電気自動車テスラモデルXで冬の長距離:東京-軽井沢

2019/2/16土曜日出発、翌日戻りの一泊で今度は軽井沢に行ってきます。前回のレポートは難しい、というご意見が多かったので今回は簡単バージョン。冬に電気自動車で長距離旅行するとどうなるか、をレポートします。

電気自動車テスラモデルXで冬の長距離:東京-軽井沢

先週の水上(みなかみ)は関越自動車道で行きました。軽井沢は関越から上信越自動車道に藤岡ジャンクションで乗り換えて、碓氷軽井沢(うすいかるいざわ)インターチェンジで降りてアクセスします。上信越道がなかった時代(いつやねん)は碓氷峠(うすいとうげ)を国道で超えなければならず、ウィンタースポーツ客にはハードルが高かったのですが、今となっては北陸新幹線が軽井沢駅まで開通し、中軽井沢まででも東京駅からたった一時間半。車でも上信越道経由ならドアツードア3時間を切る距離になりました。週末の軽井沢は雪の予報はなくおおむね晴れのようですが気温は最低マイナス7℃と冷え込むようです。

電気自動車で旅行する際には、ちょっとした計画が必要です。今回のプランをざっくり書いてみますね。

行き先区間距離合計距離高崎からの往復距離
藤岡JCT/高崎120km120km
軽井沢スノーパーク90km210km220km
ホテル20km230km
軽井沢スノーパーク20km250km
藤岡JCT/高崎90km340km
自宅120km460km

ルートは家から藤岡JCTを通って軽井沢スノーパークへ。少し遊んでホテルに宿泊。翌日はまた軽井沢スノーパークへ行って遊び、その後は藤岡JCTを通って家に帰ります。総走行距離はおおよそ460kmにおよび、テスラモデルXの現在の航続距離414kmでは夏でも無充電で往復することはできません。また冬季は30%くらい航続距離が減少しますので、318kmくらいが無充電で行ける範囲。途中で充電は絶対に必要です。

「充電をどこでするか」を計画することを、充電計画と言います。電気自動車の中でもテスラはこの充電計画を容易にすることを念頭に置いた、スーパーチャージャー・ネットワークというものが設置されていて、計画は非常に簡単にできます。例えば今回のルートでは藤岡JCTから4.1km先にテスラ 高崎スーパーチャージャーがあり、ここにさえたどり着けば超急速充電器が利用できます。また充電器は120kWが6基設置されており、他の方とバッティングするリスクは非常に少ないです。
さて先ほどの表の「高崎からの往復距離」を見てください。行きと帰りに高崎スーパーチャージャーに寄った場合、220kmを走行する必要があるということですね。それ以外のことは考える必要がありません。なぜなら家と高崎スーパーチャージャー間はたった120km。家にはほぼ空でたどり着いてもいいわけです。つまりこういうことです:

  • 往路の高崎では冬季220kmを走行できるくらいの電池残量まで充電
  • 復路の高崎では冬季120kmを走行できるくらいの電池残量まで充電

いかがでしょうか。これをパーセントに変換して、かつ余裕を持たせてみましょう。


往路:走りたい距離220km / 冬季航続距離318km + 余裕10% = 80%
復路:120km / 318km + 10% = 48%

これで充電計画は完了です。

【詳しい方向け】バックアップを考えておかなければなりませんが、軽井沢は急速充電器が少ないです。代わりに軽井沢スノーパークのあるプレジデントリゾート軽井沢軽井沢のアウトレットには普通充電器があります。チェックアウト後の残量が心もとない場合には、軽井沢スノーパークの専用駐車場ではなくホテル側の駐車場に停めれば遊んでいる間の数時間は充電できますし、買い物中も充電できる可能性が高いですね。いずれにしろ厳寒期なので高速道路などでは飛ばさないことが重要です。

