VWが「充電カード」導入とアプリ「EasyEV」のバージョンアップで同社BEV・PHVユーザーへのサポートを強化

フォルクスワーゲンは7月4日から、同社のBEVとPHVユーザーを対象に「Volkswagen充電カード」の提供を始めました。さらに、充電スポット検索アプリ「EasyEV」をバージョンアップ。VWのBEV・PHVの利用がさらに便利になりました。

2018年7月4日にサービスを開始した「Volkswagen充電カード」。3つの充電プランが用意されている。

フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン(VGJ、本社:愛知県豊橋市)は2018年7月4日から、同社の電気自動車(BEV)とプラグイン・ハイブリッド車(PHV)の利用者を対象に「Volkswagen充電カード」の提供を始めました。このカードでは「3つのプラン」を用意していますが、その中には国産EV・PHVのメーカーですらまだ提供していない「普通充電器と急速充電器の両方が『使い放題』となるプラン」も用意されています。

同時に、VWのBEV・PHV向け「充電スポット検索アプリ『EasyEV』」がバージョンアップされました。ログインすれば
(1) 充電スポットの「満空情報」が表示できるほか、
(2) 加入プランに応じた料金の表示も可能になりました。
アイコンもより分かりやすく刷新されました。今回の目玉は充電器の「満空情報」が表示されることです。当ブログでは、これらのサービスが開始された6日後にVGJにお邪魔して、今回のサービス・アップグレードについて、いろいろとお聞きして来ました。

目次

  1. Volkswagen充電カードとは
  2. 充電スポット検索アプリ「EasyEV」とは
  3. 3つ目の「安心」でBEVへの垣根を低く

Volkswagen充電カードとは

「Volkswagen充電カード」を使うと、日本全国に2万基(2018年2月末時点)ある「合同会社日本充電サービス(NCS)」の充電器による充電ができます。充電器の内訳は、急速充電器(いわゆるCHAdeMO対応充電器)がおよそ 6,000基、普通充電器(AC200V)がおよそ 14,600 基です。

充電プランは3つ用意されています。まずは、月々の会費が安めに設定されている「ベーシック・プラン」が2つあります。

PHVであるGolf GTEの充電イメージ。普通充電に対応している。充電カードには普通充電にのみ対応したプランが用意された。
PHVであるGolf GTEの充電イメージ。普通充電に対応している。充電カードには普通充電にのみ対応したプランが用意された。

(1) ベーシック・プラン「普通充電器用」
対象となるのは「BEV」であるe-Golfと、「PHV」であるGolf GTE・Passat GTE・Passat GTE Variantです。このうち、e-Golf以外のPHV車にはそもそも急速充電機能は搭載されていないので、PHV車ユーザーはこのプランを選ぶことになるでしょう。ただし、「普段は家での充電で間に合うものの、少し遠出した際に『安心材料』として普通充電が使えると嬉しい」と考えるe-Golfユーザーも、VWとしては想定しています。月額基本料は1,400円で、これに1分あたり2.5円の料金が普通充電を利用すると追加されます。

(2) ベーシック・プラン「普通・急速充電器両用」
こちらは対象となるのはe-Golfのみです。これ以外のPHVには急速充電機能が無いので、当たり前ですね。月額基本料は3,200円で、これに「普通充電では1分あたり2.5円」、「急速充電では1分あたり15円」の料金が追加されます。

3つ目のプランは「使い放題」が基本の「プレミアム・プラン」です。

e-Golf Premiumのデジタル・メーター・クラスター「Active Info Display」のイメージ。これは欧州仕様車のもの。
e-Golf Premiumのデジタル・メーター・クラスター「Active Info Display」のイメージ。これは欧州仕様車のもの。

