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BYD『シーライオン7』北海道遠征記【後編】普通充電だけの旅で実感した「道東3泊4日」の実用性をレポート

BYD『シーライオン7』北海道遠征記【後編】普通充電だけの旅で実感した「道東3泊4日」の実用性をレポート

1月末から2月上旬にかけてBYD『SEALION 7(シーライオン7)AWD』で、厳寒環境でのEV性能や北海道の充電インフラを調査してきました。後編では、あえて急速充電を使わず普通充電だけで道東エリアを中心に3泊4日で周遊した実感などをレポートします。

目次

観光時間を最大化するために宿泊時の普通充電のみ使用

毎年恒例となっている北海道遠征。北海道を周遊しながらEVの極寒性能や充電インフラの普及動向などをレポートしてきました。実際に多くのEVユーザーが北海道をドライブする場合、数日かけていくつかの行きたい場所を巡って観光するケースが一般的だと思います。よって今回は、北海道の主要な観光地を3泊4日で巡りながら、あえて急速充電を使わずに、宿泊施設に設置されている普通充電器のみを使用しての走破を試みました。

なぜ、宿泊先での普通充電だけにこだわるのか。観光目的の周遊ドライブでは、観光地で楽しむ時間を最大化することが大切であり、どんなに急速充電性能が高かったとしても、充電のために貴重な観光時間を潰すことになります。それに対して普通充電であれば、ドライバーが宿泊施設で過ごしている(寝ている)間に充電することができるため、観光時間を最大化することができます。

今回の走行ルート(Googleマップ)

今回の走行ルートです。札幌を出発して、旭川、網走、知床、中標津、釧路と、道東エリアを中心に観光することにしました。

【車両情報】
●BYDシーライオン7 AWD
●車両価格:572万円(令和七年度補正CEV補助金額:15万円)
●バッテリー容量:82.56kWh
●日本WLTC航続距離:540km
●EVネイティブ航続距離測定結果(100km/h巡航):336km(外気温平均マイナス2.5℃)
●装着タイヤサイズ:245/45R20
●装着タイヤ銘柄:Nokian Hakkapeliitta R5
●タイヤ空気圧(bar):2.9/2.9(実測値/推奨値)

【関連記事】
BYD『シーライオン7』北海道遠征記【前編】さいたま市→北海道陸別町の充電や電費をレポート(2026年4月14日)
https://blog.evsmart.net/test-drive-reports/byd-sealion7-hokkaido-road-trip-charging-report-part1/

近くの宿の充電器を使って遭遇した過酷な事態

まず1日目は彼女と札幌で合流して旭川を目指しました。札幌市街から道央自動車道を使用。岩見沢付近までは吹雪でしたが、岩見沢以北は打って変わって雪がぴたりと止みました。よく北海道で言われることですが、札幌が降雪の時は旭川では降らず、逆に旭川が降雪の時は札幌では降らないと言われており、まさにそんなような天候でした。とはいえ前半は吹雪による積雪路面、後半は速度域が上がったことで電費は伸び悩みました。

【1日目】札幌→旭川→層雲峡
●走行距離:223km

●消費電力量:97.2%→13%
●平均電費:228Wh/km(4.38km/kWh)
●外気温(札幌→層雲峡):マイナス2℃→マイナス6℃

旭山動物園名物「ペンギンウォーク」。

ちょうど旭川市街に到着した段階でSOCは50%。昨年の北海道遠征の際に旭川付近に在住するEVオーナーにインタビューした際、旭川=札幌を充電なしで往復できるかが、EV購入をお勧めできる一つの判断指標であることが分かりましたが、その意味でいくと、真冬のシーライオン7はあと一歩航続距離が足りない印象です。実はシーライオン7は欧州仕様で91.3kWhバッテリー搭載の上級グレードが設定されており、その上級グレードであればギリギリ札幌=旭川間往復を真冬の積雪路面でも達成できそうです。

旭川市街や旭山動物園を観光した後は宿泊先である層雲峡へ。標高が上がるため電費が悪化しましたが、目的地充電があるのでSOC10%台で到着しても問題ありません。

ひとつ誤算だったのが、我々が宿泊したホテルから、目当ての目的地充電器が設置されたホテルの駐車場まで思ったより離れていた点です。ここはホテル宿泊者以外の一般向けにも開放されているのですが、丘の上のような立地なので、正直、ホテル宿泊者以外の利用はオススメできません。当日は強風による吹雪の中、車両を充電器に接続して数百メートルも歩く羽目になりました。完全に下調べ不足です。

