千葉大停電2019を電気自動車とV2Hで乗り切った被災者の体験談

台風15号の直撃が引き起こした千葉大停電は、この記事執筆時点でいまだ進行中ですが、停電を電気自動車(BEV=Battery Electric Vehicle)とV2Hで乗り切った方がいらっしゃいます。千葉市中央区にお住まいのNさんが見舞われた停電は「2日半」。ご自宅を訪ねて電気自動車に蓄えた電力で「冷蔵庫・照明・エアコン等を動かして熱中症を避けて生き延びられた」体験談を伺ってきました。

千葉大停電2019を電気自動車とV2Hで乗り切った被災者の体験談

国と県の初動対応が遅く、現政権の不手際への批判も出ている「千葉大停電」。想定以上の倒木が電力線と道路を断ち切ったことが被害を長引かせている、と言われています。台風直撃は9月9日早朝のこと。それからほぼ2週間経った9月22日(日)、著者はお宅に直接Nさんをお訪ねして、いろいろとお話を伺いました。取材日の正午の時点でも、千葉県内ではいまだ3,100戸が停電したまま(NHKラジオニュースによる)です。

Nさんのお宅の近く、千葉市の市原市寄りでも、ブルーシートで屋根を覆った家をよく見かける。
Nさんのお宅の近く、千葉市の市原市寄りでも、ブルーシートで屋根を覆った家をよく見かける。

Life PreserverとなったV2Hシステム

今回、Nさん家族を救ったのは2013年に購入した「日産リーフ(24kWh)」と、そのおよそ3ヶ月後に導入したV2Hシステムの「LEAF to Home(リーフ・トゥ・ホーム)」の組み合わせでした。

今回の「救世主」である24kWリーフ。
今回の「救世主」である24kWリーフ。

「LEAF to Home」は「ニチコン株式会社」が製造しているV2H 機器のことで、日産自動車以外が扱うものは「EVパワーステーション」と言う名称で販売されています。いずれにせよ、世界で初めて実用化・市販化されたV2Hシステムであり、2019年9月時点で世界で貴重な「V2Hを実現する製品」です。

【関連記事】
ニチコンが低価格39万8千円のV2Hシステムを2019年6月発売

なお、日本国内では、この「LEAF to Home」「EVパワーステーション」に加え、電気自動車(EV)と太陽光パネル(PV)と蓄電池の3者間で「DC接続」も可能(太陽光で発電した電気を直接EVに蓄えることも可能)な「トライブリッド蓄電システム」も市販されています。実は日本は「V2H先進国」で、「CHAdeMO」方式が世界に優位性をアピールできる大切なポイントです。このところ欧米が提唱するCCS(Combo2)のニュースが目立ち、CHAdeMOの未来に心配が尽きません。

【関連情報】
家庭用蓄電池システム「トライブリッド」

Nさんが体験した大停電の経過

それでは、Nさんの体験を時間順に書いてみます。

9月9日4:00ごろ、前夜からの暴風がおさまらないなか、突然停電になりました。すぐに復旧するだろうと様子を見ていましたが、さすがに6:00を過ぎても復旧しないので、これは対策を取らないといけないと感じました。スマートフォンで東電のサイトにアクセスして、停電の情報を見てみます。

2019年9月9日5:59時点での東京電力の停電情報。千葉県全域がほぼ停電(赤)していることが判る。Nさんの記録による。
2019年9月9日5:59時点での東京電力の停電情報。千葉県全域がほぼ停電(赤)していることが判る。Nさんの記録による。

前夜からの暴風で、家にいろいろな物がぶつかる音がしていました。外の様子を見に行ってみると、近くの倉庫の屋根が家の庭や玄関に散乱しています。自転車のスポークには、飛んできた木の枝が突き刺さっています。雨戸を閉めておいて良かった、と思った瞬間でした。

犬小屋の前には、近くの倉庫の屋根材がぶつかっている。Nさん撮影。
犬小屋の前には、近くの倉庫の屋根材がぶつかっている。Nさん撮影。

犬小屋も飛んできた屋根材がぶつかっていますが、愛犬は夕方からは毎晩、家の玄関に入れているので、特に被害はありません。本人(本犬)は気楽なもので、玄関で爆睡していました。

