念研究所の方の発言。電気自動車の火災リスクはガソリン車のそれより逆に安全かもしれないという内容。
      https://www.forbes.com/sites/neilwinton/2021/06/14/electric-car-fire-risk-exaggerated-towing-myth-rejected-but-existential-risks-loom/
      ↑Thatcham ResearchのCTOの発言。貴殿が指摘しているロジックについて、批判しています。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/in-case-of-accident/
      ↑ノルウェーのDirectorate for Civil Protection (DSB)の安全に関するチーフエンジニアは、電気自動車の火災はより少ないと考えていると発言。

      >そもそもLiBの可燃リスクの最大原因である電解液が固体である以上、リスクは低くなっていると言って良いのでは?

      全固体電池の火災リスクは、リチウムイオン電池より低くなっていると思います。だから、私は「絶対に安全というわけではない」と書いています。全固体では、内部ショートのリスクは圧倒的に低くなると考えられ、それによる火災は少なくなります。反対に、全固体に独特のリスクも出てきます。例えば内部抵抗が高い=発熱自体は多いことや、(事故やHV関連の故障により)外部ショート時に炎上した場合、硫化物の煙が出ることなども全固体に特徴のある事象です。

      >車は必ずそのまま廃車になるわけではなく、平均的に期待される寿命を経て廃車になります。ここまでのサイクルで評価すべきです。

      この点については、私は貴殿のおっしゃっている意味や、計算が全く理解できません。平均的に期待すべき寿命は10-11年であり、その時点で廃車になると計算するのが論理的だと考えています。貴殿は、貴殿がたまたま5年しか乗らないから、5年でライフサイクル排出量を計算すべきとおっしゃっているのですよね?
      この点については議論になっていないと思いますので、話すのを辞めましょう。全く平行線なので意味がないと思います。合意しないことに合意します。

      //jp.techcrunch.com/2021/09/07/2021-08-22-the-tough-calculus-of-emissions-and-the-future-of-evs/

      Mark Mills氏はManhattan Instituteの方ですよね。リンクは外しました。
      Manhattan Instituteについてよくお調べになったほうがいいと思います。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/rebuttal-to-manhattan-institute-on-renewables/
      こちらは櫻井先生にManhattan Instituteの、別の動画を評価いただいた記事なのですが、この機関は少なくともどちらかというとロビー団体に属しています。内容はめちゃくちゃです。

      >今の時点でBEVの方がエコであると言い切るには、少なくとも世界中の論文の大半を検証する必要がある

      実際に、BEVのライフサイクル排出が、ガソリン車より高いとしている論文や文献は昨今見当たりません。目立ったものは、マツダさんのものだけではないでしょうか?そのマツダさんの論文は、世界のあちこちでデバンキングされ、(論文が誤っているというのではなく)不適切な前提値を用いている、と批判の対象になっています。
      逆に、キチンと計算式も提示している論文やページがあれば、私のほうで検証させていただきたく思いますので、一つ明示いただけますか?

  2. 化学メーカーに勤めていますが、水素はすべての有機物に含まれているので、ちょっとしたことですぐに発生します。少なくともFCVの普及初期段階においては副生物を活用するんじゃないんでしょうか?
    https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/suiso_nenryo/pdf/025_01_00.pdf
    トヨタ実際に化学プラントの副生水素を活用して電車を動かすプロジェクトを進めています
    https://www.hamakei.com/headline/11059/
    ここで使用される水素にCO2負荷はどの分にどのくらいかかっているのでしょうか?
    なんでゼロから水素を作る事が前提になっているんでしょうか?

    1. Nakka様、コメントありがとうございます。
      現実問題として、現在の水素の供給は残念ながらほぼ100%天然ガス改質になっています。副生水素というのはもちろんあるのですが、製鉄など主要なプラントではすでに水素は還元用に全量使用してしまっており、副生水素を取り出すと別の原料が追加で必要となり、コストを考えると割に合わない、という状況です。実際に副生水素が多く生成されていれば、副生水素から供給を受ける水素ステーションが出てくると思います。天然ガスからの水素生成はガソリン車とほとんど同じ負荷で、ガソリンより複雑で新サプライチェーンを要求する割には、消費者へのメリットがなく、恐らく消費者はガソリンより高額な水素を購入させられることになりそうです。

      ご存じのように政府はオーストラリアで褐炭から水素を作り、それを液化して日本に運び、液化水素を日本中に配送して水素ステーションで利用できるかのようなストーリーを作っています。
      これは現実的でしょうか?褐炭水素生成プラントも、そこから水素を液化するプラントも、日本に運ぶ液化水素タンカーの大サイズのものも、国内で液化水素を大量保管する保管用タンクも、それを運ぶ大型液化水素ローリーも、それらが日本中に配備されたサプライチェーンも現時点では存在しません。現行の圧縮水素を使用する水素ステーションでは、液化水素をそのまま使うことはできず、気化するための機器が追加で必要となります。

    2. 安川様

      すみませんが、ナフサや天然ガスを改質するのは水素を作るためではなく、エチレンやプロピレンを作る為のもので、水素は副生物だと思います。
      http://www3.scej.org/education/ethylene.html
      知っての通り、エチレンやプロピレンはあらゆるプラスチックの原材料であり、これを無くすことはICEを無くすことよりも難易度は高くなります。
      (天然由来にすればカーボンニュートラルにはなりますが、その場合も水素は副生物として取れると思います)
      ナフサや天然ガス改質にCO2負荷がかかっているのはその通りですが、水素を作るためではない以上、これを水素のCO2負荷としてカウントするのはおかしいのではないでしょうか?

      サプライチェーンが存在しないと仰いますが、それは大なり小なりEVも同じことで、どちらにしても”これから解決しなくてはならない”課題です。
      このサイトでもよく触れられていますが、日本に限らず世界中再エネ発電比率を上げなければEVとてエコではないわけですから。
      また、CO2負荷を言うのであればCO2の排出の1/3程度は貨物輸送によるものですが、
      https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html
      これはEVは決定的に向いていない(エネ密・重量・容積等)ですし、航空機や船舶等を電動化することも非現実的です。EVとFCは棲み分けられるものだと思います
      そういう意味では(記事の話題に戻りますが)トヨタの取る全方位戦略というのはこれ以上ないくらい真っ当な戦略だと思います

      最初のメッセージで私は化学メーカーに勤めていると申し上げましたが、販売品の中に水素もあるので、『使ってしまっている』ということはないんじゃないかと。
      勿論FCVに供給できるようになるにはもっと大きな規模が必要になってくるので、課題はありますが、事例として挙げたように、例えば公共インフラ向けから徐々に普及するというシナリオはそれほどおかしな話ではないと思います。

      また、水素はあらゆる有機物に含まれているので、プラスチックのリサイクル過程で発生させることもできます
      https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66811150Q0A131C2TJ1000/#:~:text=%E6%98%AD%E5%92%8C%E9%9B%BB%E5%B7%A5%E3%81%AF30%E6%97%A5,%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E6%BA%90%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82
      これだけでは供給量やコストの問題もあるのでオーストラリアから水素を持ってくるというアイデアが考えられているわけですが、仰るようにこの輸送に係るコストや技術的な課題をどうするかというのが頭の使いどころで、それ自体を否定するのはおかしいと思います

      いずれにしても、EVは『こうすればできる』という論調なのに対し
      FCは『こうだからできない』という論調なのは第三者的には偏った考え方であると言わざるを得ないと思います

    3. Nakka様、再度のコメントありがとうございます!

      >ナフサや天然ガスを改質するのは水素を作るためではなく、エチレンやプロピレンを作る為のもので、水素は副生物だと思います。

      そんなことないですよ。ご参照いただいたエチレン製造設備では熱分解が用いられていますが、現時点では水素は燃やされてしまっていると思います。つまり、水素を取り出すことはもちろん可能ですが、その分熱量が下がるので、別の燃料が必要になります。製鉄も同じなんです。
      逆に天然ガスの場合、CH4 + 2H2O = 4H2 + CO2という化学式になりますので、天然ガスは水素を取り出すと分解されてしまい何も製造できません。水素のためだけに天然ガスは(半分?)燃やされるわけなんです。

      >サプライチェーンが存在しないと仰いますが、それは大なり小なりEVも同じことで、どちらにしても”これから解決しなくてはならない”課題

      EVのサプライチェーンは、燃料由来のものはないですよ。
      水素燃料電池車にしろ、水素エンジン車にしろ、車両サプライチェーンのほかに、燃料製造サプライチェーンと、燃料輸送・補給サプライチェーンの二つを新規に作成する必要があります。三つですね。
      電気自動車の場合は、普通充電インフラ・急速充電インフラの二つは、充電器を設置するだけです。これと車両サプライチェーン。

      ですから、サプライチェーンの差異は、「大なり小なり」の差ではなく、非常に大きいと言えるのです。また水素燃料の製造・輸送サプライチェーンのほとんどのパーツがまだ実証段階にある技術。10年後に実現するかどうかも分かりません。
      私は、実現しないからやるべきじゃない、と言ってるのではなく、まだ実証なんだから、しっかり研究開発を続けるべきで、今の時点で実際にインフラを構築開始する段階じゃない、と思っています。

      >このサイトでもよく触れられていますが、日本に限らず世界中再エネ発電比率を上げなければEVとてエコではない

      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-global-life-cycle-co2-emissions-less-than-ice/
      エコじゃない、わけではないんです。
      (1) まず、ライフサイクルで見て、ガソリン車より電気自動車のほうが低排出なのですでに、現時点でエコなのです。日本でも中国でも米国でも欧州でも。
      (2) 次に、再エネ比率はこれから上がります。そうなると、電気自動車のエコ度合いは、現時点より高まります。差が開くわけです。
      (3) 最後に、販売してしまったガソリン車は、排出が下がることはありません。水素燃料電池車も、天然ガス改質由来の水素を使う限り、販売してしまった車両の排出は下がりません。しかし、電気自動車は再エネ比率が上がれば、販売済み全車両の排出が下がります。つまり、将来的に再エネ比率を上げていけば、ガソリン車/水素燃料電池車が普及している将来時点より、電気自動車が普及している将来時点のほうが、排出を「早く」下げることが可能です。
      これらの三点から、日本を除く世界各国は電気自動車により重点を置いて、政策を展開しています。

      >これはEVは決定的に向いていない(エネ密・重量・容積等)

      この論理には飛躍があると思います。
      (1) 貨物をディーゼルのままにすることと、乗用車を電動化することに何の関連性もありません。
      (2) テスラがセミを発売予定にしています。これは米国EPA基準で、2kWh/マイル=1243Wh/kmくらいの電費でセミトレーラーを実現できる、としているものです。これが実現するなら超急速充電網を各トラックターミナルに設置するだけで、長距離トラックを電動化できます。
      (3) バスの電動化は進んでいます。

      >航空機や船舶等を電動化することも非現実的です

      これはそうかもしれませんね。ただ、ご存じの通り、航空機や船舶の、排出における貢献度はあまり高くありません。

      >トヨタの取る全方位戦略というのはこれ以上ないくらい真っ当な戦略

      当記事は戦略について語るものではないのでコメントは少しだけにしますが、実は、全世界の自動車メーカーは、電池の自社生産に力を入れています。ご存じですか?プリウスの年間150万台分の電池は、テスラモデル3 スタンダードレンジプラスの年間3万5千台ぶんにしかなりません。100万台の電気自動車(それでもトヨタの年間生産台数の10分の1です)を生産するには、現在の電池生産工場が28個必要になるのです。1000万台なら工場が280個です。
      これを、15年でキャッチアップできるかどうか、というところが戦略のポイントになります。キャッチアップできるなら、問題なくトップメーカーを維持できると思います。工場を、年間18個ずつ作るってことです。

      >プラスチックのリサイクル過程で発生させることもできます

      はい、すでに廃プラを使用したプラントは稼働して、水素を製造しています。これも有望な技術だと思います。

      >仰るようにこの輸送に係るコストや技術的な課題をどうするかというのが頭の使いどころで、それ自体を否定するのはおかしいと思います

      否定しているというより、技術的な課題がここまで山積みになっているエコシステムを、実行することを前提に実際にロールアウトするのは時期尚早ではないでしょうか?例えば水素ステーションを作ってもこれは圧縮水素にしか使えません。オーストラリアから液化水素を持ってきたら、当然液化水素のまま日本中に運ぶことになりますから、水素ステーションは液化水素対応である必要があります。作り直すのかな?という点なのです。
      CCSも然りです。
      現時点で、CCSのデータがやっと出てきたところですが、現時点ではあまりCO2をしっかりとキャプチャーできていないのが現実のようです。これが実証であっても、ちゃんと改善できている事例が出てこないと、多くの方々は石炭+CCSでクリーンな水素が作れる!と言っても、「机上の空論?」と勘ぐってしまうのではないでしょうか?
      私は勘ぐってませんよ。でもちゃんと実証で、できることを証明する必要があると思います。

    4. 安川様

      >ご参照いただいたエチレン製造設備では熱分解が用いられていますが、現時点では水素は燃やされてしまっていると思います。
      最初のメッセージで申し上げているように、私は化学メーカーの人間ですのでこれは間違いなく『そんなことはありません』。実際にナフサの改質で発生した水素を販売していますので。
      また、これは例を挙げておらず申し訳ありませんが、苛性ソーダの生成工程においても食塩水を電気分解するので大量の水素が副生します。
      これも実際に販売されているので副生物として活用できる水素ですよね?
      http://www.hess.jp/Search/data/28-01-023.pdf
      何度も申し上げますが、水素は有機物にもれなく入っているので、少なくともFCV以外では水素としての需要よりも副生物としての発生量の方が多いはずです

      >サプライチェーンの差異は、「大なり小なり」の差ではなく、非常に大きいと言えるのです。
      私の大なり小なりは既存のガソリン車との差異のことです。全国、全世界にそれこそガソリンスタンドのような密度で充電器をおき、ユーザーが不便を感じずにすむようになるには越えるべきハードルは多いと思います。
      今はEVは限られた人しか乗らないので公共の充電時の待機時間や家庭充電における消費電力の問題は表面化していませんが、これもシェアが増えてくれば問題として出てくる筈です。
      ご指摘のように水素の課題は多くEVよりももっと先に実用化されるものであることは間違いないですが、CO2削減のためにガソリン車を減らさなければならない。そのガソリン車からの代替は『EVならできる』、『FCVには無理』ではなく、現状は『どちらも無理』という理解です。なので、一足飛びにEVに走るのではなく、まずはHEVなりPHEVなりで燃費を向上させて負荷を落とし、稼いだ時間でインフラなり代替燃料なりを研究していきましょう
      というのが真っ当なルートではないでしょうか?

