EV世界大戦で負けないために〜トヨタにお願いしたい2つのこと

2022年が始まりました。世界の電気自動車シフトはいよいよ本格化して、EV戦国時代、EV世界大戦時代が始まったと思える状況です。昨年末、トヨタも『バッテリーEV戦略に関する説明会』を開催しましたが、EVsmartブログ編集長として気になる点がありました。年初にあたり、世界のトヨタへのお願いです。

EV世界大戦で負けないために〜トヨタにお願いしたい2つのこと

日本から、もっともっと魅力的なEVが登場して欲しい

あけましておめでとうございます。トヨタからbZシリーズが、スバルからソルテラが登場し、日産&三菱から新型軽EVが発売されるはずの2022年が始まりました。欧米中の主要な自動車メーカー、そして気鋭のEVスタートアップからも、数多くの多彩な電気自動車が登場します。モビリティの脱炭素化実現を目指し、そして、EVならではの新たなモビリティのあり方を示しつつ、EV戦国時代が本格的に始まっていく様相です。

自動車はユーザーのライフスタイルにとっても、国の経済にとっても、すごく重要なプロダクトであり産業です。ことに、日本にとっては大問題。EV世界大戦ともいえる争いに、負けちゃったら大変なことになるんじゃないの? という危機感を抱いています。

昨年末の12月14日、EVに慎重だったトヨタが『バッテリーEV戦略に関する説明会』を開催。2030年にはグローバルで30車種350万台のバッテリーEV(BEV)を販売するという意欲的な目標を明示しました。EVsmartブログでは発表の速報記事に続き、自動車評論家・舘内端さんからの提言、そしてフリーライターである木野龍逸さんの検証記事などをお届けしてきました。

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ひとつの発表会をネタにいくつも記事を重ねるのはちょっとくどいところではありますが、やはり、日本を支える世界のトヨタの動向は、2022年を占う不可欠なファクターです。私自身、電気自動車のユーザー(日産リーフ30kWh)として、遅くとも2030年の一般的なモビリティの主役はEVになると確信しており、日本メーカーからも、もっともっとたくさんの魅力的なEVが登場して欲しいと願っています。

「150万円で航続距離150km」を基準に中古リーフを購入した庶民EVユーザーのひとりとして、今回のトヨタの説明会に対して感じた「2つのお願い」を、年のはじめに提示しておきたいと思います。

8年後に350万台売れるトヨタのEVの魅力って?

レクサスRZ BEVのドライブを楽しむ豊田章男社長とレクサスのチーフブランディングオフィサー佐藤恒治氏(トヨタ公式動画より引用)

まず、ひとつ目のお願いは「トヨタならではの魅力的で安価なEVを発売してください」ということです。

12月の説明会では、すでに価格を除く詳細が発表されているbZ4Xを含めて、16車種のEVコンセプトカーが披露されました。その後の報道などでは「トヨタはやはり準備していた」とか「後出しジャンケン必勝法」など、驚きとともに称賛する論調が目立っています。

でも、私個人の感想としてはズラリと並んだコンセプトカーを前に、トヨタがレクサスブランドで作り込んだ「秘伝のタレ」を加えた「次世代スポーツカーを開発します」と語る豊田社長のプレゼンを聞きながら、むしろ背中に寒気が走るような思いを感じていました。

EVスポーツカーのコンセプトモデル。素敵ですけど、そんなに台数は売れないのでは?

最大の理由は、bZ4X以外のコンセプトカーはデザインだけの、いわゆる「ハリボテ」で、たとえば電気自動車専用プラットフォームの展開や電池戦略などはほとんど語られなかったこと。そして「BEVをフルラインナップで用意」と説明されたEVコンセプトカーの集団が、今までのエンジン車そのままに動力を電気に置き換えたクルマにしか見えなかったことです。

まだハリボテ(仕様やスペックは未知数)なのでちゃんと評価できないところではありますが、少なくとも今までトヨタが標榜していた「自動車メーカーからモビリティカンパニーへ」というビジョンを具現化するようなメッセージは感じることはできなかったというのが正直な感想です。

トヨタのBEV戦略って、つまりはエンジン車の常識をBEVに置き換えるだけなのか。だとすると、2030年に350万台も売れるEVを世の中に送り出すことはできないんじゃない? つまり、トヨタは世界のEVシフトとともに沈没しちゃう? という「寒気」を感じたのでした。

大きなポイントは、販売台数を伸ばすためにも重要な普及版EVの具体像だと思います。たとえば、テスラは次期コンパクトハッチバックを2万5000ドル程度で数年以内に発売することを表明しています。フォルクスワーゲンは2025年までに『ID. LIFE』を2万ユーロ程度で発売することを発表しました。