(3) プレミアム・プラン「普通・急速充電器両用」
対象はe-Golfのみです。固定額を毎月払うと、普通充電器も急速充電器も使い放題になります。7月4日時点で、こうしたプランは国産メーカーもまだ設定していません。日産は急速充電は使い放題ですが普通充電は時間課金の形で、三菱は逆に普通充電は使い放題ながら急速充電は時間課金の形です。それぞれの会社の考え方が垣間見えるプラン設定と言えそうです。
プレミアム・プランは、比較的長距離を走ることがあり、出先での充電が多いユーザーを念頭に設定されました。もともとドイツ車というと、300~500kmを1日で走破し、どこまでも走れるクルマと言うイメージが欧州でも日本でも定着しているので、それになるべく近づけたいとしてVWではこのプランを設けています。月額は5,200円だけで、普通充電時にも急速充電時にも、これ以上の追加費用は一切かかりません。

いずれのプランも、NCSに直接加入をするよりお得な料金設定になっています。(ベーシック・プランの普通は入会時の手数料がないこと、またプレミアム・プランはそれに加え、充電回数次第では「NCSチャージスルゾウ」よりも安くなると言う意味です。)国産メーカーが設定しているプランよりはまだ少し高いものの、輸入車のBEV・PHVユーザーや潜在購入層にとって「敷居を下げる」効果が期待できそうです。

「Volkswagen充電カード」に申し込むと、会員専用のポータルサイトで
● 充電ステーションの位置情報の閲覧、
● カード利用履歴の確認
ができ、「会員専用の特典」として、後述する充電スポット検索アプリ「EasyEV」に専用機能として
● NCSネットワークの充電スポットの「満空情報」の表示、
● 選択した料金プランに応じた充電料金の表示
が追加されます。このうち「満空情報」は今回のEasyEVバージョンアップの大きな「売り」となっています。

概要は、下の表にまとめておきました。

プランベーシックプラン
(普通充電器のみ)
ベーシックプラン
(普通充電器・急速充電器)
プレミアムプラン
(普通充電器・急速充電器)
対象モデルe-Golf, Golf GTE,
Passat GTE,
Passat GTE Variant
e-Golfe-Golf
会費1,400円/月3,200円/月5,200円/月
充電料金普通 2.5円/分普通 2.5円/分
急速 15円/分
無料
カード発行手数料無料無料無料
対象者個人、法人個人、法人個人

VWでは、2018年1月末に充電スポット検索アプリ「EasyEV」をリリースしましたが、従来のユーザーには今回のカード発行とアプリのバージョンアップを告知するプッシュ通信を出しておいたところ、新サービス開始早々に申し込みがありました。ただし、開始から6日しか経っていなかったためか、申し込みされた方はすべてPHV(GTE系)ユーザーでした。台数がより多く市場に出ているPHVの方から申し込まれている現状があるのでしょう。

充電スポット検索アプリ「EasyEV」とは

VWの充電スポット検索アプリ「EasyEV」の画面の例。普通充電器と急速充電器、今は使えない充電器が色分けされている。
VWの充電スポット検索アプリ「EasyEV」の画面の例。普通充電器と急速充電器、今は使えない充電器が色分けされている。

VWがバージョンアップした「EasyEV」は、電気自動車(BEV, BEVx)・プラグインハイブリッド車(PHV, PHEV)向けのアユダンテ株式会社製「充電スポット検索アプリ『EVsmart』」をベースに、VW向けに特化して開発されたものです。今回のバージョンはVer.1.1.0です。

今回追加された機能は、
● 「Volkswagen充電カード」で充電できる充電器の絞り込み、
●「 VW販売店のみ」を絞り込み表示
です。さらに、充電カードによるログイン後には、
● NCSネットワーク加盟・提携充電スポットの「満空情報」の表示、
● 詳細画面に、「加入プランに応じた料金」を強調して表示ができるようになります。

「車種(例えばe-Golf)」による絞り込み検索も可能で、車種に加えて「年式(例えば2017年モデル)」を選んで、自車が使える充電スポットを絞り込んで表示できます。

