テスラは頻繁に進化する〜『モデル3』の欧州2021年モデルはバッテリーを82kWhに増量

アメリカメディアの『TESMANIAN』が、テスラ『モデル3』の2021年モデルはバッテリーが82kWhに増量している可能性が高いと報じています。臨機応変で着実な進化は、テスラと既存メーカーとの大きな違いのひとつです。

テスラは頻繁に進化する〜『モデル3』の欧州2021年モデルはバッテリーを82kWhに増量

まずは、元記事の翻訳をご紹介します。

バッテリーがアップグレードされて航続距離も延長

【元記事】
Tesla 2021 Model 3 Gets Upgraded 82 kWh Battery Pack, Extending Range by Eva Fox on 『TESMANIAN

テスラが新しくなったモデル3をローンチしました。多くの改良点の中には、航続距離の5~10%の増加が含まれています。裏で何が起こっていたのか、これで明確になりました。 Tff-forum.deのユーザーであるHolgerS氏が、現在ヨーロッパに向かっているモデル3ロングレンジとパフォーマンスモデルには、82kWhの新しいバッテリーが積まれている可能性が高いという情報を得ました。

テスラは車両が現地に届く前に書類を送付し、ヨーロッパの購入者が前もって登録を済ませてスムーズに受け取れるようにしています。11月末か12月に納車予定のドイツのオーナー達が登録番号を事前に持っているのはこれが理由です。

すでに出された書類によると、2021年版モデル3のバッテリー容量は82kWhです。2019年及び2020年モデルの容量は79kWhで、エネルギー密度が5%増加しました。

2021年版のテスラ車両は、2020年7月にテスラが言及していたパナソニックの新しいバッテリーセルを使っており、エネルギー密度が5%程上昇しています。

テスラは2017年にニッケル酸リチウム(NCA)正極を使った『2170』バッテリーをモデル3に導入しました。専門家によると、これらのセルは元々非常に高いエネルギー密度(700Wh/ℓ以上)を持っています。パナソニックは3年前にバッテリーをローンチした時から継続してテクノロジー開発に取り組んでおり、エネルギー密度の5%の増加と、最大5%のコバルトの削減をしたと、アメリカのパナソニックEVバッテリーチーフである高本泰明氏は話しました。社は5年以内にテスラ用バッテリーのエネルギー密度を20%向上させる計画で、さらにコバルトを取り除いたバージョンを2,3年以内に商品化したいとしています。

2021年のモデル3は高本氏が話していた通りのバッテリーを使っているように見えます。テスラは常に商品を改善するよう努力しており、それによって社の車も定期的にアップデートされ、パフォーマンスが向上していくのです。

※翻訳記事ここまで(翻訳/杉田 明子)

バッテリーがアップグレードされて航続距離も延長

パナソニックのイノベーションを採り入れて、バッテリー容量が5%アップする。でも、これはいわゆるモデルチェンジやマイナーチェンジではありません。すでに購入の予約をしている人に、そのままの価格で性能が向上した1台をデリバリーするのです。

テスラ車のソフトウェアがオンラインでアップデートすることはよく知られていますが、ハードウェアの面でも臨機応変に最新のイノベーションを採用して進化を続けていくのが、既存メーカーと比べたテスラの「強み」となっています。

2017年のことになりますが、バージョンが古くなった自動運転ハードウェアを装着したユーザーから「改修用のライン(ハードウェアの改修には車両を解体して多くのパーツを入れ替える必要がある)を設置してくれないか」というTweetに対して、イーロン・マスク氏は「テスラは12〜18カ月ごとに進化する。改修ラインを求めるなら、買う車を間違えている」と明確なメッセージを送ったことがありました。

テスラはイノベーションを加速することを最優先していて、既存の車両を改造するラインを設けるのは進化の速度を妨げる。テスラユーザーはそのことを理解するべき、ということです。ソフトウェアやハードウェアの変更ばかりでなく、車両価格の値下げ、自動運転オプションの値上げなどの価格変更も、予告なく臨機応変に行われることがテスラの特徴になっています。

電気自動車は高価な買い物。まるでスマートフォンのように1年で型落ちモデルとなってしまうのは辛いところではありますが、多くのユーザーが、ちょっと苦笑いしながらも(私がリアルにお会いした方々の場合、です)テスラのスタンスを理解しています。その苦笑いの表情は、イタリアの旧車好きな人が「またタイミングベルト切れちゃってさ」と愚痴をこぼしている様子にも似て、少し誇らしげだったりします。レストランで「口うるさいお客様」の要望に応えるよりも、より美味しい料理をより多くのお客様へ提供することに、テスラは全力で挑んでいるのです。

加速するテスラのイノベーションに既存自動車メーカーが追いつき追い越すことは、ますます困難な仕事になっているようです。

(文/寄本 好則)

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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