すっかり春になってしまいましたが……、3月上旬、スタッドレスタイヤを履いた新型「日産リーフ B7G」で、雪道を求めて蔵王温泉まで行ってきました。進化したEV性能や「プロパイロット2.0」の使い心地をじっくり体感。充電インフラについても改めて感じるところが多い長距離試乗になりました。
プロパイロット2.0装着の「B7G」で新型リーフ初めての長距離試乗
3月上旬、神奈川県横浜市の日産自動車グローバル本社(GHQ)から山形県の蔵王温泉まで、新型「日産リーフ B7G」で長距離試乗に行ってきました。この前の週、雪道を求めて新型「ソルテラ」で群馬県の草津温泉へ行った(関連記事)のですが路面にまったく雪は無く。3月とはいえ、蔵王まで行けば雪道を走れるはずと見込んでの遠征です。

新型リーフが「EVへのネガティブイメージ」を払拭すべく大きな進化を遂げたことは既報の通り。
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新型リーフで長距離を走るのは初めてです。今回試乗した「B7G」が搭載するバッテリー容量は78kWh。高速道路などでハンズオフ(手放し)運転ができる先進運転支援システム「プロパイロット2.0(PP2.0)」装着車で、カタログスペックの一充電走行距離(WLTC)は「670km」です。横浜から蔵王温泉までの距離は420km弱。スタッドレスタイヤ装着、蔵王温泉の標高が約900m、さらに、東北自動車道の120km/h制限区間はPP2.0で120km/h設定で走行するといった電費を伸ばすには不利な条件が揃ったなかで、「蔵王まで無充電で行けたらすごいよね」と思いながらのスタートでした。
横浜から標高約900mの蔵王温泉まで無充電で走破

GHQ地下駐車場でB7Gに乗り込んで。スタート時のバッテリー残量(SOC)は100%で、航続可能距離表示は「673km」。普通充電器がある「吉田屋」という旅館をナビの目的地に設定すると、到着時のSOC予想が「26%」と表示されました。とはいえ、実際に標高差がある上りルートや高速道路を走行すれば、予想残量がぐんぐん減っていくのはEV乗りの常識でもあります。

結果としては、SOC「8%」で吉田屋の充電器に到着することができました。出発時にリセットした平均電費は「5.6km/kWh」。ほとんどの区間がおおむね上り基調の高速道路走行であったことに加えて、東北中央自動車道の山形上山ICを下りてから10km以上はかなりの上り坂を走ったことを考えたら、まずまずの電費といえるでしょう。
途中、山形市街から蔵王温泉への途中、SOC11%でバッテリー残量低下のアラートが表示されました。とはいえ、目的地まで数キロを残して航続可能距離表示は「48km」で、何も不安はありません。上りのワインディングでアクセルをクイッと踏み込んで、気持ちいい走りを満喫することができました。EV乗りとしての気分的には「余裕で無充電完走」です。
無充電完走が正義というわけではありません
宿泊した吉田屋のスタッフの方が、初代リーフに乗ってたことがあるそうで「横浜から無充電で到着した」ことを話すとすごくビックリしてました。EVに対する「古い常識」や「思い込み」は書き換えるべき状況になっているということですね。
ただし、横浜〜蔵王を無充電で走破できたのは「B7」が78kWhという大容量バッテリーを搭載していることの恩恵です。そして、EV普及のこれからを考えると「無充電完走」が正義というわけではありません。
たとえば、新型リーフの下位グレードである「B5」のバッテリー容量は「55kWh」で、カタログスペックの一充電走行距離は「469km」です。今回の平均電費である5.6km/kWhと同様の走りと仮定すると走れる距離は「約310km」なので、少なくとも途中1回の経路充電が必要です。