雪に埋もれた充電器を掘り出すのが大変でした。

さらに困ったのが、充電器が除雪された雪に埋もれてしまっていた点です。ホテルの従業員にも手伝ってもらって充電器を掘り出したのですが、おそらく積雪シーズン序盤から充電器が設置されている壁側に除雪してしまっており、スコップが入らないレベルにまで雪が固まっていて苦労しました。いずれにしても充電器を設置する場合、特に積雪地域はあらかじめホテル側と、除雪した際に充電器の利用に影響を与えないように配慮するなど取り決めておくことが重要だと感じました。

層雲峡で冬のシーズンに開催されている「氷瀑まつり」。毎日花火も打ち上げられるため、体感温度は風もありマイナス20℃級なのですが観光客で賑わっていました。

充電のことはまったく気にせず2日目を走破

二日目はいよいよ旅のメインステージである「道東」に向けて本格的に移動します。車両側は目的地充電のおかげで100%充電スタート。もし昨日目的地充電器を使用できていないと、近隣の急速充電器でSOC13%から充電して旅行を再開する必要があり、その後の旅程が確実に狂うことになります。目的地充電を使用することの快適さとともに、確実に充電できるという安心感の醸成がEV普及において極めて大切であると実感できます。

【2日目】層雲峡→網走→斜里
●走行距離:214.3km

●消費電力量:100%→41%

●平均電費:205Wh/km(4.87km/kWh)
●外気温(層雲峡→斜里):マイナス6℃→マイナス5℃

網走監獄。

本日の目的は流氷を見にいくことです。この時期はまだ流氷が接岸し始めて間もないので、時間帯などによっては流氷が見られない場合があり、定期的に流氷の接岸状況をチェックしておく必要があります。この日は午後の便だと見ることができそうだったので、先に網走監獄を観光することにしました。

バッテリー残量は網走監獄到着時点でSOC 64.5%であり、札幌から途中一泊の目的地充電を挟めば、余裕を持ってオホーツク海側の網走まで辿り着くことができることが確認できました。

「網走流氷観光砕氷船おーろら」船上からの風景。

無事に流氷観光を終えてからは、網走で焼肉を食べて本日の宿泊先である斜里に移動します。網走〜斜里間はオホーツク海からの冷たい風が入り込むため路面がブラックアイスバーンになっていることが多く、とくに夜間走行する際は注意が必要です。
斜里で宿泊先のホテルには6kW目的地充電器が2基設置されているため、ある程度安心して充電器を使用することができました。ホテルによってはあらかじめ充電器の利用を予約できる場合もあるので、不安な方はあらかじめホテルに連絡を取っておくのがいいでしょう。

結局「知床の玄関口」である斜里にはSOC41%を残して到着しており、大容量バッテリーを搭載するシーライオン7の余裕を感じます。もちろん斜里まで急速充電は一切使用していませんし、充電残量が気になって、念のために経路途中の急速充電スポットを調べておくなんてことすらしていません。

貴重な「流氷ウォーク」を体験

3日目も流氷を楽しみます。この日はさらに足を伸ばして知床半島中西部のウトロで流氷ウォーク体験を行いました。

【3日目】斜里→ウトロ→中標津
●走行距離:148.6km

●消費電力量:100%→46%

●平均電費:289Wh/km(3.45km/kWh)
●外気温(斜里→中標津):マイナス6℃→マイナス5℃

この日はウトロに流氷がしっかりと接岸しており、実際に流氷の上に乗ることができました。実はこの数日後からは流氷がウトロから離れてしまい、2月末までまともに流氷ウォーク体験は開催できなかったそうです。そもそもこのような、流氷が接岸するケース自体世界的にも稀であり、観光客が流氷に乗れるようなアクティビティはさらに珍しく、世界中の観光客が真冬の道東を旅行する理由も頷けます。近年は地球温暖化の影響もあって流氷量自体も減少の一途を辿っており、もしかしたら近い将来、流氷が道東地域に接岸することもなくなってしまうのかもしれません。まさにタイミング的にも貴重な体験となりました。

斜里「天に続く道」。ウトロに向かう際に立ち寄りました。地平線まで一本道が続いています。

「FARM VILLA taku」では200Vコンセントで充電

ウトロで流氷ウォーク体験を行った後は、本日の宿泊先である中標津へ向かいます。今年は取材ではなく完全プライベートで、昨年もお世話になった竹下ファームさんの運営する「FARM VILLA taku」へ。ここは電気自動車を複数台運用しており、テスラ Powerwallに貯めた電気を夜間使用することで我々が泊まった宿泊施設は完全オフグリッドで運用。緊急時のために日産サクラも「走る蓄電池」としてスタンバイしてあります。

