テスラの第3四半期セールスが2年で271%、6年で1664%の成長

イーロン・マスク氏が率いるテスラのセールスが6年間で16倍以上、2年でも約2.7倍という驚異的な勢いで成長しています。2019年第3四半期までの成長過程を追った記事がCleanTechnicaに掲載されましたので、全文翻訳をお届けします。

テスラの第3四半期セールスが2年で271%、6年で1664%の成長

元記事:Tesla 3rd Quarter Sales Grew 1664% In 6 Years, 271% In 2 Years by Zachary Shahan on 『CleanTechnica

テスラ モデルS
テスラ モデルS

イーロン・マスクが定めた、不可能に見えた目標

この記事を始めるにあたり、ひとつ大事なことを書いておきます。この記事はテスラの株価に関するものではありません。

カラ売り屋が必死に議論をしたがり、そして彼らと私を含むテスラの株主の間で起こる、論理と数学を駆使し延々と続くバトルも苛烈で、テスラに関する議論は常に株価に関するものだと先入観を持つ方も多いのです。しかし若者よ、早合点してはいけません。株はただの余興に過ぎないのです。本題に入りましょう。

テスラが製造業、マーケティング界、自動車界の奇跡であることに疑いの余地はありません。いかにもトランプが使うような「わけのわからない」論理無しにはこの現象を議論できないでしょう。モデルS、X、そして今度は3の生産量の増加は、シムシティのようにスムーズでは決してありませんが、信じがたいレベルで非常に短い時間に急勾配を駆け上りました。数年前にテスラに対し懐疑的だった人々にも根拠はあったのです…… テスラはどうやって、イーロン・マスクが定めた驚愕の、記録破りなターゲットを達成したのでしょうか? 不可能だった筈なのです。

しかしテスラは前進し続けています。

数値にはいくつかの見方があります。私はグラフが好きなのですが、単純な算数をするのも時には楽しいものです。

私は2012年にテスラに目を配り始めました。モデルSが大々的に、大きな期待と疑いの目、両方を背負いながら市場に現われました。多くのフォロワーがこの会社にその時食いつき、以降離れていません。テスラが電気自動車生産によりプレミアムクラスのパフォーマンス競争で他を圧倒し、さらにそれが車輪に乗った iPad と同義のものだったことは、ある種の人々にとって痛快なものでした。巨大な荷物用スペース、他に類を見ない安全性、ゼロ排出、タイムレスな言語設計、そして繰り返しますが、そのパフォーマンスがアーリーアダプター達を驚愕させました。

2012年の第3四半期で、テスラは321台の車両を出荷しました。(イェーイ!)そんなに前の出来事でもないので、私は今でもその時の空気を覚えています。あの達成感から来る興奮をまだ感じることができるのです。 しかしその後たった数年でテスラが生産した車両台数や、交通の電動化で何が必要かという点から見ると、そのボリュームはまだまだ小さいものでした。とはいえ、テスラの今日の姿に成長する種が、その四半期に植えられたのです。

企業の成長を見る時に、デリバリーの始めの月だけを見て計算するのは少々不公平です。セールスが1から10になった際、成長率は990%になりますが、具体的な成長数である9というのはどうってことのない数字だからです(スペースXの宇宙船Starhopperなんかの話をしているのであれば別ですが)。よって、パーセンテージで見る成長はすごいものに見えますが、(デリバリー最初期には)あまり関係がありません。

そこで、2012年第3四半期のデリバリーを比較するのではなく、2013年と2017年のものに集中して見ていきたいと思います。

テスラモデルSの出荷が始まってから1年後の2013年第3四半期から、今年2019年の第3四半期までの数字を見ると、テスラのデリバリーの数値(出荷数もイコールになります)は驚異の1664%増になります。

3年前の2016年第3四半期から2019年第3四半期で、テスラは291%成長しました。2年前の2017年第3四半期から2019年第3四半期では271%です。自動車産業でもその他でも、このような成長を見せるスタートアップで興奮を見せないところがあったらお目にかかりたいものです。

前代未聞の快進撃

テスラはただのソフトウェア会社ではありません。単純で、小さな商品を生産している会社ではないのです。彼らの見せる成長は、一般に買える一番複雑で高価な商品である自動車の成長そのものなのです。

そのような大きく複雑な商品の成長比率として見ると、このような数値は驚くべきものです。私達のようにイーロン・マスクのアグレッシブな目標を信じた者でさえ、実際に達成可能であるかには大きな自信は持てませんでした。信じたと言うより、どちらかと言うと望んでいた、のかもしれません。2013年第3四半期の5千5百台から、2019年第3四半期の9万7千台のセールス? 可能でしょうか? もしかしたら。恐らく? 無理かもしれない。確実ですか? そんな訳がない……。

ここで書いておきたいのが、イーロン・マスクが2014年に予測した2020年の生産数とセールスを達成するレールに、テスラが乗っているということです。これはお見事。イーロン・マスクはよく楽観的過ぎる短・中期の予測をして批判されますが、2014年の予測が現実になるにつけ、マスク氏のビジョン、才覚、攻めのターゲットを達成する能力に懐疑的だった批評家は、今度は自分に疑いを持たなければならなくなったでしょう。

それでもテスラに関して懐疑的、ネガティブでいる方々は、2019年第3四半期のセールスが去年に比べて「たったの」16%しか増えていないことを指摘したいのかもしれません。しかし、S字曲線を見た時の前年同期比の成長は、あなたが想像するように常に滑らかではないのです。モデル3に関してはまだまだ口コミで広がる必要がありますし、テスラは販売成長を力強く続けるために新しいモデルをいくつか出さなければなりません。テスラには現在3つのモデルしかなく、このうち1つだけ(モデル3)がマス層向けです。しかし今までと同じ式を一般の、マス市場向けモデルに当てはめた場合、テスラの成長が爆発的なものにならない理由は何でしょうか? モデルYと小型トラックがテスラのショールームに現われた際には、またしても需要とデリバリーの急上昇が見込まれます。

自動車産業において6年で1664%の成長、1四半期で10万台のセールスとは驚愕です。 あなたは過去6年に何をしましたか? イーロン・マスクが良いCEOでないとか、会社経営の仕方を知らないとか言う人々へ。他に誰が、このような力強い、継続した成長を主力ハードウェア産業で見せたのでしょうか?

(翻訳・文 杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. short sellerを短期保有者、shareholderを株主と訳すと、なぜバトルになるのかが不明瞭になるので、short sellerは「空売りしている人」みたいに訳した方がわかりやすくなると思いました。

    1. Brownie様、ご指摘ありがとうございます。
      当該箇所修正し、反映いたしました。

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この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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