マクラーレンのPHEVスーパーカー『アルトゥーラ』が日本にも上陸【吉田由美】

マクラーレンがプラグインハイブリッドシステムを搭載したハイパフォーマンスカー『Artura』を発表。日本でも発表会が開催されました。カーライフエッセイスト、吉田由美氏のレポートをお届けします。

マクラーレンのPHEVスーパーカー『アルトゥーラ』が日本にも上陸【吉田由美】

マクラーレンも電動化!

クルマの電動化は着々と進んでいます。それはスーパースポーツカーの世界でも。

F1でお馴染みのスーパースポーツカーブランド『マクラーレン』。F1で鍛えられたレーシングカーのテクノロジーと、ロードカーからのフィードバックで先進的なスポーツカーを生み出しています。

私が以前、複数のマクラーレンを所有するオーナーさんにマクラーレンの魅力を伺ったところ、「レースで勝つちゃんとしたレーシングカーです。スポーツの定義は人それぞれだと思いますが、マクラーレンに比べるとほかはなんちゃってスポーツカーで、マクラーレンが本物です」と大絶賛。目が肥えたクルマ好きをも虜にするようです。

そのマクラーレンから、遂にプラグインハイブリッドモデルが登場しました。その名は『Artura(アルトゥーラ)』。マクラーレンは「次世代ハイパフォーマンス・ハイブリッド・スーパーカー(HPH)」と謳っています。

竹芝の会場で日本初公開

2021年2月17日にオンラインで世界初公開されたアルトゥーラは、約2か月後の4月13日、日本でも初公開されました。

東京・竹芝の発表会会場では席の間隔を広く取るなど、感染対策は万全でした。マクラーレンのコーポレートカラー、オレンジ一色でアレンジされたフラワーアレンジメントが会場を華やかに彩っているのが印象的でした。

ベールを脱いで姿を現したフラックスグリーンのアルトゥーラ。マクラーレンには最上級の「アルティメットシリーズ」、中核の「スーパーカーシリーズ」、「GTシリーズ」の3つのシリーズがあり、アルトゥーラはその中の「スーパーカーシリーズ」となります。

一番のトピックは、マクラーレン初のプラグインハイブリッドというところですが、ここから「新世代のマクラーレン」の幕開けです。

ハイパフォーマンスで、美しい

F1からのテクノロジーといえば、徹底的な軽量化。このアルトゥーラから採用されるマクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)は、完全自社製造。マクラーレン・コンポジット・テクノロジーセンター(MCLA)という英国サウスヨークシャーにある最新工場で製造されます。

軽量なボディは、このカーボンファイバー+スーパーフォームド(成形)のアルミで作り出されます。

3リッターV6ツインターボエンジンにEモーター、バッテリーで総最高出力は680PS、最大トルク720Nm。内訳はエンジンが最高出力585PS 、最大トルクが585Nm 。モーターは最高出力95PS 、最大トルクは225Nm。

エンジンのバンク角は市販車では類を見ない120°という大きく開いたレイアウト。

0-100㎞/h加速が 3秒というパフォーマンスを発揮しながらマクラーレン史上最高の低燃費を実現。Eモーターのバッテリーパックは5個のリチウムイオン電池・モージュールで、総電力量は7.4kWh 。電気での走行距離は30㎞と発表されました。

充電は普通充電のみですが、走行時に選択するモードに応じて、エンジンからバッテリーに充電して走行することもできます。

また、走行用とは別のバッテリーを搭載して、イーサネット・エレクトリカル・アーキテクチャーと電動の暖房や換気、空調などを動かすシステムを採用。イーサネット・アーキテクチャーは他モデルに比べて配線を25%削減し、さらにデータの伝送速度が早まったことで、先進安全運転支援システム(ADAS)のアップデートが可能になったそうです。

機能を伴った造形美に、ため息が出そう

「アルトゥーラ」のエクステリアは、いかにもスーパースポーツカーらしく低いノーズと張り出したリア。ドアは上に持ち上がるディヘドラル・ドアで、開いただけで華やかさ120%アップ!