ちなみにシーライオン7も800Vシステムを採用するCHAdeMO規格採用EVとしては初めてV2Hに対応しています。

【関連記事】
BYD『シール』北海道遠征記【第三弾】北海道のEVユーザーに聞くリアル~良いところはたくさんあるけれど……(2025年3月11日)

竹下ファームにはSOC46%で到着。3kWコンセント経由で充電させてもらえるので、EV充電の心配をせずに最終日を迎えることができそうです。

真冬の道東を急速充電なしで快適トラベル

ついに道東旅行も最終日を迎えました。竹下ファームさんのおかげで本日も100%充電スタートです。本日は摩周湖を観光しつつ、彼女を釧路空港へ送り届けます。

【四日目】中標津→摩周湖→釧路
●走行距離:172.8km

●消費電力量:100%→48%

●平均電費:217Wh/km(4.61km/kWh)
●外気温(中標津→釧路):マイナス6℃→マイナス3℃

釧路市街では地元の有名な「なごやか亭」で北海道の新鮮な寿司を堪能し、釧路空港に到着。札幌を出発してから3泊4日、総走行距離は750kmを超えました。シーライオン7には任意のトリップメーターなどが無いので、3泊4日の全行程における平均電費は正確に測定できませんでしたが、消費電力量から推測するに、概ね231.5Wh/km(4.32km/kWh)程度と計算できます。これは途中車内で暖房を使用して休憩する際の消費電力量も含まれているため、実際の走行だけに使用した電力量だけで計算すると、もう少し電費は良くなると思います。

【走行結果総括】道東周遊3泊4日旅行
●走行距離:758.7km

●普通充電回数:3回
●急速充電回数:0回

何と言っても最大のポイントは、真冬の北海道で寒さの厳しい道東750km以上を3泊4日かけて周遊しても、急速充電器を一切使用せずに走り切ることができたという点でしょう。電気自動車を運用する際に必ずセットで議論されるのが急速充電インフラの話ですが、実は通常の旅行などの用途を考えると、宿泊先に普通充電器が設置されていれば、急速充電器を使用する割合を大きく減らせることがわかります。

私自身、EV性能の検証を行っている立場もあり、さまざまなEVの急速充電性能を確かめる意味でも、かなりの回数急速充電を行うわけですが、プライベートではあまり使用しません。なぜなら自宅に充電器を設置できると、現在の日本で発売されている大容量バッテリー搭載EVであれば、急速充電を使用せずにかなりの走行距離をカバーできてしまうからです。今回の旅ではEVの電費が落ちる超極寒環境下においても、急速充電のことを何も考えずにEVを運用できることが実感できました。

もちろん、初日に経験した普通充電スポットに除雪の雪が捨てられていた点などは改善するべきであり、今後充電プロバイダー側が設置施設の担当者に周知徹底したり、場合によっては充電器設置の補助金の申請に際して、充電器の稼働状況や使い勝手が継続的に問題ないことを、一つの補助金の支給要件にするなどの対策が必要になるのかもしれません。

そしてそれ以上に、やはり今回旅を共にしたシーライオン7の完成度に助けられたことは間違いないでしょう。氷点下をはるかに下回る真冬の北海道においても、満充電あたりの航続距離は300kmを大きく超えており、緻密なバッテリー温度管理機構が搭載されているため、低温環境下に弱いとされるLFPバッテリーであるにも関わらず、電池の減りが早くなるとか、回生ブレーキが効きにくくなるといった問題は一切ありませんでした。

というよりも、前後にモーターを搭載したAWDと緻密な電子制御によって、アイスバーンにおいても安定した走行を実現。マイナス30℃まで対応する高性能ヒートポンプシステムによって、極寒環境下でも瞬時に車内を温めてくれる暖房性能など、シーライオン7の冬場における性能の高さが証明されたと思います。

北海道で誰でもEVを購入できる時代が来た、とまでは言うつもりはありません。しかし、北海道でEVが欲しいという方は、2026年は「北海道のEV元年」として、真剣にEVを購入できるようになりつつあることをお伝えしたいと思います。北海道と言わず、寒さが厳しくなる東北地方などを含めて、2026年が「EV購入オススメ元年」として、日本でもさらにEVが普及していくことに期待したいと実感する道東旅行となりました。

取材・文/高橋 優(EVネイティブ※YouTubeチャンネル

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この記事を書いた人

免許を取得してから初めて運転&所有したクルマが電気自動車のEVネイティブ。

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