Nさんの家のある住宅地までアクセスする2本の道のうち1本は、倒木と垂れ下がった電線で、クルマはもちろん、歩いて通過するのも大変に危険な状態だった。Nさん撮影。
Nさんの家のある住宅地までアクセスする2本の道のうち1本は、倒木と垂れ下がった電線で、クルマはもちろん、歩いて通過するのも大変に危険な状態だった。Nさん撮影。

家の周りでは、木が倒れていたり、電柱から電線が垂れ下がっているのを見かけました。雨は上がっていたので、もう自転車や徒歩で移動している人もいましたが、電柱最上段の「高圧配電線(3相交流最大6,600V)」の電線が垂れ下がっているので、歩いている人に「危険ですよ!」と声をかけました。この線は、下段の「低圧配電線(単相交流200/100V)」よりもはるかに電圧が高く危険です。すぐさま東電に電話して事情を話しましたが、東電のほうでも深刻に受け止めている様子だったそうです。

電柱の上段にある高圧配電線が切れて垂れ下がっている。最大6,600Vもの高電圧電流が流れているので、大変危険。Nさん撮影。
電柱の上段にある高圧配電線が切れて垂れ下がっている。最大6,600Vもの高電圧電流が流れているので、大変危険。Nさん撮影。

家に戻り、リーフを停電時の給電体制にセットします。初めは普通に自宅配電盤につないだところ、すぐにブレーカーが落ちてしまいました。そこで、全てのスイッチを一旦落とし、「冷蔵庫」や「リビングの照明」といった必要なものを1つずつ入れて様子を見てゆきました。幸い、冷蔵庫・照明・エアコンに加えて、自宅井戸のポンプは動かせました。自宅を建てる時に、「外部から給電」できるように、屋内の配線を細かく分けておいたことが功を奏した形です。

Nさん宅の配電盤。60Aを30A×2で分けて管理している。停電時にリーフから給電する場合は、両者とも15Aまでしか出ないことが分からず、初めはブレーカーが落ちて焦ったとのこと。
Nさん宅の配電盤。60Aを30A×2で分けて管理している。停電時にリーフから給電する場合は、両者とも15Aまでしか出ないことが分からず、初めはブレーカーが落ちて焦ったとのこと。

子供たちは停電に気付かずシャワーも使えた

お子さんたちが起きてきましたが、リビングには電気もエアコンも点いていたので、停電には気づいていない様子。「なんでテレビ点いてないの?」なんて訊いてきます(取材当日もお子さんたちに訊いてみましたが、「全然気づかなかった!」だそうです)。水道用に使っている自宅井戸のポンプも動かせたので、リビングに居る限りは「普段の暮らし」ができました。

出力4.5kWの太陽光発電パネルが屋根に載っているうえ、エコキュートもあるNさん宅ですが、エコキュートに関しては、内部に貯蔵されていたお湯を「取り出す」ことはリーフからの電気を使ってできたので、2日間シャワーは浴びられました。太陽が出てくれば、太陽光も電力供給に「加勢」してくれます( = 太陽光の自立運転で動かせる機器も出て来ます)。

電線の種類。東京電力のサイトより転載。
電線の種類。東京電力のサイトより転載。

9日は職場に連絡して、家での片付けをすることにしました。今回の台風被害では、千葉県船橋市あたりから東にかけて、Nさんの職場のある都内東部はなおさら、被害ははるかに軽かったようで、職場の同僚はNさんが被害画像を送るまで、実感が無かったようです。画像を見たら、同僚の皆さんもさすがに驚かれたそうです。

停電初日の夕闇が迫って来ました。暴風で飛ばされた屋根材や木の枝が至る所に散乱しています。灯りが点いていたのはNさん宅のみでした。Nさん撮影。
停電初日の夕闇が迫って来ました。暴風で飛ばされた屋根材や木の枝が至る所に散乱しています。灯りが点いていたのはNさん宅のみでした。Nさん撮影。

