プラゴがEV用充電予約と定額サービスをスタート〜使い勝手を試してみた

EV充電サービスのプラゴが、予約できるEV用充電器の設置を進めている。実際に予約アプリの使い勝手を試してみた。2月からは料金を改定するとともに月額制サービス「プラゴ定額」もスタート。「マイ充電ステーション」の使い勝手が進化中だ。

プラゴがEV用充電予約と定額サービスをスタート〜使い勝手を試してみた

予約できる急速充電器を都市部に設置

充電待ちが日常化しつつある今日この頃。ホンダeに乗って2年近くになるが、EVやPHEVが増えているのは間違いない。経路充電や目的地充電では、目指していた充電器が使用中というケースも増えた。そんな中で、株式会社プラゴ(本社・東京都品川区、大川直樹社長)が2022年9月に発表したのが、予約機能付きの急速充電器「PLUGO RAPID」だ。

「My プラゴ」(公式サイト)と名付けたアプリによるサービスで、次々に運用が始まっていて、2023年3月現在で、テラスモール湘南(神奈川県藤沢市)、アトリオドゥーエ碑文谷/スイング碑文谷(東京都目黒区)、ルミネ立川(東京都立川市)、ザ・パーク東五反田2丁目第1(東京都品川区)の4カ所で急速充電器が(湘南と碑文谷は普通充電器も)予約して使えるようになっている。
※たまプラーザ テラス(神奈川県横浜市)にも近日設置予定。

テラスモール湘南で実際に充電

予約すると他の車は入れなくなる。

そのひとつ、テラスモール湘南をマイカーのホンダeで訪ねてみた。立体駐車場の屋上部分に設置されているのでスロープをどんどん登る。案内に従って進むと、屋上の端の方に木目調のデザインが施された急速充電器「PLUGO RAPID」(最大50kW)1基と普通充電器の「PLUGO BAR」(最大4kW)2基が並んでいた。お隣はテスラのスーパーチャージャー湘南で、専用の充電スタンド(最大130kW)が2基。テスラユーザーのみなさんにはもともとお馴染みの場所かもしれない。

普通の充電器と予約できる充電器の違いは、充電用スペースの真ん中に設置された黄色いストッパー(可動式の車止め)。空いていたけれど、せっかくなのでスマホで専用アプリ「My プラゴ」を呼び出し、予約を試してみる。このアプリ一つで、予約からキャッシュレス決済までできるようになっている。スタンドの選択は、地図からでもリストからでもOK。テラスモール湘南の急速充電器を選んで「予約・取り置き」をポチッとする。通信による多少のタイムラグはあるものの、待つほどのこともなく、目の前でストッパーがスッと立ち上がる。これで他の車は入れなくなった。同時に充電器の上部にも「RESERVED」という表示が点灯する。

到着したら「Myプラゴ」アプリを操作すれば入庫できる。

予約料金は不要。キープしてくれるのは1時間。今回は取材だし、作動する様子を確かめたかったので到着後に予約したが、実際に使うときは、充電を思い立った時に予約を入れるのが普通だろう。もしも自宅と「PLUGO RAPID」が1時間圏内なら、出発する前に予約もできてしまう。使用中だったり予約中だったりしたら、出かける時間をずらせばいい。使いこなせばかなり便利かもしれない。

プラゴは、自宅や職場に充電設備がないEVユーザーを対象に、公共の充電器を「マイ充電ステーション」として利用するソリューションを提案している。予約機能は、この構想を実現するために必要な技術。完全に自分専用になるわけではないが、自分の都合に合わせて使いやすくなる。もちろん、映画館やゴルフ場や遊戯施設などありとあらゆる目的地の駐車スペースに十分な数の充電設備が備えられていれば、予約機能は必要ない。ただ、EVやEV用充電インフラが普及途上の過渡期である現在は、なかなかありがたい機能だ。

利用時間が、急速充電では一般的な30分ではなく最長1時間となっているのも「PLUGO RAPID」の特徴だ。50kWで気兼ねなく1時間チャージできるというのは、大容量バッテリーを積んだEVユーザーには魅力だろう。予約できる(待機を想定しなくていい)からこそ可能になった時間設定。ホンダe(35.5kWh)のようにバッテリー容量の少ない車だと、1時間あれば電欠寸前からでもほぼ満充電になる。

手前の普通充電器2台も予約できる。

定額制のサービスもスタート

というように、なかなか便利な予約機能なのだが、このほど導入された月額制サービス「プラゴ定額」(公式サイト)は、さらに基礎充電設備をもたないEVユーザーの注目を集めそうだ。充電し放題のサブスクリプション。使い方によっては、家充電よりリーズナブルかもしれない。

急速と普通それぞれのプランがあって、急速充電し放題プランではプラゴが設置する急速充電器を月額3980円(税込)の定額で利用できる。1回の充電は1時間までだが、回数は何回でもOK。もちろん予約もできる。普通充電し放題プランは月額980円(税込)で、こちらは1回の充電が5時間まで。同じく回数は無制限。前述の4施設のほか、ららぽーと豊洲(東京都江東区)の普通充電器も対象で、好きな施設1カ所を選んで登録することで定額利用できるようになる。