      >ライフサイクルで見て、ガソリン車より電気自動車のほうが低排出なのですでに、現時点でエコなのです。日本でも中国でも米国でも欧州でも
      この記事を読みましたが、現時点でもエコであるというのは少々飛躍しすぎではないでしょうか?
      ①まず、一定以上の距離を走行する前提であるということを触れなければならないと思います。私の車はガソリン車ですが欧州やEUの5万kmすらまだ到達していません。今の時点で私がもし車を買い換えたらガソリン車の方がエコになりますよね?
      ②元となるマツダ論文は公的に認められた論文であり、誤りではありません。その論文に記載された前提を変更した前提で出された結論をベースにされるのはミスリーディングではないでしょうか?
      ③マツダの論文の否定に用いられている記事のLIBの排出量の前提とされている1kWhあたり61-106kgですが、この値について、元となるIVLの論文にはOne important reason is that this report includes battery manufacturing with close-to 100 percent fossil free electricity in the range, which is not common yet, but likely will be in the future.のような記載があり、再エネ100%の発電を前提としたものであると謳ってありますが、文中にもあるようにまだ一般的ではなく、あくまで仮定の話です。
      ④BEVの急先鋒であるVWですら今の発電前提ではBEVがICEを上回るのは10万km以上走行した前提であると発表しています
      https://www.volkswagenag.com/en/news/stories/2019/04/from-the-well-to-the-wheel.html

      >貨物をディーゼルのままにすることと、乗用車を電動化することに何の関連性もありません。
      CO2の負荷の話ですので関連無いということはないと思います。
      車という乗り物のCO2負荷を減らすのであれば、乗用車だけではなく貨物輸送の分野における排出も考慮しなくてはならないという話です。
      その前提で行くと、Teslaのsemiは正直眉唾の域を出ない代物だと思っていますが、いかがでしょうか?
      また、BEVバスについてですが、確かに現状出回りつつありますが、バスのように大きくて稼働率が物を言う乗り物はバッテリーの充電時間がネックになると思いますので、これはコストさえ下がればいずれFCになると思います。実際に中国ではFCバスの運用が進んでいる筈です。

      >実行することを前提に実際にロールアウトするのは時期尚早ではないでしょうか?
      そうは思いません。水素の課題はご指摘のようにインフラの面が大きいのである程度規模の大きな実証実験ベースでなければ使用の可否が判断できないと思います。

    5. Nakka様、再度に渡り、ご返信ありがとうございます。

      >実際にナフサの改質で発生した水素を販売していますので。

      はい、それは存じ上げています。でもそれも化石燃料改質ですね。炭化水素を半分燃やして?水素を生成するわけですよね?
      先ほどの議論は、副生水素というものが実際に存在するのか?でした。実際の商用水素ステーションで、化石燃料改質でなく、副生水素を使用しているところはわずかではないでしょうか?東京の水素ステーションの一覧の横に、水素供給元を書いてみましたが、こんな感じです。

      ニモヒス水素ステーション九段 化石燃料改質(イワタニ/大陽日酸供給)
      イワタニ水素ステーション芝公園 化石燃料改質(イワタニ供給)
      ENEOS 東京晴海水素ステーション 化石燃料改質(ENEOS供給)
      千住水素ステーション 化石燃料改質(大陽日酸供給)
      豊洲水素ステーション 化石燃料改質(東京ガス供給)
      イワタニ水素ステーション東京有明 化石燃料改質(イワタニ供給)
      新砂水素ステーション 廃ブラから生成(昭和電工マテリアルズ供給)
      ENEOS Dr.Driveセルフ潮見公園店 化石燃料改質(ENEOS供給)
      イワタニ水素ステーション東京葛西 化石燃料改質(イワタニ供給)
      ENEOS 東京目黒水素ステーション 化石燃料改質(ENEOS供給)
      ENEOS 東京高輪ゲートウェイ水素ステーション 化石燃料改質(ENEOS供給)
      イワタニ水素ステーション東京池上 化石燃料改質(イワタニ供給)
      ENEOS 東京大井水素ステーション 化石燃料改質(ENEOS供給)
      ニモヒス水素ステーション南六郷 化石燃料改質(大陽日酸供給)
      イワタニ水素ステーション羽田空港 化石燃料改質(イワタニ供給)
      ニモヒス水素ステーション世田谷(代替営業) 化石燃料改質(大陽日酸供給)
      ニモヒス水素ステーション世田谷 化石燃料改質(大陽日酸供給)
      ENEOS 東京杉並水素ステーション 化石燃料改質(ENEOS供給)
      練馬水素ステーション 化石燃料改質(東京ガス供給)
      ENEOS 東京板橋水素ステーション(移動式ステーション) 化石燃料改質(ENEOS供給)
      ENEOS 八王子高倉水素ステーション 化石燃料改質(ENEOS供給)
      TKK水素ステーション 不明

      もしよろしければ、業界の方ということですので、ぜひ、「なぜ副生水素は商用ステーションに使われないのか?」を教えていただけませんか?取材できるなら、させていただきたいと思います。

      >私の大なり小なりは既存のガソリン車との差異のことです。全国、全世界にそれこそガソリンスタンドのような密度で充電器をおき

      電気自動車とガソリン車の差異ということでしょうか。
      実は電気自動車の充電スタンドは、ガソリンスタンドほどの密度は必要ありません。なぜならほとんどが自宅充電で済むからです。例えば私は年間約23000kmを走行しますが、消費した電力のうち7割は自宅充電で済ませています。つまり、私くらい長距離ばかり走っている人間でも、3割しか外での充電に頼っていないのです。

      次に、現時点で電気自動車はガソリン車よりエコかどうか、という視点についてです。

      >①まず、一定以上の距離を走行する前提であるということを触れなければならないと思います

      日本の平均の乗用車の廃車時の走行距離は、11万キロ程度です。Nakka様が車を買い替えられる際には、5万キロで廃車にされるのでしょうか?下取りに出されますよね。次に乗られる方はNakka様が売却された車両を、11万キロまで乗られるのです。

      >②元となるマツダ論文は公的に認められた論文であり、誤りではありません。その論文に記載された前提を変更した前提で出された結論をベースにされるのはミスリーディング

      そうおっしゃることは理解できます。しかし、ミスリーディングなのは論文じゃなく、前提値なのです。論文は、前提の範囲では、ロジックが正しくないと査読に通りません。しかし、ミスリーディングな前提値を用いた場合はどうでしょうか??

      実際にマツダ論文については詳細にこちらの記事で検討していますが、
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-is-cleaner-mazda-lca/
      どっちかというと、マツダさんの排出量の前提値のほうがミスリーディングではないでしょうか?(汗 今、マツダさんはBEVも販売されていますが、16万キロで電池が劣化して、走れなくなるのでしょうか?そんなわけないのです。

      >③マツダの論文の否定に用いられている記事のLIBの排出量の前提とされている1kWhあたり61-106kg

      上の記事で使用しているのは、再エネがフルに活用されていないケースの、106kg/kWhと中央値の二つの値を使って計算しています。

      >④BEVの急先鋒であるVWですら今の発電前提ではBEVがICEを上回るのは10万km以上走行した前提であると発表しています
      https://www.volkswagenag.com/en/news/stories/2019/04/from-the-well-to-the-wheel.html

      おっしゃる通り、私の計算と大体合っていて、マツダ論文の前提値がミスリーディングであることの裏付けにもなっています。

      私>>貨物をディーゼルのままにすることと、乗用車を電動化することに何の関連性もありません。
      Nakka様>CO2の負荷の話ですので関連無いということはないと思います。

      ??
      私は乗用車について話しているのであって、貨物については電動化しろとかは書いていないと思います。もちろん、これから将来的には可能になるかもしれません。

      >Teslaのsemiは正直眉唾の域を出ない代物だと思っていますが、いかがでしょうか?

      現時点では、実際に製造して超急速充電・走行もできている車両なので、オーストラリアの輸入水素よりは実現性が高い技術だと言えると思います。テスラはともかく、ボルボも電気トラックを走行させています。
      走行:https://www.youtube.com/watch?v=2MJua9mj8f0
      充電:(ボルボ)https://www.youtube.com/watch?v=Ovq4Tniknd4
      充電:(テスラ)https://www.energytrend.com/news/20210614-22037.html

      >実際に中国ではFCバスの運用が進んでいる筈です。

      https://www.changing-transport.org/wp-content/uploads/2020_GIZ_New-Energy-Buses-in-China.pdf
      こちらのTable.6をご覧ください。2019年までに、BEVバスは33万台、FCバスは861台です。

      >水素の課題はご指摘のようにインフラの面が大きいのである程度規模の大きな実証実験ベースでなければ使用の可否が判断できない

      最低でも、日本の沿岸部に、ある程度のサイズの液化水素タンクを建設したり、世界のどこかでCCS採用の、褐炭由来水素製造プラントを稼働させ、実際にCO2を何割埋設できるか、証明すべきだと私は考えています。国内の圧縮水素インフラは、実際に使われる液化水素インフラとはあまり関係がなく、実証実験とすら言えないのではないでしょうか?

  3. コロナ・五輪・EVシフト敗北のトリプルショックとなるこの時期は
    今後の日本が国際的存在感を失っていく歴史的ターニングポイントにまでなってしまうのではないかと危惧をしています。
    製造業にとっては特に厳しい時代が訪れるでしょう。
    特に可哀相なのは5年後、10年後に成人し、就職活動に転じ、そこから厳しい時代を生き抜かなければならない今の子供たちです。

    日本の技術はやはり高いものがあると思いますが、それにしても中国の台頭が、そしてバッテリー技術のブレークスルーのスピードがあまりにも目覚ましい。

  4. わかる方がいるなら教えてほしいです。水素自動車(FCV、水素エンジン車)が電気自動車(BEV)に優る未来技術という点が理解できないです。
    水素自動車もBEVも二酸化炭素を削減するための技術であるという点は同じです。そこで、すべてを再生可能エネルギーでまかなう理想社会を想定してみます。車が排出する二酸化炭素はもちろん、製造から廃棄まですべてを再生可能エネルギーを使用する。そうした場合、車としてはいかに自然エネルギーを運動エネルギーに変換できるかが問題になります。BEVの場合は発電効率が問題です。例えば、太陽光パネルは現在の技術では太陽エネルギーを最高30%程度で電気に変換します。一方、水素の場合は電気分解で製造することになります。これには電気が必要です。それをどこから得るかと言えば、化石燃料を使わないわけですから、BEVと同じように再生可能エネルギーを利用することになるのです。現在の技術では30%の太陽電池を使って24%以上の変換効率が可能だそうです(注)。これはもちろん、太陽電池に依存しているので30%以上になることはありません。BEVとFCVの構造の違いは電気をいかに供給するかだけです。BEVは自然エネルギーを30%の効率で運動エネルギーに変換します。一方、FCVは24%しかなりません。しかも、FCVがBEVに優ることは永遠にないのです。
    水素エンジンでは、さらに分が悪くなります。電気はモーターで100%に近い効率で運動エネルギーに変換することが可能です。しかし、水素エンジンは燃焼なのではるかに低い効率でしか運動エネルギーに変換できません。
    もっとも、水素自動車がBEVに変換効率で劣っていても、電気よりも水素のコストがはるかに低いならば水素自動車の時代になるかもしれません。しかし、製造、貯蔵、提供すべておいて高コスト。しかも、電気ならば、自宅などで簡単低価格で発電施設を設置できますが、水素はそれができない。効率、コスト、使い勝手を考えてBEVよりも未来技術とは思えません。
    水素製造において発電に優る技術の可能性があるのか。また、コストを今よりもはるかに低価格にする可能性があるのか。主にこの点においてご教示いただければと思います。

    (注)chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/viewer.html?pdfurl=http%3A%2F%2Fwww.t.u-tokyo.ac.jp%2Fshared%2Fpress%2F%2Fdata%2F20150917_sugiyama.pdf&clen=799394&chunk=true

  5. 電気自動車は万人むけではありませんね。
    家で充電できない人も多いし、遠征でも同じです。
    その隙間をどうやって埋めるのでしょうか?
    今まで通りガソリン車が使えるならそれでいいですが、そうなるとそもそも電気自動車の必要性自体が薄れます。
    燃料電池の水素は今は高いですが、もっと安く作る計画もあります。
    水素を作る方法はたくさんあるのです。
    現時点で1kgあたり1200円ぐらいですか。
    これをガソリン車の燃費と比べると、ハイブリッドよりは悪いですが一昔前の燃費とあまり変わりません。
    燃料電池車も選択肢の一つと思います。

    ちなみに私は二酸化炭素削減とかどうでもいいと思っているし、世界の目標も信用していません。
    あくまでも目標で実現できるかはわかりませんからね。
    一般人が受け入れ可能な規制じゃなければ反発が起きるだけです。
    京都議定書、実現しましたか?
    正直者がバカを見る世界です。
    炭素取引とか投資家の餌にされただけでしょ。

    1. なの 様、コメントありがとうございます。

      >家で充電できない人も多いし、遠征でも同じです。

      家で充電できないのは電気自動車にとっては致命的ですね。日本政府は大きな手は打っていませんが、他国では集合住宅について、一人の住民が設置したい、という希望を出した場合、それを管理組合が拒否することは違法になるような法律が施行され始めています。また路上駐車が一般的な欧州では、道路沿いに充電設備の設置が進んでいます(時間かかると思います)。例えば日本国内において、集合住宅に住んでいる世帯は約半分弱。ですから、残りの半分は戸建て駐車場付きか、または近隣の平置き月極駐車場を利用していると考えられるわけで、これらに充電器を付けるのは容易。隙間、ということで結構大きな問題視されていることが多いのですが、まずは半分の世帯に対しては問題がない、ということです。
      遠征に関して、私は2014年から電気自動車だけを乗り継いで1台所有ですが、年23000kmくらい、全然問題なく走れます。先週末も400kmほど走行してきました。
      https://blog.evsmart.net/tesla/model-x/roadtrip-tokyo-fukui-5/
      1000kmの1泊2日旅行も問題なくできますよ。超急速充電設備の実現により、これが余裕で可能になりました。

      >燃料電池の水素は今は高いですが、もっと安く作る計画もあります。

      当記事は、ここを問題視しているのです。案外日本国内では水素の事実が正確に報道されない状態にあり、誤解が多いです。

      まず水素を作る方法は、大きく分けて、化石燃料の改質(主要なところでは天然ガス)、そして水電解しかありません。いま日本で供給されている水素は天然ガス由来のもので、
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/hydrogen/hydrogen-fuel-cell/
      こちらで計算していますが、本来天然ガスを都市ガスとして売れば約400円で売れるものを、1200円で売るわけなのですが、これではほぼ赤字だと思われます。
      都市ガスはガス管に入れればすぐ販売できますが、水素は圧縮して輸送し、販売する場所まで運び、そしてさらに圧縮して冷却して充填する必要があるからですし、さらにステーションの場所代も必要になります。
      これがないと、1kmも走行できないのが燃料電池車です。

      水素の製造では、今のところ褐炭からの水素製造が注目されています。下は経産省のロードマップです。
      https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/suiso_nenryo/pdf/025_01_00.pdf
      どれくらい複雑なことをやろうとしているのかお判りでしょうか?電線を引いて充電器付ければ終わり、じゃないのです。
      褐炭からの水素製造プラント、そこから二酸化炭素を埋設するためのCCS設備、水素の液化、液化水素タンカーの製造、液化水素タンカーでの輸送と国内での受け入れ・貯蔵、そして液化水素サプライチェーン(今、日本が構築しているのは圧縮水素サプライチェーンで、液化水素のものとは異なり、輸送するトレーラーやローリーが異なります、ステーションの形式も異なります)。これらを全部新規にこれから作る、という話で、10年で何とかなるような問題ではありません。

      褐炭から水素を製造した場合、そこで発生した二酸化炭素はCCS設備で埋設されます。しかしこれは現時点ではまだ成功はしておらず、100%どころが半分のCO2も捕獲できていません。
      このコストは30円/Nm3とされていますので(港湾での受け渡し価格)、仮に末端価格(消費者が買える価格)をこの2倍としましょうか。
      1Nm3は0.0898kgなので、60円/0.0898kg=668円/kg。トヨタ新型ミライを例にとり、水素5.6kgで米国EPA基準402マイル走行できるので、水費(燃費)は8.66g/km。1kmあたりのコストは、5.78円/kmです。
      同等サイズの電気自動車の電費は同じ米国EPA基準で、6.7km/kWh。1kWhの電気はおおよそ26.5円程度で購入できるので(自分で発電すればタダですが)、これで計算すると1kmあたり、3.96円/kmです。

      上記30円/Nm3の金額は、実は2030年の目標。つまり、2030年の目標が達成できても、「現時点での」電気自動車より4割以上も割高な料金で走行することになります。
      ちなみに同じ計算をハイブリッド車でやってみましょう。サイズがちょっと小さいですがプリウスの一番燃費の良いグレード(米国ではPrius Ecoと呼ばれています)が23.6km/l。1lのガソリンが仮に120-150円とすると、
      120円:5.08円/km、2030年に、水素サプライチェーンが成立した後の目標価格水素を用いた燃料電池車より安い
      150円:6.36円/km、燃料電池車に対し、価格はガソリンハイブリッド車の1割増し

      >燃料電池車も選択肢の一つと思います。

      もちろん選択肢の一つではあると思います。

      >一般人が受け入れ可能な規制じゃなければ反発が起きるだけです。
      >京都議定書、実現しましたか?