ディーラーにひと声掛けて急速充電

9日午後になっても電気が戻る兆しが無さそうなので、子育て仲間からの情報をもとに、電気が一足先に復旧したらしい「JR蘇我駅近く」にある日産自動車に行ってみました。予想通り電気が使えたので、事情を話してリーフに充電させてもらいます。ディーラーの反応は「もちろん、どうぞ!」でした。NさんはZESPに加入しているので、黙って充電することもできますが、Nさんの感覚としてはZESPの充電は「走行のため」と捉えているので、自宅での電力使用に関しては「いちおうお店に断っておいた」とのことです。

9月9日夜のNさん宅のリビングの様子。周囲の家や施設は漆黒の闇に沈んでいます。病院だけが自家発電装置によって非常灯だけ点いている状態でした。Nさん撮影。
9月9日夜のNさん宅のリビングの様子。周囲の家や施設は漆黒の闇に沈んでいます。病院だけが自家発電装置によって非常灯だけ点いている状態でした。Nさん撮影。

10日朝になっても停電が解決する兆しが無いので、太陽光が動き出したタイミングを見計らって、前日の日産へ「電気を汲み」に行きました。暑さも酷いので、同様に、11日に備えて夕方にももう一度汲みに行きました。この運用のお陰で、冷蔵庫、エアコン、リビング照明、井戸用ポンプ、ネットを動かすことができました。停電や給水所などの情報はポータブルTVで得ていました。幸い、自宅井戸が使えたので、水は汲みに行かずに済みました。

釘の付いた木材も飛んで来た。Nさん撮影。釘の付いた木材も飛んで来た。Nさん撮影。釘の付いた木材も飛んで来た。Nさん撮影。
釘の付いた木材も飛んで来た。Nさん撮影。

停電発生から2日半経った11日15:00ごろ、やっと電気が戻りました。Nさん宅の辺りでは、途中での電力復旧は一切ありませんでした。エコキュートからのお湯が尽きたあとは、Amazonで、水の中に投入してお湯にする電熱ヒーターを購入して使おうとしていました。この大停電のなか、なぜかAmazonなどの通販は「普段どおり」使えていたそうです。

リーフ購入の理由

Nさんがリーフ購入に至ったのは、通勤に便利そうだったのと、補助金を考慮すると「日産ノート」との差額が40万円程度だったからだそうです。Nさんは仕事上、「こういう経費が掛かるが、こういう節減ができるので○年で元が取れる」というような分析をよくしているので、ご自分のシミュレーションもしっかりとしてみたそうです。その結果、「4年で元が取れて、収支が逆転する」ことが分かりました。3ヶ月後に「LEAF to Home」を導入するときも、収支逆転まで4年と判明したため、設置に踏み切りました。

愛車の24kWリーフは、2018年1月にバッテリーを保証期間内無償交換しました。「8セグ」まで落ちての交換でした。以前は途中無充電で職場まで往復できたものの、最後の頃は職場から帰る時に必ず継ぎ足し充電が必要になっていたそうです。

普段のV2H運用は?

通勤は今もリーフだそうですが、平日は19時ぐらいから24時ぐらいまでリーフにある電力を自宅に給電して、系統からの使用を抑えます。深夜2時半ぐらいから5時半の間は「電化上手」の割安な電力を使ってリーフへ充電します。わずか3時間だけですが、「LEAF to Home(V2H)」は充電が速い「倍速充電」ができるので、出勤前までに80%まで充電できます。ちなみに、V2H(L2H)機器とリーフとは、CHAdeMOプラグを使って接続します。直流(DC)で電気をやり取りするためです。直流と、家庭で使う交流(AC)との変換(整流)は、V2H(L2H)機器の内部で行われます。

80%で自宅を出て、リーフから降りるまでがおよそ20km。着くと残量は60%くらいになります。そこで20分ほど急速充電して、仕事場に行きます。もしくは帰りにリーフに乗るときに充電してから自宅に向かいます。ここで充電しておくのは、万が一の停電や帰路の電力使用に備えてのことです。

屋外設置が可能な「LEAF to Home(V2H)」機器ですが、通風を考慮した雨よけを付けてあげた方が長持ちするようです。横殴りの雨に対する対策は重要で、Nさんの知り合いには今回の台風の「雨」で壊れた人もいらっしゃるそうです。
屋外設置が可能な「LEAF to Home(V2H)」機器ですが、通風を考慮した雨よけを付けてあげた方が長持ちするようです。横殴りの雨に対する対策は重要で、Nさんの知り合いには今回の台風の「雨」で壊れた人もいらっしゃるそうです。