2/16 9:43 バッテリー94%で出発。
12:19 テスラの急速充電器、スーパーチャージャーのある道の駅玉村宿に到着。バッテリーは50%。充電器につないでお昼食べます。
充電中の様子をスマホでチェック。
メニューは自家製麺、地粉使用の二八蕎麦大盛600円。コシもしっかりあっておすすめです。
13:16 長居してしまいましたがバッテリーは98%に。ここでの充電はこの車は無料です。目的地は軽井沢スノーパークの予定でしたが、より近場にしようということで佐久スキーガーデン「パラダ」に行ってみることに。佐久平スマートICを目指します。
14:20 佐久平PA下りに到着!やっぱり近いです。ここからエスカレーターみたいなのでスキー場にアクセスするみたい?バッテリーは74%で余裕です。気温も駐車場は7℃ですので雪は全部人工降雪機でしょうか。
下からの眺め。こちらは南パラダというようです。雪少ないですね(笑)
ちょっと遊んでからホテルに到着。高崎から870m、先ほどのパラダの駐車場からでも160mくらい登ってきました。気温はマイナス1℃。
ここに充電器あるとベストですねぇ。

2/17 11:17 ホテルを10時半にチェックアウト後、最初の予定の軽井沢スノーパークに到着!気温はホテル近辺はマイナス1℃で、ここまで登ってくるとマイナス3℃でした。まだまだ充電に余裕があるのでこのまま駐車場に置いておきます。
写真左上の436Wh/kmという数字。これはここまで約330mを登り、また暖房により通常の90%増しのエネルギーが必要になったということです。でもこれはたった20kmだけの話。一瞬ですから問題ありません。
軽井沢スノーパークはさすがに標高が高いだけあって雪質はパラダよりは圧倒的に良かったです。それでも比較的こじんまりした印象のスキー場でした。
14:55 さてそろそろ帰路につきたいと思います。予定では往路と同じ高崎スーパーチャージャーを目指す予定でしたが関越の渋滞が。
電気自動車はバッテリーが冷えてしまうと、電池の性能が充分に発揮できません。昼間ではありますが気温の低いところに車を置いておいたので、バッテリー温度はmin=6.3℃(画面下の方の小さい文字)まで低下。スタート直後から15:05まで約10分間、バッテリーヒーターが自動的に入って電池を暖めていました。電気は食いますがこのほうが結果としては使う電力量は少なくて済むのです。
17:03 同行者の家の位置と関越道の渋滞を考えると、東北道経由で帰ったほうがいいという結論に。もちろん予定通り高崎スーパーチャージャーで充電してもいいのですが、まだお腹の方もそこまで空いてないということでそのまま北関東自動車道を回って東北道へ。そして東北道ならアウトレット内にあるテスラ 佐野スーパーチャージャー。軽井沢スノーパークからは標高差にして1251mも降りてきていますので全然バッテリーが減りません。ここは佐野プレミアムアウトレットの中なので、充電中に買い物も可能。
18:41 4基の超急速充電器がありますので、他の方の迷惑にならないよう、スマホに80%超えの通知が来たら、定期的にテスラの純正アプリで充電器の利用状況をチェック。今日は3台充電中にはならないくらいだったので、若干の買い物+フードコートで早めの夕食食べてる間にちょうどピッタリ100%に。出発します。
20:38 62%を残して自宅に到着。最後は結構早いペースでした。

【まとめ】
2日間トータルでの走行距離は549.5km、総消費電力量は138.5kWhでした。電気自動車における燃費に相当する値、電費は252Wh/kmと、夏季のおおよそ10%増しでした。軽井沢はずっと通して気温は氷点下でしたが、高速道はそこまで冷え込んでおらず、速度もある程度控えめにしていたことで、計画ほどは電気を使いませんでした。
これを全部自宅充電で賄ったと仮定すると、1kWhはおおよそ30円くらいですから、549.5km走るのに4155円かかった計算に。ガソリンに換算すると、リッター138円として18.2km/lくらい。サイズはちょっと小さいですが比較としてトヨタのハリアーハイブリッドAVU65Wと比べてみると、e燃費による実燃費は13.55km/l。モデルXはハリアーハイブリッドより冬でも34%燃費が良いことがわかり、経済的なことがわかります。
ところでこの車はスーパーチャージャー無料対象車。ということは?到着時62%で前日の出発時は94%だったわけですから、差し引き32%すなわちおおよそ32kWh=960円が自腹。これをしつこくガソリン車の燃費に換算してみると、