エクステリアのデザインは、「シュリンクラップド(包装)」と呼ばれるマクラーレンの新しいデザインの方向性を示しています。リアのクラムシェルは、1枚のパネルをスーパーフォーミングで成形している一体化成形が特徴的です。そしてフォルムは、空力性能とエンジンやバッテリーなどの冷却を考えた設計で、フロントからラジエーター、ボンネットを通ってリアへと空気の流れを作ります。

ボディサイドも空気の流れを意識してドアノブもサイドのキャラクターラインの下部分に。エンジンルームを通って下部分に流してダウンフォースを発生させます。つまり、すべてが機能を伴ったデザインです。

フルLEDのヘッドライトは、左右21個のLED。そのうち4戸がメインビーム、5個がロービーム、12個がマクラーレンの「スタティック・アダプティブ機能」用でステリングと連動して旋回時に曲がる方角に応じて明るさを自動調整します。

コックピットで特徴的なのは、ステリングとメーターパネルが一体化となり、手を離さずステアリングに手を添えたまま操作ができます。

マクラーレン初の電子制御ディファレンシャルを搭載。新しいリア・サスペンション、改良された電動油圧式ステアリング、プロアクティブ、ダンピング・コントロールにより、俊敏性、安定性、運動性能が向上。アルトゥーラではブレーキング時の安定性、リアエンドの制御、グリップの増強および空力ダウンフォースの最適化、ドライバーとの一体感を重視して作られました。

パワートレーンの設定は4つ。「Eモード」は電気で走行。さまざまな走行に最適な「コンフォートモード」では、効率の良い走行状態を提供するため、40㎞/h未満ではエンジンを停止させます。しかし「スポーツモード」「トラックモード」では、低速時のレスポンスと加速のために電力を積極的に利用する「トルク・インフィル」となります。ほかに「ハンドリングモード」がありますが、これはドライバーの好みに合わせてダンパーの硬さとエレクトロニック・スタビリティ・コントロールの介入を調節する、いわゆる「カスタマイズモード」のようです。

タイヤは、ノイズキャンセリングシステム(PNCS)が装備されているピレリP-ZERO 。振動を吸収し、ノイズを低減。ピレリの「サイバー・タイヤテクノロジー」を採用して、各タイヤに内蔵された電子チップにより、リアルタイムでデータを生成、車両のシステムに送り、タイヤの空気圧を監視してタイヤのパフォーマンスを最適化します。

ブレーキは、カーボン・セラミック・ブレーキと軽量なアルミニウム製キャリパー。

インフォテイメントも個性的。最近のクルマのトレンドとしてはスクリーンが大きくなる傾向ですが、縦形で小ぶりな8インチのサイズがちょっと新鮮です。スマートフォンとタッチ同じ操作でオーディオなど、直接、走行に関わらない操作はここで行います。

車内のトピックであるシートは、アルトゥーラのために特別に開発された一体型のシェルシート。アルカンターラとレザーのコンビネーションですが、軽量でサポート力に優れ、さらにシートの可動範囲が大きいため、完璧なドライビング・ポジションを作り出します。

また、アルトゥーラにはマクラーレン初の先進運転支援システム(ADAS)が採用されています。自動的に加減速して前車との距離を安全に保つストップ&ゴーの機能付き「インテリジェント・アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)」をはじめ、道路の速度標識を読み取る「ロードサイン・レコグニション」、車線逸脱防止のための「レーン・デパーチャー・ウォーニング」、「ハイビーム・アシスト」などです。

価格は2965万円~。

語りつくせないマクラーレンの新技術、魅力満載のアルトゥーラ。「新時代のマクラーレン」が気になりすぎです。

(取材・文/吉田 由美)

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この記事の著者


					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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