自宅に着くと、だいたい75%くらいから自宅へ供給開始ができて、10%まで使い切る設定にしています。その後、また深夜電力で充電して、翌朝に備える、といった運用の繰り返しです。

土日は、19時からでなく、夕方から給電します。筆者がお邪魔した日曜日も、夕方16時ごろにリーフからの給電が動き出す場面を見ることができました。ちなみに、Nさん宅の「LEAF to Home」は太陽光発電から直接リーフへの充電はできません。もし、今年発売された「トライブリッド蓄電システム」であれば、天候次第では、ディーラーに電気を汲みに行く回数を減らすこともできたでしょう。

おわりに

Nさん宅を辞して、進路を南に取りました。じつは、86歳になる著者の叔母(母のすぐ下の妹)が、Nさん宅から9kmほどのところ(市原市北部)に住んでいるからです。叔母も今回は「3日強」の停電を被りました。叔母の娘たちの家のうち、電気の復旧が早かったところに転々とお世話になって難を逃れていました。高齢の叔母にとって、食糧を冷蔵庫から移動したり、着替えなどをまとめるのも大変だったそうです。小さい頃から母と同じように私を可愛がってくれた叔母は、無事に生き延びていました。少しの間でしたが、久し振りの再会を愉しみました。

JR蘇我駅近くのガソリンスタンド。強固なはずの屋根下張りが崩落している。暴風の凄まじさが感じられる。Nさん撮影。
JR蘇我駅近くのガソリンスタンド。強固なはずの屋根下張りが崩落している。暴風の凄まじさが感じられる。Nさん撮影。

ついでに、ローソン・ハーバーシティー蘇我店で「放電」もして帰宅しました。EVから店舗へ充電する実験に筆者が参加しているのは、以前に当ブログ記事にてお伝えした通りです。

【関連記事】
電気自動車(EV)から給電するローソンでの実証実験 — V2H & V2G 経由 VPP へ!

筆者は以前、市川に転勤していた時期がありますが、この辺りは道路が混んでどうしようもなかった印象が強いです。今回も、船橋や津田沼でひどい渋滞に遭遇して辟易しました。市川の悪名高い渋滞ポイントは、新しくできた外環道を使ってパスできました。トンネルが多く、外の混雑を尻目に迅速に通過できて快適でした。ただし、三郷より西は土砂降りに近い雨の洗礼を受けましたが…。

日産・ニチコンのBEVとV2Hによる被災地支援

なお、日産自動車本社では、停電の直後より7台のリーフを千葉県各所に派遣しました。さらに日産の販社にも依頼して23台を追加し、計30台のリーフが給電に活躍。また、日産自動車が所有するものだけでなく、製造しているニチコン株式会社にも要請して、リーフからAC100Vの電気を取り出せる機器である「パワームーバー」もリーフとセットで千葉県に派遣しました。現場ではそれこそ、必死に「掻き集めて」送り出した、という実感だったようです。

V2Hで有名なニチコンが製造する、日産リーフ(一部分だけ写っている右の白いクルマ)から4,500Wを取り出せる「パワームーバー(中央左下の装置)」
V2Hで有名なニチコンが製造する、日産リーフ(一部分だけ写っている右の白いクルマ)から4,500Wを取り出せる「パワームーバー(中央左下の装置)」

パワームーバーがあれば、1,500Wが3系統同時に取り出せるので、避難所の電力ニーズにもある程度対応できることでしょう。また、PHVも含めてエンジンで発電するのとは違い、危険な一酸化炭素を発生させるリスクがゼロなので、理想的な電力支援の形だと言えます。NHKの報道によると、9月20日までに、一酸化炭素中毒が疑われる緊急搬送が少なくとも10件確認されている、とのことです。

なお、三菱のBEV・PHEVであれば、筆者も持っていますが、1,500Wまで取り出せる「MiEVパワーボックス」という機器があり、避難所には小さいですが、冷蔵庫と灯りを動かし続けることくらいはできそうです。冷蔵庫をちょっと停めて、電子レンジを使うなどもできそうですね。(冷蔵庫はあまり停めてはいけないのでしたっけ?)

