ボルボが電気自動車『EX90』をワールドプレミア〜本気のEVが出揃ってきた

ボルボが電気自動車にして、新たなフラッグシップとなる『EX90』の世界初公開イベントをストックホルムで開催しました。2030年までに電気自動車だけのメーカーになることをすでに表明しているボルボが示す、電気自動車への「本気」が満載です。

ボルボが電気自動車『EX90』をワールドプレミア〜本気のEVが出揃ってきた

2023年夏頃に欧米などで発売

2022年11月9日(日本時間23時)、スウェーデンのストックホルムで、ボルボが新型電気自動車『EX90』のワールドプレミアイベントを開催。世界にライブ配信しました。

Meet the Volvo EX90(YouTube)

EX90は、ボルボにとって『XC90』と並びフラッグシップとなる7人乗りSUV。世界初公開を伝えるプレスリリースでは「ボルボ・カーズの新時代の幕開け」というキャッチフレーズとともに、先進機能を満載した本気の電気自動車であることがアピールされました。

詳細なスペックや価格は未発表ですが、搭載するバッテリーは111kWhの大容量で、欧州基準のWLTPサイクルでの一充電航続距離が「600km」と紹介されています。実用的な平均電費が5km/kWh程度としても、500km台後半程度の距離(たとえば東京〜兵庫県の淡路島くらいまで)は不安なく走破できるはず。また、最初に発売されるのが「ツインモーター全輪駆動モデル」で、「2つの永久磁石式電気モーターを搭載し、合計380kW(517ps)、910Nmのトルクを発生」するとのこと。フラッグシップにふさわしい最高級電気SUVとなることでしょう。

ボルボ・カー・ジャパンでも、10月以降はEX90に関するプレスリリースを連発。当然、日本でも導入することを前提に準備を進めているはずです。ただし、先行する欧米での発売も2023年夏以降とされており、日本での発売は早くても1年ほど先になると思われ、今回の発表では日本発売の時期などには言及されていませんでした。

メルセデス・ベンツが『EQS』や『EQE』を発売してEQシリーズがほぼ完成。BMWは『i4』『i7』『iX』などの車種を揃えるなど、ドイツを中心とした欧州メーカーではすでに幅広いEVのラインナップが揃いつつあります。

ボルボでは「2030年までに電気自動車のみの販売を目指すこと」、また「2040年までにクライメート・ニュートラルな企業になる」という目標を表明しており、日本でもすでに『C40 Recharge』『XC40 Recharge』を発売しています。EX90 は、ボルボのEV、つまり商品ラインナップの頂点にあって、個性的なライフスタイルを具現する最高級EVの1台として、世界でも存在感を示すモデルとなることでしょう。

車名とインテリアが象徴する「電気自動車への本気」

あくまでも、今回の発表を見ただけの第一印象ではありますが、EX90は完全なEVメーカーへの変革を目指すボルボの本気が満載されていると感じます。

まず、車名です。ご存じのように、現在のボルボのフラッグシップとされているのは『XC90』です。また、今までにボルボが発売してきたEVの車名は「Recharge」を付与することでEVであることを示していました。でも、今回は、「XC90 Recharge」ではなく、「EX90」と、Electricの「E」から始まる車名となりました。おそらく、これから続々と登場するであろうボルボのEVは、このEX90に倣った命名がされていくことになるのでしょう。

14.5インチの大型モニターを縦型に配したシンプルなインテリアには、このクルマが電気自動車であることを前提に、魅力的な電気自動車とは何かを突き詰めて開発されたことを感じます。

EVファンにはおなじみであるテスラの「S」や「X」に似ていると感じる方も少なくないでしょう。でも、こうした意匠は「テスラに似ている」のではなく、「電気自動車の目指すべき方向」であると考えれば、ボルボの大きな進化と評価することができそうです。

何度も引き合いに出して恐縮ですが、C40やXC40のインテリアと比べると、EX90ではボルボが「完全に電気自動車に振り切った」という意気込みすら感じます。

ちなみに、ライブ配信されたイベントやプレスリリースで、EX90は「双方向充電に必要なハードウェアをすべて搭載したボルボ初のクルマ」として、いわゆる「V2H」や「V2L」(総称してV2X)に対応することが紹介されました。ただし、これは欧米で採用されているコンボ(CCS)という急速充電規格を前提としてのことであり、日本のチャデモ規格でどうなるかはまだわかりません。

少しややこしくなりますが説明しておくと。そもそも、日本のチャデモは規格そのものにV2Xに対応したプロトコルが含まれています。ただ、輸入EVの多くはチャデモ規格の急速充電には対応しても、V2X機能は割愛していました。一方、欧米のコンボ規格はV2Xには対応していません。ただ、電力グリッドの蓄電池としてもEVの大容量バッテリーを活用すべく、Wallbox社の双方向充電器である『クエーサー』が2020年エディソン賞の『エネルギーと持続可能性部門』を受賞するなど、注目度が高まっています。

技術的な詳細についてはまだよくわからないところもありますが、欧米仕様でV2X対応ということであれば、きっと日本仕様でも対応してくれるはず、と期待しておきます。

大切なことなので、今回の発表でいよいよ明白になったことを、最後に繰り返しておきます。ボルボは、いや、世界は電気自動車に、本当に本気です。

(文/寄本 好則)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

執筆した記事