日産が環境省とパートナーシップ締結~電気自動車への優遇措置をまとめてみた

日産自動車が環境省と「国立公園オフィシャルパートナーシップ」を締結したと発表。EVでの国立公園訪問を促進して、ゼロカーボン・ドライブの普及や国立公園の認知向上などに向けて協力していきます。

日産が環境省とパートナーシップ締結~電気自動車への優遇措置をまとめてみた

※冒頭写真は2021年3月のパートナーシップ締結式に臨む小泉環境大臣。

『ブルー・スイッチ』活動の一環として連携

2021年9月14日、日産自動車が環境省と「国立公園オフィシャルパートナーシップ」を締結したことを発表しました。

国立公園オフィシャルパートナーシップとは、環境省の「国立公園満喫プロジェクト」推進のために設けられた制度で、環境省と民間企業などが協力し、国立公園の美しい景観や滞在する魅力を発信し、国立公園利用者の拡大を図ることで、 自然環境の保全への理解を深めるとともに、国立公園の所在する地域の活性化につなげることを目的としています。

2016年から始まった制度には、JR各社やJAL、ANAといった交通機関関連企業、モンベルやスノーピークといったアウトドアスポーツ関連企業など、100社以上の企業・団体がパートナーシップを締結しています。自動車産業関連の企業がこのパートナーシップを締結するのは、日産が初めてとのこと。

日産では、2018年から電気自動車の普及を通じて、環境、防災、エネルギーマネジメント、観光、過疎などの地域課題解決を目指す、日本電動化アクション『ブルー・スイッチ』を推進しています。今回のパートナーシップは、日産にとってはこの『ブルー・スイッチ』活動の一環となるもので、全国各地の自治体を中心に「災害連携協定」を結んできた『ブルー・スイッチ』活動としては141件目の取り組みになるということです。

環境省が進める「Let’s ゼロドラ」と目標一致

一方、国立公園を管理する環境省では、再生可能エネルギー電力と電気自動車、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)を活用して、走行時にCO2を排出しない「カーボンゼロ・ドライブ」の推進を提唱。令和2年度補正予算で「再エネ×CEV」への最大80万円の補助金制度を実施したり、来年度には軽EVへの購入支援制度を検討していることを表明しています。

Mobility Transformation 2021』のレポートでは「再エネ抜きの Mobility Transformation はない!」とする小泉環境大臣の熱い言葉をお伝えしました。軽EVへの補助金検討の解説記事では、購入補助金だけでなく、EVを活用することのインセンティブを拡大していく構想であることも紹介しました。

環境省ウェブサイトより引用。

さらに、環境省では「国立公園満喫プロジェクト」と「Let’s ゼロカーボン・ドライブ」を合体させたような「ゼロカーボン・ドライブで国立公園に行ってみよう!」というキャンペーンも実施しており、日産『ブルー・スイッチ』とのパートナーシップ締結は、まさに環境省と日産の「目指すところは同じ!」ということを示しています。

電気自動車へのインセンティブとは

小泉大臣が軽EV購入支援計画を表明した会見で示したように、環境省では電気自動車や燃料電池自動車に対して国立公園や国民公園の有料駐車場を無料にするなどのインセンティブ、つまり優遇措置を実施しています。

どこで、どんな優遇があるのか。一覧で整理しておきます。

場所特典内容備考
【国立公園の駐車場無料化】
阿寒摩周国立公園摩周湖第1展望台駐車場北海道終日無料詳細要確認
硫黄山駐車場終日無料
支笏洞爺国立公園支笏湖温泉駐車場終日無料
十和田八幡平国立公園十和田湖休屋北・南駐車場 青森県終日無料
八幡平見返り峠駐車場岩手県終日無料
磐梯朝日国立公園浄土平駐車場福島県終日無料
日光国立公園湯滝駐車場栃木県終日無料
山陰海岸国立公園鳥取砂丘駐車場鳥取県終日無料
瀬戸内海国立公園鳴門公園駐車場徳島県終日無料
雲仙天草国立公園雲仙温泉駐車場長崎県終日無料
阿蘇くじゅう国立公園草千里駐車場熊本県終日無料
阿蘇山上駐車場熊本県終日無料
霧島錦江湾国立公園えびの高原駐車場宮崎県終日無料
高千穂河原駐車場鹿児島県終日無料
【国民公園の駐車場無料化】
新宿御苑大木戸駐車場東京都2時間600円迄無料詳細要確認
京都御苑中立売駐車場京都府3時間800円迄無料

また、日産では『ブルー・スイッチ』活動において熊本県阿蘇市と協定を結び「阿蘇をEVの聖地に!!プロジェクト」を進めており、2021年4月から以下のような優遇を実施しています。