中国からはバッテリー交換システムで突っ走るNIOなどが日本市場に進出することを示唆しています。現状のNIOのモデルは普及版と呼ぶには高価ですが、サブスクのバッテリー交換システムを採用することで車両本体の価格を抑え、進化した電池への交換が容易であるなど、斬新な魅力を提示しています。普及版モデルも数年後には登場してくることでしょう。BYDをはじめとする中国メーカー、さらに世界の電動化シーンではすでに日本メーカーの何歩も先を走っている韓国・現代グループのBEVが日本に進出してくることも予想されています。

私たち日本人が気になるのは日本市場ですが、トヨタの販売台数のうち約80%(2021年度1〜9月実績)は海外市場が占めています。そして、EV販売の主戦場は「世界」です。はたして、トヨタはそうした世界の普及版EVとどう戦っていくのか。

bZシリーズの次の車種となるコンパクトセダンは、中国のBYDと共同開発とされつつ、どちらかというとBYDが開発&生産したクルマを、トヨタブランドで、中国を中心に発売するといったニュアンスだったりもして。トヨタが、新たなEVで提案してくれるのはどんなライフスタイルなのか。今ひとつピンと来ないのが現状です。どんなEVであっても、トヨタのエンブレムを付けるだけで世界中で売れまくる? なら良いのですが……。

「うひょー!」という加速感や走りの楽しさ、気持ちよさはEVにとってはベーシックな魅力です。勝負の分かれ目は「価格」と、新たなモビリティとして提示されるべき「トヨタのEVならではの付加価値」だと思います。説明会ではコストダウンに対する説明もあったので「期待してます!」という思いとともに、一日も早く、そして日本国内でも、庶民が買える価格の魅力的なトヨタのBEVが発表されることを願っています。

充電インフラ拡充にも本気で取り組んで欲しい

ふたつ目のお願いは「日本国内でもチャデモ規格で最大150kW出力の急速充電ネットワークや、集合住宅の基礎充電、宿泊施設などの目的地充電インフラ拡充に、ぜひトヨタの力を発揮してください」ということです。

説明会の質疑応答では「全国の販売店に急速充電器を設置する構想は?」という質問に対して、日本で5000店ほどある(北米で1800、欧州で2900、中国で1700)販売拠点に、2025年までに他社EVユーザーを含めて敷居なく使える充電器を設置する計画であることが説明されました。

日本に関して考えると、全国のトヨタディーラーにあまねく急速充電器が設置されるのは素晴らしいことだと思います。でも、2025年までというほんの3年後に向けたプランでありながら、今ひとつ具体的な内容が語られなかったことが気になります。

たとえば、トヨタディーラーには、150kWを超える高出力の急速充電器がネットワークされていくのでしょうか。今年の夏ごろに発売されるはずのbZ4Xは、チャデモ規格で最大150kW出力に対応することが発表されています。とはいえ、現状の日本国内には150kW出力のチャデモ規格急速充電器はほとんど存在していません。さらに、イーモビリティパワーが高速道路SAPAを中心に新型急速充電器設置拡充を進めるプランを表明してはいますが、当面の最大出力は90kWです。つまり、bZ4Xを購入した日本のユーザーにとって、150kW出力対応の急速充電性能は宝の持ち腐れ状態になってしまうということです。

チャデモ規格で150kW出力の急速充電器は、今のところ千葉県のポルシェエクスペリエンスセンターに設置されている1基だけです。

さらにユーザー目線で考えると、150kWの高出力充電を本当に必要とするのはおもに高速道路を使ったロングドライブの経路充電時です。主要なSAPAに150kW出力の急速充電器が設置されていないと、bZ4Xの高出力急速充電性能は生かし切ることができません。

また、ロングドライブでも電気自動車を便利に活用するためには、いわゆる目的地充電インフラの拡充=宿泊施設など長時間滞在する場所には普通充電器が設置されていて当然という環境になることが大切です。日常的には集合住宅の駐車場や賃貸駐車場などにも、基礎充電(拠点ガレージにおける200Vの普通充電)設備があって当然という環境を構築していくことが重要です。

販売シェアを当てはめると350万台の20%となる国内販売台数は70万台。EVへの不理解やネガティブイメージが広がってしまった日本で、2030年に70万台のEVを販売するためには、自社ディーラーへの急速充電器設置だけではなく、社会全体のEV充電インフラ拡充に火急の課題として取り組んでいく必要があります。

はっきり言うと、街中での急速充電は日産と三菱が頑張っていっぱい設置してくれていますから、トヨタ5000店への急速充電器設置はそれほどありがたくもありません。高速道路SAPAに、トヨタ主導で150kWネットワークが広がるならば、絶賛します。

再生可能エネルギーの普及を含め、脱炭素モビリティとしてEVが真価を発揮して、多くのユーザーが安心して購入できる社会とするために、トヨタにはぜひリーダーシップを発揮していただきたいと願います。

550万人に何ができるのか?