      パリ協定にしろなんにしろ、少なくとも、こういう見方をしてみてはどうかと思います。
      まずこれらは利害関係絡む多くの国が批准しているということ。
      多くの国はカーボンニュートラルに向けて進むということ。
      それらに反して掛ける人々は、負ける可能性が高いこと。
      自ら負ける道を選ぶのはどうでしょうか?車をせっかく作っても、世界で誰も買わなかったら、それでお金はもらえないのではないでしょうか?

    2. アメリカのEVユーザーの約2割がガソリン車に戻ったというニュースがありました。これを聞いて2割も満足していないのかではなく。8割もある程度満足してるんだと思いました。戻った理由は充電の問題みたいですが、どうしてもライフスタイルと合わなかったのでしょう。BEVの場合、1日の走行距離が車の航続距離内に収まっていることと、充電環境が整っていることは必須。これさえ満足していれば、乗り換えても問題はありません。日本よりも1日の航続距離が長いアメリカで、8割も満足しているなら、日本ならそれ以上満足されると思います。特に充電設備の設置が容易な戸建ての人ならほとんど問題ないでしょう。ただ、まだ車種が少ないし、車体価格もやや高いので、そのあたりで合わない人もいるかもしれませんが。しかし、中古車を買えば、案外安いです。アンチの人たちがマイナス情報を流しますが、BEVの実態を知ればユーザーは徐々に増えていくと思います。もう十分、ガソリン車に戦える状態になっていると思います。

  6. トヨタがEV以外の風を起こそうとしているのは仕方がない。
    本気で、EVに力をいれればそこそこの成果は出せるだろうが、
    力を入れれば、短期的にも長期的にも負担が大きいから、躊躇しているのだと思う。
    ガソリン車に特化した職人さんが強みのトヨタにとって、
    職人さんを切り捨てなければならない短期的負担と、強みが消失して他の企業と同じ土俵で戦わざるを得なくなる長期的負担は、計り知れない。

  7. トヨタにとっては、EVへのシフトをできるだけ遅らせることで、かなりのメリットがあるでしょうね。いままで通りパラレルハイブリッド車を売り続けることができれば、せっかく作り上げた HV のための生産設備を捨てずに済む訳ですから。

    もちろん、トヨタが水素社会を推進しているのは知っています。しかし、もしトヨタが本気であれば、毎年数兆円の利益を出している会社ですから、思い切って数兆円規模の投資だってできるはずです。テスラが世界中にギガファクトリをボコボコ作っているみたいに、もっとドバっと投資できるはずなのです。株価は同じくらいなはずですし、利益だってテスラより出ているはずですから。

    例えば、オーストラリアの砂漠のど真ん中に大規模な太陽光発電を数兆円かけて作って、そこで水素を生産するといったこともできるはずなのです。ですが、それをやらない。仲間を集めてみんなでやる、みたいなことをやるわけですが、その規模も決して大きくない。めちゃくちゃ小さい。そして、なぜ太陽光発電ではなく、石炭を原料に水素を作っちゃうのか?非常に疑問に感じる訳です。

    もし水素技術に本当の可能性があり、本当に将来的に収益源になるとわかれば、トヨタひとりでも大規模な投資をしたっていい訳です。「トヨタ水素」みたいな会社を数兆円規模で設立して、大儲けを狙うことだってできる訳です。ですが、それをやらない。

    本気かどうかわからない小さな投資をいくつもする訳ですが、それが「単なるニュースづくりなのか、本気の事業投資なのか、よくわからない」ということなのです。トヨタが投資家たちから「グリーンウォッシュ」みたいな呼ばれ方をし始めたのも、そうしたことが理由なのではないでしょうか。

    「いつか来る未来のためにトヨタも頑張ってますよ…」ということもわかるのですが、ポイントは「その未来がいつ来るか」です。50年後でしょうか?でも、50年後では遅すぎるのです。

    せっかく完成させた大規模な HV の生産設備ですから、少しでも長く使いたいのはわかりますし、その方が儲かるのはわかるのですが、そろそろ次に進むべき時期が来ているのではないでしょうか。

    1. トヨタもバカではないので、水素自動車や超小型EV、全固体電池などがビジネスにならないことは知っていると思います。未来への対応は、環境への対策に消極的という周囲からの批判をかわすためでしょう。あるいは、従業員向け?
      その一方で、アメリカではガソリン車の推進団体にロビー活動を行う。これはトヨタの本音だと思いますが、車種にこだわっているのではなく、考えているのでは利益率だと思います。トヨタの営業利益率は12%程度、EVの世界になったら、このような利益が取れないと考えているのでしょう。
      EVへの移行で日本の製造業を支える多くの人が職を失うなんてことを言ってますが、EVで現在並みの利益が出せるとわかったら、すぐに切ってしまうと思います。企業は利益を出すのが目標なので、極めてまっとうなやり方。トヨタの言っていること、行動をそのまま受け取ることはできません。

  8. 日本政府が水素に前のめり過ぎるというのは一部その通りだと思いますが、トヨタの燃料電池車は政府肝いり事業に自社の広告塔とするのを兼ねて応えたというところでしょうし、何より西側先進国は2030年に石油燃料車の新規販売を全廃するとか言ってるので、無茶を言うって点ではアメリカ人が批判できることでもないと思います。
    全車をEVにするよりは、主要都市に水素ステーションを建設するほうがまだしも現実的でしょう。

    1. はまち 様、コメントありがとうございます。

      >無茶を言うって点ではアメリカ人が批判できることでもないと思います。

      当記事は、無茶を言うとか、事情を理解しないとかそういう内容ではなく、事実関係をご紹介するものです。

      >全車をEVにするよりは、主要都市に水素ステーションを建設するほうがまだしも現実的でしょう。

      それはどうでしょうか?
      水素ステーションというのは、オンサイト式、オフサイト式、移動式に分かれます。基本、移動式は緊急用ということで除外すべき(今の日本ではこの移動式がかなり多いです)ですので、残りの二つについて検討してみましょう。このオンサイト式は横に水素工場を伴うもので、結構広い敷地が必要ですし、大量の天然ガスを必要としますので、普通の街中には設置できません。
      https://goo.gl/maps/vf1TaWfKNKEQqvn98
      例えばこれは首都圏で数少ないオンサイト式の水素ステーション(豊洲)ですが、東京ガスの豊洲ガバナステーションに隣接しており、中圧のガスがここまで来ています。通常の市中にあるガス管は低圧です。ということは他の水素ステーションはどうするか、というと、水素をやっぱりトレーラーで運ばないといけないわけなんです。これがオフサイト式です。
      今は水素トレーラーをオフサイト式のステーションにそのまま設置しておいていますが、これ1台で50台分くらいの水素供給が可能だそうです。
      https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000ogzo-att/(6).pdf
      日本での乗用車の保有は1世帯1台または、1人当たり0.483台が平均だそうですから、仮に人口10万人の小都市があった場合、車両の期待台数は48300台。これが月1.5回充填する(一回の充填で500km、年間500×1.5×12=9000kmとします)として48300×1.5/50=1449台。すなわちこの都市では、毎月、延べ1449台の水素トレーラー(巨大なものです)が行き来しないと、オフサイト式水素ステーションの補給が間に合いません。

      しっかり計算してみると、結局、水素供給は、液化水素を用いないと無理、ということがお分かりいただけると思います。日本全国に液化水素のサプライチェーンを作る、、技術的には可能だと思いますが、コストがガソリンより安くなるなどは夢のまた夢、ほぼ不可能と断言して良いと思います。

  9. こんにちは、毎日楽しく拝見させて頂いてます。
    基本的に「EV普及関連」「脱炭素関連」の話題となると、懐疑論者皆様の書き込みが増え、それを管理人様が豊富な知識で論破するという構図が非常に勉強になります。

    ただ一点興味が有るのは、管理人様の方向性は一方向を信じた者の、一方向に偏ったた都合の良い報道、都合の良いデータ、都合の良い研究等論文の引用、それに同調し、一方向に偏った都合の良い解釈が多いと思われますが、その点は「ここはEVを趣味として発信する場である」というスタンスであり、自身も理解した上なのでしょうか?

    それとも「これが事実である」という強い思い、信念で発信されてるのでしょうか?
    ここの管理人様の書き込みを見れば見るほどその点が非常に気になり仕方ありません。

    1. そえとも 様、コメントありがとうございます。

      >一方向を信じた者の、一方向に偏ったた都合の良い報道、都合の良いデータ、都合の良い研究等論文の引用、それに同調し、一方向に偏った都合の良い解釈が多い

      それでは、なぜ、私の議論に、エビデンスやデータを伴って反論してくる方はゼロなのでしょうか?
      またそういう方は何故、実名で投稿せず、仮名で、かつ説明のためにメールを送ってもメールが届かないのでしょうか?
      当サイトの記事はすべて実名で、責任をもって調査し、編集し、掲載しています。コメントも、当事者側のコメントはすべて実名とさせていただいております。
      私は、少なくとも論理的な議論が続いている限りは、回答しているはずですよ。

      ○○論、というレッテル張りでなく、実質的な議論を、読者の方には展開してお見せしたいと思います。
      頂いているコメントも、以前ご指摘させておりますように、記事には全く関係のない内容ですよね。他の読者の方々にメリットが少なくなりますので、申し訳ございませんが、ご自身が書き込みたいことではなく、他の読者の方々(当記事であればトヨタ様やZEV車両について興味のある方)の役に立つかどうか、という点でコメントいただけますようお願い申し上げます。

    2. 完全にそえともさんに同意です。
      環境のためだけを考えるのであればEVの今の推進の仕方は手段を目的としてしまっている典型的な間違い。

      EUの政治的な圧力の1つだと考えればトヨタの後出しジャンケンをするために(その選択肢しかないが)開発投資だけひたすらしてほんの少し販売という姿勢は正しい。

      管理人さんの目標とするものが何なのかが全く見えない。

    3. yoshigon様、コメントありがとうございます。

      >環境のためだけを考えるのであればEVの今の推進の仕方は手段を目的としてしまっている典型的な間違い。

      電気自動車は環境だけが目的ではないと思いますが、少なくとも運輸部門の低炭素化で、現在ある程度見えている技術で、電気自動車化以外に良い「手段」があるのでしょうか?このあたりを曖昧にしたままで、議論をしても言い合いになるだけだと思います。具体的に、その手段が、計算で低炭素化に長期的に貢献し、消費者や納税者への負担を最小限に抑える結果になるかどうか、これが重要だと思います。

      >管理人さんの目標とするものが何なのかが全く見えない。

      EVsmartブログの目標というか目的は、正しい情報を、日本も含めて世界から、エビデンスやデータを基に提供することです。
      全固体電池のようにめどが立ちにくいもの、かつめどが立っても実際に電気自動車の大きな性能向上に貢献しない可能性が高いもの。
      水素燃料電池車のように、水素供給自体はエネルギーセキュリティの意味はあるが、結果としてガソリン車とほぼ同等の燃料コスト・車両コストで、消費者に何のメリットももたらさないもの。
      これらを環境に良い、次世代である、というように伝えるのは、「エビデンスやデータを基に考えると」ミスリードであると考えて、こちらの記事を選んで翻訳してご提供しています。

    4. > 電気自動車は環境だけが目的ではないと思いますが、少なくとも運輸部門の低炭素化で、現在ある程度見えている技術で、電気自動車化以外に良い「手段」があるのでしょうか?

      EVは手段であって目的ではありません。目的はCO2を減らす(NOxなどは省略)です。このCO2を減らすことは民間に任せていても進まないので政府が規制する必要があります。

      そして、どの手段でCO2を減らすかは政府が考えることではありません。政府がすべきなのはCO2の排出をどれだけローコストでどれだけ正確に課税出来るかです。
      原則的に政府は非効率です。より効率的に減らしたいのであればCO2削減の手段は民間企業が考えるべきです。その結果EVを選ぶ企業もあれば他の手段でCO2を減らす企業が出てくるかもしれません。正確にCO2に課税出来ればCO2の削減が上手い企業はより優位になるでしょうし、株価にも影響を与えるはずです。

      EVを政治的な面で見るなら話は全く違ったものになりますが、そちらは安川さんの議論したい点では無いでしょうから省略します。

      > EVsmartブログの目標というか目的は、正しい情報を、日本も含めて世界から、エビデンスやデータを基に提供することです。

      本ブログの目的は埋もれがちなデータやエビデンスを安川さんがピックアップすること、そのものが目的だったんですね。
      より良い車社会とは何か、環境をテーマに輸送業界はどうなって行くべきかを模索するブログだと勝手に勘違いしていました。
      安川さんの目的がデータをピックアップするだけなら、それも大変な労力がいることなのは十分承知ですが、偏ろうとそれは関係ないことですね。

    5. yoshigon様、コメントありがとうございます。
      つまり、目的は排出減だとおっしゃっているのですね。私は、このサイトもですが、排出減が皆さんの共通意識になっているとは考えていません。その中で、あくまで排出減は電気自動車の一つのメリットであると、訴えてきました。そういう意味で、目的は排出減だけじゃないんです。

      また電気自動車が手段であることは同意です。

      その上で、炭素税が、yoshigon様のおっしゃる「より良い手段である」ということでしょうか?