この写真は、福島県の安達太良SA(下り線)で食事休憩ついでに、急速充電ステーションに新型リーフを入れて撮影したものです。今回はあえて「無充電」に挑戦したので充電は行いませんでした。でも、急速充電器があるSAで食事したのに充電しないのが、なんとも不思議というか、もったいない感覚なのでした。
大きなバッテリーを積むと、EVは「高価」で「重く」なってしまいます。横浜GHQから安達太良SAまでは290kmほど。新型リーフはB7が最大150kW、B5でも最大105kWの急速充電性能が与えられているので、ここの90kW器で1回、30分の充電を行えば無理なく蔵王温泉まで到着できるでしょう。まだB5は試乗できていませんが、車重はB7より100kg以上軽いので、より軽快な走りを堪能できるはずだと期待しています。必要十分な一充電走行距離と急速充電性能が、快適なEV生活を手に入れるためのポイントです。EVへの乗り換えを検討している方には、航続距離への不安に縛られるのはもう時代遅れであることを認識しつつ、EVにとって長距離を走れることだけが正義じゃないということを読み取っていただけると幸いです。
6kW普通充電器がある宿泊施設が増えてほしい

夜の間に少し雪が降ったものの、道に積もるほどではありませんでした。
EVの充電インフラというと、急速充電器ばかりが注目されがちですが、現実的な利便性に大きく関わるのが宿泊施設の普通充電器です。
今回、蔵王温泉の旅館街で唯一「6kW」器が設置されていた吉田屋という旅館を宿泊先に選び、無事に充電することができました。夕方5時前に到着して一晩充電できたから、大容量のB7でも翌朝は気持ちよく満充電からの再スタートになりました。
進化した航続距離性能を備えた今どきのEVでの旅行する場合、目的地までの片道は走れるケースが多くなります。そこで一泊するのであれば、宿泊施設に普通充電器があれば復路も無充電で帰着することができるでしょう。つまり、途中の高速道路SAPAなどで急速充電をする必要から解放されるということです。
また、充電器の出力もポイントになります。今回、SOC8%からの充電だったので、一晩の充電量は約72kWhだったことになります。利用した充電器の出力は6kWでしたから、約12時間で満充電になりました。でも、これが3kWだったとすると、満充電まで24時間かかることになり、今回のケースでは、SOC60%くらいからの再スタートになってしまったと思われます。宿泊施設に6kW充電器があるのは、実用的にとてもありがたいということがご理解いただけるのではないでしょうか。
蔵王温泉にはほかにもEV充電設備を備えた宿はありましたが、吉田屋以外は3.2kW(200V×16Aということでしょう)でした。6kW普通充電器を備えた宿泊施設も、5年前に比べたらものすごく増えてきています。とはいえ「蔵王温泉に泊まって6kW充電したい」と考えるなら「吉田屋一択」になってしまうのが現状であることも事実です。宿泊施設やゴルフ場、各地のレジャー施設には、6kW(以上)の普通充電器があって「当たり前」になってくれることを望んでいます。
雪道の走りは「e-Pedal」活用でノーストレス
さて、雪道を期待してスタッドレスタイヤ装着の試乗車を借り、山形まで遠征したのですが……。夜の間に少し雪が降ったようで、クルマは薄く雪化粧していたものの、道に積もるほどではありませんでした。でも、蔵王には山頂近くまで駆け上る山岳道路「エコーライン」があります。山頂近くは冬期通行止めですが、蔵王温泉よりさらに標高が高いところまで上れば雪道に出会えるはず、という算段でした。

