テスラが新型『モデル3』を一日限定で日本初公開〜魅力的な電気自動車の最先端

テスラジャパンが、9月1日に大幅アップデートを発表した新型『モデル3』の日本仕様車をお披露目するメディア向けプレビューを開催しました。台風13号の直撃を心配しつつ、テスラ新宿で乗り込んでみた実物は、スッキリ具合と質感が向上していることが実感できて、とても魅力的な一台でした。

テスラが新型『モデル3』を一日限定で日本初公開〜魅力的な電気自動車の最先端

実車お披露目は1日限定。一般公開はもう少し先になります

2023年9月8日、台風13号の首都圏直撃で荒れ模様の天候の中、東京都新宿区の「テスラ新宿」で、テスラジャパンが新型『モデル3』(ロングレンジ)日本仕様車のメディア向けプレビューを開催しました。

台風の影響で大雨でしたが、多くのメディアが詰めかけました。

午前9時30分に予定されていた開始時間を前に、午前7時過ぎには「交通機関への影響などを見ながら開催可否を検討中」というメールが来るなどしていましたが、この日を逃すといろいろ今後の予定が組まれている車両の調整が難しく、山手線などは平常運転となっていたことから8時過ぎに開催決定の連絡が来ました。

日本に入荷されたばかりの新型モデル3のお披露目は一日限定。明日以降、テスラ新宿に行っても新型モデル3の実車展示はなく、他のショールームなどを含む一般公開はまだ少し先になるということなのでご注意ください。

ボタンウインカーなどの斬新なUIは好印象

新型モデル3の概要については、9月3日の記事で詳しくお伝えしているのでご参照いただくとして。

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テスラ『モデル3』が充実装備へアップデート/後席ディスプレイ搭載&航続距離が向上(2023年9月3日)

実車を見て、乗り込んでみて感じたことをザクッとご紹介していきます。

ルックスの印象がシャープになった

ぱっと見で大きく変わったのがフロントフェースです。現行モデルではバンパー最前部が少し丸みを帯びた形状になっていて「カエル顔」などと評されることもありました。新型は、ヘッドライト形状が薄くなり、最前部はストレートなエッジが強調されて、全体にシャープな印象になりました。

写真では見ていましたが、実車を見ると印象の変化がすごく大きく感じます。シュッとして、スポーティさ、精悍さが増したことが実感できました。

リアビューの大きな変化は、中央のテスラロゴが「TESLA」という英字表記に変わったのと、テイルランプデザインのコの字型がより強調されたことでしょう。スッキリして、存在感が増した印象です。

ライト形状などは変わってますが、充電リッドの位置や開き方は従来モデルと同様です。

インテリアはますますスッキリ、より上質に

インテリアも大きく変わりました。ダッシュボードのデザインもスッキリとして、表面素材がアルカンターラ(人工皮革スウェード)に変わっています。

そして何より、ステアリング周りからウインカーレバーやシフトレバーが消えました。新型モデルS/Xのようなヨークステアリングは選べませんが、ステアリングも新しくなり、全体にスッキリ感がますますアップ、質感も向上した印象です。

ウインカーはどうやって出すのかというと、ステアリング左側のボタンで操作します。上が右、下が左。一回押すと始動して、もう一回押すと止まります。

ドライブやリバースに入れるシフトはどうするのか。運転席に乗りこんでブレーキを踏むと、センターディスプレイの右端にシフトを選ぶ表示が出てきます。上矢印でドライブ、下矢印でリバース、ですね。上に「P」レンジ、下にニュートラルを選ぶ表示も見えます。

あと、ミラー上のここ、ハザードのボタンの並びにも、D、R、P、N などを選択できるボタンが出てくる、そうです。

実は、会場に早く到着して、先のシフト選びが表示されたディスプレイの写真を撮った(あわてて撮ったのでブレてますけど)のですが、その後、この日は車両が「ショールームモード」に設定されたので、ミラー上に選択肢が表示されている様子などは撮影し損ねてしまいました。改めて、試乗などの機会を楽しみにしたいと思います。