お正月休み、元旦の朝から駅伝の観戦やらで久しぶりにどっぷりテレビを見ていると「550万人がチャレンジすればなんだってできる!」とアピールする日本自動車工業会のCMを何度も目にしました。

【フル版】私たちは、できる。 #クルマを走らせる550万人(YouTube)

何ごとにもダイバーシティは大切なので、EVだけが正解とは思いません。トヨタが標榜する「全方位戦略」は正しいことだと思います。でも、全方位だからこそ、EVで勝つための戦略が必須です。

「新しいことを始めれば、業界の枠を超えて新しい仲間が増えていく」自工会のCMのメッセージでは「新しいこと」が何なのか、明確には示されていません。まあ、新年ご挨拶的な業界のイメージ広告なので、それはそれで良いとして。

とはいえ、曖昧なメッセージに合わせてぴょんぴょん跳びはねている(そういう演出のCMです)だけでは、550万人が何をやればいいのか、やるべきなのかはわからないままです。EV世界大戦にどのように挑み、何が「新しいこと」なのか。業界のリーダーであるトヨタだからこそ、ぜひ明確なビジョンとメッセージを発信してくれるよう期待しています。

読者のみなさま、今年もよろしくお願いします!

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)18件

  1.  そもそもの話として、各国がそれぞれの都合を踏まえて最善とされる発電方法を講じ、その発電方法の土俵の上で、最もCO2の排出が少ない自動車を販売することが、「国ごとの最善」になると考えるのですがどうでしょうか。
     たとえば、ノルウェーのように9割超が水力発電というような国であれば、文句なしにEV一択です。
     欧州も原発や再生可能エネルギーにシフトしていますが、ちょっと寒波が来るだけでLNGの需要が高まり(再生可能エネルギーの脆弱さを見る思いです)、ウクライナ問題が欧州(特にNATO)に激震を与えているにもかかわらず、パイプラインを敷くロシアが存在感を示すというような状況です。
     またインドや中国のように、主流はまだまだ石炭発電という国では、発電行為自体がクリーンではありませんから、LCAではEVよりICEVのほうがCO2の排出量が少ないこともあります。
     他ならぬ日本も、そもそも天然資源が貧弱で、再生可能エネルギーによる発電が世界的に見ても安定的でない以上、安定的かつ安価な電力を提供することが国民に対する責務に立脚しますと、ベストミックスという手法を取らざるを得ません。
     EVはそれ単体ではCO2を排出しませんが、利用する電力の製造段階から考えますと、ライフサイクルでの総量としてはICEVやHVに劣るということも往々にしてありますので、こだわりすぎると本末転倒なことになってしまいます。
     EVは、あくまでもカーボン・ニュートラルを達成するための手段であって目的ではないということを、いま一度、認識する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

    1. polaris様、コメントありがとうございます。

      >>EVは(中略)ライフサイクルでの総量としてはICEVやHVに劣る

      ここはとても重要なポイントでして、実は火力発電75%の日本の電源構成でも、ライフサイクル排出はガソリン車やハイブリッド車を下回るのです。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-is-cleaner-mazda-lca/
      ↑マツダさんの出している論文をベースに、試算し直したもの。
      また、トヨタさんもレクサスUX300eのカタログ内で以下のように述べています。
      『UX300eは同車格のガソリン車に対して、ライフサイクルで約19%のCO2を削減、同車格のHEVに対しては約2%のCO2を削減します。』

      今後、電源の低炭素化は待ったなしで、またBEVの場合は過去に販売した車両の低炭素化が同時に進むことも考えれば、HEVが低炭素化に貢献することはもちろんですが、BEVより低炭素にはなりえないことがお分かりいただけるかと思います。

  2. 難しいですよね。

    日本に住む日本人として、日本メーカーには強い産業競争力を維持してほしいという気持ちはありますが、Model3に乗れば「ディスラプションの波が来ている」と明確に感じますよね。

    EV化もそうですが、企業としての戦略の次元が違うよな、としか言いようがない。トヨタが自社でエッジ側推論半導体を設計したり、エクサスケールの学習サーバーをチップから設計したりできるのかと言うと、到底できないですよね。