      すみません、私の議論は、主目的が排出減ではなく、かつ、運輸部門での低炭素化について、議論していたつもりです。
      運輸部門であっても、炭素税が有効であるとお考えですか?税金には様々な例外も設定されると思いますし、抜け道も増え、それはそれで有効性が限定はされると思います。ただこの点は、ご指摘の通り、当ブログでの議論の対象にはしていないです。

      >>安川さんの目的がデータをピックアップするだけなら

      メディアの役割は、まずは正しい情報を伝えることだと思っています。その上で人々を導けたら仰るように最高だと思いますが、そこまでの実力は私にはありません。まず、他人が全くできていない、事実を正しく、エビデンス込みで伝えるところを、最初の目標に置いています。そういう点では偏っているということはないと思いますよ。

    6. > その上で、炭素税が、yoshigon様のおっしゃる「より良い手段である」ということでしょうか?

      そうです。運輸部門に置いてもそう考えています。
      現状はEVそのものが抜け道になってしまっています。EVの販売台数自体に比重が置かれCO2の排出量に正しく税金をかけれていません。

      > まず、他人が全くできていない、事実を正しく、エビデンス込みで伝えるところを、最初の目標に置いています。そういう点では偏っているということはないと思いますよ。

      一部の情報をピックアップしそれの中身だけを検証するという立場である以上、偏りは極めて大きくそれは避けられないでしょう。

      ただ事実を提示することが目的なのであれば偏りはあって当然なので良いのですが、
      私たちから見ればどういった方針が良しと考えているのかを言わず偏った情報だけを提示されても何がしたいのか分からないといった感想になります。

      例えばホンダはEVよりCO2が少ない車だと主張しました。とだけあって、その計算は間違ってると反対してもホンダがそう主張したのは事実なわけです。

      今回の記事であればトヨタの脱炭素の現状がどれだけのものか、将来的な脱炭素の実行可能性とその度合いはどうなのか。トヨタはどうすべきなのかが全体となります。

      ここで水素や全固体電池が計画より遅れているという事実だけの提示であれば偏っていると判断されます。

      ただ偏っていること自体が悪いことではありません。偏っていようと貴重な情報です。ただ何がしたいのか見えなくなります。

    7. yoshigon様、コメントありがとうございます。炭素税が最適な運輸部門の解であるというお考えは理解しました。私とは意見が違いますが、それは別に構わないと思います。私も炭素税は何らかの効果はあると思いますし、デメリットもあるので、将来的には導入せざるを得ないと思っています。

      偏りの点について、ちょっとこちらの言葉が足りない部分もあると思いますが、誤解されていると思いますので、明確にさせてください。
      当サイトは何でも事実を伝える、というものではありません。事実(データ)とエビデンスに基づいて情報をピックアップして伝える、という定義をしています。例えば先ほどのホンダ様の(架空の)例においては、主張の存在は事実ですが、エビデンスはないわけです。当サイトでは、発表の内容まで検証し、内容があまり実を伴っていないものについては事実であっても取り上げません。例えばコンセプトカー。コンセプトカーは、ガソリン車の時代には未来のテクノロジーや自動車社会の先を垣間見ることができ、かつ最終的には量産車に反映される車でした。しかし電気自動車が噂されるようになってから、メジャーなメーカーでコンセプトカーを出して、それを実際に実車として出してきたメーカーは非常に少ないです。つまり、コンセプトカーはマーケティング。もちろんマーケティング自体は悪いことではないですが、これは本質とは異なりますし、当サイトが伝えるべきものではないと思います。コンセプトカーが、決して実現しないであろう確率が非常に高い、からです。

      当記事は、トヨタ様が全固体電池で走る乗用車をオリンピックで披露する、また水素により脱炭素・低排出を狙う、と発言した内容が、「いつものコンセプト」である、というように指摘しているわけです。
      # 口は悪いと思いますが。
      全固体電池は、その発言があったのは2019年ですが、その時点ではまだ実現可能性は非常に低かった。これはトヨタ社自身も認識されておられると思います。そこまで楽観主義者では、ビジネスはできないでしょうから。そして、今の水素燃料電池車のインフラは、低炭素化が不可能であることもご存じであると思います。例えば水素の供給を担当している当のエネオスも、以下のように注意深くリリースを記載しています。
      https://www.eneos.co.jp/newsrelease/20200124_01_1090046.pdf
      【引用1】
      聖火に加え、大会用車両として
      投入される約500台の燃料電池自動車(以下「FCV」)にも、「ENEOS水素」を供給いたしま
      す。聖火およびFCVへ、使用時にCO2が発生しない水素を供給することにより、持続可能性に配
      慮した大会準備・運営を目指す組織委員会の取組みをサポートしていきます。
      【引用2】
      【参考】当社が聖火台に供給する水素について
      開閉会式の聖火台に当社が供給する水素は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機
      構(NEDO)および経済産業省との連携のもと、復興の地・福島県の「福島水素エネルギー研究フ
      ィールド」(福島県浪江町)において、製造されたもの
      —–

      そして、全固体電池の将来は特に明るいものでもなく、実質的にメリットが非常に少ないものとなっています。
      水素による自動車の走行に関して、ガソリン車に対するメリットも非常に少ないものとなっています。おっしゃる通り、「将来的な脱炭素の実行可能性が低い」ということなのです。
      そうでない、ということであれば、ぜひその点を議論しませんか?

    8. > 実質的にメリットが非常に少ないもの

      これが私たちには分からない安川さんの意見なんですよ。誰にとってのメリットですか?消費者・国・トヨタ・世界環境どれをとっても違う解になりますよね?

      どの全体を見ているのか分からないんです。ただエビデンスを並べるだけでは。

    9. yoshigon様、コメントありがとうございます。まずは理解を進めるために、その点について議論しましょう。

      全固体電池についてはいくつかメリットが伝えられています。
      1. 安全性、固体なので異物混入や、デンドライトの成長に伴うショートリスクが少ない
      2. 急速充電性能の向上
      3. エネルギー密度の向上
      4. 高温特性・低温特性が良い

      1については、確かに向上しそうという考えが一般的で、これだけは当たっていそうです。しかし、半面、万が一車両火災になった場合(実際、電池以外の原因での車両火災は結構多いです)、毒性の高い物質をより多く含むという点で、硫化物系の現在の全固体電池はより安全かどうかは疑問。また液系リチウムイオン電池を使った電気自動車は、ガソリン車よりは安全ではないか、という一般的な認識
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-vehicle-fire-risk/
      がある中で、全固体電池の提供する安全性は、オーバースペックだとする考え方もできると思います。今のガソリン車が、取り立てて危険である、という認識を持っている人は少ないと思いますし、私も同意します。

      2については、結局、液系リチウムイオン電池で120kW程度が余裕で実現できている現状を見ると、これ以上の仮に200kWとかが実現するとしても、インフラ面での投資がより大きくなるというリスクを抱えています。例えばテスラはモデル3 LR以上で、250kWを(日本国内でもすでに)実現しています。じゃこれを全固体にしたから400kWにするのか!?電力網という点から、逆に現在到達している液系リチウムイオン電池の限界値はギリギリの選択であり、これ以上は、やはりオーバースペックであると言わざるを得ません。よくガソリン車系の方々がおっしゃる、5分で満タン/80%というのは、仮に75kWhの電池だと、75/0.8/5×60=890kWの充電器出力がないと実現できない。これは不可能なんです。

      3について、現時点で、全固体電池のエネルギー密度は液系リチウムイオン電池とほぼ同等。理論値はもっと高いというのは分かりますが、実現できるかどうかは研究開発次第だと思います。

      結果として、全固体電池のメリットは3くらいのものであり、それ以外に大きなメリットはなく、かつ3も実現するかどうか・いつ実現するかは不明とも言えます。もちろん3が実現するなら、コストさえ液系からかけ離れていなければ、液系リチウムイオン電池の存在意義はなくなるでしょう。しかし、3とコストの両方がリーズナブルなポイントに到達できるかどうか、まだまだわからないと思いますし、これを前提に「低炭素化の技術の主流」であるかのような言い方になっているのは、やはりミスリーディングだと思います。あくまで、研究開発の一つ、に位置付けるべき、というのが当サイトの見解で、その判断を基にニュース等を発信しています。

      いかがですか?上記、他にメリットってありますでしょうか?

    10. これはわざと論点を外しているんですか?誰が読んでもこの返信はおかしいですよね。

      ちゃんと返信するというコメントを出しておきながらこれはあまりに卑劣ではないですか?

      研究開発の一つに位置づけるべきとあなたは結論づけてますが、その主体は誰かという話をしてるんですよ?研究開発ですから国にとってですか?それともトヨタにとってですか?それとも全固体電池の研究開発をしているVWも含めて自動車業界がですか?

    11. yoshigon様、コメントありがとうございます。

      >>研究開発の一つに位置づけるべきとあなたは結論づけてますが、その主体は誰か

      それは誰でもいいのではないでしょうか?
      まだ先が長い技術を取り上げて、世間一般に、これができないと電気自動車は使い物にならないとか、またはこれがもうすぐできるからそれまで待つべき、であるかのような伝え方をしていることが、ミスリードだ、と指摘しています。
      全固体にしろ水素にしろ、国がコストをかけて、または企業がお金をかけて研究するのは全く問題にしてないです。そこから、他の一般の知識がない方々に対し、全固体が未来で決定版、液系リチウムイオン電池はダメ、というような伝え方をしたり、水素が自動車に最適であるかのような伝え方はすべきでないと思います。

    12. 誰にとってのメリットかも想定せず話していたと。主体の存在しないメリットって有り得るんですかね。

      EVは使い物にならずメリットもありませんよ。誰主体での使い方・メリットかは伝えませんけど。EVにメリットは存在しません。
      液化リチウム電池はダメです。誰にとってダメかは伝えませんけど。

    13. yoshigon様、コメントありがとうございます。

      >>EVは使い物にならずメリットもありません

      こういう発言こそ、当サイトではご遠慮いただいているものです。ただメリットがない、だけでなく、事実とエビデンスをきちんと提示しないと、他の読者の方に何のメリットもなくなってしまいます。
      次回以降のコメントも大歓迎ですが、必ず著者、インタビュー相手や企業、他のコメンターの方々への敬意を大切に、事実とエビデンスを提示しながら議論をお願いできますと幸いです。

    14. EVは補給時間当たりの航続距離が短いのでダメです。車用液化リチウム電池も同様です。

      そもそも誰にとってのメリットなのかを考えないとあなたにとってはそうだねで終わってしまいますよ。

    15. yoshigon様、一つ一つ、解決していきましょう。CDもジャケ写が小さすぎると言われました。スマホも電池が持たないと言われました。そして動画配信も、所有できないなんて、と言われました。

      >>EVは補給時間当たりの航続距離が短い

      確かに短いですが、私が持ってたガソリン車も400km-600km程度しか走らず、そこまで変わらなかったです。そこだけ燃費の良い車を取り上げたくなるのは理解できますが、SUVやワンボックスでは800kmも走りません。
      さらに、年間20000km程度の走行距離なら、ほとんどは普段の走行。この70%くらいの走行は自宅充電で賄えます。私のケースはだいたい年22000kmくらいですが、7割は自宅です。
      残りは外充電になりますが、ここで超急速充電の出番です。
      https://blog.evsmart.net/tesla/model-x/roadtrip-tokyo-fukui-5/
      こんな感じで、ガソリン車と変わらない補給時間で走行ができます。対応できないのは、トイレ行かずに5時間運転する人(上の記事では4時間くらいトイレ行ってませんが汗)くらいです。

      バッテリーの容量はこれからも増えます。今私のデカいSUVで400km走ります。2015年設計ですから、今は450km余裕。電池が120kWh搭載できれば540km。そんくらい進化しているのです。

    16. 家での充電時間と外での充電時間に対して走行距離が短いのでダメです。ガソリン車なら数分の補給で数100km走ります。

      誰にとってダメかは言いませんが。

    17. yoshigon様、コメントありがとうございます。
      充電時間は、待つわけじゃないですよね。寝てる間に充電されるんです。
      一つの例を出しましょうか。仮にガソリン車を月1回給油するとします。これだと日本の乗用車の平均走行距離を下回ってしまいますが、取りあえず。ガソリン給油にかかる時間はガソリンスタンドが経路上にあれば、約5分、経路上になければ10分くらいですね。

      電気自動車の場合、自宅の充電ケーブルを挿す必要があります。これは約5秒。翌朝出かけるときにケーブル抜かないといけないので5秒、これを仮に毎日繰り返すと一日100km分ですら年間走行距離36500kmになっちゃいますが、取りあえず。これで、待ち時間は300秒ですから5分間。

      これでほとんど手間は同じことがお分かりいただけるかと思います。多くの方は経路上にスタンドがなかったり、あっても安いスタンドじゃなかったりしますよね。そういう悩みもないんです。ご自分で選択した一番安い電力会社のプランで充電するだけ。もちろん年間走行距離が36500kmまで行かない方なら、充電の頻度は減らしてもいいですね。

      多くの方にとって、電気自動車は時間の節約になります。私は月四回給油してたので、それが5分になって、かかる時間は4分の1、ガソリン代は5分の1くらいになりました。

    18. 勝手に寝てる間の充電で困らない人を対象とした話に変えないでもらえますか?
      それはあなたの考えるこーゆー人にとっての話ですよね。

      誰にとっての話なのかは僕の頭の中にだけにあります。

    19. yoshigon様、コメントありがとうございます。

      >>勝手に寝てる間の充電で困らない人を対象とした話に変えないでもらえますか?

      寝てる間の充電で困らない人、というのはどういう方のことですか?反論される場合、具体的に例を挙げてお願いいたします。この記事もコメント欄も、数千人の方がお読みになっています。匿名で書かれるのは結構ですが、多くの読者にとって利益ある議論にしたいと思っています。
      大変恐縮ですが、他の読者のことを考慮されず、ご自身の主張だけをされたい場合、ご自身でサイトを立ち上げられて発信されることをお勧めします。また当サイトでは、そのようなコメントは掲載できません。

    20. なぜ安川さんが全世界の車を使う全人類、全法人が寝てる間の充電で困らないと考えているのかわかりません。逆に誰かに向けてならそれを言ってくれとずっと伝えているわけで……。ここでは安川さんは全世界の車を使う全人類、全法人に対して同様の意見なんですよね?

      例えば、タクシーなど1日の航続距離、イニシャルコストの低さが重要な車体は寝てる間の充電だけでは厳しいでしょう。

      車中泊が趣味の人には寝てる間の充電はそもそも出来ませんよね?