あと、個人的に「おお、変わったなぁ」と感じたのが、センターコンソールの質感です。インテリア全景写真でかわるように、カップホルダー部分を含めて全体にメタリック調のフタが付いています。また、このフタの開き方、前モデルでは「ちょっとプア?」と感じる弱点でもあった(個人的印象)のですが、すごく上質になっています。

新設されたカップホルダー部のフタは、閉めている時は平面が揃っているのに、開くときは絶妙な動きでフタが潜り込んでいく細工になっています。マイカーになったら、乗っててうれしいポイントのひとつになるのでは、感じます。

リアディスプレイも、いいですね。座高が高い私が使うと「だいぶ足もとだなぁ」という印象ではありましたが、後席エアコンが操作できるのは便利。後席のゲストが自由にエンタメをチョイスできるのも使ってうれしい機能でしょう。

ショールームに展示されたクルマの中ではいまひとつ実感がつかめなかったけど、LEDアンビエントライトも夜のドライブ時に「買ってよかった」感を味わうポイントになると思います。

斬新なUIも、少し慣れれば新たな常識になる

会場のショールームに展示されていた新型モデルXの運転席。すでにウインカーやシフトのレバーは無い。

今年の5月、「新型テスラ『モデルS』『モデルX』正式受注開始」の記事も書いておきながら、車両価格とヨークステアリングに目が眩んでうっかり触れていなかったのですが、ボタンウインカーやシフトレバー廃止はすでに S/X で採用されていました。

登録したスマホをもってクルマに近付くとロック解除されたり、スタートボタンがなくなったり……。テスラがぶち壊してきた自動車の常識も、少し慣れると違和感はなくなり、むしろ便利であることに気付かせてきてくれました。新型モデル3のウインカーはボタン操作なので「たまに国産車に乗るとワイパー動かしちゃって」なんてこともなくなるでしょう。

シフト切り替えにしても、メーカーごとにレバーの位置や形状、仕組みが違って戸惑うことも少なくないことを考えると「ディスプレイで操作」という今回のテスラの「脱常識」が、数年後には自動車の新しい常識になっていきそうな予感もします。

ちなみに、運転席に座ると車両が自動で「D」か「R」を判断してくれるオートシフトは、日本仕様でも搭載する方向で調整中ということでした。WLTCモードの電費数値などとともに、国交省の認可を待ちましょう。

立ち話で伺ったところでは、発表したばかりの新型モデル3への反響は上々とのこと。とはいえ、今日(9月8日)時点の購入サイトではまだ「2023年12月〜」の納車予定で変わっていません。ボディカラーはレッドがいいなとか、内装はホワイトがいいな、とやっていくと、RWDでも600万円程度、AWDのロングレンジでは700万円を超える高級車にはなりますが、ペースを上げて拡充するスーパーチャージャー網などを考えると、日本でもテスラ、そしてモデル3がオススメ電気自動車の筆頭であることは間違いありません。

発表時記事のスペック表を再掲しておきます。

新型モデル3旧モデル3
RWDロングレンジRWDロングレンジ
車両価格(税込)561万3,000円651万9,000円524万6,000円626万9,000円
航続距離(WLTP)513km629km491km602km
バッテリー容量(推定)60kWh78.4kWh60kWh78.4kWh
最大充電出力170kW250kW170kW250kW
0-100km/h加速6.1秒4.4秒6.1秒4.4秒
Cd値0.2190.2190.2250.225
メインディスプレイ15.4インチ15.4インチ15インチ15インチ
後席ディスプレイ8インチ8インチなしなし
USB-Cポート最大出力65W65W27W27W

ちょっと意外な話題としては、新型の発表に刺激されたのか、現行モデル3への問い合わせなども増えているそうで。

日本でも、テスラがどんどん分厚くなっていきますね。

取材・文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 写真で拝見すると、ソナーは無くなったようですね。運転支援はカメラのみということでしょうか(Gセンサーなどは別として)?

    1. hatusetudenn さま、コメントありがとうございます。

      運転支援はカメラのみ。深く確認しなかったのと、書き切れなかったので割愛しましたが、はい、その通り、だと思います。
      ちなみに、噂のフロントバンパーカメラ、は探したけど見当たりませんでした。

      ほかにも、エアバッグの数が増えてたり、ドアの側突対策が進化してたり、するそうです。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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