Nさん宅近くの道のようす。Nさん撮影。
Nさん宅近くの道のようす。Nさん撮影。

この情報は一般メディアがほとんど伝えていませんし、日産もニチコンも控えめに活動しているので、ここで敢えて紹介させていただきました。千葉に縁のある著者としても、1日も早い復旧を心より祈っております。

(取材・文/箱守 知己)

この記事のコメント(新着順)23件

  1. 空配管は分電盤と本体設置(EVパワー・ステーション設置予定)の場所までPF管22φの3本埋設の用途を教えてお願いいたします。

    1. ジャン様、コメントありがとうございます。

      もう少しくわしく質問していただけないでしょうか。記事中のどの部分・どの写真へのご質問か、分かりませんので。

  2. リーフ2100 v について教えていただきたいのですが。
    旧型リーフを購入し給電を考えています。皆さんが話題にされているリーフ2ホームは室内にも機器を設置しなくてはならないようなので、借家に住む者には無理があります。
    そこでリーフ2100 v かパワームーバーが考えられますが、価格を考慮するとリーフ2100 v になるのですが、現在購入できるのでしょうか。ウエッブサイトでは売り切れになっていと書かれています。いつ購入できるのか問い合わせたのですが、かなり時間がたつのですが連絡がありません。どのような状況なのでしょうか。

  3. 停電時の出力について。
    ニチコンさんの系統非連系V2Hの標準モデルは、片相3kWまで、最大6kW出ます。
    もう一度ご確認ください。
    片相1.5kWだと、100Vエアコンを使うと他の機器は使えなくなります。

  4. 書き忘れておりましたが、現地に入って感じた皮膚感覚の一つに、「杉の木の香り」がありました。特定の病気によって、千葉に多く植えられている「君津杉」がダメージを受け、それが倒木の大きな原因になったと伝えられ始めましたが、確かに千葉に入って窓を開けて走っていたら、杉材の香りがそこここでしていました。何かのヒントになれば光栄です。

  5. 北海道在住のものです。この場ではトライブリッドと言われている太陽光直結タイプのV2H設置済みです。
    設置理由はトゥーンベリさんに叱られたくないからです(笑)

    広範囲で停電した場合、電気を汲みに行けないのでは、という話題がありましたが、昨年の北海道ブラックアウトの時も自宅は復旧最後尾でしたが、地元スーパーにある急速充電器はすぐに通電されてました。うちからの距離は400mです。
    停電時に電気自動車は使いものにならないだろ、と言われますが、電気がなければ給油もできませんし、インフラの復旧としては電気は(今回の千葉では違いましたが)早い方と思います。

    1. 蒙古斑様、コメントありがとうございます。トライブリッド導入済みとは羨ましいです。昨年の北海道ブラックアウトの時は、すでに導入済みだったのでしょうか。どうやってしのいでおられたか、お聞きしたいものです。

      停電と復旧ですが、当ブログチームの安川リーダーも書いていますが、バラツキがありますよね。今回の千葉での大停電でも、同様の体験談をいくつも耳にしました。千葉市だけでなく、市原市でも。それから考えても、「電気を利用できるシステム」を用意しておくのは、意味があるとあらためて感じました。そう、「乗れる・動ける蓄電池」もきわめて有用ですね。

  6. 南房総エリアなど、広域で停電が発生した場合、記事のように充電に行くことは出来ないのではないでしょうか。それともディーラーでは自家発電等で常時充電手段を確保しているのでしょうか。
    ガソリンは手動ポンプで給油出来ましたが、電気自動車はどうなるのか気になっての質問です。

