輸入電動車試乗会でBMW『i4』を体感〜駆け抜ける歓びがEVでさらに昇華

11月25日に開催されたJAIA(日本自動車輸入組合)のメディア向け輸入電動車試乗会。EVsmartブログからも複数のライターが参加していろんなEV&PHEVに試乗しました。今回は、BMW『i4』のインプレッションをお届けします。

輸入電動車試乗会でBMW『i4』を体感〜駆け抜ける歓びがEVでさらに昇華

コストパフォーマンスの高い高級クーペ

EVの車両価格は「数年のうちにエンジン車と同等になる」と言われるようになって久しいですが、現実には需要の増大によるリチウム価格の下げ止まりなどの影響もあって、 なかなか「エンジン車より安い!」と実感できるようなEVは登場してきません。

ちなみに、今月7日には、ブルームバーグ エル・ピーが、ブルームバーグNEF(BNEF)が2010年に市場調査を開始して以来、リチウムイオン電池パックの加重平均価格が初めて上昇したことを報じています。

2013年-2022年リチウムイオン電池パックとセルの加重平均価格

出典:ブルームバーグNEF。すべての値は2022年の実質ドル表示。加重平均調査値には、乗用車、バス、商業用自動車、定置型エネルギー貯蔵の178のデータポイントが含まれる。

それはさておき。今回試乗したBMW i4が日本で発売されたのは、2022年2月のことでした。日本発売を報じる記事のタイトルでも「価格はエンジン車と大差なし」というポイントに注目したように、エンジン車である「4シリーズ」と「大差なし」と言える価格で日本にも導入されたのです。

この記事筆者の木野さんは、BMWによるプレミアム・ミドルクラスクーペであるエンジン車の「4シリーズ」と比較して、ベースモデルは電気のi4より100万円程度安いものの、高性能モデルである『M440i xDrive グラン クーペ』と『i4 M50』はほぼ同額であることに注目したのでした。

その後、大幅な価格改定などの情報は聞いてないですが。念のため、今日時点のBMW公式サイトの情報を一覧に整理しておきます。

動力モデル価格
(税込)
バッテリー
総電力量
最高出力
最大トルク
0-100km/h
加速性能
EVNew i4 eDrive40
M Sport
7,910,000円83.9kWh250kW
430Nm
5.7秒
New i4
M50
10,810,000円83.9kWh400kW
430Nm
3.9秒
ICE420i クーぺ
M Sport
6,670,000円---135kW
300Nm
---
M440i xDrive
クーぺ
10,600,000円---285kW
500Nm
---
420i
グラン クーペ
M Sport
6,740,000円---135kW
300Nm
---
M440i xDrive
グラン クーペ
10,600,000円---285kW
500Nm
---

今回、私が試乗したのは791万円の『i4 eDrive40 M Sport』です。ICEのベースモデルといえる『420i クーぺ M Sport』は667万円なので、i4のほうが124万円高いですが、i4の最高出力はICEで1000万円超えのMモデル並み。エンジンモデルの4シリーズ、ベースモデルとMモデルの中間に位置するのが、EVのベースモデルと考えると、全体として「エンジン車並みの価格」を実現したのが「i4」であると評することができます。

BMWが好きで、4シリーズの購入を検討している方であれば、エンジンモデルと普通に比較する対象として、電気自動車の i4 が並んでいるイメージとなるでしょう(私には高価過ぎるクルマなので想像ですけど)。

高速道路でロングドライブに出かけてみたい!

東京都港区、芝公園に近い東京プリンスホテルを会場に開催されたJAIA試乗会、1台の試乗時間は30分に限定されていたので、実際にハンドルを握ったのはわずかな時間、芝公園や増上寺の周囲をぐるりと一周しただけでした。

それでも、「駆け抜ける歓び」をキャッチフレーズとするBMWらしい、走ることの楽しさを感じさせてくれるスポーティセダンであることが実感できました。

駆動用バッテリーは83.9kWhの大容量で、一充電航続可能距離は日本のWLTCモードで604km。より実用に近いアメリカのEPA値でも約484km(18インチホイール装着車。今回の試乗車のタイヤサイズを確認してませんでした。ちなみに19インチホイール装着車のEPA値は約454km)で、チャデモ規格での急速充電も最大150kW対応なので、高速道路を使った遠出のドライブでも、とくに困ったり不安を感じることなく、爽やかな電気ドライブが楽しめるはずです。

エンジンモデルのBMW車の走りが気持ちいいことは知ってます。でも、芝公園一周の試乗でさえも、エンジン音なんていう余計なものがなく、静かなままに力強い加速性能をもつ電気のBMW「4」は、さらに気持ちいい走りを楽しませてくれます。

今まで、なかなか試乗するチャンスを作れずにいましたが。近いうちに、i4での長距離試乗レポートも行ってみたいと思います。EVとなってさらに昇華した「駆け抜ける歓び」を存分に満喫できるであろうことを期待しています。

BMWの電気自動車という世界を着々と構築

操作系やメーター表示など、EVとしてのインターフェースについては、エンジン車モデルとも共通する使い勝手を維持しながら、BMW初の市販EVだった『i3』で培ったノウハウが進化して踏襲されている印象でした。具体的には、SOCの%表示や航続可能距離はわかりやすく明示されていて、充電などEV特有の設定も直感的に使いこなせる印象でした。

回生ブレーキの強さはセンター液晶画面で設定。状況に応じて最適な回生強度をコントロールしてくれる「アダプティブ」が便利。

それまでのエンジン車と一線を画し、電気自動車として個性的だった i3 が販売的に成功とは言えない結果に終わったこともあり、iXやiX3といったSUVを含め、BMWの電気自動車開発はいわゆる「エンジン車と違和感がない」方向にシフトしました。あくまでも「EVらしさ」を好む私としては、たとえば、「もっと回生ブレーキを意のままにコントロールしたい」といったEVとしての物足りなさを感じる点はあるものの。

あくまでも「BMWらしい電気自動車」という世界を構築し、次々に新型モデルを揃えつつあるBMWの姿勢を讃え、応援したいと感じる試乗体験になったのでした。

取材・文/寄本 好則

【シリーズ記事/JAIA輸入電動車試乗会レポート】
輸入EV試乗会で『CITROËN Ë-C4 ELECTRIC』に感じた「エンジン車の因習」(2022年12月4日)
もうすぐ発売! BYD『ATTO3』試乗レポート〜アフターでいいからフランクが欲しい!(2022年12月1日)
クロスオーバーと近場の足の1台2役『RANGE ROVER EVOQUE PHEV P300e』(2022年11月28日)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. BMWにとってテスラ車が与えた衝撃は大きかったと思います。欧州メーカーが得意としていた高級スポーツカーの領域で、テスラ車は瞬く間に市場を席巻してしまいました。高級車領域では、恐らくガソリン車はこれからもEVに太刀打ち出来ないと思います。欧州自動車メーカーが大きくEVにシフトした理由の一つに、テスラ車への危機意識もあると思います。i4は打倒テスラモデル3を伺った、BMWの対抗馬なのではないでしょうか?

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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