プラゴは2月から料金を改定していて、急速充電は63円/分から55円/分に値下げされた。新料金では1時間(60分=3300円)で50kWh充電できたとして、1kWhあたり66円となる。同時に普通充電器「PLUGO BAR」の利用料金も15分77円から15分44円に値下げしている。機器の最大出力4kWで充電できたとして、1kWh当たり44円。車種や条件などによって充電量は変わるしロスもあるので、あくまで目安だが、急速充電で月間約60kWh以上、普通充電で約23kWh以上を同じ施設で利用するなら、定額プランの方がお得になりそうだ。

気になったのは、充電後放置のこと。「充電し放題」だからといって、自宅のようにつなぎっ放しにされたら次の人が困ってしまう。広報担当者にその点を質問してみると、一回あたりの最大充電時間(急速で1時間、普通で5時間)を過ぎると、通常料金が別料金として課金されるシステムなのだという。ちなみに満充電になって通電していなくても、充電コードがつながっている限り時間制で課金される(一度コードを外してからのお代わり充電は可能)。また予約取り置きは無料だが、そのまま使わなかった場合はキャンセル代がかかるそうだ。うっかり放置や予約忘れにはご注意を。

天気が良すぎて写真では見にくいけれど「RESERVED」も点灯中。

自宅で充電できる環境があれば一番なのは間違いないが、都心部の集合住宅住まいでEVへの乗り換えを諦めていた人には朗報では。実は私の自宅マンションにも昨秋から共用の充電器がついたのだが、プラゴが普通充電器を設置しているららぽーと豊洲が車で10分ほどの距離。三井ショッピングパークのアプリで駐車料金は平日3時間まで無料の特典がある。月額980円というのはかなり魅力的だ。一度試してみようかと思い始めている。

取材・文/篠原 知存

この記事のコメント(新着順)4件

  1. 欧州のように、システムを1つに統一して欲しい。充電器毎にサービスが異なり、いくつものカードが必要だったり、トヨタフォレットに至っては最悪である。複数の充電サービスの乱立は普及を阻害します。出来ればテスラのシステムのようにカードが要らないように、少なくともクレジットカードのみで、事前登録や月額会費など不要で充電電気料に比例して課金すべきです。充電後放置の逆課金も。ガソリン給油機のように現金にも対応すべきです。そのためにはGSに充電器を設置するのが1番かと思います。給油より時間がかかるので物販などもやりやすいでしょう。国が本気にならないのでどうしようもないです。どんどん空気が奇麗になる欧米が羨ましい。東京に1日いると鼻の穴が真っ黒になります。

  2. 「EVやEV充電の利用に関するアンケート調査結果/充電インフラ拡充が必須の課題」のブログでわかるように、EVユーザーの約75%は自宅充電のある戸建て住居者です。彼らは、長距離走行や緊急時以外は外部充電を必要としていません。いくら外部充電を拡充させてもリピーターにはならないと思います。
    そこで集合住宅にEV充電器を普及させてEVユーザーを増やす必要がありますが、いろんな壁があって設置が難しい。住居近くにEV充電器があればいいのですが、そうなっても充電料金が高いと利用者は増えないでしょう。
    そこで、電力の調達コストを下げて充電料金を電力系統以下に安くすることが必要です。そうすれば、戸建て住居者を含めて外部充電の利用者は増え、EVユーザーも急激に増加すると思います。
    大容量バッテリのEVに対しては、テスラのように車メーカーが高速充電器を普及させればいいと思います。ただ、通勤や買物に使うEVは1日の走行距離が100km程度で十分です。そのようなEVはバッテリ交換にして自宅のコンセントで充電できるようにすればいい。そうすれば集合住宅の充電器問題もなくなります。大容量バッテリのEVは車体価格が高く、EV普及のネックになっています。それを解消するバッテリの小さい安いEVを開発できるかが、EV普及の鍵だと思います。

    1. 最後のバッテリ交換のくだりですが。
      大容量のポータブルバッテリ1kWhの重さご存知ですか?
      12kgはありますよ。
      1kWhでEVは何キロ走れます?

      お考えはわかりますが、バイクではありませんから現状無理だと思っています。

    2. 台湾の電動バイクで使用されているGogoroの交換式リチウムイオンバッテリーの容量は1.7kWh。重量は1個9kgです。航続距離100kmのバッテリ容量を10kWhと想定していますが、このバッテリを仮に使用すれば約5.9個分約53kgになります。ただ、1個のバッテリ容量を増やして個数を減らせば、もう少し重量を減らすことは可能でしょう。また、同社は1個のバッテリ容量2.5kWhをめざすと言っているので、実現すればバッテリ4個分36kgになります。バッテリの重量エネルギー密度はまだまだ向上の余地があるし、パッケージングも進化すると思うので、10kWhで20kg台は可能ではないかと思います。
      もちろん、それでも抱えて運ぶのは大変です。そのため専用の台車を開発すればいい。また、搭載バッテリを2個にすれば常に2個運搬する必要はありません。
      さらに言えば、車の屋根に太陽光パネルを載せて、2個のバッテリを切り替えて走行中も充電できるようにすればいいと思います。そうすれば電費が向上して、さらに少ないバッテリ容量でもいいかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

執筆した記事