北欧スポーティセダンの底力〜ボルボ S60 T8ポールスターエンジニアード試乗記【吉田由美】

ボルボS60の特別仕様車、T8ポールスターエンジニアードにカーライフエッセイストの吉田由美さんが試乗。インプレッションが届きました。限定の30台はすでに完売していますが、今後展開するボルボの電動車に期待が高まるレポートです。(編集部)

北欧スポーティセダンの底力〜ボルボ S60 T8ポールスターエンジニアード試乗記【吉田由美】

スポーツセダンをポールスターがチューニング

現在のボルボのラインアップは、「40」「60」「90」で分類される大きさ違いで、セダン=「S」、ステーションワゴン&クロスカントリー=「V」、SUV=「XC」と、基本的に三本柱のボディタイプを揃えています。

もともとボルボは「ステーションワゴン」や「北欧」のイメージが強いブランドですが、最近は、良質なSUVのイメージが強いかもしれません。新型モデルはSUVから展開されることが多いので。

しかしステーションワゴンやSUVに比べて全長が短く車重が軽いセダンが、ボルボのラインアップの中でもっともスポーティなボディスタイル。ボルボ自身もS60を「スポーツセダン」と呼んでいます。快適さと優れたコントロール性、それを北欧ならではのデザインテイストで包み込む、それがボルボS60の強みになっています。

そして、今回私が試乗した「S60 T8ポールスターエンジニアード(Polestar Engineered)」のスペシャルなエンジンチューニングを行ったのがパフォーマンスカーブランド「ポールスター」です。もともとはボルボのレーシングチームとして、ボルボのハイパフォーマンスモデルを手掛けていましたが、レーシングチームとハイパフォーマンス部門は別離。レーシングチーム以外の部分の「ポールスター」をボルボが子会社化して、ハイパフォーマンスな電動車に特化したメーカーに。2017年から新装開店の「ポールスター」がスタートしました。

今後、ポールスターブランドでは基本的にEVのみの車種を展開。「ポールスター」の車両にボルボのバッジはつきません。しかし、「S60ポールスターエンジニアード」の場合は、ポールスター社がボルボ車をチューニングしたという位置づけなので、ボルボとポールスター、両方のエンブレムが輝いています。

ポールスターのエンブレム。

エレガントとスポーティを両立した乗り心地

シャシー、エンジン、ステアリング、サスペンション、ブレーキ、ホイールなどが全体的に強化され、デザインはスポーティに。エクステリアには白い正方形の中に向かい合うように斜めの矢印風のデザインされた「ポールスター」のエンブレムが、フロントとリアに配置されています。

日本には未導入のグレードである「R-Design」をベースにしていて、グリル、サイドウインドウフレーム、ドアマウントのミラーカバーなどがブラックなのも特徴。そして金色のブレンボ製ブレーキキャリパーと、黄色のシートベルトがアクセントになっています。

19インチ鍛造アルミホイルや、ゴールドのブレーキキャリパーが印象的!

エンジンは最大トルク430Nmを発揮。これはモーター分の最大トルク240Nmが加わってのもの。

50㎞/hぐらいまではモーターで走行するため、電動ならではのスムーズな加速が持ち味です。しかしクイック過ぎず、しっかりスポーティーな絶妙なハンドリング。また高い静粛性としっとりした乗り心地で、エレガントとスポーティの両立という言葉がピッタリという印象でした。

ブレンボ社と共同開発したフロント6ピストンのブレーキと、22段階に調整できるオーリンズ製「デュアルフローバルブ ショックアブソーバー」、強化スプリング、ストラットタワーバーなどが入っていますが、それらのバランスが上手にとられている、という証なのかも。

液晶画面は手袋のまま操作が可能

ドライブモードには、ポールスターならではの「ポールスターエンジニアード」モードがあります。これがいわゆるスポーティに走りたいときのモード。セレクターレバー近くのコロコロ動かすスイッチで設定しますが、方法がもうひとつ。インフォテイメントの画面で設定できます。個人的にはこの設定方法は、少し面倒かなと思いましたけど。

しかしこの画面の機能が凄い! さすが寒い北欧生まれだけあって、ボルボ車はすべてこのインフォテイメントの液晶画面を手袋をつけたまま、操作が可能なのです。これは昨今話題の新型コロナウイルスなどが気になる人にもピッタリ! 以前、「車のハンドルはトイレの便座より雑菌が多い」という話を聞いたことがありますが、人が手で触れる場所はとても汚れているそう。中でもスマホの画面、ハンドル、そして車内のインフォテイメントパネルの画面だって相当汚れているはず。日本もまだ寒い時期ですし、手袋をしたままで操作可能なのは、うれしいですね。

手袋のまま操作が可能な液晶画面。

そして何と言っても、この車の魅力は外部から充電できる「PHEV(プラグインハイブリッド)」であること。普通充電しかできませんが、試乗期間中、2回の充電もやってみました。

最初は約1時間で15㎞分(メーター表示で)、2回目は満充電にして40㎞分充電。1時間の方は六本木ヒルズの普通充電で、充電カードを使わず、自分のクレジットカードでビジター登録して支払いました。3.3kWhで支払金額は145円。2回目の充電は、東京・お台場の「BMW Group Tokyo Bay」で某発表会の間、充電させてもらったので無料でした。

しかし、充電した電気は、実際の走行距離より短く、残念ながらすぐに無くなってしまったので、少しがっかり。今が冬で、暖房の温度は高め、シートヒーター、ハンドルヒーターなどをフルで使用しているということも関係があるようです。ちなみに、搭載している電池容量は約12kWh(350V×34Ah)で、EV走行距離は42km(WLTC基準/EPA換算推定値=約37km)です。

ドライブモードは、普段は「ピュア」モードにしておけば、これがいわゆるエコモードで、エアコンの出力が抑えられ、125㎞/hまでならモーター優先になります。また、エンジンの動力を使って発電し、走行中に充電する「チャージ」モードもあります。試乗はトータル11日間で238㎞。使用したガソリンの量で計算すると、1リッター19.36㎞という燃費性能でした。

車両価格は919万円と、ちょっとお高い「S60ポールスター・エンジニアード」ですが、2019年11月の初回導入は限定30台が即日完売したそうです。今はまだ電気自動車=「高級車」というイメージもあって、ラグジュアリー&高性能を追求した「ポールスター・エンジアード」の方向性は時代に合っているのかも。

今年(2020年)の夏頃には再び、「S60」、「V60」、「XC60」の「T8 Polestar Engineered」が追加導入される予定になっているそうです。

(文/吉田 由美)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. せめて外気温が何度で、暖房は何度に設定と書いて頂かないと、何の参考にもなりません。
    >しかし、充電した電気は、実際の走行距離より短く、残念ながらすぐに無くなってしまったので、少しがっかり。今が冬で、暖房の温度は高め、シートヒーター、ハンドルヒーターなどをフルで使用しているということも関係があるようです。

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					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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