先週の水上(みなかみ)は関越自動車道で行きました。軽井沢は関越から上信越自動車道に藤岡ジャンクションで乗り換えて、碓氷軽井沢(うすいかるいざわ)インターチェンジで降りてアクセスします。上信越道がなかった時代(いつやねん)は碓氷峠(うすいとうげ)を国道で超えなければならず、ウィンタースポーツ客にはハードルが高かったのですが、今となっては北陸新幹線が軽井沢駅まで開通し、中軽井沢まででも東京駅からたった一時間半。車でも上信越道経由ならドアツードア3時間を切る距離になりました。週末の軽井沢は雪の予報はなくおおむね晴れのようですが気温は最低マイナス7℃と冷え込むようです。
電気自動車で旅行する際には、ちょっとした計画が必要です。今回のプランをざっくり書いてみますね。
行き先 | 区間距離 | 合計距離 | 高崎からの往復距離 |
---|---|---|---|
藤岡JCT/高崎 | 120km | 120km | |
軽井沢スノーパーク | 90km | 210km | 220km |
ホテル | 20km | 230km | |
軽井沢スノーパーク | 20km | 250km | |
藤岡JCT/高崎 | 90km | 340km | |
自宅 | 120km | 460km |
ルートは家から藤岡JCTを通って軽井沢スノーパークへ。少し遊んでホテルに宿泊。翌日はまた軽井沢スノーパークへ行って遊び、その後は藤岡JCTを通って家に帰ります。総走行距離はおおよそ460kmにおよび、テスラモデルXの現在の航続距離414kmでは夏でも無充電で往復することはできません。また冬季は30%くらい航続距離が減少しますので、318kmくらいが無充電で行ける範囲。途中で充電は絶対に必要です。
「充電をどこでするか」を計画することを、充電計画と言います。電気自動車の中でもテスラはこの充電計画を容易にすることを念頭に置いた、スーパーチャージャー・ネットワークというものが設置されていて、計画は非常に簡単にできます。例えば今回のルートでは藤岡JCTから4.1km先にテスラ 高崎スーパーチャージャーがあり、ここにさえたどり着けば超急速充電器が利用できます。また充電器は120kWが6基設置されており、他の方とバッティングするリスクは非常に少ないです。
さて先ほどの表の「高崎からの往復距離」を見てください。行きと帰りに高崎スーパーチャージャーに寄った場合、220kmを走行する必要があるということですね。それ以外のことは考える必要がありません。なぜなら家と高崎スーパーチャージャー間はたった120km。家にはほぼ空でたどり着いてもいいわけです。つまりこういうことです:
- 往路の高崎では冬季220kmを走行できるくらいの電池残量まで充電
- 復路の高崎では冬季120kmを走行できるくらいの電池残量まで充電
いかがでしょうか。これをパーセントに変換して、かつ余裕を持たせてみましょう。
往路:走りたい距離220km / 冬季航続距離318km + 余裕10% = 80%
復路:120km / 318km + 10% = 48%
これで充電計画は完了です。
【詳しい方向け】バックアップを考えておかなければなりませんが、軽井沢は急速充電器が少ないです。代わりに軽井沢スノーパークのあるプレジデントリゾート軽井沢と軽井沢のアウトレットには普通充電器があります。チェックアウト後の残量が心もとない場合には、軽井沢スノーパークの専用駐車場ではなくホテル側の駐車場に停めれば遊んでいる間の数時間は充電できますし、買い物中も充電できる可能性が高いですね。いずれにしろ厳寒期なので高速道路などでは飛ばさないことが重要です。
写真左上の436Wh/kmという数字。これはここまで約330mを登り、また暖房により通常の90%増しのエネルギーが必要になったということです。でもこれはたった20kmだけの話。一瞬ですから問題ありません。
【まとめ】
2日間トータルでの走行距離は549.5km、総消費電力量は138.5kWhでした。電気自動車における燃費に相当する値、電費は252Wh/kmと、夏季のおおよそ10%増しでした。軽井沢はずっと通して気温は氷点下でしたが、高速道はそこまで冷え込んでおらず、速度もある程度控えめにしていたことで、計画ほどは電気を使いませんでした。
これを全部自宅充電で賄ったと仮定すると、1kWhはおおよそ30円くらいですから、549.5km走るのに4155円かかった計算に。ガソリンに換算すると、リッター138円として18.2km/lくらい。サイズはちょっと小さいですが比較としてトヨタのハリアーハイブリッドAVU65Wと比べてみると、e燃費による実燃費は13.55km/l。モデルXはハリアーハイブリッドより冬でも34%燃費が良いことがわかり、経済的なことがわかります。
ところでこの車はスーパーチャージャー無料対象車。ということは?到着時62%で前日の出発時は94%だったわけですから、差し引き32%すなわちおおよそ32kWh=960円が自腹。これをしつこくガソリン車の燃費に換算してみると、
リッター79.0km/l
という結果になりました。(更新完了)
今、一般人がテスラを購入すると充電費用はいくらかかるのですか?