    21. yoshigon様、コメントありがとうございます。承認に時間がかかり、申し訳ございませんでした。

      >>タクシーなど1日の航続距離、イニシャルコストの低さが重要な車体は寝てる間の充電だけでは厳しいでしょう。

      まずタクシーですが、中国の都市部ではお昼食べてる間に急速充電しているようですね。
      日本で考えてみると、夜休みの場合と、一台の車を二人で乗務するケースがあると思います。夜休みなら、ガソリン代の大幅な節約になるでしょうね。二人乗務でも、必ず洗車や点検のために一度は営業所に帰ってきますし、その間に急速充電すれば十分かと思います。
      また、イニシャルコストについて、これは証明するのは難しいのですが、部品点数が1/3しかない電気自動車が、ガソリン車より高いままになることは考えづらいと思います。

      >>車中泊が趣味の人には寝てる間の充電はそもそも出来ませんよね?

      充電器のある場所で寝ればよいのでは、、そこが車中泊可能かどうかは別として、例えばeMPさんは、(現実的かどうかはさておき)充電中、充電スタンドに留まることを要求しています。ですから普通充電を8時間するなら、8時間寝てても良いかもしれませんね。

      電気は、他の燃料と異なり、どこででもアクセスできます。また急速充電のハイパワー化で、おおよそ1時間でほぼ90%充電できる程度が可能になってきました。ドライバーはある程度休憩もするわけで、そこに充電設備があれば大丈夫かと思います。

    22. 大変返信が遅くなり申し訳ございません。

      補助金が大量に投入されている中国なら可能でもキュービクルの値段を考えると昼の時間だけでタクシー全車を充電するのは凄まじいイニシャルコストがかかるので難しいと思われます。

      電池が高性能になり900kW級で充電できるようになれば全く話が変わってくると思いますが。

    23. yoshigon様、8月13日に議論していたことに対する、フォローアップですよね。ありがとうございます。今回も、yoshigon様は全く根拠がない状態で投稿されていますが、これで最後にしていただければと思います。
      エビデンスのない投稿は、もちろん質問ということであれば問題ないのですが、私が一つ一つ調べて一つ一つ計算して結果を提示しているのに対し、多くの読者の方々のメリットにもなりませんので。

      >補助金が大量に投入されている中国なら可能でもキュービクルの値段を考えると昼の時間だけでタクシー全車を充電するのは凄まじいイニシャルコストがかかるので難しい

      これは、タクシーがたくさん存在するような都会の地で、タクシーが大量に急速充電すると高圧受電の際のデマンドチャージが高くなる、ということをおっしゃっているのでしょうか?
      仮にそう仮定して回答します。日本でもタクシーは、東京などには多く存在します。それらの平均走行距離は、一日約300km程度と言われています。実は、モダンな電気自動車なら、この300kmは夜・または稼働していない昼間の車庫における普通充電で充分賄え、急速充電の必要性は少ないと思います。
      https://ckt-recruit.com/blog-47/
      隔日勤務の場合は350kmとかになり、冬などは途中で充電が必要だと思いますが、仮に休憩を3時間とるとして、そのうち1時間でも充電器につないでおけば充分350kmが走行できます。「凄まじいイニシャルコスト」というわけではありません。タクシー専用の、LPGスタンドの運営のほうがよほど凄まじいコストがかかりますよ。LPGの基地からローリーでスタンドまで運んでいるのですから。。

      >電池が高性能になり900kW級で充電できるようになれば

      そういうことは、あり得ないというお話を前回のスレッドではさせていただきました。こちらのコメントから、上にさかのぼって、8/3あたりのスレッドを見ていただければ、過去の私の回答をご覧いただくことができます。yoshigon様の、上のコメントにも反していますよね。900kWの充電設備のデマンドチャージは、
      https://www.tepco.co.jp/ep/corporate/plan_h/plan10.html
      900[kW] x 1815円 = 1,633,500円
      「毎月」163万円です。これは電気の使用量に対する料金ではなく、毎月の基本料金です。これに加えて、1kWhあたり16.16円の電力量料金がかかります。これがスタンド単位、であれば実際にテスラがそのような設備を日本全国に設置していますので、別に驚くほどではありませんが、900kWを一台の車両が使ってしまうと、これが2台充電できる設備というだけで月326万。経済的に、全く成り立ちません。

    24. たしかに900kw級ができるのも普及させるのにもあまりにも技術的な壁が大きすぎますね。
      タクシーの件もそんなに1日の走行距離が短いとは思いませんでした。

      まぁ最後ということで誰にとってのダメかというと私自身でした。毎年4人程度交代で夜通しスノボのために長距離運転します。でかい電池を積むとコスパに合わない車になります。休憩は交代するので車は止まりません。

      超高速で充電できるようになればもっともっとEVが便利になるんですけどね。次車を買うときはEV にしようと考えているのでさらなる技術の進歩を望みます。

      あとひとつだけ。なぜかこのサイトiPhoneで見るとコメント全体が表示されなくありませんか?

    25. yoshigon様、コメント欄の表示の件ですが、非常に多くのコメントをいただいておりますので、全件の表示は最初の時点では行っておりません。全件表示ボタンがありますので、そこをクリックしていただくと表示されるかと思います。

  10. 今更、日本(トヨタ)がEVに替えても、もう遅すぎる。負けるのにEVやりますか?日本は中国EVばかりになるでしょう。
    販売できなくなるまでエンジン作った方が得です。その後日本経済は崩壊するでしょう。

  11. うーん、トヨタがBEVに積極的に見えないのは事実ですが、この記事はいくら何でも色々混同しすぎでは?
    元々トヨタが「水素燃料電池車や全固体電池(による電気自動車)研究開発に投資してきており、オリンピックはその成果をお披露目する舞台となるはずだった」というのが半分嘘で、全固体電池は全く予定に無かったはずですよ(モーターショーが中止でなければ何か出したかもしれませんが)
    https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/28700223.html
    EVのLQもe-Paletteも実際に投入されて無人運転も運用中。何が無惨な失敗なのか分かりません。
    FCバスの「失敗」はオリンピックと関係無いですし、水素社会はもう少し大きな政策セットの一環なので(エネルギー安全保障というのは一つの理由でしょうね)、補助金漬けで競争力が無い、というのも単純に過ぎる。少なくとも、MIRAIもバスも大会期間中にトラブルを起こした気配は無いですね。

    1. BA様、コメントありがとうございます。

      >全固体電池は全く予定に無かったはずですよ(モーターショーが中止でなければ何か出したかもしれませんが)

      https://response.jp/article/2019/09/18/326622.html
      2019年に、トヨタ自動車の寺師茂樹副社長が名古屋オートモーティブワールド2019の基調講演にて
      「東京オリンピック、パラリンピックが開かれる2020年、全固体電池を搭載したモビリティをお見せできるように、鋭意開発を進めている。」
      と発言したことから、当記事の元記事は書かれていると推察しています。

      >EVのLQもe-Paletteも実際に投入されて無人運転も運用中。

      LQもe-Paletteも、コンセプトカーだと思います。CleanTechnicaは、当メディアと同じような立場で、コンセプトカーは量産車じゃないので、恐らく報道の対象にしていないと思います。

      >FCバスの「失敗」はオリンピックと関係無い

      FCバスはまだ失敗はしていないのでは、、少なくとも排ガス・騒音削減には貢献しているし、コストが見合うなら推進してよいと思います。オリンピックとは関係ないですね。

      >水素社会はもう少し大きな政策セットの一環

      はい、私もそう思います。当記事の著者は米国人なので、日本独自の安全保障的なところまでは理解されていない可能性もあると思います。
      ただし、燃料電池車が、化石燃料改質を行い続ける少なくとも10年間の間は、温室効果ガス削減効果はゼロであるという事実から、目を背けてはいけないと思います。

    2. > 全固体電池を搭載したモビリティをお見せできるように、鋭意開発を進めている。
      これもあの時点で具体的なモノが出ていない以上、最初から大会の提供車両では無いですよね。モーターショーがあれば無理矢理展示くらいはしたかもしれませんが。

      > LQもe-Paletteも、コンセプトカーだと思います。
      この種のイベントで技術をアピールする場合、目立つ様に市販より尖った車両を用意するのは普通でしょう。コンセプトカーではないMIRAIやプリウスPHVも大量投入されていますね。
      都内で見かけるその他の運営用の車両は使い勝手の良いミニバンと送迎用らしいレクサスがほとんど。どの国で開催されても、EV化されていないカテゴリーではないですか。アメリカならモデルSはレクサスの代わりが出来るかな?微妙だと思いますが。

    3. BA様、コメントありがとうございます。全固体電池を搭載した車両を走らせる、という発表内容であって、それは実現しなかった。
      電気自動車のコンセプトカーは昔からありましたし、LQもe-Paletteも特段新しいものではないと、弊社では認識しています。またこれらの市販計画はないと理解しています。
      今回の記事は、「全固体電池を搭載した車両は走行しなかった、水素を使うのは良いが、ちゃんと温室効果ガス削減に寄与しましょう」という二点を批判しているものと、私は思っており、翻訳・公開しております。その点について、当記事の主張には大きな誤りはないと考えます。

  12. 最低のC Mが何が雇用が無くなると
    海外に工場作って外板だけ変えてモデルチェンジスピンドルグリルとか他社にマークだけ変えグリーン税制もH Vに都合良くミライは税金で買わせ白煙大や砂漠でスピンやドリフトは新技術はさせません全固体電池とかニッケル水素電池で名前だけ変え新型と全固体電池で出せフェイクが多い米国でロビー活動とか最低このコメントに嘘があれば受けてミライは水素ステーションが無い国には無理かと

  13. 以前から疑問なのですが、何故トヨタも日本政府も水素に固執して、EVを軽視するような動きをしている、もしくは、しているように見えるのでしょうか?環境問題のみならず、安全保障や裏の裏まで考えれば、合理性があるのか、それとも単純に泥沼にはまり込んで抜け出せないだけなのですか?
    前者であって欲しいと願っているのですが、色々な情報を見ても、後者であるような気がします。実際のところどうなのですか?

    1. 林太郎 様、コメントありがとうございます。
      私は政治にはあまり詳しくなく、そういう意味で私見ではありますが述べさせていただきます。日本政府が長期で一番重要と考えていることは、カーボンニュートラルというより、エネルギーセキュリティだと思います。第二次世界大戦も原油が引き金となったと言われており、何かグローバルな政情不安が発生した際、日本国民はエネルギーが不足すると生きられなくなるリスクがあります。

      そのうえで、解決策は大きく分けて2通りあると思います。ほかにもあるかもですが。
      1. 再エネにジャンジャン投資し、自給率を上げる。EVも普及させ、化石燃料、すなわち原油と天然ガス、石炭への依存率を徹底的に引き下げる。必要であれば原発も再稼働して自給率向上に役立てる。
      2. 原油がリスクだ、というのは、誰から買うかを考えるとわかる。米国は友好国でいざというときは頼める。
      https://www.eia.gov/energyexplained/oil-and-petroleum-products/imports-and-exports.php
      サウジ/アラブは最大級の産油国で現在は友好を保っているが将来はどうか。ロシアは微妙。天然ガスはマレーシアでここは友好国。エネルギーを大口で輸入できるもう一つの柱を作り分散化したらどうか?オーストラリアには褐炭がある。そのままじゃ輸出は技術的に難しいけど、水素にしたらどうだ?CCSで二酸化炭素には眠ってもらおう。

      ここで政策を考えるとき、政権は、世論を常に考えないといけません。再エネの開発には自然とのバランスが常に求められます。スペース効率が化石燃料発電所と比較すると悪いため、より多くの場所を必要とし、かつ分散配置が必要。反対派も多いです。さらに水力や地熱は国立公園の絡みもある。原子力は安全性に疑問を持つ国民が多く(当然)、1の政策は自らの政権の命取りとなる可能性があります。

      それに対して2はどうでしょう?水素を輸入する、と言えば、いろんな人がお金に期待します。オーストラリアでの褐炭プラントの開発、CCS(二酸化炭素の埋設システム)、水素の液化、液化水素の輸送・輸入・貯蔵、液化水素の国内サプライチェーンを新規構築、水素ステーションネットワークの構築、そして燃料電池自動車の販売、メンテナンスです。これらは多くの雇用を作りますが、同時にコストもかかります。もちろん日本は国ですからお札を刷ったり国債を発行してこれらに充てることもありますが、最終的なコストを支払うのは国民ですね。

      現時点の政権は、2を選択しているのだと思います。これが原油のネット輸出国である米国とは大きな違いで、日本には資源がないことにより、不安があるわけなのです。欧州は、かなりのネット輸入国なので原油リスクは日本と同様なのですが、気候変動の影響を非常に大きく見積もっていることはご存じのとおりです。中国は、欧州ほどではないのですがネット輸入国で、日本と同様不安を感じていますが、政治は1を選択しています。
      ※ネット輸出=輸出している原油量が輸入している原油量より上回っている
      EU: https://www.transportenvironment.org/sites/te/files/publications/2020_CE_Oil_Dependency_in_EU_report.pdf

      あっているかどうかは分かりませんが、2の政策において、温室効果ガス削減の優先度を下げれば、EVはそれほど重要ではないというのは言えると思います。

      私が気にしているのは、以下の二点なんです。
      (a) しばらくの間、温暖効果ガス削減にはなりえない燃料電池車を、ミスリードしてクリーンエネルギーであるかのように告知すること。これは、オーガニックじゃない食材にオーガニックマークを付けているようなものでは?別に燃料電池車が嫌いなわけじゃなく、温暖効果ガス削減にはならないのだからその点を強調して騙さないでほしい、ということです。
      (b) 長期的に燃料電池車を普及させるのは、水素の消費量を増やしておかないとサプライチェーンが立ちいかなくなるからですよね。使う人を増やして需要を作っておかないと、コストが下げられない。そのために一般の方々に(特に燃料費もメンテナンスも安くならない)燃料電池車を購入してもらって、消費する燃料を水素にシフトしてもらうのが目的です。ならば、そのように協力を仰ぐべきではないのかなと思います。このままでは、高い燃料を「将来は安くなりますよ~」と言って、あんまり安くならない、という政治になってしまうように思います。
      水素の利用: https://www.iea.org/reports/the-future-of-hydrogen
      # 主に産業用途

  14. トヨタの全固体電池は現行の液体リチウムイオンを液体から固体にしただけで、現行のリチウムイオンバッテリの親戚程度なんですよね。オリジナリティもないんですよ。
    トヨタのお膝元の愛知県は管理教育発祥の地で、「管理教育といえば愛知県」という土地柄です。上の言うことを何でも聞いて従順な従業員を育てることばかりに注力を集めすぎて、自分でイノベーションを放棄してしまったのでしょう。自分たちでやったことなので擁護できません。

    1. じゃあevなんてそもそもガソリン車以前にあったでしょ。
      リチウムイオン電池ですらテスラの発明でもない

  15. 他ブログの転載ですが、これがこのブログの公式見解でもあるということでしょうね。温暖化防止のためにはあらゆる方法を探すべきで、EVもFCVもその手段でしかないと個人的には思っていますが、こういう鼻につくEV好きのせいで多くの日本人にEV嫌いが浸透してると思いますがね。まあどうでもいいんでしょうが。