    1. とにかく暑かった 様、ご質問ありがとうございます。
      充電に行くことはできない、とのことですが、実は電気は網の目のように配電されています。
      https://blog.evsmart.net/quick-charger/quick-charging-stations-available-in-chiba/
      こちらは継続的に更新していましたので最初のころのデータはもうご覧いただけないのですが、例えば
      道の駅 富楽里とみやま,千葉県南房総市二部1900
      こちらの充電スタンドは少なくとも9/13には充電記録が残っていました。
      翌日の9/14には以下の充電スタンドで充電記録が残っています。稼働していて充電できていたということです。
      ファミリーマート 南房総丸山店,千葉県南房総市加茂山詰2655-5
      道の駅 三芳村 鄙の里,千葉県南房総市川田82-2
      道の駅 富楽里とみやま,千葉県南房総市二部1900
      道の駅 和田浦WA・O!,千葉県南房総市和田町仁我浦243
      このように少し移動すれば稼働している急速充電スタンドに出会えることはあり得ます。また充電スタンドは多くがIoTによりネットワークされていますので、充電器が利用可能か、そして実際に利用履歴があったかどうかということもデータで知ることができます。

    2. 記事に書いてもらったNです。本人です

      先にかかれてるとおり、電線は網の目のようになっていて、自宅は停電してるのに、自宅道路はさんで向こう側は供給されてるという状態がしばしばあります。

      災害時、電気ガス水道は、復帰がはやいのは電気が一番先です、

      311の地震時は電線にあまり物理被害がなかったので、千葉の停電はすぐ復帰しました。

      しかし、ガソリンは大行列のうえ20リッター制限がかかりました

      今回もガソリンは被災地では大行列でした。
      5時間待ちで20リッターなんて状態です

      電気自動車なら、電気が回復しているとこまで充電しにいけばよいだけです。

      いずれ太陽光発電から直流をいれられる機器もやすくなれば
      導入したいですよね。

      ちなみに不安定な電流のエンジン発電機での充電はやめた方がよいそうです

      説明書にかいてあります。

      なんにせよ、この蒸し暑いなかエアコンが一日中つかえてIHコンロや電子レンジ、冷蔵庫がつかえたのがでかいです。

      40kwリーフなら1日は余裕で持ち堪えられるでしょう

      暑い寒い想いしないですむのは、本当にありがたいですよ

    3. Nさん、コメントありがとうございます。取材日だけでなく、その後もいろいろとありがとうございます。

      おっしゃるとおり、電力網は単純に判断できない要素が多いですね。叔母や従兄弟の住む市原でも、すぐ近くが停電なのに、道路一つ渡ると復旧とか、捉えにくい現状があったそうです。

      しかし、他のライフラインに比べると、電気はまだ(場所によるとは言え)復旧が早めと言えるのかも知れません。その意味でも、V2Hでもしもに備えるというのはアリだと感じました。

    4. とにかく暑かった様、コメントありがとうございました。

      すでにブログチームの安川リーダーからも返信がありますが、場所によって復旧が違うという事例を、今回もいくつも耳にしました。私の親戚の住む市原市も同様でした。それをうまく使えば、「汲みに行く」ことも可能かと思います。

      さらに、ニチコンの「トライブリッド」があれば、太陽光発電で作った電気をEVに貯めて、太陽の沈んだ時間帯はEVから給電も可能だと思います。

      これは私の家での実験例ですが、家の4.39kWの太陽光発電パネルから、系統を外して「自立運転(太陽光発電パネルからの電気だけを使う状態)」でBEVの充電を試してみた(パワコンを自立運転モードにして、パワコンのアウトレットから100Vをi-MiEVに接続して充電)ことがありますが、充分に可能でした。今日9/26の昼近くでは、我が家の太陽光発電パネルは2.4kWの電力を発電していたので、BEVの充電に加えて冷蔵庫の通常運転は充分にまかなえたと思います。

  7. 次に車を買う時は電気自動車を選択肢に入れようと思う記事でした。災害レポートは被災者への配慮など難易度が高いと思います、そんな貴重な情報をありがとうございます。

    1. 菅原様、コメントありがとうございます。また、あたたかいお言葉、嬉しいです。確かに、「お聞きすると、辛い体験を思い出させてしまう」部分もあり、難しい取材だと感じます。

      次はEV、ぜひ実現してください。もう試乗もされているとは推察いたしますが、本当に愉しくて素敵な乗り物です。地球に街に人に優しく、そのうえ災害時にも助けになってくれますね。

  8. 初めて書き込みさせていただきます
    こういった記事を読ませていただくと、V2H機器が非常に欲しくなります。

    一つ疑問に思ったのはV2Hの倍速充電とリーフの6kW対応の関係です

    記事に出てきたのは旧式のリーフとV2Hだと思うのですがリーフが側が3kW対応でも倍速充電は可能ということなのでしょうか? 記事を読む限りは旧型の場合はリーフからの出力が15A、リーフへの入力は30Aまでということなのでしょうか?