リッター79.0km/l

という結果になりました。(更新完了)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 今、一般人がテスラを購入すると充電費用はいくらかかるのですか?
    貴殿のように無料ではないようですが。

    1. 仙台四郎様、コメントありがとうございます!
      まずテスラにしろ他社の電気自動車にしろ、通常は自宅で充電するものだと思いますので、当記事の一つ目の計算、すなわちガソリン車換算で18.2km/l、1kWhあたり30円というのは変わらないと思います。夜間充電している方は、月間の走行距離にもよりますが昼間の車以外の消費電力より、車の充電の電力量のほうが多くなると思いますから、夜間の料金が安く昼間高いプランに切り替えることにより、多少安くなると思います。電気料金のシミュレーションは結構難しいのですが、1kWhあたり30円で計算して足が出るということはないでしょう。
      自宅以外の外での充電については以下の記事にまとめていますが、
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/bev-electricity-cost-vs-gas/
      テスラの料金については細かく書いていませんのでこちらでご紹介します。
      https://www.tesla.com/jp/support/supercharging
      こちらが公式サイトなのですが、61kW以上で充電中は税込40円/分、60kW以下で充電中は20円/分となっています。ややこしいですね。仮にギリギリ61kWで40円になった場合は40円x60分/61kWh=約40円/kWhとなりますので、自宅より3割高い料金ということになります。ピッタリ60kWだったら20円x60分/60kWh=20円/kWhですから自宅の3分の2ですね。実際に今回の旅行の往路を例にとって計算してみます。ちなみにS/Xでスーパーチャージャー永久無料ではない車両には年間400kWhの無料権限が付いていますが、それは取りあえず無視しておきましょう。
      まず最初の高崎での充電では55分間充電しています。そのうち、12:21-12:37までは61kW以上、12:38-13:16までは60kW未満で、充電終了間際は10kWしか出ていませんでした。つまり17分間が40円/分、38分間が20円/分となります。これを合計すると1440円で、トータルの充電量は充電器側(充電器側=電気自動車では、実際に電池に溜まる電力量は、充電器が送り出した電力量より少し少なくなります)で45.8kWhでしたので、
      1440円/45.8kWh=31.4円/kWh。やっぱり自宅と大して変わらないですね。

      そもそも98%まで充電するのか?と考えると、当然ですが経済性を考えると80-90%程度までに留めておいたほうがいいですよね。仮に90%まででストップしたとすると、12:21-12:37までは61kW以上、12:38-12:53までは60kW未満で、90%時点で34kWでした。つまり17分間が40円/分、16分間が20円/分となります。これを合計すると1000円で、トータルの充電量は充電器側で37.4kWhでしたので、
      1000円/37.4kWh=26.7円/kWh。これなら自宅よりちょっと安いです。

      ではさらに80%で止めるとどうなるか?
      12:21-12:37までは61kW以上、12:38-12:39では60kW未満で、80%時点で55kWでした。つまり17分間が40円/分、2分間が20円/分となります。これを合計すると720円で、トータルの充電量は充電器側で28.1kWhでしたので、
      720円/28.1kWh=25.6円/kWh。

      日本では簡単にkWh単位で電気を売ることができないのでこういう複雑な仕組みになってしまっていますが、基本的には80-90%を超えて長々と充電しない限りはそれほど高額な料金が課せられるわけではなく、ほぼ自宅と同じくらいの料金になると思っていただければよろしいかと思います。

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この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

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