    1. 通りすがり 様、コメントありがとうございます。

      >他ブログの転載ですが、これがこのブログの公式見解

      当記事は、CleanTechnicaの記者であるSteve Hanley氏の記事を、ライセンスを受けて翻訳してご提供しているもので、当サイトもしくは私の公式見解とという位置づけではありません。しかし、なんでも翻訳して載せる、というようないい加減な運用をしているのではなく、記事は一つひとつ編集部で吟味し、ミスリーディングではないか、事実関係等に誤りがないか、などのチェックを行ってから公開しています。

      >温暖化防止のためにはあらゆる方法を探すべきで、EVもFCVもその手段でしかない

      おっしゃる通り、温暖化を防止するためには様々な手法があり、それらは試していくべきですね。しかし、当サイトでは(私も含め)燃料電池車では温暖化の防止には役に立たないと考えています。そのため、このような記事は「ファクトに基づいており、正しい情報を伝達している」と判断し、公開しているわけなのです。逆に、貴殿が燃料電池車が温暖化防止に役立つとお考えであれば、その根拠をお知らせいただけますでしょうか?私が見落としているような技術、仕組みがあるようであれば、記事には訂正のための編集部コメントを入れる必要があります。
      なお、いくつか典型的な誤解をされていらっしゃる読者の方々からコメントをいただいておりますが、私なりに返信として、なぜ燃料電池車が温暖化対策にならないかも含め、コメントの返信をさせていただいております。もしお時間・ご興味がございましたら、ご覧いただけますと幸いです。

      >こういう鼻につくEV好きのせいで多くの日本人にEV嫌いが浸透して

      当サイトでは、EV嫌いの方が増えることは良しとしていませんが、それ以上に、誤った情報やファクトに基づかない、風説のようなものが多くの方々の目に触れることを危惧しており、それらをしっかりと、ファクトベース・エビデンスベースで読者の方々にお知らせしていくことをミッションとしています。そのため、貴殿が記事をご覧になってお気に召さない点もあったかもしれませんが、当記事はファクトを重んじる方々向けのものとなっており、その意図で翻訳・公開させていただいておりますので、お詫び申し上げます。

  16. トヨタさん(汗)

    まあ、電気自動車EVを推進しているどころか?
    逆に反対するロビー活動が暴露されてしまった(泣)
    北米や他でも!

    これは、完全なるディスり記事(笑)

    風評被害にもなるか?
    兎に角!行動には、気を付けた方が良いですね!(笑)
    世界的な自動車メーカーですからね!

  17. みなさま、コメントありがとうございます。

    たくさんの方からいろんなご意見出てますね。

    EVsmartブログとしては、というか、編集長である私の思いとして、この記事の主旨は「FCVは脱炭素モビリティのソリューションとしてはまだ未熟で、全固体電池実用化にも時間がかかる」という事実と、そこに固執して現状のリチウムイオン電池によるBEV開発で後手に回る「トヨタや日本が痛々しい」とみている海外メディアの意見を紹介することにあります。
    (念のために補足しておくと、トヨタが魅力的なBEVをローンチしてくれれば、私は諸手を挙げて応援します)

    じゃあどうする? は、まさに私たちひとりひとりが考え、判断すべきことになるんでしょうね。
    いろんなご意見があるのは、必然だとは思います。

    電池やエネルギー源のことだけではなく、充電インフラや電力グリッドの状況など、電気自動車&再エネ(水素も含めて)社会へシフトするためにクリアすべき課題はいろいろ。自動車としても、テスラの提案などを見ていると、インターフェースやパッケージングでエンジン車が積み上げてきたノウハウを超えていかなければ、これから加熱する世界のEV競争では勝てないだろうし、そのためにはEV開発や市販の実践を重ねていかないと、つまり、日本の経済や自動車メーカーが生き残るためには、もう舵を切っておかないとヤバいんじゃないの? と感じています。

    1. むしろ現状のBEVだけに固執してるのはこのサイトをはじめとした人たちでしょ?
      FCVも初代miraiが発表される前あたりまでは
      遅れる日本勢とかトヨタみたいな文脈で紹介されていました。
      大口をたたくならせめて関税撤廃してから言ってくれというのがおそらく本音ではないでしょうか。アメリカですら2.5%、欧州は8.8%!
      EPAでたった1%程度安くなったってレベル。
      英国でやっと26年に撤廃するそうで

    2. ando 様、コメントありがとうございます。
      いつも多大な貢献には感謝いたしております。そのうえで、大変恐縮ですが、当記事は関税について語っているものでもなく、トヨタを批判しているものでもなく、全固体電池へのこだわりと、水素燃料電池自動車への傾倒を批判する記事となっております。できる限り、憎悪感情からではなく、論理的な議論をお願いいたします。

  18. 何だか発◯してるコメント多数ですが、文句言うならこちらでは無く元記事のCleanTechnicaのサイトなりSNSで「英語」で反論しないと意味無いですよ(笑)
    当然元記事は英語圏、いや全世界に向けて発信してるので。
    EVsmartさんが恣意的に誤訳やミスリードしてるのなら別ですが。

    1. evマニアのそういう態度こそが怪しいevの怪しさを助長してると思いますよ
      というかもうevスマートの記事だから信ぴょう性がないとまで言われてる始末で
      まあ実際、アメリカに限らずメディアのそういうポジショントークは今に始まったことではないですけど。
      印象操作で石炭から水素を作るから悪だ、とやっているがC02を回収するなら排出はゼロである。
      対して、EVの電力は大気に排出される火力発電がメインだ。
      石炭を憎め、トヨタを憎めという「2分間憎悪」をやりたいだけじゃないのか

      全個体電池に至っては
      むしろ全個体電池に対するネガティブキャンペーンこそ彼らの焦りを象徴している。
      まあアメリカでもその他の国でも開発が進んでるから、仮にトヨタ以外の誰かが先んじれば手の平を返すのでしょうけど

      (水素も元は韓国だとかドイツとかカナダが先んじている、遅れた日本車は云々…という文脈で登場しましたが初代miraiを発売してから論調がいきなり変わったのを覚えています。)

  19. トヨタが単に使い勝手がいいというだけで流通とコストの解決の目処が立たないFCVに固執し、BEVで遅れを取っている現状は、欧米のライバルからすれば「BEVでデファクトスタンダードを取ってしまえばトヨタを倒せる」状況ですから、どこでトヨタが目を覚ますか次第で日本経済の将来も大きく左右されそうですね。

    1. 使い勝手といえば聞こえは悪いがユーザビリティってそういうものですよ

  20. テスラの自動運転を安心で安全だと絶賛してたYouTuberがその後自動運転中に交通事故起こして死亡した事件を思い出した。

    1. 闇 様、コメントありがとうございます。
      当サイトでは、記事に関連性のある内容でのコメントをお願いしております。ご自身の主張されたい内容を書き込んでいただく際に、他の方にも有用であるかどうか、ぜひチェック・ご検討いただけますと幸いです。

  21. 他の方への割込みですが水素もメリット有りますよ。
    毎日充電しなくていい。
    だから、月極、マンション、社有車への設備不要。
    空の状態から急ぎの遠出も可能。 EVなら超急速充電器前で並んででも充電必要。
    自分は600kmなら休み5分×2回で移動したい。
    長距離トラックでも利用可能。
    FCVでも内燃機関でも利用可能。原子炉利用の高温ガス炉なら低炭素排出で安価で大量に水素の製造可能。同時に発電も可能。
    『電池を多く搭載する電気自動車が車両性能が上』のロジックが分からない。
    デザインはバッテリーと同じく車体下部に設置可能。 タンクの法定仕様期限有りますが。
    また、車体を軽く作れる。

    evは未だに容量課金システムも作れないし、月極駐車場・社用車・集合住宅への充電器設置がEVが5割越えても十分に対処可能なのか不明。
    良く記載のある再エネ率は年々上がるとの記載も、2019年時点の発電%で太陽光・風力・地熱を合計した2.4%と同じ割合のバイオマスが再エネ対象から外れた時は、現時点より何年も後退します。今後、再エネ割合が50%に到達出来るのかも不明。
    水素は脱炭素化には必要な技術で欧州も水素利用は車以外でも進めると思います。
    需要が無いと予算付かないので日本は水素・EV・HVも含め進めるのが良いと思われマス。
    世界戦略も大事ですが、日本はガラパゴス化も可能なところが強みだから様々な方法を探すのが良いかなと。

    1. テスラ欲しい 様、コメントありがとうございます。

      >『電池を多く搭載する電気自動車が車両性能が上』のロジックが分からない。

      単に、燃料電池自動車と大容量バッテリー搭載電気自動車では、後者のほうが動力性能・安全性能が上、ということです。

      >水素は脱炭素化には必要な技術で欧州も水素利用は車以外でも進めると思います。

      はい、車を主軸にして進めるのではなく、車以外が主軸で進むのは賛成です。

      >需要が無いと予算付かないので日本は水素・EV・HVも含め進めるのが良いと思われマス。

      それが理由なら(またその理由は理解できます)、水素燃料電池車は水素の消費を増やすために投資します、という説明をしてほしいなぁと思っています。水素輸入とCCSを実現する際に、水素消費を増やしたいから、協力してくれる人は水素燃料電池車を買ってくれ、しばらくガソリンと価格は変わらないし、排出もあまり変わらないけれども、ということをしっかり提示すべきかと思います。今のままでは、CCSがうまくいかなかったとき、豪州からの液化水素輸入がうまくいかなかったとき、政府や企業は消費者をだましたことになるのではないでしょうか?

    2. 『電池を多く搭載する電気自動車が車両性能が上』のロジックですが、水素燃料電池車は燃料電池で発電した電力をリチウムイオンバッテリーに充電し、その電力をモーターに供給することで走行しており、その点では電気自動車の一種なのですが、電気自動車の動力性能は一度に取り出せる電力の大きさ(=バッテリー容量)で決まり、水素燃料電池車のバッテリー容量は1.2kWh程度なのに対して純電気自動車は30〜100kWhくらいと格段に大きなバッテリーを搭載しているため動力性能が高くなりますよと言いたいのだと思います。ちなみに水素燃料電池は負荷応答性が低いためバッテリー無しでの走行は現実的ではありません。(アクセルを踏み込んでから5分くらい経ってから走り出す車になってしまいます)

    3. ちょっと認識が間違ってると思います。
      FCVのタンクレイアウトは実は全然自由ではありません。
      水素を超高圧に保つには、球若しくは円筒形でなくてはなりません。
      つまり、形状がかなり自由で薄く広く床下に並べられるBEVとはレイアウトの自由さの面では比較にならない。
      もちろん、超小型タンクを採用し厚さを抑えて床下にズラズラと並べる事は物理的には一応可能ではあるが、車重的にも生産効率的にも論外でありメンテ修理の面でもトラブルが頻発するのは目に見えている。
       更に、車台の上にポッコリ飛び出る形でしか配置できないため、タンクの置き場が後席の下しか無い。
      しかも車種は後列座席をスライドしたり跳ね上げたりしないセダンや2列SUVに限られる。
      前席はどんな車種でも普通はスライドしますからね。
      これじゃあちょっと勝負にならんでしょう。

  22. やっぱり電気自動車は素晴らしいね!

    大量のリチウムイオン電池を作るときのCO2排出量とか都合の悪い事はガンガン無視していけばよし!

    1. マクミラン 様、コメントありがとうございます!

      >大量のリチウムイオン電池を作るときのCO2排出量とか都合の悪い事

      よく、この点については誤った記事やミスリーディングな情報操作が行われています。科学的に検証してみると、確かに電気自動車の製造時のCO2は多いのですが、走行すればその差はどんどん縮まって、廃車・リサイクル時点では逆転しているのです。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-global-life-cycle-co2-emissions-less-than-ice/

  23. よくもここまでネガティブな記事を書きますね。
    物事にはポジティブな面とネガティブな面とか存在するものです。
    ましてや、これからの技術とされる燃料電池、全固体電池となれば技術的にも、運用コスト面でもまだまだ超えなければ成らないハードルが沢山なのは当たり前です。
    これらの技術を従来の化石燃料に取って代わって実用化している国も企業も、まだ何処にも存在しません。

    EVが実用化されていってるじゃないかと言われますが、そのエネルギーの全ては再生可能エネルギーだけではまかなえていません。

    1. ワンダー様、コメントありがとうございます。

      はい、おっしゃる通りだと思います。
      しかし残念ながら、全固体電池にしろ、水素供給インフラにしろ、ポジティブな面は今のところほとんどないというのがポイントなのです。
      ち密な計算・考慮をして検証することにより、騙されないようにしていく必要があると思います。
      簡単にご紹介しておきますので、反論があれば、ぜひエビデンス等をお知らせください。私もぜひ、勉強させていただきたく思います。

      まず全固体電池について。メリットは安全性と急速充電性能と呼ばれています。
      これらに対する反論はこちらの記事にも書かれていますが、
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/solid-state-battery-mr-amazutsumi-interview/
      簡単に私見を書かせていただきますと、もちろん全固体はリチウムイオンより安全になる可能性は高いと思います(逆の可能性もあります)。しかし、電気自動車はすでに、ガソリン車より安全性が高いというのは一般的な評価になりつつあります。リチウムイオンで十分安全であるのに、よりコストが高い全固体にわざわざシフトするのか?それより、自動運転や安全装備にコストをかけるべきではないか、という議論はあると思います。また急速充電性能は、実は電池の問題ではなく、電力網・充電ネットワークの問題です。5分で充電、などとキャッチーな表現があちこちでされていますが、5分で充電できる充電スタンドを作るためには、何億円もかかる設備が必要で、月額の基本料金も膨大な額になります。つまり、電気自動車を超高速に充電する、というのは、機器や電池の問題ではなく、電力の供給インフラの問題が主であり、ユーザーが克服すべきものなのです。もちろん、だから売れない、という議論には強くは反論しません。

      次に水素ですが、現時点で、水素燃料電池車の「消費者に対する」メリットってなんでしょうか?
      価格?電気自動車より高くなります
      維持費?電気自動車より高くなります
      水素?スタンドが増えれば、電気自動車より早くできますが、自宅では充填できません
      安全性?電気自動車とあまり変わりません
      車両の性能?電池を多く搭載する電気自動車のほうが上です
      デザイン?電気自動車は電池を底面搭載なのでデザインが自由、水素燃料電池車はタンクが大きいのでレイアウトやデザインに制約あり
      燃料コスト?電気自動車より高く、今のまま天然ガス改質を続ければ、ガソリンより高くなります。豪州からの水素輸入はまだ先で、輸入する船もまだできていません
      低炭素化?電気自動車は、再エネ電力を使用することで、排出を抑えることが可能です。電力網が低炭素化するにつれ、電気自動車も自然に低炭素化します。燃料電池車は水素の生成方法で排出が決まります。天然ガス改質で水素を作った場合は、おおよそ排出はガソリンハイブリッド車と同等。再エネ電力で水素を作った場合は、同じ電力で走行する電気自動車の3倍のコスト。豪州からの水素輸入は、何とかガソリン同等に抑えることを想定していますが、電気自動車より安くできるかは疑問で、「誰も」その予測を発表していません。

      お分かりになりますでしょうか?我々消費者にとって、一つもメリットがない自動車の可能性もあるわけです。

      ぜひ、ポジティブな面を、教えていただければ幸いです。

    2. 安川さん
      >電気自動車はすでに、ガソリン車より安全性が高いというのは一般的な評価になりつつあります。
      様々な場所で火災が起きていますが、何処の一般的な評価でしょうか?
      エビデンス等をお知らせください。私もぜひ、勉強させていただきたく思います。

      >我々消費者にとって、一つもメリットがない自動車の可能性もあるわけです。
      ハイブリッドカーについても同様のことが言われ、
      エンジンの改良の方がコスト面でも良いとも言われてました。
      トヨタが挑戦しなければ、今頃ディーゼル車だらけになっていたのではないでしょうか。
      既存の技術だけ追い求めていたら進歩はないですよ。

      あらゆる物の初期ロットが高く、不便であるのはそのとおりです。
      DVDなども初期ロットはメディアが少なく、再生できるものは限られていました……。
      だからこそ、トヨタは実証都市を作成しよとしているのではないでしょうか。
      インフラなどを自社で揃えて、実地で効果を検証するのです。
      新しい技術を研究している企業をなじるのは害悪以外の何者でもないと考えます。

    3. リン 様、コメントありがとうございます。

      >様々な場所で火災が起きていますが、何処の一般的な評価でしょうか?