    1. こんにちは。
      L2Hは急速充電のコネクタから直流で充電します。L2H側でACDC変換してるので、普段ね急速充電のように 400V 120Aまで受け入れできます。

      普通充電コネクタは使わないので、ACの制限のようなものはないですよ

    2. L2Hオーナー様、的確なコメントをありがとうございます。日産の方にお聞きしたことがあるのですが、L2HをCHAdeMOプラグでつなぐと聞くと、驚くお客様が多いそうです。直流でのやり取りは案外知られてないようですね。

    3. 記事内の方とほぼ同じ機器環境の者です。旧型リーフでは交流普通充電3kw/hが最大ですが、ここで言う倍速充電はchademo規格での直流充電です。急速充電と同じ方法を家庭で行い、機器のコストと利便性から普通充電の倍の能力を採用しているのでしょう。

    4. 江守様、コメントありがとうございます。V2Hベテランの江守さんらしい、的確なコメントですね。今回の千葉の停電から、V2Hがさらに普及すると良いですね。

    5. HA3W様、コメントありがとうございます。私もV2H導入を一度検討し、現地調査までしていただいた経験があるので、今でも欲しくて色々と調べております。

      リーフとLEAF to Home(L2H)の件に関しては、すでに「L2Hオーナー様」や「江守様」からコメントいただいている通り、L2HはCHAdeMOコネクターでリーフと接続し、やり取りは直流で成されています。倍速充電は、直流だからできている、と言えます。

      Nさんにも、さらに詳しくお聞きしてみたので、追加で情報を書いておきます。Nさん宅では、全体では80Aで契約していて、普段はエコキュートに20A、宅内に残りの60Aを流しているそうです。必要ならL2Hに80Aまで流すことも可能なので、エコキュートがフルで作動している時以外では、70Aを流せるので、リーフへの充電は速いようです。いずれにせよ、L2H内でAC-DC変換しているので、リーフへの充電は直流で行われています。

    6. HakomoriTom様、江守様、L2Hオーナー様 返信ありがとうございます

      ご指摘のとおり普通充電コネクタを使うものだと思い込んでおりました(笑)
      とすると現状6kW普通充電対応のEVはあまりメリットがありませんね。

      VCG-663CN3の紙のカタログを思い込みでみると、普通充電用コネクタに見えてしまします。
      誤解が多かったのかWeb上のカタログでは急速充電コネクタでつないでいる写真がちゃんと出ていました

      追加情報:WebカタログではVCG-663CN3のスペックでケーブルだけが7.5mになったモデルが追加になっていました(+5万円)これはありがたい

  9. 記事導入部分の、政権批判や先進国とは思えない復旧の遅さなどといった件は一方的で、電気自動車界隈のカルト化を招きかねないので控えていただきたいです。

    人の意識の高低に依らず、EVが遍く普及することが目的であって欲しいです。

    1. よこあき様、コメントありがとうございます。「カルト化」は困りますね。批判は一方的に聞こえるかも知れませんが、現地に行って取材した者の皮膚感覚です。批判しないと、改善にはつながりませんよね。そうご理解いただければ幸いです。

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この記事の著者


					箱守 知己

箱守 知己

1961年生まれ。青山学院大学、東京学芸大学大学院教育学研究科、アメリカ・ワシントン大学(文科省派遣)。職歴は、団体職員(日本放送協会、独立行政法人国立大学)、地方公務員(東京都)、国家公務員(文部教官)、大学非常勤講師、私学常勤・非常勤講師、一般社団法人「電動車輌推進サポート協会(EVSA:Electric Vehicle Support Association)」理事。EVOC(EVオーナーズクラブ)副代表。一般社団法人「CHAdeMO協議会」広報ディレクター。 電気自動車以外の分野では、高等学校検定教科書執筆、大修館書店「英語教育ハンドブック(高校編)」、旺文社「傾向と対策〜国立大学リスニング」・「国立大学二次試験&私立大学リスニング」ほか。

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