「阿蘇をEVの聖地に!!プロジェクト」サービス一覧

カテゴリー施設名内容
駐車場草千里駐車場/草千里ヶ浜 無料(500円→0円)
古坊中駐車場/阿蘇山上広場無料(500円→0円)
有料道路阿蘇山公園道路普通自動車:800円→400円
軽自動車: 600円→300円
観光施設阿蘇火山博物館入館料
大人 880円→600円小人 440円→350円
阿蘇カドリー・ドミニオン入場料
大人 2,400円→2,100円
小人 1,300円→1,100円
幼児 700円→600円
大観峰(大観峰茶店)ソフトクリーム30円引き
宿泊施設阿蘇リゾートグランヴィリオホテルレイトチェックアウト(13:00)
阿蘇プラザホテルウェルカムソフトドリンク
阿蘇の司ビラパークホテル&スパリゾートウェルカムソフトドリンク
入船食前酒サービス
親和苑フロントフリードリンク
湯巡追荘最上階展望の湯(40分間)無料
蘇山郷抹茶とクッキーサービス
道の駅道の駅阿蘇
ASO田園空間博物館総合案内所
ソフトクリーム50円引き
道の駅阿蘇
神楽苑
ソフトクリーム50円引き

私自身、EVスーパーセブンで日本一周した時には、阿蘇や奥入瀬渓流など国立公園をEVで走りました。ちょっとした優遇はうれしいしありがたいことですが、抜群の大自然の中を電気自動車で走るのは、それだけでもう神様からのご褒美かと感じるくらい爽快です。

2013年10月撮影。

電気自動車だから走れる道も

富士スバルラインでのEVパレードラン(2019年)。

さらに、今までも何度かレポートをお届けしたことがあるように、富士山五合目まで上る「富士スバルライン」や「富士山スカイライン」、「ふじあざみライン」などのドライブウェイでは、夏の登山シーズンの期間マイカー規制が実施されますが、EVとFCVは規制対象外(ルートによって入山方法が違うので要確認)になる、つまり堂々とマイカーで上っていけるという特典があります。

PHEVや、EVであっても『i3』のレンジエクステンダー付きモデルのように、車検証に「ガソリン」と記載があると規制対象外にはならず上ることができないのでご注意ください。

2016年のジャパンEVラリーの際は、地元の方にもご協力いただいて調整を進め、岐阜県の奥飛騨から標高2700mの畳平へ駆け上る『乗鞍スカイライン』をEVで走ったこともあります。前日の下見の時、濃い霧の中で野生のクマと遭遇したり、隊列を組んで走っていたFCVの出力が落ちて「エンジン車だけじゃなくFCVも酸素が薄いとダメなのね」と学んだり。貴重な経験をすることができたのも、電気自動車を愛し続けてきた恩恵、と思っています。

乗鞍スカイライン走行時の様子。(景色優先でチョイス!)

念のために追記しておくと、乗鞍スカイラインでは、マイカー規制中、一般のEVは通行することはできません。以前、マイカー規制中でも走れる「EVレンタカー」があったのですが、確認すると今はもうやってない、そうです。

実はこの記事で、全国各地の自治体などが実施しているEVへの特典もまとめようかと思ったのですが。。。調べているうちに少し気が遠くなって(細かいし、膨大になりそうで)挫けました。「うちの町では、こんなユニークな特典があるぞ!」という情報あれば、ぜひコメントで教えていただけばと思います。

なにはともあれ、日産と環境省が連携したEVへの特典拡大は大歓迎。EV普及への機運醸成に繋がっていくといいなと思います。とはいえ、もっと効果的にEV普及を促進していくために今重要なのは、ことに高速道路SAPAにおける急速充電スポットの充実(高出力器複数台設置)です。これはおそらく、国土交通省のテリトリーだと思うので、環境省だけではどうしようもないことでしょう。国を挙げて、EV普及、そしてニッポンの自動車産業がEVシフトする世界と勝負できるようになるための、さまざまな施策が実施されることを願っています。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)9件

  1. 「環境省×ゼロカーボン・ドライブ×国立公園」とくれば、我が国の再生エネルギーのエース「地熱発電」です!

    『でんきのふるさとへ行ってみよう!』
    「国立公園内の地熱発電の電力でEVを走らせ、その電力の源を訪問してみよう!」という環境省の近未来のキャンペーンを、つい妄想してしまいました。
     
    【関連資料】
    「国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて」平成27年10月2日 環境省
          https://www.env.go.jp/press/101503.html

          地熱発電技術に関心のある方向け資料(後半の「解説」資料)
          http://www.env.go.jp/nature/geothermal_np/mat02.pdf

    >地熱発電は、再生可能エネルギーの中でもベースロード電源として期待される一方で、景観の保護や利用、生物多様性の保全が図られている国立・国定公園の区域と重なる場合が多いために、自然環境との調和が図られることが重要です。