      電気自動車もガソリン車も、車両火災は発生しています。例えば国土交通省のデータをご覧になってみてください。
      https://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/cgi-bin/search.cgi
      また電気自動車の火災事故をまとめているのはWikipediaが一番詳しいと思います。
      https://en.wikipedia.org/wiki/Plug-in_electric_vehicle_fire_incidents
      こちらを見ていただき、現在の販売台数と比較して、事故数が多いと思われるなら、再度ご投稿お願いできますでしょうか?例えばテスラが販売台数が一番多いのですが、今までで160万台くらいです。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-vehicle-fire-risk/
      こちらにも専門家の意見が載っています。

      >トヨタが挑戦しなければ、今頃ディーゼル車だらけになっていたのではないでしょうか。

      それはそうかもしれませんね。

      >既存の技術だけ追い求めていたら進歩はないですよ。

      これは100%同意です。

      では、先ほどの全固体電池と、水素による燃料電池自動車において、新技術を追い求めることにより、ウルトラC(死語ですね、、汗)以外のブレイクスルーはあるのでしょうか?
      例えば全固体電池を使って、電力グリッドに大きな影響を与えないようにして充電時間を短縮する方法や、低炭素かつ電気と同等程度のコストで水素を供給する方法があるのでしょうか?
      それが、ほぼ見えず、ゼロに近い状態であるからこその、当記事なのだと思います。ではなぜ、多くの自動車メーカーや政府・石油関係企業は全固体電池・水素社会を追い求めるのでしょうか?

    4. 特許を広く抑えることが可能であり、コモディティ化した分野で競争する必要がないからです。

      コモディティ化した部分は大規模で手当り次第な開発ではなく綿密にコストへの影響を考えた投資になります。

  24. そもそも二酸化炭素排出どうのは地球物理学からすれば茶番でビジネスでしか無い。
    更に内燃機関でトヨタに勝てないと思う欧州のビジネスマン達が上記と相まって資本主義社会に新しい商売のブレイクスルーを画策している。
    日本国内だけを見ると完全BEVは災害多発国にはそぐわないことも付け加えておく。

    1. フジム様、コメントありがとうございます。

      >二酸化炭素排出どうのは地球物理学からすれば茶番でビジネスでしか無い。

      パリ協定に世界中の、利害関係が対立する陣営、先進国も発展途上国も大国も小国も、同意しているか理由は説明できますでしょうか?
      茶番であるというエビデンスはないと考えています。逆に、温暖化のエビデンスは多くあります。
      https://www.scientificamerican.com/article/discovery-of-global-warming/
      Google翻訳で、一読されてみることをお勧めいたします。

      なお当サイトでは、事実とエビデンスに基づく議論を各コメンターの方にお願いしています。
      感情や、伝聞に左右されず、議論を進めていきたいと考えております。

  25. 書いた人は日本人でしょうか?
    視野が狭く否定的なことしか書いていない。
    薄っぺらな記事は読んでいてつまらない。

    1. よしみ 様、コメントありがとうございます。

      当記事は冒頭にもあるとおり、Steve Hanley氏の記事の翻訳です。
      当サイトでは、記事への批判や反論は大歓迎です。その上で、二つのことをお願いしています。
      ・データやエビデンスに基づいて議論すること。全固体電池の実現可能時期や、それにより実現される電気自動車の安全性や充放電性能については、ある程度公知のものとなっています。また水素燃料電池車はかなり長い間、化石燃料に頼らざるを得ず、低炭素化への貢献度が低いことも公知です。そのため、視野が狭い、と表現されるのであれば、エビデンスを示すべきと考えます。
      ・著者への敬意。弊社では著者・インターネットさせていただく方々・翻訳する記事の著者などはすべて実名で、編集部で十分検討した上で執筆・掲載しています。匿名で批判されるのであれば、少なくとも敬意は払うべきと考えます。

      以上、今後とも、ぜひよいご意見や議論を期待しています。

  26. 水素はオーストラリアで石炭から作り液体水素にして船で日本まで運ぶ。排出CO2は大深度の地中に眠らす。
    日本はこの筋で行くとどこかでみましたが違いますかね。

    1. 名無し 様、コメントありがとうございます。
      はい、その予定とずっと政府は語っていますし計画も進んでいます。これは日本のエネルギー安全保障のためには必要なことかもしれません。しかし、これを低炭素化の切り札であり、メインストリームであるかのように語るのには問題があると思います。
      現実はこうです。
      https://www.theguardian.com/environment/2021/jul/20/a-shocking-failure-chevron-criticised-for-missing-carbon-capture-target-at-wa-gas-project
      二酸化炭素を回収するCCSはまだ完成している技術ではなく、最新のテクノロジーでも期待値の30%しか回収できなかったとあります。元々の目標が80%ですから、24%と言うことで、これでは褐炭の水素製造プラント+CCSは、天然ガス改質プラント以下ということになります。これから、技術開発は進むと思います。

      当記事の元となっている、Ian Porter氏の言葉をご紹介します。
      I sincerely hope CCS does work one day. Ultimately, we need it. But until that time, it is reckless and disingenuous for the industry to keep pretending that it can expand operations and reach net zero.
      「CCS(二酸化炭素を回収する技術)がいつか、ものになることを真摯に願っています。究極的には、この技術は必要です。しかしそれが実現するまでの間において、(水素)業界がCCSを拡大すれば排出ゼロを達成できるかのように振る舞うことは、無謀であり、誠実とは言えません。」

      私も同意です。

    2. CO2排出について、30年前の応用化学授業で得た発想を述べさせていただきます。
      もうすでに当時からCO2排出削減論議がなされており、排出されたCO2を地中に埋めることなくクロレラやユレモなど植物の光合成で還元させるべきだと主張していた教授の意見を思い出しました。要するに対症療法でなく根本解決をすべきと。ただお金がかかるのか研究に不備があるのか実現はしませんでしたが。
      こういう排出物の処理を学ぶ化学センスがないと原発の廃棄物のように「トイレのないマンション」と揶揄されませんかねぇ!?

      水素にしても安く作れる他国から輸入したら水素の運搬は石油の数倍のコストがかかるので現実的やないですね。それが分からない政治家や行政が悪いといえばそれまでですが!!(爆)
      ※こっちは理工系の論理で語ってますんで文系の方には理解不能かもしれません。あしからず

  27. 水素の価格を一気に下げる事は科学的に、また化学的に可能です。
    電気以外でのプラズマ分解技術による水素製法が有ります。
    物質分解実験は終わったので、気体を安全に集めるユニットを付けた実験を開始します。
    水素に成る原料は地球上に無限に有るので、問題ありません。
    ナトリウムイオンバッテリーは、中国のCATLがHP上で発表していましたね。
    後で読まねば。

  28. まさに、時代の流れ、自然の流れに逆らって過去の利権にしがみつき、利己主義を貫こうとする昭和日本の姿が2021年に現れている。

    昭和創業企業は自分達の既得権益にこだわり、過去の栄光、過去の体制を守りたいがために、新しい者、新しい流れ、自然の摂理に逆らおうとしている。

    愚かな国になったな…。

  29. クリーンテクニカは愛国的ですしトヨタが水素動車の研究開発をするのは必要なことだと思いますが・・
    水素生成の前提をメタンの改質にする限りカーボンニュートラルはあり得ないので、結論は決まっています。逆にCO2を固定すればゼロエミッションになるなら化石燃料発電を止める必要もありません。
    計算値は前提を変えれば結果が全く変わってしまいます。
    問題は化石燃料発電は早晩止めなければならないだろうという事で、EVとFCVの対立ではないと思います。このままではEVもFCVも(もちろんHVも)ダメという事になる気がします。

    1. 今の水素エネルギーの議論はあまりにも近視眼的です。

      実際、遅かれ早かれ水素一択の話でしょう。
      それ以外のことに時間を割くのは時間の無駄です。

      電気は媒介が無い限り貯めておくことが出来ない。資源がない日本にはその材料が何にせよ、そこが大問題になってしまう。

      産業廃棄物のコストも施設運営のコストにも天井がない。
      電力がまともに貯められない以上、電力を貯める形が水素という捉え方もあるはずです。

      もちろん全ての需要に対して、その場で発電で応えれば良いわけですが、それは無駄な施設の運用にも繋がる。

      そして俯瞰して見れば、その全体は国防の話でもある。

      外国に頼ることがない自然エネルギー作ったエネルギーをローコストで貯めておける状態。
      物理的なエネルギー源が国土に充満した状態(スタンドや家庭)と、いくつかに点在しただけの状態(発電所)の安全保障上の圧倒的なリスクの差。

      水素に突き進むトヨタは日本の救世主です。

    2. とも 様、コメントありがとうございます。
      基本的な議論として、水素は一択かどうかは別として、一つの選択肢であることは同意いたします。しかし とも 様の議論にはいくつか合意できない点があります。

      まず電気は貯められないという議論。これは、水素で貯めることも可能ですし、もちろん蓄電池も多用されています。
      https://blog.evsmart.net/ev-news/ventura-county-ca-to-deploy-tesla-megapack-to-replace-peaker-ng/
      日本でも米国でも豪州でも、蓄電池による短周期の負荷変動に対する対策は行われています。また電気をためるソリューションとしては、揚水発電も使われています。

      >外国に頼ることがない自然エネルギー作ったエネルギーをローコストで貯めておける状態

      これは、太陽光発電を使って水電解で水素を作る、というストーリーですよね。
      それについて、私はコストはともかく、異論はありません。水素に蓄積することにより、貯めておける電力量は普通に電池に蓄積した場合と比較して、3分の1程度となります。再エネ電力に対しそこまでのロスを許容する、ということでしたら、私見ですがそれは災害対策と、長周期の緊急事態に対する備えだと思います。例えば今年の新年あけの電力不足などの事態に、貯めておいた水素を発電に投入して補助させる、などのソリューションは十分に考えられます。しかし、普段使いで??
      消費者が、再エネ水素由来の、再エネから直接充電するものに対し、3倍の価格の電力を選択するとお考えでしょうか?あくまで、緊急時と、おっしゃっている国防上の考慮だけだと思います。

      >水素に突き進むトヨタ

      水素を消費する車両に対する投資はされていると思いますが、水素インフラに対して、まだまだ研究開発が行われるべきで、それらをやっているのはどちらかと言えばエネルギー企業だと思います。もちろんそれらの努力はあまり成功しているとは言えず、
      https://www.theguardian.com/environment/2021/jul/20/a-shocking-failure-chevron-criticised-for-missing-carbon-capture-target-at-wa-gas-project
      まだまだ数十年程度かかる技術と考えるべきで、もう少しCCSの技術開発を進めてから普及に力を入れるべきと思います。研究開発に反対するものではありません。

  30. 水分解の水素生成工場を非現実的とコメントしている件について
    電気自動車にした場合、これの充電に使われる電力を供給するために、原発やら火力発電を増やさないと電気が不足します。
    大切なのはバランスで、それを踏まえた開発をトヨタは多方面からすすめていると考えます。
    ナトリウムイオンバッテリーなどを利用して蓄電する方法、必要な場所へ必要な電力を届ける配電の仕組み等、EVにするためには解決しなければならない問題はこれはこれでかなり多いと思います。

  31. トヨタのクリーン水素計画(仮)
    現在静岡県にて
    太陽光発電→電気分解で水素と酸素生成→プラントに蓄積→水素燃料への計画稼働中
    けど国の安全規定で連続稼働実績が数年必要な為企業展開できない状況認可さえ取れればトヨタが水素燃料市場を独占出来る見通し
    しかし少し前に韓国で同じ方法のプラントが大爆発お越している

  32. BEVの電池の自然放電は
    どれくらいあるのでしょうか?
    75%火力エネルギーで作った電気が
    どれ位消えてしまっているのでしょう?

    水素の製造は水電解で
    太陽光や水力 風力に電気で作れば
    CO2を排出することもなく
    エネルギーが霧散することなく
    エネルギー貯蓄の観点で見れば
    電気自体を貯蓄するよりも
    効率が良いように思います

    水素を貯蓄可能なエネルギー源として
    考えることは何も
    おかしいことではないと考えます

    バイオフューエルの可能性もあると思いますし

    BEVだけが唯一の回答ではないと思います

    1. 太陽光とBEVのセットが最高かもさん

      電池では難しい規模のエネルギー貯蓄として水素はありうるかもしれませんがFCVの燃料電池の発電効率は低く、60%近くが熱として捨てられます。冬場は暖房になるかもしれませんが…
      定置式のSOFCであれば効率は65%程度あるので再エネ発電所の横に水素タンクとSOFCやガスタービンを置いて需要に応じた電力を供給する方が効率的だと考えます。

      BEVの自然放電についても再エネで水素製造を製造できるなら再エネでBEVを充電すればいいわけで、その場合電池の充放電で2割ロスしてもPEFCの6割ロスよりはマシだと思います。

  33. まとめるとFCVを動かす水素を生成する際に必要な電力よりも純粋にEVを走らせる為の電力量の方が圧倒的に少ないという事で宜しいでしょうか(効率)。よってその多くを火力発電に頼る現状ではFCVよりもEVがカーボンニュートラルに近いというお話ですね。一つ教えて頂きたいのですが、仮に内燃機エンジンが全てEVに置き換わったとした場合、当然それに見合う大量のバッテリーが必要になります。後に廃棄回収とリサイクルは避けて通れないものと理解しております。CO2に加えこれらが与えるであろう様々な環境負荷についてはどの様に考えでしょうか。以上、宜しくお願いします。

  34. 土壇場で東京五輪用CMを流さないとか、開会式への社長の出席を取り止めるとか日和ったトヨタを擁護するつもりはない。
    でもこんなトヨタ叩きの記事を掲載して、いま「BEVなんて」と思っている人の考えを変えられるとは思えない。
    BEV大好きな人はHEVの大家であるトヨタを叩いて溜飲が下がるのだろうけど、その選民意識がBEVを毛嫌いする人を生んでいるとなぜ気づかないんだろうか?