貴殿のように無料ではないようですが。
仙台四郎様、コメントありがとうございます!
まずテスラにしろ他社の電気自動車にしろ、通常は自宅で充電するものだと思いますので、当記事の一つ目の計算、すなわちガソリン車換算で18.2km/l、1kWhあたり30円というのは変わらないと思います。夜間充電している方は、月間の走行距離にもよりますが昼間の車以外の消費電力より、車の充電の電力量のほうが多くなると思いますから、夜間の料金が安く昼間高いプランに切り替えることにより、多少安くなると思います。電気料金のシミュレーションは結構難しいのですが、1kWhあたり30円で計算して足が出るということはないでしょう。
自宅以外の外での充電については以下の記事にまとめていますが、
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/bev-electricity-cost-vs-gas/
テスラの料金については細かく書いていませんのでこちらでご紹介します。
https://www.tesla.com/jp/support/supercharging
こちらが公式サイトなのですが、61kW以上で充電中は税込40円/分、60kW以下で充電中は20円/分となっています。ややこしいですね。仮にギリギリ61kWで40円になった場合は40円x60分/61kWh=約40円/kWhとなりますので、自宅より3割高い料金ということになります。ピッタリ60kWだったら20円x60分/60kWh=20円/kWhですから自宅の3分の2ですね。実際に今回の旅行の往路を例にとって計算してみます。ちなみにS/Xでスーパーチャージャー永久無料ではない車両には年間400kWhの無料権限が付いていますが、それは取りあえず無視しておきましょう。
まず最初の高崎での充電では55分間充電しています。そのうち、12:21-12:37までは61kW以上、12:38-13:16までは60kW未満で、充電終了間際は10kWしか出ていませんでした。つまり17分間が40円/分、38分間が20円/分となります。これを合計すると1440円で、トータルの充電量は充電器側(充電器側=電気自動車では、実際に電池に溜まる電力量は、充電器が送り出した電力量より少し少なくなります)で45.8kWhでしたので、
1440円/45.8kWh=31.4円/kWh。やっぱり自宅と大して変わらないですね。
そもそも98%まで充電するのか?と考えると、当然ですが経済性を考えると80-90%程度までに留めておいたほうがいいですよね。仮に90%まででストップしたとすると、12:21-12:37までは61kW以上、12:38-12:53までは60kW未満で、90%時点で34kWでした。つまり17分間が40円/分、16分間が20円/分となります。これを合計すると1000円で、トータルの充電量は充電器側で37.4kWhでしたので、
1000円/37.4kWh=26.7円/kWh。これなら自宅よりちょっと安いです。
ではさらに80%で止めるとどうなるか?
12:21-12:37までは61kW以上、12:38-12:39では60kW未満で、80%時点で55kWでした。つまり17分間が40円/分、2分間が20円/分となります。これを合計すると720円で、トータルの充電量は充電器側で28.1kWhでしたので、
720円/28.1kWh=25.6円/kWh。
日本では簡単にkWh単位で電気を売ることができないのでこういう複雑な仕組みになってしまっていますが、基本的には80-90%を超えて長々と充電しない限りはそれほど高額な料金が課せられるわけではなく、ほぼ自宅と同じくらいの料金になると思っていただければよろしいかと思います。