    ⇒要するに約5年前に、国立・国定公園内への地熱発電所の設置基準が少し緩和されたわけです。

    原子力発電所の再稼働なんぞにいつまでも固執してないで、我が国のゼロカーボンのベースロード電源として最有力な地熱発電所の設置・稼働にこそ、知恵と資金を投じて頂きたいものです。
    (もちろん、太陽光、風力、波力、潮流・潮汐など、他の再生可能エネルギーの活用も、並行して進める必要がありますね。)

  2. タイヤの粉塵もマイクロプラスチックです。その辺は内燃車でもEVでも殆ど同じですね。

  3. そりゃEVは走行中排ガス出ないですけど、ブレーキダストやタイヤ、アルファルドへのダメージで大気汚染の原因にはなるんですからあまりマイカー規制対象外にして欲しくないと個人的には思います。
    ガソリン車による大気汚染の原因、排ガスはよるのは1/4くらいな話をどこかで見た気が…
    電動化による排ガス以外の大気汚染への影響の話とかも見てみたいです
    EV用のタイヤ開発はそういったことも考慮しているのか気になったりします。

    1. RN様、コメントありがとうございます。

      >>ブレーキダストやタイヤ、アルファルドへのダメージで大気汚染の原因にはな

      ブレーキダストは、ガソリン車のほうが圧倒的に多いです。その理由は、電気自動車ではブレーキをほとんど使用せず、ブレーキパッドが減らないからです。
      https://blog.evsmart.net/tesla/model-x/shaken-inspection-costs/
      こちらにも、私の車の例で恐縮ですが、ブレーキパッドの減りについて67000km走行後の状態を記録してあります。

      タイヤは減りますが、特に磨耗がガソリン車と比べて多いか?というとあまり変わらない気もします、確かに重量は少し重いですが、そこまで違うものでもないように思いますよ。
      もし具体的なデータがあれば是非、教えてください。

    2. 乗り方にもよるとは思いますが、テスラの重量でそのブレーキの減りは感心しますね。
      試乗でしか回生ブレーキの効きって確かめたことないんですが、山道の急勾配もブレーキ踏まずに済みますか?
      速度乗ると減速しづらい気がするのですが。
      タイヤもメーカーはEV専用タイヤとか出してるんで摩耗しづらくなってるのかもしれませんが、重量重くなれば絶対摩擦は増えるのでは?

      ガソリン車よりEVの方がクリーンなのは分かるのですが、チリツモといいますか…マイカー規制で環境保全してるのに、EVならOKというのが釈然としないのです。
      EVがもっと増えたら渋滞緩和目的の為に規制になるかと思いますが、大気汚染の原因が排ガス以外にもあることを忘れらてるような風潮がモヤモヤします。
      もちろん、排ガスの分だけでもEVに優位性はあるとおもいますので、そういった観光地ではどんどんEVバスを導入するなどして欲しいとは思っています。

    3. RN様、コメントありがとうございます。

      >>山道の急勾配もブレーキ踏まずに済みますか?

      どのくらいかにも寄ります。一度試乗されてみられてはいかがでしょうか?
      https://blog.evsmart.net/tesla/model-s/fuel-economy-hakone/
      たった一つの例で何の参考にもならないかもしれませんが、私が箱根で少し実験をした記事をご紹介します。

      >>重量重くなれば絶対摩擦は増えるのでは?

      そのあたりは間違いないでしょうね。そういう意味で、例えば電気自動車は10%重くなると仮定すると、
      https://www.jb-honshi.co.jp/customer_index/guide/syaryo-seigen/
      舗装へのダメージはガソリン車に比べて46%増しになります。しかし、例えば大型バスは50名くらい乗せられますが、仮に10tとして普通車のガソリン車を2tとすると、舗装へのダメージは実に625倍。大型トラックも10t位ですね。つまり、舗装にダメージを与えているのはほとんどが大型車という現実があります。

      >>大気汚染の原因が排ガス以外にもあることを忘れらてるような風潮

      確かにそれはあるかもしれませんね。昨今では、大気汚染の中の、PM部分よりCO2部分の方が人々の生活へのインパクトが大きいように言われている気がします。

    1. 充電料金と言うより、時間制から従量制に変えるべきだね。

    2. 電気設備屋です。そもそも充電器にかかってる費用はは充電器価格・設置費(イニシャルコスト)と電力量課金・通信費(ランニングコスト)の2つから成り立ってますが…充電器設置費の高さを考えると従量制だけでは考えにくいですね。そこを判らない方がEVに乗っても面白くないようですな。
      今の時間制課金だと電圧と充電電流の大きい電動車両が有利。電圧的には日産リーフ、電流的には三菱アイミーブMタイプ有利。
      個人的に今後の急速充電課金の在り方は折衷案的に基本料金と従量制の採用が鍵やと思います。基本料金一回100円でkWh単価30円など、設置費に見合った体系を作らないと更新されず結果急速充電器が減る事態に陥りかねないって考えてます。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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