「EasyEV」の詳細画面。加入しているプランに応じた料金も表示される。
「EasyEV」の詳細画面。加入しているプランに応じた料金も表示される。

掲載情報はアユダンテ株式会社のスタッフがひとつひとつ確認をとって、最新情報を更新します。BEV・PHVユーザーから寄せられた生の情報(〇〇の充電器が今見たら壊れている、など)が、確認のあと掲載されます。そのうえ、VWがこれまで独自に実地調査して蓄積し、随時更新している「いわゆる『相性の悪い』充電器」の情報も反映されていますから、充電に手間取ることを避けて、ドライブの計画も立てやすくなります。

現在地から最寄りの充電スポットを探せるだけでなく、目的地や中継地点の近くにあるスポットも住所から検索できます。こうした充電スポットを「マイリスト」に登録したり、よく利用したり直近に利用したスポットを条件検索することもできます。

選択した充電スポットの満空情報を見られるだけでなく、そこまでの現在地からの距離を表示できます。「あとどれくらいで着けるか」を考えながら、同乗者に満空情報をこまめに確認してもらい、到着直前に最寄りの「空いている充電器」を探すこともできます。

自車の充電開始の際に、アプリ上の「充電タイマー」をワン・タップすれば、充電終了時刻を知らせる機能もあります。

3つ目の「安心」でBEVへの垣根を低く

今回のサービス・アップグレードの柱は、お得な料金で充電ができる「Volkswagen 充電カード」と、強力な検索機能で充電スポットを快適に探せる「EasyEV」ですが、もう一つあります。それは「特別仕様車『e-Golf Premium』」です。

e-Golfの特別仕様車「Premium」。「充電カード」と充電器検索アプリ「EasyEV」との三本立てで、EV購入・使用の敷居を低くする戦略。
e-Golfの特別仕様車「Premium」。「充電カード」と充電器検索アプリ「EasyEV」との三本立てで、EV購入・使用の敷居を低くする戦略。

車両本体価格が、税込みで5,349,000円に設定されたPremiumは、通常の3年の標準付帯の保証・サービスに加え、点検時の基本部品費用や2年間の延長保証やサービスが加えられています。

モバイル・オンライン・サービスである「Volkswagen Car-Net」により、テレマティクス機能「Guide & Inform
」を使って施設検索やVICS情報入手など、さまざまなことができるのはガソリン車と同じですが、BEV・PHV専用サービスの「e-Remote」を使って「走行距離」や「バッテリー状態」などのクルマのコンディションがスマートフォンなどで見られるだけでなく、乗る前にエアコンなどを動作させるコントロールも可能になっています。これも3年だけでなく、さらに2年が無償で提供されます。「新車から2回目の車検まで、まずは安心して乗ってください」ということでしょう。

BEVに乗っていて、もう慣れてしまっている人には何でもないことでも、潜在購入層(BEVをあまり体験していない人)には不安なことはいくつもあります。VWでは、こうした人たちにも「安心して」「肩肘張らずに」乗ってもらえることを目指して、今回のカード、アプリ、特別仕様車の「三本柱」を企画しました。ガソリン車(ICE)のように「300~500kmを当たり前にように走破する」ことはまだ無理ですが、なるべくそれに近づけたいと考えているようです。

今回の取材に際して、いくつかお聞きしてみたい点を事前に用意しておきましたが、ほとんどが実現されていました。唯一まだ取組中だったのが、「スマートフォンの画面を純正ナビ画面に映し出して(ナビと連動させて)、音声指示でEasyEVを操作できるか」ということでした。同乗者が居なくても、運転者はたとえば交差点での停車中などの短い時間を利用して、音声で充電スポットの検索ができたら便利だからです。クルマにスマートスピーカーが乗っているイメージ、もしくは、あの映画「スターウォーズ」に出てくるアストロメク・ドロイド「R2-D2」のようなアシストしてくれるドロイドが音声指示に応じて検索してくれる姿を思い描いていました。こちらはまだ今後の課題として現段階では搭載されていませんが、今後の進展に期待したいものです。

いずれにせよ、BEV・PHVの選択肢に新たな魅力あるクルマ・安心が加わったと言えるでしょう。

(文・箱守知己)

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