朝8時過ぎ、吉田屋を出発してエコーラインをひたすら上り……。10kmほど走ったところで念願の雪道になりました。ちなみに、冬期通行止めのところまで、約18kmを走った際のSOCは92%。わずか18kmの走行に8%も電気を使ってしまった(メーターの平均電費表示は2.7km/kWh)ことになります。雪道の上り坂、恐るべしです。
ともあれ、しっかり雪が付いた道を新型リーフで走ってみることができました。いろいろと試してみた結果、アクセルワークだけで加減速をコントロールできる「e-Pedal(イーペダル)」を選択して走るのがノーストレスで楽ちんなスノードライブを楽しめることを確認できました。いわゆる「ワンペダルドライブ」ですね。日産のe-Pedalは新型リーフを含めて完全停止まではできないですが、雪道で怖いのはブレーキング時であることが多く、下手にブレーキを踏まなくてもスピードをコントロールできる安心感がありました。
試しに少しラフなアクセル操作をしてみても、トラクションコントロールが絶妙な働きをしてくれて、下りコーナーでアンダーステアが強く出てドキドキ、なんてこともありませんでした。もちろん、どんなに優れた運転支援機能があって、高性能なスタッドレスタイヤを履いていたとしても雪道でオーバースピードは禁物です。
復路では150kW器の従量課金を確認
標高1200m以上まで駆け上った雪道探しのエキストラドライブで10%ほどの電気を使ってしまったとはいえ、復路のゴールである東京の自宅までの距離は380km程度。無充電で帰ることもできたのですが……。

リアルな急速充電性能を確認するため、浦和IC近くのエネオスチャージプラスのステーションで充電してみました。この場所を選んだのは、新型リーフB7がアナウンスしている「150kW」器であることと、ちょうど「kWh課金(従量課金)」の実証運用が開始(関連情報※PDF)されていたからです。

SOC17%(車両側メーター表示)からの充電スタートで、確認できた最高出力は128kW。30分間で「48.960kWh」、78%まで充電することができました。充電料金は「オープン記念価格」の「99円/kWh」で、4,410円でした。
従量課金の価格などを語り始めると大きく横道に逸れるので控えておきますが。128kWの最高出力、30分で約50kWhという充電結果は、新型リーフの充電性能向上を十分に実感できるものでした。

ちなみに、急速充電の30分ほど前には手動でバッテリーヒーターをオンにして、充電開始直前のディスプレイ表示では「現在の最大充電能力」が「130kW以上」と表示されていました。この日は気温が23度ほどで暖かかったですが、10度を下回るような寒い日にはバッテリーヒーターがさらに威力を発揮するはずです。
一点、バッテリーヒーター(おそらくクーリングも)をオンにしていても、走行時、通常のメーターやナビ画面では作動状況がわからないのが、ちょっとわかりにくさを感じたポイントでした。