    「技術力の真っ向勝負で負けている」と公に議論できる雰囲気になればいいと思います。そうすれば「テスラのグループに加えてもらってトヨタブランドを残そうよ」という機運も出てくるかもしれない。

    EVsmartブログ様もそこまで過激な記事は出せないのかもしれませんが、そろそろ「憂い」の時期は過ぎ、負けを前提としてどう処理するのか、という時期に入っているのではないか、と一エンジニア、一テスラユーザーとしては思うところです。

    1. 初めて自分で買った新車がランクル。といいつつ、トヨタに特段の思いはないですが。テスラとの関係を切ってまでここまできたトヨタが無策だとは思いたくもなく。脱炭酸への総合力、大衆車EVの具体化で起死回生の一台を繰り出してくれるはず、と期待しています。

    2. おそらく今年、テスラがModel3より安価な車を製造するための具体的計画を出してくると思います。

      彼らの情熱は「ガソリン車を路上から減らす」事に集中していますから、全力で生産台数を増やしつつ、それを売り切る計画を出してくるでしょう。

      そのための手段はすでに揃っていると見ています。バッテリーの内製化も大規模投資ができる段階ですし、自動運転の方もFSDβ10.8を見れば、「認識・マッピング」の部分は性能十分、後は行動選択のアルゴリズムをどう作り込むか、という段階に入っていますね。

      したがって、EV&自動運転車の大衆化に最も近いのはテスラでしょう。
      ここからトヨタが盤面をひっくり返す策は、あれば良いですが…「有効な策がない」という可能性も十分あると思いますよ。

  3.  テスラが生産量をこれほど急速に拡大しても不良在庫にならないのは、コストダウンのために製造・流通・広告などあらゆるコストを削減して適正価格で出荷していることと、充電インフラも電気自動車の性能の1つと考えて充電インフラに投資を続けている為と思います。

     テスラスーパーチャージャーとそれを利用するテスラ車の制御は素晴らしく、複数台設置と超高速充電で待ち時間を減らし、30分制限が無いため充電回数を減らすことが出来(それでも30分前後で充電が終了する事が多いです)、認証は車に紐付けられているクレジットカードから自動で引き落としなのでケーブルを刺して抜くのみと時短に貢献し、冬季でも経路充電に使うスーパーチャージャーに到着するまでにバッテリーを暖めるため充電性能が落ちにくい等本当に深く考えられています。

     他社の良いところを取り入れた、経路充電を本気で考えた車の生産とと充電網の構築を国産メーカーには望みたいですね。

  4. 充電スピードは車種によってさまざまです。PHVやPHEVが遅いのは確かですが、それを言い出すと初期型EVはどうなのかという話になります。また、現在普及している50KWに対応したEVも90KWの充電器を利用した場合、PHEVと同じ立場になってしまいます。急速充電に対応したPHVやPHEVは台数が少ないと思うので、無視していいのではないでしょうか。
    電力量の課金はデメリットよりもメリットのほうが多いと思います。無駄に充電しても料金が高くなるので、おそらくユーザーは必要なぶんだけ充電するようになると思います。これは、充電時間の短縮につながります。充電待ち時間も短くなるでしょう。充電器を設置する側から言えば、高出力対応のEVであれば短時間で高い収益を得られるので高出力充電器への更新が進みます。
    また各社の複雑な充電料金プランもなくなるかもしれません。kWhあたりいくらという設定のほうが、ユーザーにとってもわかりやすくでいいですね。各社の比較もしやすくなります。充電課金はシンプルなのが理想です。
    そうは言ってもしばらくは時間単位の充電器と電力量単位の充電器の併存が続くでしょう。その場合、各社が電力量課金をいくらにするかが興味深いですね。もしかしたら50KWの充電器に50KW対応のEVが充電した場合の電力量が基本になるかも。そうなった場合、充電量が少ない低速の急速充電器はますます不利になります。また80%以降の充電はスピードが落ちるので、残量が多いEVは時間単位の充電器は利用しなくなると思います。いろいろとメリットがありますね。

  5. 周回遅れのトヨタが本気になるとどうなるのか?まだまだ本気になっていないようです。
    EV生産の全てを握るバッテリーの確保は難しく、中国に既に牛耳られている現状をどう打開していくのか?周回遅れの差は開いていくばかりに感じます。

  6. 充電器がらみでもう1ついうと,時間での課金ではなくて充電量での課金システムに切り替えられる法整備をお願いしたいですね。これは,トヨタを代表とする大きな利益団体が動かない限り変わらない気がします。
    現状の課金システムだと低出力の充電器を使うと「馬鹿を見る」状態なので・・・。

    1. 個人的には、「電力量で課金するだけ」には賛成しません!

