ヒョンデ「モバイルサービスカー」の実車をチェック/愛称は「Hyundai Qちゃん」

ヒョンデのアフターサービス専用車両である「モバイルサービスカー」が4月18日から稼働開始と発表されました。通称は「Hyundai Qちゃん」と愛嬌満点。はたして、どんな装備を搭載しているのか。拠点であるCXC横浜で確認してしてきました。

ヒョンデ「モバイルサービスカー」の実車をチェック/愛称は「Hyundai Qちゃん」

出張整備サービス&アフターサービス強化のシンボル

当然ですが積載された新品の工具はピカピカでした。

Hyundai Mobility Japan(以下、ヒョンデ) が、出張整備サービス強化を目指し、整備用ツールなどを満載した専用車両として「モバイルサービスカー」を用意して、2023年4月18日から稼働開始することを発表しました。愛称は「Hyundai Qちゃん」とキュートで、プレス発表では IONIQ 5のデザインの特徴でもある「パラメトリックピクセル」をモチーフにしたキャラクターも紹介されています。

ヒョンデでは、2022年5月のIONIQ 5 発売当初からモバイルサービスカー導入の計画を示していました。日本では一般的なディーラー網を構築しない販売手法を展開していることから、購入後の整備やアフターサービスへの不安が購入決断の障壁になることは当初から想定されていたことです。ヒョンデはそうした不安を払拭するため、全国各地に協力整備工場のネットワークを拡大するなどしています。モバイルサービスカーは「ディーラーはなくても不安はない」というヒョンデのアフターサービスのシンボルともいえるでしょう。

導入されたモバイルサービスカーは、まずは1台のみ。神奈川県横浜市内にあるHyundai Customer Experience Center 横浜(以下、CXC横浜)が拠点となります。今後、2023年内に数台が加わる計画ではあるということですが、詳細は未定です。

もちろん、IONIQ 5 と NEXO、ヒョンデの乗用車の整備をこのモバイルサービスカーだけで担うわけではありません。オーナーからの問い合わせを受けて、想定される整備内容や距離、近隣の協力整備工場へのアクセスを考慮しながら、モバイルサービスカーによる出張が適切という場合に、オーナー指定の場所まで出かけていくサービスです。

保証の範囲内であれば出張費は無料。分解作業などが必要な修理については最寄りの拠点に入庫しての整備が必要にはなりますが、軽度な不具合整備であれば、オーナーは時間やお金を節約しつつ、いながらにしてスムーズな修理を受けられることになります。

V2L機能を活用したコーヒーサービスも提供

冷蔵庫も装備!

CXC横浜で実物を拝見した「Hyundai Qちゃん」には、まだピカピカの工具が満載されていました。折りたたみ式に工夫された作業台(というか天板)やツールボックスも使いやすそうな感じです。

さらに、IONIQ 5 ならではのV2L機能(アクセサリーのコンセントからAC100Vを取り出せる)を活用して、修理の待ち時間などにはエスプレッソマシンによるコーヒーサービスを提供できるようになっています。また、リアシートを取り外した空間には小型の冷蔵庫も装備されていて、冷たいドリンクサービスもOKです。

そのほかにも、リアハッチに作業台用の照明や、停車中の安全を確保するためのハザードランプなどが追加されていました。

リアハッチの追加照明とハザードランプ。

後部ドアを開けたところには、カスタマーに整備内容などを説明する際にしようする想定というPC用のディスプレイを備えています。イベント時にはプロモーション動画などを流すこともできますね。

知人のIONIQ 5 オーナーがSNSでモバイルサービスカー稼働開始について「コーヒーサービスを体験したいけど、不具合はイヤだしな」みたいな悩ましさを投稿していましたが、この「Hyundai Qちゃん」は、実際に不具合が起こった時の出張サービスだけでなく、EV関連のイベント時などに登場して、来場者へのコーヒーサービスなんて活躍シーンもあるのではないかと思われます。それなら、不具合なくても「Hyundai Qちゃん」のコーヒーを楽しめます。

モバイルサービスという新しい「安心」のカタチ

お話しを聞かせていただいたヒョンデモビリティジャパン アフターサービスチームの下田剣さん(左)と、工藤康二さん(右)。

前述のようにヒョンデでは、オーナーの安心を確保するためのサポート態勢を強化しています。2023年4月現在、CXC横浜をハブとして全国各地の36拠点、41カ所の協力整備工場と連携しているほか、走行中の急な不具合やバッテリー切れ(電欠)に対応する「ロードサイドアシスタンス(RSA)」や、モバイルサービスカーを含めて全国への出張整備を行う「モバイルサービス」を実施しています。

「Hyundai Qちゃん」が出動するにはあまりに遠隔地である場合など、必要な部品などをあらかじめ送った上で、エンジニアが公共交通機関を利用して駆け付けるようなケースも想定しているとのこと。

そもそも、エンジン車に比べて部品交換の頻度が低く故障が少ないのは電気自動車の特長でもあり、モバイルサービスの拡充はEVを中心としたZEVに絞って日本再進出を果たしたヒョンデならではの新たな魅力になるのかも知れません。

今、ヒョンデのEVは IONIQ 5 だけですが、年内には KONA Electric も導入されるはず。よりコンパクトで買いやすい車種が増え、ヒョンデが目指す「ZEVのあるカーライフ」が広がっていくことに期待です。

取材・文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)1件

  1. いつも好奇心と向上心満々で楽しく拝読させていただいています。

    そこで、一ついつも疑問に思っていることについて質問です。私は、いつも「電動車」という用語の定義が理解できません。

    これは、「ハイブリッド」にもいえることですが、私には実に曖昧な定義に思えてなりません。

    ガソリンもガソリンエンジンも使わないのがそうなのか、マイルドハイブリッドからがそうなのか、どこまでが電動車と定義されるのか是非ともお教えください。

    ちなみに、現在私は、生活の手段(文明の利器)としての「RAV4PHVtypeG」と、生活の目的(楽しみ)として29年間RX−7typeRZに乗っていますが、もう最高に幸せです。

    時代が、EVの世界になっても、この幸せはつづくのでしょうか?!。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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