センターディスプレイのホーム画面に「EV」メニューが追加されたのは、新型リーフが進化したひとつのポイントだと感じています。EVとして、ドライバーにどんな情報をどのように提供して、使い勝手を向上させるのか。重箱の隅をつつくような細かいところで恐縮ですが、さらなる進化を期待したいところです。
自分が買うなら、PP2.0は非装着でOK、かな
今回の長距離試乗、自分のなかでひとつのテーマに設定したのが「できるだけPP2.0のハンズフリーで走る」ことでした。片道400kmほどはひたすら高速道路走行ですから「ほぼ手放しで走った」感覚を味わえるのではないかと期待してのこと。
実際に、かなりの区間、高速道路走行の多くの時間はハンズフリーで走ることができました。ひとつ目の感想としては、ハンドルから放した両手は、きちんと太ももの上に置くのがラクってことです。いろんな姿勢や手の置き場所を試してみたものの、シートにちゃんと背を預け、胸を張って両手を揃えて置いておくのがいちばん無理がない体勢でした。自然と運転中の姿勢が良くなります。
PP2.0作動中にウインカーを倒すだけで自動的にレーンチェンジしてくれる「車線変更支援機能」も、ちょっと慣れればスムーズな運転を助けてくれます。総括的な印象としては、自動運転が実現する近未来に向けた先進機能というありがたさを感じることができました。
とはいえ「ハンズフリーが実行可能になる条件は想像以上にシビアだなぁ」という印象もありました。高精度地図データを参照しているので、トンネルに入ってGPSの電波が途切れるとハンズフリーは解除されてハンドルを持つようにアラートが提示されます。また、センシングの精度が高いからでしょう。対面通行区間やジャンクション、急カーブなどでも解除されるし、路肩にパイロンを立ててちょっとした工事をしている区間では、数十メートルと誤差のない範囲でハンドルを持つよう警告されます。なまじ便利な機能だけに、頻繁に「ハンドルを持て」と警告されるのが、少しストレスに感じてしまいました。
長時間、PP2.0に運転を委ねながら「もし、自分が新型リーフを買うなら、PP2.0を装着するかなぁ」と思案して……。ハンズフリーはできない普通の「プロパイロット」でも、レーンキープアシストや前車追従のACC機能はあるんだから、PP2.0は非装着でもいいか、というのが辿り着いた結論でした。
購入判断の決め手は自分が求めるコストパフォーマンス
当然といえば当然ですが、新型リーフを購入するか、PP2.0を装着するかというのは、どのくらいの予算で、どんなEVを手に入れたいかというコストパフォーマンスが決め手になるということですね。
今回の試乗車であるB7Gの価格は、以下の通りです。
日産リーフ B7Gの価格(税込)
車両本体価格:5,999,400円
<メーカーオプション>
100V AC電源:66,000円
調光パノラミックガラスルーフなど:225,500円
後席ヒーター、バッテリーヒーターなど:91,300円
プロパイロット2.0など:409,200円
<ディーラーオプション>
ウインドウ撥水:13,640円
フロアカーペット:50,600円
フレキシブルラゲッジボード:33,000円
【合計価格】6,888,640円
【CEV補助金】1,290,000円
【実質価格】5,598,640円
PP2.0などのオプションを奢ると、現状では129万円のCEV補助金(2026年12月31日まで。2027年1月1日以降は100万円と発表済み)を活用しても、実質価格は約560万円になります。また、PP2.0を利用するには年額28,580円の「NissanConnect プロパイロットプランG」を契約する必要があります。
庶民感覚どっぷりの考え方で恐縮ですが、もしも私がEVとして進化した新型リーフを選ぶとしたら……。車両本体価格が4,738,800円とB7Gより100万円以上安いB5Xにして(バッテリーは55kWhで何の不満もありません)、PP2.0は非装着で、NissanConnectは「スタンダードプラン」(それでも年額10,980円)を選択。オプションは91,300円のバッテリーヒーターなどを選ぶだけにすれば、総額でおおむね483万円。129万円の補助金を活用すれば354万円で、ギリギリ手が届くかなぁ、というのが、蔵王から東京へ戻りながら導き出した個人的な妄想なのでした。

公式サイトのコンフィギュレーターから引用。
あと、気になったのが新しい「NissanConnect」の年額10,980円、PP2.0を利用する場合は年額28,580円という料金です。たとえばテスラの場合、遠隔で車両を監視できる拡張機能を備えた「プレミアムコネクティビティ」は月額1,990円(年額23,880円 ※トライアル期間は無料で試用可能)ですが、ベーシックなコネクティビティ機能は無料で標準装備。ちゃんとワイヤレスアップデート(OTA)で車両が進化して、ナビのマップも更新されます。
私自身、日産リーフ(AZE0)に乗ってた頃、スマホアプリの使い勝手には今ひとつ満足できないままでした。一泊二日の試乗だけで新しいアプリの使い勝手など十分に確認することはできませんでしたが、はたして、新たな「NissanConnect」がどのくらいの利便を備え、どんなUXを実現してくれるのかってあたりは気になるところ。実際に納車されたオーナーさんがいらしたら、感想などコメントで教えてくれるとありがたいです。
ともあれ、新型リーフがEVとして、さらにはクルマとして大きく進化したことを実感。私がEVを買い替えたほんの2年ほど前と比べても、EV選びの「悩みどころ」が何段階もレベルアップしたことが感慨深い長距離試乗となりました。「ガソリン代が不安だし、そろそろEVにしようかなぁ」とお悩みの方、ぜひ一度、新型リーフに試乗してみることをオススメします。
取材・文/寄本 好則






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