      大容量電池車が電欠寸前からCHAdeMO充電設備で充電する場合だと、30分手前の充電終了直前でも一定以上の電流が流れていると思いますが、「電力量で課金するだけ」だと、大きな電流で充電しない日本製PHVやPHEVだと電流が小さくなっても課金額が増えず、「あと何分はオレの権利!」と居座る割合が増える可能性が有ります。

      案1として、「電力量で課金する」のは充電開始10分間、11分以降は1分ナンボの時間課金にして、15分程度で充電を中断したくなる料金設定が良いと思います。

      案2として、従来の1分ナンボの時間課金はそのままで、充電設備の定格電流値に応じて1分単価を何段階かに分ける方法。
      大きい電流が流れる50kWを超える設備は高く、小さい電流しか流れない20kW型などは安くします。
      日本製PHVやPHEVは大きな電流を受け付けないので、1分単価の安い小電流設備で充電する事が増えるでしょう。
      大きい電流を受け付ける大容量電池車は、単価が高くても大電流器で充電する事が増えて、車両側の受付電流に見合った設備に向かう仕掛けにすれば、現状の充電設備を有効活用・棲み分け出来るのでは?と考えています。

  7. 日本の将来を考えると、今後商用車の電動化が大変重要になると思います。しかし商用車の場合、バッテリーの大容量化は限界があるのではないかな?と思っています。一つのアイデアとして、商用電動車のために高速道路の架線化を検討してみても良いと思っています。高速道路を走行する電動トラック・バスのために専用車線を設けて、高速道路走行中は電車の様に架線給電を行えば、商用電動車に搭載するバッテリー容量を減らす事が出来ると思います。トヨタには商用車の電動化も頑張ってもらいたいと思っています。

  8. 寄本様が本文に書いておられる
    >中国からはバッテリー交換システムで突っ走るNIOなどが日本市場に進出することを示唆しています。
    についてですが、
    杉田様の記事
    「中国で進展するEVバッテリー交換方式の『ビッグ3』~NIO, Aulton, Geely」
    https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/nio-aulton-geely-a-look-into-chinas-ev-battery-swapping-big-3-ja/
    にある通りnioには中国政府の手厚いサポートがあったと思われますが、
    そのサポートを万全に受けられない日本市場での可能性について是非追加の説明が欲しい所です。
    (ベタープレイスもイスラエルやカリフォルニア州からのバックアップがあったにも関わらず、最後は知っての通りでしたので中国政府のサポートは実際にどれ程だったのでしょうか)

    1. tokoioさま、コメントありがとうございます。
      中国のバッテリースワップ普及にどのくらい政策や補助金が関与してるのか。情報収集したいと思います。
      NIOが日本でもバッテリースワップステーションを展開してくれたらわくわくします、が、この記事の主題には余り関係ありません。

  9. インフラ整備のお金は誰が出すのでしょうか。政府が出す国もありますが、日本はそうはならない気がしています。そのために税金を上げたりする政党が出てくるでしょうか。
    ディーラー(やメーカー)に身銭を切らせて赤字の充電サービスをやらせるというやり方ではサステナブルではないと思うので、充電器を使う側も供給される電気とインフラへ正当な対価を払う覚悟が必要と思います。利益が出ないビジネスは共産主義や国家社会主義でない限り成立しません。

    1. バッテリー資源の確保がすべて 様、コメントありがとうございます!

      当サイトでは、充電インフラは車の一部であるという認識をしています。なぜなら、特に急速充電器を設置しても、設置者にメリットがなく、メリットが出るくらいに課金するとユーザーが使わなくなるからです。
      逆に、電気自動車メーカーは経営努力により、充電インフラを車の購入者に有料で提供することは、実際にできています。テスラの米国や欧州での充電インフラは、実際のところ、日産やElectrify America、IONITYなどよりも充実しており、またユーザーからはより信頼性が高いと評価されています。理由は様々ですが、少し考えると分かるかと思います。

    2. テスラのように安くても400万円もするような高級車ブランドであれば、充電インフラへの莫大な投資を車の販売による利益で回収する見通しは立てやすそうです。ただ、日本ではテスラの充電網も、テスラの販売台数も大したことがないというのは、何か欧米と違う大きな課題がありそうです。
      日本では今後もしばらく、欧米のEVメーカーも販売に苦戦するのではないでしょうか。トヨタをはじめ日本勢は、欧米でもっといろいろトライしてほしいです。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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