    1. ダブリン市民 様、コメントありがとうございます。

      >選民意識がBEVを毛嫌いする人を生んでいる

      選民意識というのは言い過ぎの気もしますが(汗、そのような気持ちで記事をご紹介・書いていることはありません。
      もちろん、毛嫌いする人々がいることは理解しています。しかしそのうえで、全固体電池によって電気自動車は生まれ変わるであるかのような説を流布したり、水素燃料電池車が次世代車の本命であるかのような語り口をそのままにしておけば、何も変わらないと考えています。事実を紹介することにより、科学的な評価手段を持たない方々は、今まで通りマスメディアの伝える内容をフォローしていくと思います。その方々が、BEVを毛嫌いしていたとしても、マスメディアが(まさにこの東京オリンピックのように)手のひらを返せば、一瞬で愛好家に変わると思います。また、科学的な評価手段を持つ方々にとっては、我々の活動により、少しでも計算方法、ロジック、そして元となる基礎データなどの出典を知っていただき、科学的に情報を判断して行動していただければと考えています。
      我々は、後者の方々のために存在しています。見苦しい部分もあるかと思いますが、その点、ダブリン市民様とは考えが少し異なるとご理解いただければ幸いです。

    2. 逆にイーロンマスクの盛り発言はあまりピックアップしないんのかなと思います、トヨタの一個は叩いて、下のような発言はあまりピックしないと信者って思いますよね、
      テスラ発言
      2021年に110万台 → 無理(半期で38万台)

      2020年までに完全自動運転を可能にする → 2021自動運転は難しいと発言

      セミトラック2017年受注、生産開始は2019年を予定 → 2022年に変更

      『モデルS』の頂点に立つ高性能グレードとして計画されていた「プラッド+」の設定を中止すると発表 → これ最初から+なんて無かったのでは?

      「ロードスター」に0-96km/h加速1.1秒を実現するオプションパッケージ「スペースX ロケットスラスター」を設定する計画がある → 結局無し

      ループ 時速700マイル → 時速150マイル → 安全速度で

  35. 燃料電池車で動くバスに『グリーン』な部分などまったくありません。現在日本にある『クリーン』だとされる水素は、主に大量の二酸化炭素を排出する既存化学プラントで天然ガスから作られています。

    バスに『グリーン』ってどういう意味なんですか?緑??

    1. k様、お世話になっております。分かりづらい表現で申し訳ありません。ここでいうグリーンとは、主に温室効果ガスの排出が少ないということを意味しています。日本語だとエコ、みたいな感じの意味合いなのですが、水素業界では、グリーンとかブルーとか色を付けて表現することが多いので、そのままにしています。

  36. 経産省のですけど
    >世界最大級の再エネ由来の水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」が3月より稼働
    一応オリンピックで使う水素はここのも使う話ですし(全部とは書いてなかった)

    まだ発展途上の技術だし環境対策の広報目的でしかないとは思うけど
    これがものになるかどうかはわからんけど海外勢も研究してる技術なのに叩くのなんでなんだろ

    1. あ 様、コメントありがとうございます。叩いているのではなくて、計算で裏付けを確認しているのです。気持ちの問題ではなく、数字による検証なんですよ。いま、世の中で語られていることには、嘘も真実もあり、誇張も多くあります。これらを見抜くためには、数字による検証しかありません。

      さてFH2Rが世界最大規模ということで、こちらは水電解ですね。毎時1,200Nm3とあります。仮に相当多めに見積もって昼間12時間フル稼働できたとして1日の水素生成量は14,400Nm3 = 1293kg程度ですから、ここに水素ステーションを直付けして、2021年式ミライ(1台満タン=5.6kg)を充填すると、圧縮・冷却に必要な電力は無視したとして231台分になります。月に2回給水素すると仮定すれば、サポートできる水素燃料電池車の数は、
      231台 x 30日 / 2 = 3,465台
      発電所一つ作って、村一つ分の自動車の水素需要を賄う、という計画なわけです。仮に6千万台の乗用車のニーズを満たすためには、
      60,000,000 / 3,465 = 17,316

      水素ステーションじゃなくて、水素生成工場が、日本国内に17,316か所必要になるのです。これを「発展途上の技術」というべきかどうか微妙ではないでしょうか?一つの実験であり、このように生成される水素は、あくまで水素発電を用途とした比較的長周期の蓄電用と考えるべきで、自動車用ではあり得ないと思います。

  37. よく電気をどうやって作ってるのかという話の中で火力発電で石油や石炭燃やしてるんでそれを使うEV は二酸化炭素の減少にはならないという話がありますが、イーロンマスクもかってこの話に答えてますが燃焼効率がそのまま車にガソリン入れて走るより最新の火力発電所で使う方が送電時のロスを考慮しても全然上で二酸化炭素の排出量も少ないらしいですよ。これに蓄電システム等を使えば夏場のピーク時の電力不足も補えるというわけです。

  38. >交通手段の燃料としては、バッテリー電気自動車の競争相手にはなり得ません。
    ほーん
    その電気自動車の電気ってどうやって作ってんの? 
    アメリカでも6割は石炭石油だと思うんだけど

    1. い 様、コメントありがとうございます。

      >>電気自動車の電気ってどうやって作ってんの?

      日本の場合、75%が火力発電です。そして、一つ前の方へのコメントにも書きましたが、水素燃料電池自動車は、ガソリンハイブリッド車ほどはCO2排出は多くないですが、天然ガスから水素を作り続ける限り、結果としては電気自動車より排出は多くなるのです。
      また、一度販売した水素燃料電池自動車の排出が減少する事はないのですが、電気自動車の場合は、発電所が低炭素化すれば、排出を低減させることが可能です。

      >>アメリカでも6割は石炭石油だと思うんだけど

      そんな感じですね。
      https://www.eia.gov/tools/faqs/faq.php?id=74&t=11
      米国の平均排出係数は0.92lbs=417g/kWhだそうです。これで再度試算してみると、
      FCV(水素生成プロセス抜き)= 47.6 + 15.8 = 63.4g/km
      BEV = 62.2g/km

      もう少し現実的にしてみましょう。
      天然ガス改質による、水素製造時の排出はここにデータがあります。
      https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy/suiso_nenryodenchi/co2free/pdf/012_02_00.pdf
      1.03kg-CO2/Nm-H2とのこと。水素1Nmは0.0898kgですから、先ほどの一つ前の私のコメントから、

      5.6kg x (1030g / 0.0898) / (402mile x 1.609) = 99.3g/km

      この経産省の資料で紹介されている水素製造プラントの性能が正しいなら、現在の水素燃料電池自動車のCO2排出量は、ガソリンハイブリッド車とほぼ同等であることがわかります。

    2. >安川様
      日本の場合、75%が火力発電です。そして、一つ前の方へのコメントにも書きましたが、水素燃料電池自動車は、ガソリンハイブリッド車ほどはCO2排出は多くないですが、天然ガスから水素を作り続ける限り、結果としては電気自動車より排出は多くなるのです。
      また、一度販売した水素燃料電池自動車の排出が減少する事はないのですが、電気自動車の場合は、発電所が低炭素化すれば、排出を低減させることが可能です。

      電気自動車は未来において発電が低炭素化すれば と期待値で表すことに対し、
      水素生成方法においては現状の生成方法から進展はない
      と、不平等な比較をされているように感じます
      水素生成においてこれ以上の進展、効率の向上は起きないのでしょうか?
      その辺りのお考えについてご教授頂けないでしょうか

    3. たけだ様、コメントありがとうございます!

      >>水素生成においてこれ以上の進展、効率の向上は起きないのでしょうか?

      少なくとも私の知る限り、自動車用に使うという目的である限り、天然ガス改質以外である程度の効率があり、低炭素化できる方法は水電解しかありません。また水電解は電力を使いますので、日本国内において、蓄電するというシナリオを除外すると、低炭素化のメリットはゼロです。水電解に使う電力と、電気自動車が走行に使う電力を比較すると、水素燃料電池自動車の効率は電気自動車の1/3となります。

      もう一点、勘違いがあるといけないので再度まとめておきますが、先ほどのコメントで、燃料電池自動車の実質のCO2排出は、99.1g/kmでした。一方電気自動車は69.1g/km。現時点で水素燃料電池自動車は44%も排出が多いのです。「期待値」を用いないまでも、水素燃料電池自動車が低炭素化への寄与が少ないことは明らかだと思います。

  39.  我が意を得たり、何もいうことがありません。自転車ロードレースをネットで観ましたが、選手の脇をすり抜ける車がレクサスのEVですら無いことに驚いていました。
     昨日のNew York Timesにもトヨタに関する辛辣な記事が出ていました。こちらも読んでいただければと思います。

  40. >>燃料電池車で動くバスに『グリーン』な部分などまったくありません。現在日本にある『クリーン』だとされる水素は、主に大量の二酸化炭素を排出する既存化学プラントで天然ガスから作られています。

    これはEVも同じ
    火力発電による電気で動かすEVは環境に悪い
    現状ではハイブリッドが最も環境に優しい車

    1. あ 様、コメントありがとうございます。
      水素マジックに騙されないようにする必要があると思います。簡単に計算してみますね。まず新型ミライのタンクは5.6kg、これで402マイル走行できますので、1km走行あたりの水素消費量(水費??)は、
      5.6kg x 1000 / (402 x 1.609) = 8.66g/km
      天然ガスを改質するときに加える熱、できた水素を圧縮するための電力、ステーションで再圧縮するための電力、マイナス40℃まで冷却するための電力は、まずは無視しましょう。
      天然ガスから水素を作る反応は、
      CH4 + 2H2O = 4H2 + CO2
      水素が8に対し、二酸化炭素は44の重さがありますので、
      8:44=8.66:x
      CO2排出量x=47.6g/kmとなります。

      水素ステーションでの消費電力を計算します。
      https://www.env.go.jp/seisaku/list/ondanka_saisei/lowcarbon-h2-sc/support-tool/PDF_Excel/support-tool_report_202003_2.pdf
      ・圧縮機消費電力0.3 kWh/Nm3
      ・プレクール消費電力(充填時) 0.092 kWh/Nm3
      ・プレクール消費電力(起動・温度維持) 220.5 kWh/日

      4.37kWh/kg-H2
      今回必要な水素は8.66gですから、日本の電力の排出係数463g/kWhから、
      4.37 x 8.66 / 1000 x 463 = 17.5g/kmのCO2排出があります。合計すると、

      47.6 + 17.5 = 65.1g/km

      では比較としてテスラモデル3で計算してみましょう。
      https://www.fueleconomy.gov/feg/Find.do?action=sbs&id=43821
      電費は24kWh/100miですから、換算すると、
      100 x 1.609 / 24 = 6.70km/kWh
      先ほどの排出係数463g/kWhから、

      463 / 6.70 = 69.1g/km

      単純比較すると、現時点での日本の排出係数では、ミライの方が4g、排出が少ないということになります。しかし本島にそうでしょうか?
      実は電気自動車の排出を計算する場合に計算に入っていないのは、発電所から充電場所までの送電ロス(約5%)のみです。しかし、天然ガスから水素を作る場合は、この送電ロスに相当する水素の輸送に伴う排出に加え、天然ガスから水素を発生させるための反応に必要な排出も加えなければなりません。

      結果として、水素燃料電池自動車を低排出車両として使用するためには、天然ガス改質からの脱却が必要だと考えられます。もちろんガソリンハイブリッド車より低排出な車としての存在意義は、コストを度外視すれば確実にありますが、これから発電の低炭素化も進むことにより、電気自動車の排出は年々低下することを考えると、最終的に目指すところがカーボンニュートラルなのであれば、水素燃料電池自動車の選択はないと言えると思います。

      ※補足:下の「い」様へのコメントで、別の資料から水素を天然ガス改質で生成した場合の、CO2排出を計算してみたところ、ミライの排出は99.3g/kmと、ほぼガソリンハイブリッド車と同等になりました。

    2. 内燃機関は大型であるほど高効率なのになぜ負荷が変動しまくって、かなり小型な機関の効率が良いと思えるのか

      それにEVだと最終的に太陽電池も風力もあるのに。
      液体燃料のその先は?

    3. ここは電気技術者として持論を述べさせて頂きます。
      二酸化炭素排出は製造時と運用時で分けるべきであり、エネルギー効率も化石燃料運搬と電気抵抗損失を加味すべきでしょう。
      自身計算したところ送電効率は90%(=損失10%)、化石燃料運搬損失20%と算出しています(大雑把ですんませんが)。
      製造時のエネルギー消費は大量生産とも関連しているから現地点で生産規模の違いから電気自動車の生産効率はエンジン車ほどではないと思いますが、部品調達にかかるエネルギーは部品運搬まで考えると部品点数の少ない電気自動車が圧倒的に有利。あとは係数さえ正確に把握できれば判るでしょう。理工系なら自ら計算して判るものですよ。
      効率が良いのは自宅にソーラー発電が付いている場合、考えられるエネルギー損失はパワーコンディショナーの変換効率くらいですか…究極的に損失を減らすならニチコンのトライブリッドシステム(Vehicle to Home)ですよ!!ただ高価ゆえに当家導入は断念しましたが(爆)
      もちろんソーラーパネルだって製造時の消費エネルギーは無視できまい、ただ石油精製運搬も加味した実効率まで考えたら答えは見つかりました。ただ乗ってる電気自動車がi-MiEV(M)だからハイブリッドパワコン+7kWh蓄電池でどうにかなる状態ではありますが。

      なおこのコメントへの回答は当人の計算力やイデオロギーが問われます。僕にはバレますので(笑)事前に十分熟考推敲下さい。

    4. その通りです。
      しかし、今のところ回収されてません。
      そも現実、今の時点で多少太陽光や風力が数字の上で増えようとも、主力は石炭火力、それも欧州などではさらに効率の悪い褐炭や、比較的貧しい東欧バルカン諸国では中国製の旧式だが廉価(つまり、環境を無視して経済効率を考えれば少なくとも短期的には有利)が新造すらされている。

      内燃機関は大きいほど効率が良い云々
      一般論としては正しいけど、技術が進歩すればするほどその差は縮小しますよね。
      そも、現実の火力発電で使われるのはガソリンエンジンやディーゼルではなく、蒸気タービンもしくはガスタービンと蒸気タービンの混成で全く特性が違う。

      >New York Timesにもトヨタに関する辛辣な記事
      「愛国報道」のNYTだからね(笑)

      彼らの嫌いなトランプ政権のうちはトランプのせいといってたけど民主党政権に戻っても、結局まだコロナは良くならない。
      そこで伝統の「外国企業叩き」ときたわけだ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

執筆した記事