GMがリリースする電気トラックとSUVは世に出た瞬間に利益を生む

2020年1月27日、ゼネラルモーターズ(GM)はデトロイトにある自社工場を100%電気自動車生産拠点に転換し、30億ドルを投資すると発表しました。『CleanTechnica』では提携記者がGMトップと非公式で直接会話をし、この件に関して詳しい独自記事を報じました。全文翻訳をお届けします。

GMがリリースする電気トラックとSUVは世に出た瞬間に利益を生む

今回GMがEV専用工場への転換を発表したハムトラック工場は、2018年に閉鎖計画を発表したところUAW(United Auto Workers=全米自動車労働組合)が反発してストライキを決行。ハムトラック工場はEV専用工場として存続することで合意していました。電気自動車生産拠点に大規模な投資を行うことは、日本国内のメディアでも大きく報じられました。
【参考】
『GM、米国でEV投資3200億円 21年にトラック生産開始』(日本経済新聞)

元記事:GM’s Upcoming Electric Trucks & SUVs “Will Be Profitable From Day One” — CleanTechnica Report by Loren McDonald on 『CleanTechnica

生産開始は2021年後半の計画

今週月曜日、ゼネラルモーターズは、純電気トラック、純電気SUV、そしてクルーズ・オリジンと名付けられた自動運転ライドシェアリング用電気車両のハムトラック工場(デトロイト)での生産計画について発表しました。この工場では現在900人が雇用され、キャデラックCT6とシボレー・インパラが生産されていますが、GM初の純電気自動車に特化した工場に生まれ変わる予定です。

GMのリーダー達とこのニュースについて話をすることができましたので、そこで取ったメモのいくつかを今回ご紹介します。さらにこの先の記事でも書いていく予定です。

GMは8億ドル(約872億円)を新しい電気トラックのローンチ及びサプライヤー構築に投資すると共に、 全部で22億ドル(約2,399億円)をハムトラック工場の改造に投資します。GMはここでの生産開始が2021年後半になると言っていますが、最初の純電気ピックアップ・トラックがどのブランドからになるのかは発表していません。

GMはスーパー・ボウルでの広告を計画しており、そこで初めの一台がシボレー、GMC、ハマーのどれになるかを明らかにするようです。1月の始めに、この広告はNBAスターのレブロン・ジェームズを起用し、ハマー by GMCによる純電気ハマートラックを宣伝するものだと噂が流れました。

GMの社長マーク・ロイス、ミシガン州知事グレッチェン・ウィトマー、その他主要人物がハムトラック工場の記者会見に出席。写真はCleanTechnicaより。Loren McDonald氏撮影。

ハムトラック工場での記者会見には、ミシガン州知事から全米自動車労働組合の地域組合長まで多くの主要関係者が集まりました。工場における2,200の雇用創出のお陰でコミュニティに熱烈に迎えられました。

アメリカと世界の電気自動車シフトのためにも、個人的にエキサイティングに感じたのはGMの明確で真剣な純電気自動車へのコミットメントでした。GM役員と複数回にわたり充電インフラ、工場、バッテリー研究、リーダーシップについてミーティングを重ねましたが、純電気自動車がGMにとって‘趣味’の域を超えたのは明らかでした。

非公開会議では、私と他数名のEVジャーナリストがGMトップのマーク・ロイス氏に率直な質問をぶつける機会に恵まれました。

これから出てくるモデルに関してはほんの少しの情報しか出てきませんでしたが、BEV3という電気自動車用プラットフォームが、多くのGMブランド/モデル/セグメントをカバーするベースになると分かりました。そしてこれが一番重要ですが、彼が言うにはハムトラック工場から出てくる電気自動車は、世に出たその最初の日から利益を生むそうです。さらにほとんどの他既存自動車メーカーとは違い、GMには将来新しいハイブリッド車を作る予定がなく、電気自動車戦略は100%の純電気自動車生産に依拠することになります。

EVジャーナリストとの非公開会議中のGM社長マーク・ロイス氏。Loren McDonald撮影。

この日最もニヤりとさせられたのは、GMディーラーを電気自動車販売にどう前向きにさせるかとロイス氏に聞いた時でした。彼の答えは「2つの車では電気自動車戦略は作れない」というものでした。たかだか1〜2種類の電気自動車が製造ラインにあったところで、多くのディーラーは電気自動車を真剣に捉えようとしないでしょう。彼によると、複数の電気トラックやSUVに新しくフォーカスし、供給ラインを整えることによって、GMは責任を持ってディーラーが電気自動車の未来を信じられるようにしたのです。

数十台ある車両リストのうち1、2種類の電気自動車しかなかったならば、ディーラーはそこまで注意を払いません。しかしGMが電気自動車に真剣に取り組んでいて、複数のブランド、セグメントから純電気自動車を出すと示したならば、電気自動車は最早「パート・タイム」にはならないのです。

続いて行われたGMウォーレン・テック・センターのツアーでは、現在そして未来のバッテリー・パックがテストされるところを見学し、グローバル・バッテリー・セル技術戦略部長のティム・グルー氏と話す機会を得ました。会社名は明記できないのですが、GMはバッテリーの安定供給のため、そのサプライチェーンをLG化学以外にも広げる予定です。

他の多くの自動車メーカーと同じく、様々な形で出てきたバッテリー技術の可能性を模索中で、その中には固体電池、コバルト・フリー・セル、リサイクリング、リユースなどが含まれ、さらに運転時の個々の癖を考慮に入れて、バッテリーサイズ、配置、技術の最適化を目指そうとしています。グルー氏は個体電池の将来について積極的に考えていますが、恐らく5〜6年は商業化レベルにならないと踏んでいます。

将来書く記事では、複数のGM幹部との会話を深く掘り下げ、GMがBEV3プラットフォーム開発を携えて今回電気自動車と真剣に向き合うように至った理由を書いていきたいと思います。

GMの公式声明文はこちら(英文)

CleanTechnica提携記者であるLoren McDonald氏がこの記事を書くための交通費、宿泊施設と食事はGMが提供してくれました。

(翻訳・文 杉田 明子)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

執筆した記事